スレンダー角っ娘はデカ尻ドスケベ雌山羊~クーデレ敬語ヒロインとイチャイチャする~ 作:灰鉄蝸@機甲猟兵エルフリーデ発売中
バターの香りが、ぷん、と鼻孔をくすぐった。
焼きたてのパンを半分に割いてジャムを塗ったくり、口元に運ぶ。相変わらず旨い朝食である。
ほかほかと湯気を立てるソーセージ、スクランブルエッグ、生野菜サラダを前にして、きゅうっと腹が鳴った。
家事ロボットの手によるものとはいえ、その動作パターンを管理しているエルギダの手練れぶりは無視できまい。
ハジメは食卓で一人、できたての料理を食していた。
「で、今日もヤシェロは出てこられない、と?」
「おひいさまの体調が芳しくありませんので。あれほど"引きずる"パターンはわたくしめも久しぶりです」
顎に手を当てて、前途多難だと言ってのけるエルギダ。
その胸元、制服を押し上げる乳房の存在感を気に留めないよう細心の注意を払いつつ、パンを
一般常識──つまり非改造型肉体人の女性体における生理現象──を連想するが、生憎、角人にそういう生理周期がないのは知っている。
それでも相手は女の子のかたちをしているから、何となく、ハジメにとって居心地が悪い。
「生々しいなあ、そういう話」
「あとはもう、おひいさまの"気の持ちよう"です。そろそろハジメ様も顔を出して、元気づけてくださいませんか」
「承りました。今日は早めに切り上げる──それでいいかな」
よろしくお願いします、とエルギダが頭を下げた。
顔を上げたときにはもう、相変わらず真意の読めない微笑を浮かべている。
その表情を横目に、ハジメは腹の底の疑いを隠し通した。
疑念が生まれたのは、ほんのわずかな期間──ヤシェロが体調を崩してからのことである。
最初の二日ほどはデータベースの作業をしていたが、すぐ、ヤシェロの目がない今だからこそできることを発見した。
それが、図書館の内部資料へのアクセスである。
図書館に入ってすぐ、復旧した図書館のメインシステムを立ち上げる。ネットワークはオフライン、意図的に修復を遅らせた部分だ。
艦内ネットワークから分離された状態のデータベースだから、外部から感知・遮断される恐れもない。
中でもハジメのお気に入りは、肉体人向けの高等教育カリキュラムを整理、体系立てた学習データベースだ。
およそ一〇年分のカリキュラムをわずか半日で習得した時点で、ハジメは自己評価を一変させていた。
少なくともこの学習能力は、一般的宇宙生活者の水準ではあり得ないとわかったからだ。
──まるで昔は全部知っていたみたいに。
明らかに人為的な操作によって、少年の知的能力は増強されている。
今までのハジメへの教育はエルギダの家庭教師ありきのものだったし、図書館の復旧作業は、高度に自動化されたデバイスが行っていた。
ゆえに気付かなかった特性である。
「……やっぱり、何か隠してるよな」
ヤシェロもエルギダも疑いたくはなかった。
しかしデータベースからの自主的学習を始めて以来、ハジメの内面にはかつてなく筋道立った疑念が生じていた。
どうして自分の能力を隠していたのだろう、と。
エルギダが──あるいはヤシェロも──隠したがっている少年の秘密とは、この常人離れした学習能力のことなのか。
もしそうだとしたら、何故、隠さねばならないのだろうか。
考えれば考えるほど、ヤシェロに関しては違う気がした。惚れた弱みもあるがハジメ相手に腹黒い嘘がつけるほど、あの娘は器用ではない。
かといってエルギダを主犯と断定する根拠もなかった。
怪しまれない程度に復旧作業を進めた後、居住エリア行きのトラムに乗って帰宅する──ヤシェロの手伝いをすると決めてからは、毎日、彼女と一緒だった。
それがここ数日は一人きりだ。そのせいで余計なことを考えているのではないか、とも思う。
だが、薄々わかってきたこともある。
今のままでは、ハジメはヤシェロと対等になれない。
少女の好意で助けられ、友人として付き合っているだけだ。
衣食住すべてをヤシェロの資産に依存した状態で、ハジメの抱いた好意を伝えたところで──それは、健全な関係と言えるのだろうか。
自分の中の価値観が、どこから湧いてきたのかわからないまま、少年はやり場のない思いを
◆
何度も取り替えられたシーツの肌触りに、ヤシェロは目を覚ました。ゆっくりと起き上がり、慎重に足を床につける。
くん、と鼻を鳴らした。
部屋の空気は空調で浄化されていたが、他ならぬ自分の肉体に染みついた異臭。
汗のにおいに混じって、甘ったるい異質な香りがした。ひどい臭気のはずなのに、勝手にお腹の奥が昂ぶってしまうような体臭。
角人の感覚器を統御する電脳が、艦内ネットワークを通じてその正体を導き出す。
──身体改変構造体レベル7<大淫婦の印>活性化により分泌される性フェロモン。肉体人全般に対する軽度の催淫効果をもたらす。
きっと、大したことはない。自分は、そんなにいやらしい方ではないはずだから。
寝起きのせいか、頭がぼんやりしていた。
シャワーを浴びたい。
足に力を込めて立ち上がる──足の裏から腰に伝わる振動。それだけで下腹部に熱が生まれ、腰が抜けそうなほどの刺激が四方八方に広がる。
ほんのわずかな揺れだけで、子作りのためのはらわたが過剰に反応してしまう。
「~~~っ♥ んぅっ♥」
体中に染み渡るような多幸感が押し寄せてくる。ベッドのすぐ脇で床に座り込み、荒い息をついた。じわり、と真新しいショーツに染みが浮かぶ。
ヤシェロは今、下着の上からワイシャツを羽織っただけの格好だった。
寝間着と言うには露出が多い。ちゃんと身を清めて貰っているのに、一晩寝るだけで、体液塗れになってしまうせいだ。
汗っぽい肌を清めるため、赤ん坊のように四つん這いで歩いた。腕と膝を前に出して、ゆっくりと前に進む。
振動が膝から太股を伝わり、腰へと浸透する度、
「ひぃ、あっ、あぁ♥」
うっすら色づいた桃尻が、無意識にぷりぷりと揺れている。そうして揺すった尻肉の震えが、子宮の手前へ届き、ますます快感が増していった。
一メートル前に進むだけで、乳房へ血流が集まり、ショーツの布地は愛液で濡れそぼっている。
ヤシェロは半ば本能的に、最も気持ちのいい動きを選んでいた。
じくじくと疼き続けるお腹の奥を抱えたまま、ようやく、部屋の隅に設置されたシャワールームへ辿り着く。
使用制限のない温水シャワー、潤沢に空間を使った入浴設備。ほとんど小地球と言っていい移民船内部だからこそ許される
個室に併設されているシャワーは、これでも屋敷本来の湯船よりずっと小さい。
ワイシャツの前ボタンを外すと、ブラジャーに包まれた小振りな乳房が外気に触れた。
その意外な冷たさに驚いた後、自分の体が火照りすぎているのだと理解する。べっとりと体液を吸った下着を、ワイシャツと一緒に衣装籠へ放り込む。
本当は畳んでおきたいのだが、今のヤシェロにはそんな動作すらもどかしかった。
裸になって、シャワーの前の鏡を眺めた──そこでようやく、ヤシェロは理性を取り戻した。
鏡の中に、見知らぬ雌がいたからだ。
半透明の表層に発光パターンを灯し、自分はいつでも交尾ができると主張する山羊角。
だらしなく蕩け、知性の欠片も感じられない顔。乳首は指一本触れられずにつんと尖り、細い秘唇は蜜をだらだらと垂れ流し始めていた。
だが、注目すべきはそこではない。
ヤシェロの全身の肌に、赤い光の筋が浮かんでいた。
白磁のような肌に浮かぶ、蛇のタトゥーの群れ、群れ、群れ。
血のように赤い蛇の群れは、まるで呪いだった。ヤシェロを覆い尽くすように、体中至る所に刻まれた毒々しい光。
すぐに、それがただのタトゥーではないとわかった。神経ネットワークへ自己診断を走らせると、ブラックボックスが増えたことだけが伝えられる。
少女自身にもわからない未知の機能が、
──これは、いったい。
身体改変構造体、という単語が脳裏をよぎる。生殖適齢期の角人の成長の証、肉体をその用途に作り替える仕組み。
唾を飲み込んで、体中に刻まれた文様を眺めた。
まず目につくのは乳房の間、心臓の真上。まるで心臓を象るように、数匹の蛇が互いの尾を呑み合っている。
燃えさかる炎のようにも見える蛇の集合体だ。ささやかな乳房の膨らみにタトゥーの末端が絡まり、乳輪の縁にまで赤い文様が伸びていた。
次に目立つのが下腹部、へその真下から股の付け根に刻まれたタトゥー。
その意匠を理解した瞬間、ヤシェロの白い頬が羞恥心で真っ赤に染まった。
少女のほっそりした腰から豊かな臀部にかけての曲線は、彼女の躰の中でもとびきり目立つ。
ちょうどそのど真ん中、引き締まった腹筋を撫で上げるように、無数の首を持った蛇が鎮座していた。
全部で七本の首を持った多頭蛇──その首の一本一本が、子宮や卵巣を象ったタトゥーを形作っているのだ。
あまりにも卑猥なそれが、ヤシェロの生殖器を強調するように刻まれている。
「こん、な……っぅう♥ はぁ♥ んぅうう♥♥」
どくん。
鏡越しにその文様を凝視した途端、子宮に灼熱の塊が落ちてきた。
皮膚と筋肉の下ではらわたが火照り、多頭蛇のタトゥーがじくじくと消えない熱と共に自己主張。
恥ずかしい、と感じながらも視線を外せなかった。卑猥な文様がお腹に踊っている羞恥と屈辱が、恐ろしく甘美な快感となって背筋を駆け上る。
恥ずかしいのに、気持ちいい。悔しいのに、気持ちいい。
──むしろ、もっと恥ずかしい方が。
このままでは、どうにかなってしまう。意思の力で目蓋を閉じ、冷水のままのシャワーを浴びた。
ざあ、っと心地よい水が振ってくる。
その冷たさが、肌の火照りごと肉欲を洗い流してくれる気がした。
一〇分ほど経ってから、シャワーを止める。
おそるおそる目を開けると、鏡の中には、ヤシェロの白い裸身があった。染み一つない白磁のごとき肌には、赤い蛇など浮かんではいない。
何もかも悪い夢だと思いたかった。しかしヤシェロの肉体には依然、ブラックボックスになった増設部分が残っている。
あくまで見かけ上、消えただけなのだ。
「わたしは……ちがう、から」
改造人種である角人は肉体そのもの──ハードウェアを、脳というソフトウェアに従わせる生命体だ。
だから、この異常なほど昂ぶり性感に満ちあふれた肉体は、ヤシェロ自身が望んだ変容の表れなのである。
そう頭ではわかっていても、少女の潔癖な心は到底それに納得できなかった。
躰を綺麗に拭いて、長い頭髪を乾かし終えるとずいぶん気分が楽になった。
下着は汚れていて使い物にならなかったし、ワイシャツは汗臭かった。着替えを用意せずシャワーを浴びた自分を悔やみながら、生まれたままの姿でシャワールームの外に出る。
そのとき、ちょうど来客。
ヤシェロにとって、愛おしくてたまらない少年だった。
「ヤシェロ、起きてるかい? 心配だから様子だけでも、と思ってきてみたんだ」
扉越しに声をかけてきたのはハジメだった。その声を聞いた瞬間、シャワーで洗い流したはずの火照りが蘇る。
心臓が天井知らずに高鳴り、胸の真上とへその下で肌を這い回るような熱。
どくん。
下腹部で情欲の焔が燃え上がり、尾てい骨から脳天を快感が貫いた。
先ほどまでの、発情したような状態の再現だった。まるで最初から、こうして条件付けされるためにあったかのような有様。
がくがくと膝が震える。
「ヤシェロ? ……寝てるのか」
ぴんと尖った乳首が、充血した陰核が、嬉しげに震えた。
こんなのはおかしいと理性が叫んでも、ハジメの声を聞く度、躾けられた犬のように肉体が反応する。
それが数日間、ずっと仮想現実の中で自主的に調教され続けた成果だと、今の少女にはわかるはずもなかった。
とうとう足腰から力が抜けて、立っていられなくなった。
ぺたんと床に座り込む。むっちりした尻肉が体重に押し潰され、その衝撃がお腹の奥にまで響いて。
「はっ……ぃい、ひ、んくぅぅう♥♥♥!!」
喉から嬌声があふれた。
ハジメに聞かれているのに、と思った瞬間、手遅れになった。
恥ずかしい──恥ずかしいから気持ちいい。
ぴゅくぴゅくとわき出した愛液で、股ぐらはびしょびしょに濡れている。快楽の電流に溺れ、我を忘れるまで時間は要らなかった。
「ヤシェ……ロ?」
気付くと目の前に少年の顔があった。かつてなく困惑し、嗅いだこともない性臭に戸惑うハジメの顔。
全裸の少女が、明らかに尋常ではない様子──発情しているとしか言えない──で床に座り込んでいるのだ。
ハジメでなくても驚くだろう。
肩を触る掌の感触で、自分が裸のまま抱き起こされているのに気付いた。外行きのジャケットを着た少年のにおいを嗅ぐだけで、お腹の熱が強まっていくのを感じる。
ヤシェロは思わず、潤んだ瞳で彼の顔を見上げた。いよいよ顔を赤くして、目を逸らすハジメ。
どうして、部屋の扉に鍵がかけられていないのだろう。いつもならばありえないことだった。
エルギダがかけ忘れた──そう思い至ったとき、彼女の言葉が思い出された。
──めぼしいお相手もいない以上、ハジメ様は妥当な候補ではないかと。
まさか、まさか。
あの使用人が、こうなるよう促したとでもいうのか。
エルギダの推奨したい関係とは、つまり、角人としての肉体設計に従うこと。セックスのために作られた躰を用いること。
ヤシェロが忌み嫌う、淫らな姿を彼にさらけ出してしまうこと。
もう、隠すことなどできなかった。
一人きりの部屋で、生まれたままの姿で。
股ぐらから体液を垂れ流す女など、どう言い繕おうと淫乱そのもの。
苦悩も葛藤も無に還した絶望感が襲ってくる──その破滅的な恥ずかしさすら、身を蕩かす熱に変わった。
エルギダが自分にさせたいことを思い出す。
ハジメと結ばれること。伴侶としての既成事実を作ってしまうこと。
──
お腹で昂ぶった熱に耐えきれなかった。
太股をもじもじとすり合わせ、尻を二、三度横に揺する。少年に抱き起こされている形になっているとはいえ、ヤシェロの豊満な尻は否が応にも目立つ。
ぷるぷると震える白い尻肉を目にして、少年の中の獣が刺激された。彼がヤシェロから離れようとしたときには、その腕をしっかり掴まれていた。
汗ばみ、熱く濡れた指先に。
ヤシェロはすぐ、目の前の
頭にもやがかかったように理性が麻痺しているのに、持ち前の冷静さは健在だった。
それも当然である。肉欲に狂った姿こそ、角人としてのヤシェロの
鉱物状の角を発光させ、性行為への期待を全身で表して。
──大きくなっている。
ズボンの股間が一箇所、盛り上がっている。勃起しているのだ、と刷り込まれた知識から理解。
思わず、ヤシェロは想像してしまった。
夢の中で、何度もそうして貰ったように──その逞しい肉竿がおのれの肉穴を蹂躙する感触を。
思考の大半を勃起した男性器に奪われ、ふわふわした頭のまま、少年の耳元へ唇を近づけた。
「今は……どんなことを……んっ♥ しても、いいです……♥♥♥」
ハジメが息を呑んだ。生唾を飲み込む音まで聞こえた。
ヤシェロは嬉しくなって、男の衣服に薄い乳房を押しつけた。
濃密な雌の臭気が、毛穴という毛穴から立ち上った。性フェロモンをたっぷり含んだ汗を掻き、無意識に腰をくねらせる。
媚びを売るように、弧を描いて踊る巨尻。その卑猥さに気付かぬほど、ヤシェロは変貌していた。
心すらもどろどろに煮溶けてしまいそうな情欲の中、それでも恋情だけは揺るがなかった。
「ハジメ♥ ……大好きです」