※この作品はR-18です。

スレンダー角っ娘はデカ尻ドスケベ雌山羊~クーデレ敬語ヒロインとイチャイチャする~   作:灰鉄蝸@機甲猟兵エルフリーデ発売中

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7話「憎悪の果てより」

 

 

 

「ハジメとなら……また♥ したい、です♥♥」

 

 ギリギリで保たれているヤシェロの理性は、今にも蕩けてしまいそうなほど危うい。たとえ電脳化された人格であろうと、肉体から発せられる欲求には勝てないのだ。

 艶めかしい白い肌が、ふりふりと揺れていた。大きな骨盤と発達した筋肉の上に乗った皮下脂肪、丸く張りのいい桃尻。うっすらと汗ばみながら、有史以前の獣のごとく雄を誘う仕草。

 ぷん、と鼻孔をくすぐる甘ったるい体臭は、それだけでハジメの中の肉欲を刺激し、逸物を硬く勃起させてしまう。人工的に生み出された化学物質──強力な性フェロモンを分泌するよう改造された汗腺、ヤシェロの肉体が不可逆の変貌を遂げたことの証。

 

 ──どうしてだろうな。

 

 理由のないやるせなさが、ハジメの中にあった。

 苦悩の原因は、目の前で肉欲に猛り狂う少女の姿にあった。ハジメにとっての大恩人であり、家族のように接してきた相手であり、愛おしい角人の娘──少年はヤシェロが好きだ。そこに嘘偽りはない。ゆえに、自身の胸に生まれた激情に戸惑う。

 ちかちかと輝き、情交をねだる山羊角──宇宙船のネットワークと接続された改造人種の証が目に入るたび、言いようのない憤りがこみ上げてしまう。

 何故、自分はこんなにも。

 

 ──この娘を素直に受け入れられないのだろう。

 

 認めよう。

 ハジメにとって、改変体の引き起こす異常──ヤシェロの痴態は"憎むべきもの"だ。言葉にしたときの思いやりや、彼女自身の精神性を尊重する綺麗な思いとはほど遠い。たしかに彼はヤシェロを一人の人間として愛していた。生真面目な少女の表情が好きだった。意地っ張りですぐにハジメを叱ろうとする不器用さが好ましかった。白く細い指も、たおやかな肢体も、さらさらの黒い髪も、長く伸びたエメラルドグリーンの角も、黄金色の瞳も、赤くふっくらした唇も──きっとハジメは愛せるだろう。

 しかし同時に、身体改変構造体──角人に刻まれた呪いのような機構──によって、ヤシェロの心身が変わっていくことに、言いようのない嫌悪を、否、憎悪を抱いたのも事実である。

 女を知らぬがゆえの潔癖さだったのかもしれないと、初夜のときは思った。見知った相手、ましてや好意の対象の変化に、何かしら含むものがあるのは人として当然のことなのだと。

 だが、こうして二日経ってみてわかったのは、到底、そんな青臭いこだわりとは無縁だという実感だ。

 もっと根深く、それでいてハジメ自身にも理由のわからない憤怒が、ぐるぐると腹の中で煮えたぎっている。

 股間にそそり立つ男根が、より一層、硬く張り詰めた。

 少女の太ももを伝う愛蜜を意識すると、思わず、剥き出しの亀頭を突き込みたくなってしまう。無防備に尻を突き出す少女を、自分の子を孕む繁殖装置にしてしまいたいという強い衝動。

 それは不味い、と良心が踏みとどまり、上着のポケットからコンドームのパッケージを取り出す。二日前のあまりと称して、エルギダから渡された避妊具だ。思い返してみれば、あの女人はこうなることをわかってハジメを送り出したに違いなかった。一箱一二個、多すぎるだろうと思わなくもなかったが──こうしてセックスをねだるヤシェロを前にするとそうも言っていられない。

 重度の改造人種であるハジメもまた、性行為において常人離れした体力を持っているからだ。

 コンドームの封を切った瞬間、ヤシェロがちらりと後ろを振り返った。濡れた瞳が、浅ましい期待に染まっている。それを目にして、気が変わった。

 

「なあ、ヤシェロ」

「はぃっ──ひゃぅううん!?」

 

 ハジメの左手が、無遠慮に秘所へ触れた。柔らかくほぐれ、充血した桃色の粘膜に、ツヤツヤした少年の指が入り込む。

 ぐちゅり。

 内股を伝うほど染み出した愛液は熱く、ぬめっていた。小陰唇の縁をなぞるだけで、指先に粘液がこびりつくのだ。とろとろと愛液をあふれさせながらも、開ききっていないヤシェロの秘所は可愛らしかった。かと思えば、人差し指と中指を肉襞の内側へ引き込み、きゅっきゅっと締め上げる。紛れもなく雄を知った雌でありながら、どこか乙女の恥じらいを残した性器は、今の彼女そっくりだった。

 

「や、あぁぁ、ハジメ、ん……なんでぇ♥」

 

 敏感すぎる粘膜を弄くり回され、嬌声をあげるヤシェロ。言葉こそ彼を咎めているが、声に表れるよろこびは隠しようもなかった。

 壁に手を付き、尻を突き出した姿勢を直そうともしないのだ。嫌がっているつもりなのか、くねくねと腰をくねらせているが、犬が尻尾を振っているようにしか見えなかった。

 事実、ヤシェロが尻を振る度、ハジメの指は深く粘膜を擦りあげている。その接触で少女が快感を得ているのは、小刻みな嬌声からも明らか。

 

「こうして欲しかったんじゃないのか?」

「んっ、ふぅう♥ ゆ、指じゃ、なくて……」

 

 彼女をからかう声に熱がこもる。ハジメの中で(くすぶ)る劣情に火が付いた。

 

「わからないなぁ」

「ふ、んんぅ、いっ、ひぅうう♥♥」

 

 数日前からは考えられないヤシェロの痴態に興奮しながら、それでいいのかと理不尽な憤りを感じる──すべてが血流となって男根へ流れ込む。ハジメのペニスは、亀頭が腹へくっつきそうな角度で立ち上がっていた。

 ぐちゅぐちゅと秘所を愛撫しながら、目線を少女の股間へ注ぐ。ヤシェロの肉体は、たった二日で様変わりしている。

 肉付きの薄かった恥丘に、うっすらと肉の盛り上がりができていた。初夜に腰を突き入れたときは、恥骨とぶつかる感触がしたものだが──ボリュームのある尻肉に相応しい、肉厚の土手である。男に媚びる以外に使いようがない変化は、ハジメとの交尾によって生じたものだ。愛する少女の変化に、複雑な感情が生じる──それが自分の性行為によるものなのだと思うと、言いようがない征服感がこみ上げた。

 わかっている。これは改変体の作用だ。セックスのための肉体改造、彼女の精神を蝕み、色情狂に変えてしまうおぞましい機構。それに荷担するのは、ハジメの本意ではない。

 なのに。

 たまらなく興奮していた。汗で濡れたヤシェロの腰を掴む──張りのいい肌が、指先に心地よい弾力で応える。

 

「ヤシェロってお尻大きいよな」

「気にしてるっ♥ のにぃ♥♥ くぅうう!?」

 

 ゆらゆらと淫らに揺れる巨尻を前に、思わず、腰を突き出していた。愛液でべっとりと濡れた股間と、亀頭がこすれ合う。粘度が高い分泌液と、火照った皮膚の熱が敏感な男性器へまとわりつく。避妊具をつけていないハジメの男性器とヤシェロの女性器が、びちゃびちゃと水音を立てる。挿入することなく性器を擦りつけ合う、いわゆる素股だった。

 

「ふ、んッ♥ だめ、ハジメ、これ、入っちゃう♥ ハジメのが、わたしの中に、だめぇ♥♥」

「さっきは"したい"って言ってたのに? ヤシェロはわがままだよね」

「ちが、あぅ、あっあっ♥」

 

 肉棒を前後に動かす度、少女の腰がびくびくと震えていた。ピンク色の粘膜が亀頭と触れあい、(よだれ)を垂らしてご馳走をねだってくる上、膨らんだ亀頭の返し──カリが膨らんだ陰核に引っかかると、ヤシェロが甘い声を上げるのだ。熱くぬめった陰唇と恥丘を、ペニスで撫で上げる愛撫。このまま膣口へ抽挿してしまいたい、そんな欲求に駆られるほどに。

 びちゃびちゃと湿っぽい音、ヤシェロの荒い息、甘ったるい媚びのにじむ声。指先と男根にべっとりとまとわりつく蜜の熱さが、ハジメの正気すら侵してしまいそうだった。

 頭に残った理性が原因を分析する──角人の体液に含まれる性フェロモンが、陰茎の粘膜を通して彼の体内に吸収されたのだ。ずりずりと亀頭が小陰唇の筋を撫で回し、愛液を塗されていくプロセスそのものが、ハジメの獣欲を喚起する。

 腰を引いて、痛々しいほど屹立したペニスを秘所から引き離した。ぬちゃりと水音が立ち、ハジメの亀頭とヤシェロの股間の間に愛液のアーチが出来上がる。まるでディープキスでもしていたかのような、淫猥極まる光景。くぅん、と切なげな吐息をもらすヤシェロ──うなじに張り付いた黒髪が、少女の興奮の度合いを物語っていた。

 

 ──もう、我慢できそうにないな。

 

 ハジメがコンドームを使用するのは、あくまで、変態性癖を持ったヤシェロを万が一にも妊娠させないためである。避妊具の持つもう一つの目的──分泌液と粘膜の接触を断つ、という目的は重要ではない。一度、ポケットに仕舞い込んだ避妊具を、そっとペニスへ添える。ヤシェロの垂れ流す甘ったるい蜜──脳が痺れるような性フェロモンの効用──に濡れ、暴発寸前に昂ぶった亀頭へゴムを被せた。先端から根本まで、余すことなく愛液でぬめった肉棒が、きついゴム皮膜に包まれていく。たまらない充実感があった。

 

「ハジ、メ……?」

 

 怪訝そうに、ヤシェロが後ろを振り返った。その表情を見た瞬間、ハジメの中の欲が定まった。

 悩ましげに細められた切れ長の目、朱色に染まった頬、熱い吐息を零す唇──雌の色香に染まった怜悧な美貌。困ったように歪む眉と裏腹に、その丸い尻はぷらぷらと揺れて交尾をねだり、太ももを伝い落ちた淫汁が床に染みを作っていた。

 ごくり、と生唾を飲み込み、腹の底から沸き上がった衝動を自覚する。

 

 ──この娘を、俺のものにしたい。

 

 こんなにも変わっていってしまう彼女が、改変体に翻弄される心身が憎い。なのに、目の前にいる少女が愛おしかった。その痴態にたまらなく興奮した。不自然な性玩具としての最適化に、肉欲を刺激されてしまう。わかっている──ヤシェロの身体に眠っていた身体改変構造体を呼び起こしたのはハジメの存在だ。今さら彼女の身に起きたことを取り消せはしない。

 ならばせめて、眼前の美しい恋人を隅から隅まで支配したいと願ってしまった。

 もしも。

 俺の存在が彼女の害になるというのならば、喜んで死んでやる。

 きっと、変わらぬ愛など、この世のどこにもありはしない。電脳と光速神経網が這い回る改造人種にも、量子サーバーの中で活動するデータ人格にも、決して与えられない幻想だ。

 それでも人は夢を見る。決して掴めぬ幸福のかたちこそ、至上のものなのだと信じずにはいられない。

 迷う必要など、ないのだ。

 そそり立った肉槍が、杭打ち機のように肉の割れ目を押し開いた。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 エメラルドグリーンの角が、淡い光を放っている。

 ヤシェロの焦らしに焦らされた身体は限界だった。どくどくと早鐘のように鳴る心臓は、とっくの昔に身体制御ソフトウェアの影響下を離れ、改変体の命ずるまま肉欲を強調している。必死に理性を取り戻そうとしていた自分は、ハジメにお尻のことを指摘された瞬間、どこかへ行ってしまった。

 恥ずかしい──気持ちいい。

 悔しい──気持ちいい。

 極めつけは、ハジメの男性器が直接、ヤシェロの股ぐらに擦りつけられたこと。少し角度がずれれば挿入され、種付けられてしまうような危うい愛撫。ハジメの精液に生殖能力があるのは、身体検査時のデータから確認済みだ。改変体の作用で生殖器が活発化しているヤシェロに、避妊の手段はない。

 まだ生殖器の最適化──ハジメとの性行為のため、繁殖ではなく快楽のための臓器に作り替えること──が済んでいないのに、そんなことをされたら。少年との間にできた受精卵を、胎盤に受け入れてしまうおのれを想像した。

 

 ──絶対に、駄目です……

 

 かっと燃え上がった雌のはらわたが、どろりと白濁した本気汁を分泌。もうヤシェロの意思ではどうしようもないぐらい、本分を果たせと熱烈に自己主張。その熱で頭が朦朧としていた。

 ゆえに、ハジメの挿入は不意打ちだった。

 ずん、と。

 腰が跳ね上がる衝撃。

 燃え上がるように熱く、黒鉄のように硬いものが、女陰へ突き刺さっていた。平均的肉体人はあり得ない構造──膣壁付近に張り巡らされた疑似神経網が、極薄の避妊具に包まれた男根の存在を感じ取る。身体改変構造体によって、性器で感じる快楽を増幅するよう配置された悪夢のような体組織だ。嫌悪して止まなかった肉体が告げる、愛しい雄のペニス。ヤシェロの中で肉欲が弾けた。

 

「ひぃぁああああ♥ きゃふぅ♥♥」

 

 甲高い鳴き声が聞こえた──以前視聴した動物の繁殖風景を連想──それが自身の喉からほとばしる嬌声なのだと、一拍遅れて理解。きゅんきゅんと逸物を締め上げ、美しい角人は絶頂。お預けされ感度だけが上がっていた雌肉の、よろこびの発露だった。

 

 ──こんな、モノみたいに♥

 

 開花した被虐性癖者(マゾヒスト)の気質は、こんな仕打ちでさえ至上の快楽と感じてしまう。ハジメの腰が動く。安っぽい避妊具に包まれた亀頭が、少女の膣内をゆっくりと突き進み、気まぐれに耕していく。彼女の意思と無関係に、逞しい雄をもてなそうと肉穴が媚びを売った。凹凸に満ちた数の子天井が、ぐねぐねとうごめき、男根をしゃぶり回す。

 

「ん、ふ、ぅん……あっ、はぁあ♥」

 

 高く掲げられた巨尻が、恋人の腰の動きに合わせて揺れる度、玉のような汗が尻肉を伝い落ちた。尻肉を掴むハジメの指に力がこもり、ぐるりと円を描くように腰が突き出される。柔らかくほぐれた雌肉が熱く絡みつき、肉竿を最深部まで導いた。改造された子宮口付近──余すことなく性感帯となり果てた最深部に、亀頭がキスをする。

 白い太ももが、びくびくと痙攣した。

 

「ひぃあ♥ いっあ゛あ゛あ゛♥♥♥」

 

 下腹部でうごめく赤いタトゥーが、子宮を通じてペニスを意識させる。ぷりぷりの尻肉が、ぶつかり合うハジメの腰使いを感じさせる。その肌へ浮かぶ汗、互いの股間を濡らす愛液の性臭が、おのれの淫らさを思い知らせる。すっかり屈服した肉穴が潤滑液を垂れ流すせいで、じゅぷじゅぷと湿っぽい水音がついて回る。ヤシェロに快楽から逃げる術はなかった。

 彼女にできるのは、細い腰をくねらせ、尻肉で獣欲を受け止めることだけだ。超大型宇宙船の中枢システムへとアクセスできる改造人種、知性体として能力拡張されたヤシェロとて、こうなってはただの牝だ。何万年もの銀河の歴史と叡智を宿す記憶装置のすぐ隣でセックスに興じる獣。

 その惨めさに興奮した。

 

「あっんぅ……♥ い、ひぃん♥ やぁ、あっ、あぁンン♥♥♥」

 

 亀頭のカリ口に掻き出された蜜で、ぬめり光る尻たぶ。ヤシェロは小刻みな抜き差しに翻弄されていた。秘肉を割り開かれ、狙ったように子宮口周りの性感帯をブラッシングする肉棒に、子宮が揺さぶられていく。子宮口はおろか、子宮内部にまで性感帯を増設されつつある少女にとって、その振動はあまりにも甘美。つい、嬌声が口をついてしまう。

 長いストロークが来た。濁った愛液をべっとりと貼り付けた陰茎が引き抜かれる。ヤシェロの貪婪(どんらん)な媚肉は、雄を逃すまいとちゅうちゅうと亀頭に吸い付いてしまう。じゅびじゅびと下品な水音が鳴り、顔から火が出るような思いだった。

 

「き、聞かないでくださっ……」

 

 どすん、と重い一撃。

 先ほどの浅い突きとは異なる、お腹の奥を抉るような責めだった。ぐりぐりとポルチオへ擦りつけられる亀頭に、とろんと目が泳ぐ。ぐちゃぐちゃと泥を捏ねるような音を立て、ピンク色の搾精粘膜が男根のマッサージを受ける。お返しのようにうねる膣壁に促され、ついにハジメが射精した。鈴口が内側から開き、熱く粘つく白濁液がたっぷり吐き出される。コンドーム越しに感ぜられる熱が決め手だった。限界まで昂ぶっていたヤシェロの性感が弾け飛んだ。凄まじい快楽に身体の芯が打ち砕かれ、頭が真っ白に焼き付いた。はしたない喘ぎ声を抑えられなかった。

 

「ほお゛っお゛お゛お゛♥♥♥♥♥」

 

 エメラルドグリーンの角に浮かぶ発光パターンは、いずれも服従のサイン。それを目にしたハジメの感情も知らぬまま、ヤシェロは際限のない絶頂の波間へ飲み込まれていった。弓なりにのけぞった背筋、見開かれた眼、半開きになった口、突き出された赤い舌──ハジメの腰へ、ぐいぐいと押しつけられている巨尻が、彼女の状態をこれ以上なく表している。

 恍惚の表情で、うっとりと口を開きかけた。

 

 ──もっとぉ……♥

 

 刹那、脊髄を走り抜ける衝撃──ぱぁん、と張り詰めた音。

 

「い゛っ~~~~~~~~ッッ♥♥♥」

 

 痛い──気持ちいい。思い切り叩かれた柔肉が、ぴりぴりとした痛みを伝えてくる。その痛みの"心地よさ"に、思わず、満足げな吐息がもれた。平手で尻をビンタされたのだと気付いた──秘所がきゅっとすぼまり、射精したばかりのペニスを締め上げてしまう。

 何もかも手遅れだった。ヤシェロの顔が見えなくとも、伝わってしまう被虐のよろこび。ハジメの言葉は、動揺の欠片もない確信犯のそれだった。

 

「やっぱり。お尻叩かれて、興奮してるだろ。ヤシェロ、そういうの好きなんだよな」

 

 汗でうなじに張り付いた黒髪が煩わしかった。ハジメの顔を見るのが怖い。

 

「い、いつからぁ……♥」

「初めてのときから。あのヤシェロ見れば誰だって気付くよ、こんなふうに嬉しそうなんだから」

 

 そこに蔑みはなかった。ただ、ヤシェロ自身の後ろ暗いよろこびへの理解だけがあった。お前はそういう変態なのだから、認めてしまえと言う最後通告にも似た優しさ。おのれの後ろ暗い性癖を、性欲を、彼にだけは知られたくないという、生娘だったときの願いは無惨に砕け散っていた。

 地獄に堕ちるような絶望──天にも昇りそうな開放感が、全身を包み込む。正常な思考は放棄され、火がついたように身体を火照らせる羞恥心と、醜態への後悔が快楽に変換されていくのがわかった。いやなのに。見られたくないのに。

 

 ──気持ちいい♥♥♥

 

 がくがくと腰が震えた。

 

「あっ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ♥♥♥♥♥」

 

 潮を吹きながら達するヤシェロの痴態に、再びハジメのビンタが飛んだ。丸い尻肉が震える──痛覚として感ぜられたそれが、快楽に転じてしまう。こりこりとペニスで抉られていた子宮口にまでその衝撃が伝わった瞬間、第二の波がやってきた。

 膣口から子宮までを占領する肉杭の圧迫感が、悪夢めいた法悦へ転じる。そのタイミングを見逃さず、少年の腰ふりが再開された。前後左右、淫肉の上下へ擦りつけられる男性器。自らの雌穴を拡張するような仕打ちに、息をすることさえ忘れてしまう。

 すでに、絶頂の切れ目がなくなりつつあった。ヤシェロは頭をのけぞらせ、叫び声を上げた。

 

「いっぐ♥ いっ、おほぉお゛お゛お゛♥♥♥」

 

 後頭部の山羊角と相まって、まるっきり獣めいた無様な姿である。がくがくと腰砕けになっているにもかかわらず、少女の白い太ももはその体重を支え続けていた。細腰をくねらせ、少年の腰使いに合わせて尻を振る──雌の使命に殉じようと、法悦に染まりきったヤシェロを無視してうごめく下半身。セックスのため改変された身体は、雄への奉仕のよろこびを全身へ刻み込まれていた。

 敏感なヤシェロの嗅覚が、ハジメの雄臭い体臭に気付いた。おのれが垂れ流した性フェロモンの、甘ったるい媚臭と混じり合った汗のにおい。

 いつの間にか、床に放尿していた。びしゃびしゃと足を塗らす液体は、生暖かい尿の熱だった。かあ、と頭へ血が上る。獣のようなセックスに興じながら小水をもらした屈辱が、ヤシェロに幾ばくかの理性を戻した。

 ハジメのささやきは、ちょうど、そんな彼女の心へ入り込む言葉だった。

 

「ヤシェロはさ、恥ずかしいことされると興奮するんだろ。自分が変態だって思っているんなら、そのままでいい。変態のまま、俺の恋人になればいい。だから、その代わり。俺がいいって言うまでセックスはしないこと。できるよね?」

 

 きゅううう、と疼く子宮を自覚した。明滅する角の発光信号は、尻尾を振る犬のように雄弁だ。抑えきれないよろこびに蜜壺が収縮し、先ほどの射精で膨らんだままのコンドームを愛おしげに抱擁した。

 

「嬉しい?」

「うれひぃ♥ ああぁあぁ♥♥♥ ひぅ♥♥ ひぃぃん♥♥♥」

 

 黄金色の双眸は熱病に浮かされたかのごとく、焦点を結んでいない。ハジメがどういうつもりでこう言ったのかはわからない。

 だが、その言葉はヤシェロにとって大きすぎる言質だったのだ。身も世もなく、涙を流すに値するほどに。

 

 ──誰とでもセックスしたいわけではなくて。

 

 ぐん、と尻を突き出し、奥深くまでペニスを飲み込む。処女のまま絶頂を重ねた初夜を経て、ヤシェロの肉体は性玩具としての熟成を重ねていた。腰を突き出したハジメへの至上の奉仕。絶頂に次ぐ絶頂で熱を孕み、搾精臓器として生まれ変わりつつある子宮が、ちゅぽちゅぽとコンドームの液溜まりへ吸い付いた。緩んだ子宮口の輪が、にゅるんと彼の亀頭を飲み込む。ゴム皮膜の無粋さを責め立てるように、愛しい雄をしゃぶり回した。

 たまらず悲鳴のような声を上げるハジメ。雌山羊としての充実感で涙があふれた。

 

 ──ハジメのおちんちんが好きなわけでもなくて。

 

 きゅうきゅうと男根を締め上げ、熱くうねる膣壁で存分にもてなす。避妊具の皮膜越しに、敏感な亀頭をしゃぶり上げられる悦楽に歪むハジメの顔。

 この顔が好き。ハジメの射精が好き。ハジメのにおいが好き。ハジメの体温が好き。

 

 ──ハジメを気持ちよくしたいだけなんです♥♥♥

 

 だから、ヤシェロだって気持ちよくなっていい。そうして"ハジメ専用"になれば、ハジメも今より気持ちよくなれる。お腹に浮かぶ刻印が、熱く疼き続けていた。

 倒錯した性癖だとわかっているのに、やめられない。救いようがない変態へと自分から堕ちていくのに、それをハジメが受け止めてくれるだけで心が安らいだ。ぽたぽたと蜜汁がしたたる秘唇を肉棒で耕され、獣のように後ろから犯されて。

 ハジメと愛し合い、大切な二本角を家畜のように握られたい、と願ってしまう。倒錯した快楽を求めて、黄金色の瞳に妖しい光が宿る。

 

「ハジメぇ♥ わらひのっ♥ つのっ、にぎってくだひゃい♥♥」

 

 ろれつの回らないお願いに対し、ハジメの腕が応えた。尻肉をビンタした右手、細腰を掴んでいた左手が、左右の山羊角を握りしめた。

 汗ばんだ掌に、がっちりと角を保持されてしまった。これではもう、恋人同士の触れ合いとは到底言えない。思い切り力を込めて、ぐいっ、と山羊角を引っ張られた──同時に少年の腰が巨尻へ叩き付けられる。張りのいい柔肉が、ぶるりと震えた。膨れあがった液溜まりを子宮口へ押し当てられ、ぐりぐりと擦りつけられる感触。

 

「やぁ♥ ああぁあ♥」

 

 首が弓なりに反り返る。ヤシェロの首関節を支えるフレームが、雄の腕力を想定していたかのごとく、しなやかに引っ張りへ追従。普通なら首を痛めてしまいそうな行為なのに、ただ、ゾクゾクと背筋を駆け上がる法悦だけが感じられた。

 確信した。大きな角を支える骨格構造すら、こうして交尾をするために用意されている。

 力一杯、雄に引っ張られてセックスするためにできているのだ。

 お腹が燃えるように熱くて。小振りな乳房の先端は、空気に触れるだけで達してしまいそうで。淫らな肉を支える骨までいやらしく作られていたなんて──恥ずかしくて、悔しくて、嬉しくなってしまう。

 

 ──こんな身体なのにぃ♥

 

 しどけなく表情を崩し、切れ長の眼を濡らしてしまう。

 ふと、尻へ押しつけられる体重の変化に気付いた。少年の腹筋が尾てい骨へ押し当てられる。その体温に、上気していた頬がさらに赤くなった。そっと、ヤシェロの耳元にハジメの口が寄せられていた。体温の上がった彼の吐息が気持ちよかった。耳たぶを愛撫されているような距離である。

 聞こえたのは、はっきりした断言。

 

「ヤシェロ。君が、好きだ」

 

 どくん。

 心臓が一際高く跳ね上がり、胸に刻まれた蛇のタトゥーが、下腹部のそれと連動。子宮が、膣壁が、その内部にびっしりと増設された疑似神経が、どす黒いうねりを生んだ。思考も感情も押し流す、快楽の洪水。ヤシェロの全身で、あらゆる感覚が弾けた。熱っぽい肌と肌が触れあう感触も、股間で繋がり合う性器の熱も、耳をつく荒い吐息も──光速神経網を埋め尽くす快楽へ置換されて。

 

「あぁあ゛♥ ぁぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛♥♥♥」

 

 みっともないよがり声にも気付かず、きゅぅう、と膣壁を締め付けた。ちょうど、根本まで女陰に埋まっていた肉棒はひとたまりもなかった。根本からがっちりとくわえ込まれ、敏感な亀頭はコンドームの液溜まりごと丸呑みされている。ぶしゅぶしゅと潮を吹きながら、ヤシェロの媚肉は愛情深く男をしごきあげた。

 性器のように振る舞う子宮が、真っ赤に腫れ上がった亀頭を、ぎゅっと締め上げる。山羊角を握るハジメの手に力がこもった──刹那、ハジメの感覚が"わかった"。

 限界まで昂ぶった雄の快楽、射精寸前の高揚感が電脳へ流れ込む。終わらない絶頂の波間で、男根をしゃぶり上げる雌のよろこびと、征服感に酔いしれる彼の感覚が溶け合う。ハジメの陰茎がついに限界を超えた。天にも昇るような一瞬だった。射精──白濁液を"排泄"する快楽──尿道を通って迸る精液を、亀頭で感じる熱さ。二度続けての射精で、破けてしまいそうなほど膨らんだ液溜まりを、膣で感じる熱さ。異なる種類の、雄と雌の快楽がヤシェロの電脳を占拠していた。

 それから、どれほど時が経ったのか。ゆっくりと、ハジメのペニス──重たげなコンドームが引き抜かれた。愛液塗れのゴム皮膜と小陰唇が、逢瀬を惜しむかのように愛液の糸を引く。

 少年の汗ばんだ掌が、三日月型の角にべっとりと雄のにおいをマーキングしていた。惚けたように視線を泳がせるヤシェロの瞳に、知性の色はない。赤い舌が、半開きの口の中でぷらぷらと揺れた。

 

「ヤシェロ?」

 

 応えはない。

 不可解な"混線"の余韻に浸る少女の脳裏で、異変が起きていた。

 

 

 ──電脳直結通信デバイスに非正規ユーザーの接続を確認。該当システムを参照……超光速マンマシンインターフェース〈ハル・メギド〉と認定。

 

 ──生命維持プログラムの発動を承認、身体改変構造体への強制停止を実行。〈図書館〉より関連の疑われる項目を抜粋、主体人格へ脅威の認識を求める。

 

 

 改変体の肉体改造をはるかに上回る最上位権限だった。角人の電脳へ組み込まれている生命維持プログラムが、セックスに割り振られていたヤシェロの身体機能を奪い取る。電脳の主体である人格では対処できない脅威への防衛行動──それが本能に等しい恐怖の発露なのだと、少女はまだ知らない。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 あらゆる感覚が、光のない宇宙へ投げ出されていた。無論、現実ではない。

 ヤシェロの電脳とリンクしたデータベース、移民船の〈図書館〉が、自動的に索引から引っ張り出した保管資料だ。改変体のもたらす肉体改造と違い、ヤシェロにこれと言って害はなかったし、実時間で一秒とかからずに体験できると判断。あえてVRに引っ張り込まれた意識を戻さず、観察すると決めた。

 日付を確認──現在からさかのぼって一万五〇〇〇年前、銀河をまたぐ文明の栄えた人類最盛期の記録だった。

 

 

 ──再生開始。

 

 

 星が燃えていた。

 その植民惑星には七〇〇年足らずの歴史と、テラフォーミング時に投入された膨大な資本と科学技術、不毛の地さえも楽園へ変えていこうとする人の叡智があった。地球時代を懐かしむ人々の肉体回帰運動の最果て、西暦時代の北米をモデルにした都市文明だ。

 そんな営為が燃え尽きるのに必要な時間は、わずか五〇〇秒。

 二〇〇〇万度の高熱に包まれた瞬間、地上に築かれた都市は飴細工のようにねじれ、大量の海水共々、気化して惑星大気の一部となった。地表に存在したあらゆる物質がガス化し、その真下の温度が低い地層は溶岩のように煮溶けていく。惑星の隅から隅までを、直径二五万キロのプラズマ流が覆い尽くし、このささやかな開拓地の全人口、五〇億人は絶滅した。

 疾病を克服した高機能免疫システムも、太陽表面を凌駕する熱量の洗礼には何の意味もない。ほとんどの住人は、自らの肉体が燃え尽きたことすら知覚できず、神経組織ごと焼き尽くされた。朝食の準備をしていた主婦が、惑星管理公社の夜勤スタッフが、自然回帰主義者の母親から生まれたばかりの赤子が、我が子の誕生を喜ぶ父親が、孫へ最期の言葉を伝えようとする祖母が、特に何の意味もなく業火に飲み込まれた。

 それらは比喩的表現ではなく、ライフログとして恒星間ネットワークに接続されていたデータそのものだ。耐プラズマ加工が施された通信装置が焼き切れるまでの数秒間、確かに存在していた命の瞬き。

 五〇億人分のライフログの断絶だけが、死を物語っていた。

 この惨劇の一部始終を記録し、外部へ送信していた監視衛星が破壊された──次の記録映像に切り替わる。

 

 

 ──再生開始。

 

 

 目に映ったのは、若く、燃えさかる恒星だった。

 煌々と輝き、星々を照らす核融合の熱塊。暗黒の宇宙にあって道しるべとなるそれが、滅ぼされるまでの一部始終だ。

 一筋の黒い光が、若き恒星に突き刺さり、爆ぜた。暗黒の奔流は進路上の輝きを消し去り、周囲の景色を歪ませ、核融合反応の渦巻く巨星の核を貫き、蹂躙していく。

 光すら飲み込む過重力場の兵器転用なのだと気付くのに、数瞬、時間を要した。その破壊的作用が明らかになるまで、かかった主観時間はずっと短かった。

 必然的決着──恐るべき破壊のかたち。

 閃光。

 加えられた過重力場に耐えきれず、恒星が砕け散った。さながら超新星爆発のような爆発だった。おびただしい量のガンマ線が、ニュートリノがまき散らされ、重力波が津波のように虚空へ押し寄せる。記録映像の中で時間が加速され、恒星の周囲の惑星群が死の星へ変わっていった。一つの星系が、跡形もなく滅ぶまであっという間だ。

 それからどれだけの時間が経過したろうか。

 ヤシェロの主観では、ほんの二〇秒ほど後、異変は起こった。あっけなく消え去った恒星の向こうから、明らかな人工物が姿を現したのである。それはまるで、大小様々な十字架──地球時代の宗教的シンボル──をつなぎ合わせ、無理矢理、竜の骨格標本を作ったかのような異形だった。

 先の記録で植民惑星を焼き尽くしたのと同じ存在だと、映像に関連づけられた無数の解析データが告げている。ヤシェロの電脳が"それ"に注釈をつけ、その正体を、種の天敵を糾弾させる。

 

 

 ──汎人類再生同盟報復兵器〈十字架(クルクス)〉。

 

 

 銀河文明時代の歴史と技術を収めた図書館の主として、移民船と直結した電脳の持ち主として理解した。あの異形の十字架こそ、忌むべき歴史の象徴、銀河文明を崩壊させ、角人の先祖を絶滅寸前に追い込んだ張本人なのだ、と。

 亡霊じみた不吉さの塊、天主(デウス)への信仰でも死者への弔いでもなく、生者への憎しみと怒りだけを宿した戦争機械。

 主観時間で二秒後、またも映像が途絶──偵察機が破壊されたと表示がされ、記録映像は終わった。

 

 

 ──途絶。

 

 

 意識の最たる部分が、肉体へ帰還した。

 壁に手をつき、突き出した大きなお尻へハジメのペニスを挿入された姿勢のままだった。身体を支配していた熱狂は、どこへ過ぎ去ってしまった。

 最初に自覚したのは、背筋と腹筋に力を込めていたことだった。何かから距離を取るように、冷たい汗を掻いて力んでいた。

 それが自分の感じていた圧迫感、恐怖に類する感情なのだと気づき、ヤシェロはうなだれるように息を吐いた。

 

「ヤシェロ、大丈夫か?」

 

 心配そうに、自分の顔を覗き込むハジメが愛おしかった。彼の体温、彼のにおい、彼の質量だけが得体の知れない恐怖に抗う術のように思えた。

 口の端を緩めて、浅く頷いた。歴史上の惨劇はいつだって、ヤシェロたちが生きる現在の一部だ。かつて彼女たちの先祖は科学によって人体を切り開き、思うがままに作り替えた。苦痛を遠ざけ、快楽を増大させ、知性を強化し、老いも衰えも超克した美男美女を自らの子孫に仕立て上げた──人類の美徳が永遠であることを願った。

 その傲慢の最果てが、自分の心すら改変体に翻弄され、恋人へ変態性欲を吐き出す救いがたい角人だった。そんな彼女へ〈図書館〉が見せた索引の意味が怖かった。どうして目の前の彼を思っただけで、前時代のカタストロフが参照されたのか──答えを出したくなかった。

 

 

 それでも少女は、ハジメを愛さずにはいられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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