未来に転生!? 人類のためにセックスします!━スワンプマンは過去の性交に思いを馳せるか?━ 作:紫 和春
一夜明け、門原は朝日を浴びて起き上がる。
「ふぁ……」
ベッドの上で起き上がり、伸びをすると、腰あたりが少々痛むだろう。
「あいたた……。昨日は張り切りすぎたかな……」
昨晩はタガが外れたようにセックスをした。門原自身もびっくりするくらい、体がスムーズに性行為に適応したのだ。しかし、普段は使わない筋肉を動かしたことで、筋肉痛が起きていた。
腰を軽く叩きながら、門原は部屋を出て階段を下りる。一階に下りるとフワッといい匂いが漂ってきた。
キッチンの扉を開けると、エミが朝食の準備をしていた。
「あっ、健治さん。おはようございます」
「おはよう、な……エミさん」
門原が名前を呼ぶと、エミはちょっとだけ照れた表情をする。
それを見て、門原も思わず顔が少し赤くなる。
(なにこの新婚夫婦みたいな空気感は……!? もしかして、エミさんもそういうことを望んでいるのか……? 確かに昨日、好きとか言ってたけど……。いや、あれはその場の雰囲気で勢いあまって言ってしまっただけで、本心はそうじゃない可能性がある……! そうだ、これは俺の勘違いだ……)
門原はほんの1秒で思考をぶん回し、最終的に自分の勘違いという結論に至った。
平穏を装い、門原はキッチンにあるダイニングテーブルの椅子に座る。テーブルには朝食が並んでいた。
「いやぁ、朝食まで用意してくれるのは助かるなぁ。自分一人だったら総菜パンで終わりにしてただろうし」
「これも私の仕事ですからっ」
エミは自信ありげに胸を張る。同時に、その大きなおっぱいが小さくポヨンと揺れた。
門原は、置かれていた箸を持って、朝食を眺める。目玉焼きにウインナー、せん切りキャベツがおかずの、白飯とみそ汁がついたスタンダードな朝食だ。
門原はウインナーを箸で掴み、それを食べた。
「ん〜……、やっぱ朝はこれが一番だなぁ……」
ふと、そんな言葉が自然に出てきた。そのままみそ汁をすする。
「あぁ、いいね……」
ただ、心の中で思ったことを呟く。
門原がお椀を置いて視線を上げると、そこには顔を真っ赤にしたエミの姿があった。
それを見た門原は、自分が呟いた言葉を思い出し、そして赤面した。
「ごっ、ごめん! 変な意味じゃないからっ!」
「えっ……? じゃあ、どういう意味で言ったんですか……?」
「そ、それは……」
門原は少し言い淀む。
「そ、そう! こういう朝食の風景って、実に日本らしいっていうか、うん、すごく理想的って意味でねっ……」
「そ、そうですよね〜。あはは……」
エミの顔が若干曇る。
(違うっ! そういうことを言いたいんじゃない! うぉぉぉ! なんて言えば良かったんだ〜〜〜!)
門原は笑っているような表情を作るが、内心はかなり焦っていた。
(クソッ、取り繕っても仕方ない!)
覚悟を決めた門原は、うちに秘めた本心を出す。
「いっ、いや! 俺はこのみそ汁なら毎日でも飲みたいなぁ……。あはは……」
それを聞いたエミは、耳を真っ赤にして下を向いていた。
少々むず痒い感じがしたが、反応を見るに見違ってはいないのだろう。
「……あっ、今日の予定を伝えてなかったですね。今話しても大丈夫ですか?」
そんなことを言いながら、エミはスマホを取り出していた。
「あぁうん、大丈夫」
「今日は9時から、人類維持局研究所にて簡単な講義があります」
「昨日出たばかりなのに、早速戻るのか……」
門原は白米を食べながら愚痴る。
「その後は、他の女性とのセックスをするための説明を受けてください」
「種馬候補だから、拒否権はないしなぁ……」
「それ以外の時間は自由ですから……、その……」
エミの言葉が濁る。
「健治さんと、一緒に過ごしてもいいですか……?」
やはり赤面するエミ。それを聞いた門原は、心の中で叫ぶ。
(やっぱりこれ俺に惚れてないかぁーーー!? えぇ、ちょ……、本当にどうしよう……)
しかし門原は満更ではなかった。
(いやぁ、確かに嫌いではない……。むしろ好意を寄せてくれてるだけに、俺も好きになりそうなんだが……。一応エミさんは秘書兼メイド、あと護衛だっけか……。そんな立場の女性と恋愛に落ちるのは、なんというか引け目を感じる……。しかし、この36世紀という時代に男性は少ないという。ならば俺は、彼女のために精一杯の感謝と好意を伝えるべきだ……!)
またもや思考をぶん回し、門原は決断する。
(俺も、彼女に見合った男になる……!)
そして門原は答えを出す。
「そうだね。一緒にいようか」
「……! はいっ!」
その後、朝食を食べ終えた二人は、リビングのソファで体を寄せ合って手を重ねていた。
「……で、ラブコメみたいにイチャイチャしてたら15分の遅刻をした、ってわけね?」
研究所の小会議室で、馬場が二人に聞く。
「い、いやぁ、言葉だけで説明すればそのように聞こえるだけで……」
「そ、そうですよっ。これは親近感を湧かせるための行動ってやつですっ」
「はいはい、お似合いのカップルだと思うわ」
馬場は面倒なものにフタをするようにあしらった。事実、門原とエミからは相思相愛のイチャイチャカップルの雰囲気がプンプンする。しかもご丁寧に椅子を並べて、隣同士で座っていた。
「門原君、一応あなたには不特定多数の女性とセックスするという任務があるわ。南条君にうつつを抜かすのはいいけど、ちゃんと人類のための仕事はこなしてちょうだい」
「それは理解していますよ。まだ不満なところがちょっとだけありますけど……」
「では、その不満を払拭するために、講義を始めます」
そういってプロジェクターが起動した。