未来に転生!? 人類のためにセックスします!━スワンプマンは過去の性交に思いを馳せるか?━ 作:紫 和春
「それじゃあ、21世紀から36世紀に至るまでの簡単な歴史を学んでもらうわ」
そう言って馬場は、プロジェクターに映された年表を指示棒で指す。
「まず2030年。第三次世界大戦が勃発するわ。この戦争ではかつて冷戦で対立した西側と東側が激突することになったわ。そして辛くもアメリカ率いる西側の勝利で終わった。この大戦で戦略核兵器は使われなかったものの、戦術核兵器が使用され、今も場所によっては立ち入りが制限されているの」
「そうだったんですか……。まぁ俺の記憶の中でも、微かに戦前の匂いがしてましたからね……」
「そうね。結果としてそうなったわけ」
馬場は指示棒で指す場所を変える。
「しかしこの戦争が良くなかった。ただでさえ技術力が下降気味だったアメリカの産業の息の根を止めることになったわ。結果、アメリカ合衆国は大戦直後に内戦状態に陥ったわ。一方東側諸国の中心であった中華人民共和国も大戦で負けたことにより崩壊し、世界は大混乱になったの」
「もしかして、世界の文明レベルが停滞したのって、これが原因だったりするんですか……?」
「それもそうね。そういう見方もできるわ」
そう言われて、門原は呆然とする。
馬場は指示棒をその横にずらす。
「そういうこともあり、世界は緩やかに衰退の一途を辿っていったわ。そしてその行く先が、個人至上主義よ。世界は戦争を機に結託し、国際連邦が発足。人間一人ひとりが決定権を持つようになった。国家の枠組みも緩くなり、性に自由な人が増えたわ」
そして指示棒をさらに横にずらす。
「そんなこともあり、29世紀頃には男女の比率が1対10くらいに変化したの。そこから男性の増産計画が国際連邦主導で始まったわ。そして西暦3015年、日本という国が大きく変わることが起きた」
指示棒が、とある文章を指した。
「当時の天皇陛下、
「そうだったんですか……」
「21世紀に生きていたあなたには想像しづらいでしょうけど、血が流れたおかげで過去との断裂が起きずに、こうして生活できているわ」
「まぁ、ショックなのはショックですね……。自分が生まれた時から当たり前にあったものなので」
「あなたの場合は記憶の中の話でしょうけど。それでも整理はつけておいたほうがいいわ」
そういって馬場は次の項目に指示棒を動かす。
「そして3490年には男女比が1対100程度に変化。この頃から『播種の箱舟計画』が開始されたの。最初は過去人の精巣だけを召喚しようとしたのだけれど、そこまでピンポイントに召喚することが出来ず、さらに精度の荒さもあって召喚に失敗したわ。二度、三度と失敗が続き、四度目にしてあなたを召喚することに成功したわけ」
「つまり、実質俺が最初の召喚者ってわけですか……」
「その通りね。それに、次の召喚者の予定も今のところないので、あなたが唯一無二の存在というわけよ」
「なるほど……」
門原が関心していると、馬場が画面に表示しているスライドを変える。
「そういう理由もあるわけだから、あなたにはいろんな女性とセックスをしてもらいます。ここまでは前回話した内容ね」
「えぇ、まぁ」
「余談だけれど、この女性の対象には南条エミも含まれているから、好きなだけセックスしてもいいわよ」
「えっ?」
門原は思わずエミのことを見る。エミは恥ずかしくなったのか、少し顔が赤くなっていた。
「それで、今度はこの女性とセックスしてもらうわ」
そういってスライドが次に移る。
「個人情報保護のため、仮名で呼ばせてもらうわ。今回はアンナという女性よ。年齢は24歳。事前の身体検査や性病検査ではすべて問題ないことを確認済み。卵巣や膣の状態も良好であり、かつ本人が妊娠出産を希望していることから、今回の計画に参加しているわ。そのほかの情報は手元の資料を見てちょうだい」
「はぁ……」
門原は用意された資料を見る。ページをめくると、そこには全裸の女性の姿があった。
「ぶふぉっ」
「あら、何かあったかしら?」
「なんで資料に全裸の写真が載っているんですか!? これ何らかの法律で罰せられるでしょ!?」
「残念ながら『播種の箱舟計画』では、どんな刑事罰も無効になるような法的処置が施されているわ。あなたのことを召喚したことも、倫理問題の観点からすれば何かしらの罰則があるのでしょうけど、無効化することが可能ですし、あなたが犯罪を犯したとしても、罰則が与えられることはありません。これは人類存続がかかった重要な事案ですから」
「うーん……。そうなのか……?」
「それに、現代の社会常識ではこのくらいの写真は世の中にいくらでも溢れています。ヌードの写真集が出回るくらいにはね」
「うーん、そうなのか……」
門原は疑問に思いながら、資料を眺める。
彼女の身体データが記載されていた。身長154センチ。体重49キロ。スリーサイズは順に89、58、85。髪は肩にかかる程度のブロンズ色で、写真の様子ではかなり胸が強調されている感じだ。
「彼女とのセックスは明後日を予定しているわ。彼女が妊娠を希望しているので、二日間かけてセックスしてもらいます。その間、なるべくザーメンを彼女の
「それはいいですけど……。俺に対しての何か処置みたいなのはないんですか?」
「民間が販売している精力剤は用意しているわ。効果は一応あるみたいね」
「そうですか……」
門原が少々不安になっていると、横にいたエミが門原の手に自身の手を重ねる。
門原はエミのことを見ると、エミはニッコリ笑っていた。
「大丈夫ですよ。健治さんなら、ちゃんと彼女を孕ませられますから」
「エミさん……」
二人はお互いのことをジッと見つめる。二人ともちょっとだけ頬が赤く染まっていた。
それにしびれを切らしたのか、馬場が一つ咳を入れる。
「とにかく、彼女のことを妊娠させられるようにして。そうじゃなければ、計画が存在する意味がないですから」
「分かりました。努力します……」
こうして、門原に最初のミッションが課されたのだった。