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──削除しますか?
△ × + 〇
『先生、さっきの生徒さんは……?』
「ああ、最近よく手伝いに来てくれていてね。……とても助かっているんだ」
それは言葉だけを聞けば喜びや感謝といったものを読み取れるような答えでしたが、その声色は寂しさのような、切なさのようなものを孕んでいるように感じられました。
『では、あの言葉にはどう答えるのでしょうか?』
「アロナも聞いてたんだね。……断るよ。きっと言わなくても分かってくれてるとは思うけど、必要なことだから」
先生は画面の向こうでそう答えて、私に少し困ったような笑顔を向けました。
それはついさっきのことです。その生徒さんは意を決したような顔で、頬をほのかに赤らめながら先生に何かを伝えてそのまま答えも待たずに走り去ってしまいました。何を言ったのかまではわかりませんでしたが、きっと確かめるまでもないでしょう。
先生の傍にいるとこんな場面に立ち会うのもそう珍しいことではありません。そんなとき先生はいつも、笑顔でそれを受け止めてどこか申し訳なさそうに「ごめんね」と返していました。先生の表情を見るにきっと今回も例外ではないと分かります。
『そういうもの、なのですね』
胸の中に生まれた違和感を飲み込むようにそう呟きました。ですが、どうしても引っかかるものがあったのでしょう。……この時の私は結局、先生にもう一つだけ質問を投げかけたのでした。
『疑問。……あの生徒さんも先生がどう答えるかは分かっていたはずです。それなのにどうしてあんなことを言ったのでしょう?』
そう問いかけると先生はまた少し困ったような顔をしてから、考え込むように顎に手を添えました。
もしも、お互いにつらい思いをしてしまうのだとすれば、それが分かっているのだとしたら、それでも想いを伝えるべき理由などあるのでしょうか。今の関係性を壊してまで伝える意義など存在しえるのでしょうか。
先生はうーんと唸ると、なかなか難しいね。と呟いてから答えます。
「……そこに明確な理由や理屈があるとも限らないんじゃないかな。気持ちって抑えられるものでもないしね」
拍子抜けするような答えだと思うその一方で、きっとそういうものなのだろうと思いました。そんな私の内心を知ってなのか、先生は言葉を続けます。
「それでも理由があるとするなら───」
どういうわけか私の記憶は一番大事なところで途切れて、その先にあるはずだった答えが何なのかを思い出すことはできませんでした。きっとこれは、二度と元に戻ることはないのでしょう。
教室から覗く鈍色の空からは花弁が散るように、はらはらと雨が落ちています。雨粒が頬に当たる冷たさも、黒いスカートを握りしめるてのひらも、ただその事実だけがそれ以上の意味を持たずに存在しているのでした。
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ブルアカのプラナと先生とプレナパテスのお話です。
ハーメルンに投稿するのは初めてなのでお手柔らかにお願いします。
第一話も同時投稿するので何卒……