※この作品はR-18です。

凡人の在り方-Alternative-   作:空薬莢

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プロローグ

 

 

 

ーーエンジニア部

 

ミレニアムサイエンススクールに存在する部活の一つ。

主に武装の開発、整備を担い、時には他校に技術提供も行う技術者の集団。

だからこそ、私は思うのだ。

 

ーー何故、ここにいるのか……と。

 

 

閃光が迸(ほとばし)る。

火花が飛び散り、高温で溶けた鉄が混じり合い、結合していく。

ゆっくり、しかし確実に。

一本の線を描くように、鉄を溶かしては結合させる。

悠久にも似た感覚を覚えるが、それもやがて終わる。

「ふぅ……」

顔を覆っていたフェイスシールドを跳ね上げ、額を拭う。

手にしたトーチを傍らに置き、代わりに手にするは小さなハンマー。

所謂、“チッピングハンマー”と呼ばれる物。

余分な不純物ーースラグーーを叩き壊し、針金ブラシでこそぎ落とす。

邪魔物を落とすと、並目模様。

正常に溶け固まった鉄の線だ。

(……それなりには保つか。……ゲヘナみたいな使い方はしないだろうし)

まぁ、一部の……C&Cの部長みたいな子が使わない限りは大丈夫だろう。

その場合どうするかって?

まぁ、ヒビキさん辺りにお願いしよう。

彼女は私よりも優秀なのだから。

そんな事を思いつつ、工具類をロッカーに戻していると、作業場の扉が開く。

「まだいたのか、ハユハ。もうすぐ下校時間だぞ?泊まるのかい?」

扉を開いたのは、紫髪の少女。

「もうそんな時間でしたか。態々、すみません部長」

白石ウタハ。エンジニア部の部長だ。

私が思うに、この部で一番マトモな人だろう。

「今日は帰ります。一先ずのノルマはこなしましたし」

工具をしまい終え、ロッカーの扉を閉める。

「そうか。……済まないな、君にばかり雑務を押し付けてしまって」

部長が申し訳なそうに言う。

「開発欲や説明欲求の強い方ばかりですからね。新入りが割を食うのは普通では?」

奇人変人は何処にでもいる。

当然、エンジニア部も例外ではない。

「そうかもしれないが、無茶はしないでくれよ」

「自己管理はしてます。……帰りますね」

傍らに置いた鞄を背負い、歩き出す。

「気を付けて帰りたまえ。夜道は危険だ」

部長の忠告を受け、

「ミレニアムはゲヘナよりは安全ですよ」

自嘲気味に呟いて、作業場を後にする。

 

 

 

数十分後。

学生寮の自室に入る。

鞄をラックに掛け、課題をこなす。

科学と化学に力を入れているミレニアムの授業は、複雑だ。

とはいえ、今回の課題は大して難しいものではなく、処理に時間はかからない。

問題はーーーー

(また来てる……)

立ち上げたPCのメールボックスに溜まった依頼。

殆どが銃器整備又は改良の依頼。

銃撃戦や強盗が日常茶飯事なキヴォトスでは、当然のように武器の使用頻度が多い。

しかし、武器を扱うのは年端もいかない少年少女……いや、私もその一人か。

当然、そんな人々に入念な整備や修理技能なんて(一部を除いて)期待できない。

自分でスマートフォンを修理するような学生が極少数であるように。

自分で出来ないなら、業者や専門家に依頼するのは当然の流れだ。

ざっと依頼人と種別のリストアップをしていると、スマートフォンが振動。

SNSアプリ“モモトーク”の通知か。

相手は……部長?

『すまない、ハユハ。明日も整備作業を任せる事になりそうだ』

部長の方にも依頼は届いていたらしい。

『構いません。それが私の役割ですから』

いつものように、無味乾燥した返答を返す。

明日も修理作業か。

『……コトリにも手伝わせよう。君一人では荷が重くなってきただろう』

流石に憐れんだのだろうか、部長は人員の補充をしてくれるらしい。

『……ありがとうございます。少しは捗ると思います』

手早く返信。

返信は無い。特筆事項はもう無いのだろう。

(さて、明日の作業は精神的苦痛が増えるかも……)

ーー豊見コトリ。

エンジニア部の同級生。

説明癖があり、長く濃い解説にPTSDを起こした生徒が何人もいる。

確かに、彼女の説明は長い。為になる、という点は確かだが、要点を押さえる事をしない。

だから、トラウマやPTSDを植え付けてしまうのだろう。

(あの説明癖を起こさせないように配慮がいるか……)

技能面には問題が無い。引き渡しは私が全てやればいいんだ。事務的対応で。

そうすれば、コトリも依頼人も傷付かないだろう。

(そうと決まれば、早めに寝よう)

課題は終わり、食事と入浴その他が済めば、寝れる。

食事はレーションで良いだろう。“食品に似た物質”しかなかった筈だけど。

胃に押し込めば同じ。

仮にも、非常用糧食だ。栄養と保存性は完璧だ。

味に関しても、某給食部員のアレに比べれば……。

いや、比較対象がおかしいか。

食品と化学兵器を比べてはいけない。そもそも、私はレーション自体好きな方だから。

棚からレーションの箱を取り出す。……今回はベジタリアンメニューだった……。

 

 

 

 




以上、プロローグでした。
僕にしては大人しい、と思った方が大半でしょう。
安心してください。大人しいのはごく最初だけです。
すぐに主人公他の化けの皮は剥がれます。
その後?いつもの僕のアレが始まります。
では、後書きもこの辺で。
拝読ありがとうございました。
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