※この作品はR-18です。

凡人の在り方-Alternative-   作:空薬莢

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5話目。
精神にあっさり目……じゃないな、今回も。



業務 In ABYDS-後編-

 

 

 

不良の襲撃から1週間が経過した。

しかし、作業の進捗は芳しくない。

有形無形の嫌がらせはキヴォトスの日常だが、こと今回に関していえば、久し振りの高頻度である。

ヘルメット団や傭兵の襲撃が余りにも多い。

所謂、“ケツ持ち”がカイザーPMCである事は分かり切っている。

先生曰く、その背後にも“誰か”がいるとの事だが、性格上私に教えてくれる事は無いだろう。

キヴォトス有数の大企業を操れる連中となれば、学生が太刀打ち出来る存在ではなく、“先生”の判断は間違いじゃない。

ならば、出来る事を続けるしかない。

つまりは……有象無象の邪魔者を倒し、作業を完遂させる事。

(……まぁ、それしかないよね)

思考を止め、配管端部にT字継手(チーズ)を締結。

投げ渡された1/2水抜(ドレン)管ユニットを受け取る。

下方向に向いたチーズの接続部に接続。

パイプレンチで締結。

施工が終了。

(後は……)

2日前に校舎分は完了。

今の水抜管を含む区画で、校内設備分も終了だ。

後は電気設備が少々……かな?

と、なればやるべき事は設備の動作確認と、どうせ付いているであろう[[rb:誰かのお遊び>余計な物]]の撤去。

(通水確認が先か…)

残る確認箇所は、この区画だけ。

撤去作業も同時進行で出来る。

耳に嵌めていたヘッドセットのボタンを押す。

「コトリ、通水」

予め、止水バルブ近くに待機させたコトリに指示を出す。

『了解です』

配管に触れる。

やや間を置いて、感じる僅かな振動。

少しずつ開けているか。

そうでなければ、一気に振動が大きくなり、“ウォーター・ハンマー”が発生する。

まぁ、気を付けようと物理的に避けようが無い事象ではあるが。

暫くして、不規則な振動が収まる。

触覚に伝わる先程までとは違う振動は、通水した事実を伝える。

周囲を目視。

水が滲んでいる箇所は無い。

しかし、ステンレス鋼でも何時まで保つか。

元来、ステンレスーーというよりは酸化被膜ーーは塩素に弱い。

消毒用の塩素でも多少は侵食されるが、それ自体は然程問題ではない。

問題なのは、通水されているのが地下水……つまりは、井戸水という事だ。

他校では一般的に消毒後の“綺麗”な水が通水されるわけで、それでも推奨交換年数は十数年。

井戸水には不純物が多く、配管の腐食も早く進む。

程度によっては、数年で交換が必要になるだろう。

(それ故、ドレン抜きが重要だがーー)

ある程度の区間毎に、“オートトラップ”と“ドレンストレーナー”は設置している。

どちらも、流体及び気体中の不純物を除去、排出する装置だ。

これも定期的な清掃が必要。

(……この辺りも、教育する必要があるか)

メモ紙を取り出し、手早くドレンバルブ位置を列挙、整理。

別のメモに纏め、スマートフォン上でも文章作成アプリケーションを立ち上げ。

手書きメモと同じ内容の物を作成し、圧縮(Zip化)。

モモトークを用いて、奥空さんにデータ送信。

勿論、対策委員会で共有、当番化すべきという文言を添えて。

「漏れてる箇所は無いね」

その間に、猫塚さんの方でも確認は済んだらしい。

「そう。……部長は?」

「空き教室の電気工事中」

「なるほど。……切り離しだけで良いと思うけどな……」

「スイッチが入ったのかも…。作業終了のメールは送ったけれど…」

「なら、撤収作業を進める方が良い」

「同感」

私と猫塚さんは使用した工具と資材の片付けを始めた。

 

 

 

数時間が経過し、時刻は昼過ぎ。

荷物積込に区切りが着き、休憩にも丁度良い時間。

(一息着こう)

ケッテン・クラートの荷台に座り、積んだクーラーボックスから炭酸飲料のPETボトルと、プラスチック製梱包袋(MRE)(ベジタリアン向け)を取り出す。

袋を開け、アルミパウチを“FLH”に捩じ込み、紐を引く。

瞬く間に発熱するFLHを傍らに置き、PETボトルのキャップを捻る。

クリアイエローの液体を喉に流し込む。

やや気の抜けた弱めの炭酸と共に、含有された滋養強壮成分を摂取。

(……久し振りだけど…こっちも悪くない)

久し振りだから、そう感じるだけかもしれないが。

晴れ渡る空を眺め、二口目を含んで、スマートフォンを操作。

簡易無線解除。

音楽プレーヤー機能、起動。

(さて、今回の1曲目は……“私怨の銃爪”か)

何時入れた曲だったか…。

なんて、思っていつつ、温まったアルミパウチを開封、中身の大豆ミートパティ。

ほぼ肉と変わらないが……若干、深みの無さは感じる。

代替食品としては問題無い程度だが。

(まぁ、栄養が摂れるなら問題無いか)

完全菜食主義(ヴィーガン(笑))の圧力で生まれたような物でも。

別に動物愛護の観点等から、個人的に菜食主義を貫くのは構わない。

ただ、それを他人にも強制するから嫌われる。

そもそも、人間の身体は雑食前提になっている故に、菜食主義では支障を来す事例は多い。

(あの連中は正義に酔っているだけ…………反吐が出る)

無論、違う人も中にはいるだろう。

だが、自身の歪んだ正義感と承認欲求故に動く“脳足りん”の主張が大き過ぎる。……修正が必要だ。

この辺りは、所謂“ポリコレ”も似た傾向がある。

……食事中に考える事ではないか。

ただでさえ不味い(寄り)のベジタリアンメニューが余計に不味くなる。

気持ちを切り替え、副菜のハードブレッドを開封しようとすると、

「あ、ハユハも休憩?」

赤毛の少女が声をかけてくる。

ーーヴェリタス所属、一年生の小塗 マキ。

各務先輩が懲罰目的で寄越した部員の一人。

……正直、小鈎さんだけで事足りるのだが…………目的が懲罰である故、致し方無い。

“先生”による教育故か、最近はマシになってきたとはいえ、元々は器物破損罪の常習犯ではある。

……キヴォトスでは“外”に於ける飲酒運転か速度超過、万引き並みの有り溢れた罪状だが。

「今日は“マナブロッカー”なんだ。何時もはラント・レーゲンなのに」

私の手に握られたボトルを見て、小塗さんは言う。

確かに、レーゲンは炭酸飲料としては没個性的なパッケージデザインであるし、マナブロッカーは迷彩色なのに、何故か視覚的にうるさいデザイン。

見間違いようが無い。

「偶々在庫切れ」

近場の自販機も、エンジェル24でも売り切れだった為の代替。マナ・ブロッカーも嫌いじゃないし。

「いや、レーゲン自体結構マイナーでしょ?……なんであるの?」

確かに、販売開始年度で言えば、妖怪MAXや赤玉よりもレーゲンは四半世紀ほど古参だが。

「ゲヘナ産」

「あー……そういう事……」

理解したらしい。

ゲヘナやレッド・ウィンターでは密造品も多い。

基本的に粗悪品が大半とはいえ、ほぼ完璧な贋作を作る優良集団も一部だが、存在する。

私の愛飲品も正規品が手に入らない場合、世話になる事がある。

勿論、信用できる密造品だ。……矛盾してるね。

「そういう小塗さんはクリムゾン・オービット(赤玉)か……」

「量のわりに高いけどね~」

言いつつ、中身を飲み切ったらしく、空缶をゴミ箱へと放る。

「で、ハレは変わらず妖怪MAX、と……」

「他のはわざとらしいからね」

小塗さんの発言に対し、ノートPCを弄りつつ呟いた小鈎さんの周囲に散らばるのは、妖怪MAXの空缶。

基本的に、アレしか飲んでいない気がする。

というか、飲み過ぎだ。

一般的な人間の許容量は400mg/日らしいが、妖怪MAX1本当たりのカフェイン含有量は約240mg。

散らばる空缶は少なく見積もって、5缶。

つまり、1200mgは確実に摂っている。

噂だが、小鈎さんは相当重度のカフェイン中毒らしい。

(ならば、遠からず死ぬ。……一応、手を打とうか)

技術ある若者が、しょうもない理由で死んでしまってはミレニアムの汚点となる。

ミレニアムへの帰属意識があるわけではないが、一般的な倫理観として憂慮すべき事。

(というより何故、この程度の倫理観すら無いのか)

情操教育はどうなっている?……って、私が言えた口じゃないか。

(まぁ、それは帰郷後)

プレイヤーが次の曲へと移る。

今度は…………“Denaid Memory”。

物悲しい曲調だ。イメージソング故に、当然なのだが。

「ところでハユハ」

「何」

小塗さんとの会話をしつつ、携行糧食だった物を片付ける。

「私、ハユハが音楽聴くなんて知らなかったんだけどさ、今は何聴いてるの?」

「“Denaid Memory”」

「“閲覧拒否の記憶”?何それ?」

まぁ、知るわけ無いか。十数年は前の曲だ。

「とあるレトロゲーのキャラソン。わりと面倒なクエストをクリアしないと意味が分からない歌」

「ふーん、そうなんだ。ゲーム開発部は知ってるかな?」

「多分、知らない。外の世界産だから」

キヴォトス内ではあのゲームは出回っていない筈だ。

外でも既に廃れたし。

「外の世界?なら、“先生”は知ってるかもね!」

「……可能性は零じゃないかな」

某会計士曰く、趣味の散財が多いらしいから。

知っていても、おかしくない。

そう、結論付けた時だった。

銃声が木霊したのは。

 

 

「襲撃!?」

当然の銃声に驚く小塗さんを尻目に、

「まただね……」

「しつこいですねぇっ!」

「同感……」

残るメンバーは平常運転。

まぁ、当然か。小塗さん以外は改修業務初日からの人員だから。

つまりは……

(来たか…)

銃声の元はヘルメット団。

一応、兵装コンテナの中身を確認しつつ、小鈎さんに声をかける。

「小鈎さん。校門の状況は?」

「相変わらず。ヘルメット団の団体様だよ。数は…………一個小隊ぐらい?」

「30人前後か。想定内。迎撃設備の方は?」

多過ぎるヘルメット団の襲撃に嫌気が差した私は、迎撃用の設備を幾つか設置していたのだ。

その効力が如何ほどか。また、既に破損してはいないか。

確認は必要だ。

「……有効に働いているみたい」

遠い目をしていそうな声音。

おそらく、引いている。

(普通の設備を置いた筈だけどな…)

設置したのは、重機関砲型と野砲型のセントリーガン数基ずつ。

どちらもアビドス用の砂漠戦/継戦能力重視仕様。

弾頭はアビドスに於いて、まず無くならないであろう“砂”用い、極超高圧で圧縮して、ロックウェル硬度(HRC)58~62程度まで固めている。

そして射出には空気圧を利用し、機関砲型で870m/s、野砲型で1200m/s程度で撃ち出す。

ただそれだけだが、射出精度は重視している。ある目的の為だ。

「輪廻さん……ヘルメット団が悉く目を押さえて転げ回っているのは何故?」

「怯ませた後に、眼球を狙うようにプログラムを組んでいるから」

圧縮しているとはいえ、砂である以上は衝撃で破砕、飛散する。

なら、出来る限り柔らかく、効果の高い部位を狙うのは定石。

故に眼球。

皮膚を抉る、ヘルメットを砕くには充分な威力を持たせてある以上、水晶体や角膜は普通に破壊できる。

ヘイローの効果故に死にはしないが、全身の皮膚が削がれ、一時的に失明や白内障程度にはなるだろう。

女性にとっては命にも等しい(と、思う人もいる)髪にも多大な損害は入る。まぁ、これは砂漠地帯では起こり得る必然故に、副次的な物だが。

「悪趣味な設定……」

稼働記録を見たであろう、猫塚さんが呟く。

「悪趣味?褒め言葉だね」

兵器の目的を忘れるな。

喉まででかかった言葉を飲み込む。

銃火器に限らず、兵器の本質的な目的は対象を殺す事。

その過程に於いて、偶発的に奇天烈な……或いは精巧過ぎる機構が生まれるだけである。

トリニティ産の製品は特にそうだろう?

エンジニア部(この部)は『殺しの為に在るからこそ、笑える必要がある』などと思っているのだろうか?

(そんな思想は野犬の餌にすらならない)

キヴォトスの神秘は“殺害”にこそ厳しいが、“負傷”には寛大だ。

ならば、より多大な苦痛を与えてこそ、抑止力足り得るだろう。

「無用な苦しみを与える必要は無いんじゃない?」

「オートマタ相手なら。対人は別」

感情があるからこそ、そこを突かなくては。

「死んだ方がマシ、と思えるような目に遭わせた方が、望む結果は得やすい」

「何ですか、その特定自営業者(ヤクザ)みたいな考え方は……」

まぁ……“知識”としてコトリは知っていたみたいだ。

そう、主に特定自営業者とか全体主義者が考える事だ。

「アレでも優しい方だけど?」

とはいえ、これでも大分手加減している。

本当ならば、弾頭内部に唐辛子の“ゲヘナ・グリム”粉末とかを混ぜ込みたいが、アレは高価過ぎるからね。

不良の撃退なんて、しょうもない理由で上級生(美食研会長とか)からカツアゲする気も無い。

アビドスに海でもあれば、塩で代用するのだが…。

「…………輪廻さんは本当に学生?元はゲヘナ生だったとは聞いているけれど…」

不信感を滲ませる小鈎さんの質問。

無理も無いか。

言動と場馴れの度合い的に、仮に学生ならばSRT出身とでも言えば通じるだろうから。

……残念ながら、元一般ゲヘナ生で間違っていない。

が、補足する点はある。

「学生ですよ。ただ、ゲヘナの中でも特に治安の悪い地域で育っただけで」

そう、治安の悪い地域出身という事。……女子供の泣き喚く声と男の罵声が子守唄になる程度の。

(まぁ、貧困地域では普通だよね)

ミレニアムに来て、改めて思った事だ。

倫理観が低いだけで、ミレニアム自治区は比較的平和と言える。

「あのー……それって、ハユハさんレベルの人が沢山……」

恐る恐る、と言った様子のコトリ。

「いるよ。今でも男達の食い物にされ続けているかな」

「……」

コトリが思考停止したか。刺激が強過ぎたらしい。

「……ともかく、今は目の前の問題を解決しないと…」

先に立ち直ったらしい、猫塚さんもノートPCを立ち上げる。

態々、人員を割いてまで前線を張る必要は無い。

セントリーガンとーー

「“葬式ちゃん”は6機。ハユハ、足りそう?」

ーー無人機で充分。

「おそらく」

返答し、無線機を起動。

相手は奥空さん。

「奥空さん。ヘルメット団の構成に機甲戦力は確認できますか?」

確認すべきは機甲戦力、つまりは戦車や戦闘ヘリの数だ。

『いいえ。軽装備の人間だけです』

「了解。猫塚さん、対人装備だけで事足りる」

「分かった。葬式ちゃんを全機向かわせる」

バンの荷台から、赤く塗装された半球形の多脚機械が滑り出る。

これが葬式ちゃんか。

何処か愛嬌のあるそれは、見覚えこそあれども、想像していた姿とは違った。

(……思考戦車の方だったか)

脚部内蔵のタイヤで疾走する姿を見送りつつ、思う。

別に青や緑で良かったんじゃないかな。

考えつつ、迫撃砲を展開可能な状態にしていると、“葬式ちゃん”分隊が前線に着いたのだろう。

『敵影確認。よぉし野郎共!ゲーム開始だ!!』

喧しい銃声が増す。

『『『『『『速射連射乱射掃射ァ!!弾ぁ出る限り、銃身が焼き付くまで撃ちまくれぇっ!!』』』』』』

「……」

葬式ちゃんのAI、変更したのか。

なんで、あんな乱射魔連中にした?

(……まぁ、使えるか)

予定変更。猫塚さんのPCに座標データを転送しつつ、声をかける。

「猫塚さん。今から指定する地点にヘルメット団を追い込んで下さい」

「了解。……そこには何が?」

「大量の落とし穴」

「中身は?」

「ゲヘナの動くパンケーキ(高温適応型)の群れ」

「さらっととんでもない事言いましたね!?」

放心状態から復帰したコトリが驚愕。

とんでもない?何処が?

ゲヘナに行けば、わりとよく見かける生物?だよ。

……まぁ、動くパンケーキがミレニアムにいたら、事件ではあるが。

「無駄話は後で。コトリは私と補修部材の準備」

「了解です」

コトリと共に、出るであろう損害に対する準備を開始。

少しはコトリも慣れてきたみたいだ。

『うぉっ!?』

『ってて、落とし穴か……ん、何だコイーーうわぁぁぁっ!?』

『来るな!来るなぁぁっ!?』

『パンケーキなんて恐くねぇ!銃も要らねぇ!お前ら纏めて食い尽くしてやる!!』

無線から垂れ流される、ヘルメット団の阿鼻叫喚を聴きながら。

…………というか、一人だけ明確なフラグ立ててない?

 

 

更に数時間後、戦闘被害の復旧を含めたアビドスインフラ改善工事は終了した。

ふと、校門近くに目を向けると、落とし穴から4足歩行の名状し難い生物?が出て来る。

何体かは器用に穴の埋め立てを始め、残りの個体は干乾び、ミイラ同然となった不良を敷地外へと運搬する。

脚の生えた黄土色のパンケーキが行うその様は、ある意味シュールであると言わざる終えない。

(そっちの方法を採ったのか……)

高温地帯適応型のパンちゃんは、通常種のように毒性を以て、対象を攻撃する他に、取り付いて吸血に似た行動で対象から水分を奪う行動を取る。

まだ生命エネルギーを奪わない分、宇宙クラゲモドキよりはマシだ。

それに、このパンちゃんは通常種のパンちゃんに比べれば、生理的嫌悪の少ない色合いに変わり、個人的には愛嬌があると思う。

わりと可愛い鳴き声だし。

「……それが、件の動くパンケーキかい?」

「はい。意志疎通も出来ますし、慣れると可愛いですよ」

「……そうなのかい?」

「はい」

やや困惑する部長に私はそう言い、ケッテンクラートに乗る。

やや間を置いて、数体のパンちゃんが荷台に飛び乗る。

残念ながら、数体はご臨終。

御遺体(?)は当然、積んである。後で供養し、特殊ガス弾の原料として使う予定だ。

背後に目をやると、一体パンちゃんはコトリと猫塚さんの近くにいた。

「た、確かに可愛い…………くは無いですね。頭が理解を拒否しています」

コトリにはパンちゃんはゲテモノに見えたらしいが、

「コトリはそうなんだ。……ハユハ、一体譲ってくれない?」

猫塚さんには可愛く見えたらしい。

パンちゃんにもそれが伝わったのか、一体が彼女の頭に登り、頭部の犬耳を弄んでいる。

「構いませんが……既に、猫塚さんの頭に乗っていますよ?」

「知ってる。この子、良いかな?」

「どうぞ。その子も猫塚さんに興味があるみたいですし」

「ありがとう」

頭のパンちゃんを抱え、バンに乗る姿を見送り、エンジン始動。

一体のパンちゃんが私の肩に乗る。

この子の定位置だ。

「……落ちないでよ」

多分、轢くから。

届いたどうか分からない注意喚起。

側頭部にくっつく触手。

……どうやら、通じたらしい。

カーコンポ起動。

流れる曲は……“with Me”

元気な幼女の声と共に、ケッテン・クラートは走り出す。

 

 

 




第5話。
ものの見事にすっ飛ばしてましたね…。
Pixiv版からのフォーマット修正だけで済むと思って油断した為でしょうか。
とかく、申し訳ない。


……今回出てきた曲名は全て、某ソシャゲのキャラソンを捩っています。
ヒントは中華産である事、既に続編が出ている事。
そしてYo〇tar作品ではない事ですね。
因みに、作者が一番聴いた曲は銃爪。
では、今回はこの辺で。
拝読ありがとうございましたーー
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