その時は、「ああ、こいつやらかしてんな。」くらいの気持ちでいてくれたら幸いです。
無事に、帰って来れました。
「お客様はいちいち大袈裟ですねぇ。ちょっと行って帰って来ただけじゃないですか。」
「⋯⋯お客様が少々大袈裟なのは私も同意しますが、お客様がここに戻って来れた事に心底ホッとしているのは、隣の貴女が怖かったからですよ。」
「もう!姉さんまで!こんなにも優しいメイドさんを捕まえて何を言うんですか!」
「⋯⋯完全なる善意と優しさで男の弱点に冷凍ビーム撃ってくる人が同行するのに、緊張や恐怖が伴わないワケないでしょ⋯⋯。」
「そ、それはぁ⋯⋯」
目を逸らすフェリシア。善意にブレーキなど無いから悪意をもって成した事よりも凄惨な結果を迎えるのだと俺は体で理解した。
「汚くて粗末なモノをパニックで
「そんな事無いです!中々の大きさと形でしたよ!多分!」
「私としては、決して粗末などと呼ばれぬ大きさであったと思いますよ、お客様。」
「⋯⋯どう反応したらいいか分からんが、とりあえずありがとうと言っておくよ。」
「じゃあ、話の続きをお願いします。」
「神竜が戦乙女を生産し続ける
「畏まりました。」
「⋯⋯後を託された第一世代の戦乙女はこの世界に送り出される
「⋯⋯本人達にしてみたら、いきなりこちらの世界に呼び出された挙句に厳しい訓練や戦いに身を投じさせられるのですから、素直に従う方がおかしな話でしょう。」
「死なないとしても訓練はキツく、致命傷を負えば2時間は地獄の苦痛で苦しみ、治り切るまで指一本動かせない。」
⋯⋯まぁ、覚えはあるな。あれはしんどい。
「そんな体で何の見返りも無く戦い、強くなるなど当時の
「⋯⋯戦乙女達も、それは分かっていました。しかし、神竜からの使命、邪竜の完全消滅を成せるのは成長する
「神竜の施した封印は強固とはいえ、いつ破れるか誰も分からず、明日破れてもおかしくはない。」
「戦乙女達はとても焦っていました。一刻も早く
「男達を無謀な
「それが必要と理解していても、何を与えればいいのか、
「成績優秀者に特に美しい戦乙女を恋人として宛てがっても、与えられなかった戦士達はやる気を出さず、選ばれた戦士は戦乙女の躰に溺れ、それ以上強くなろうとしませんでした。」
「指導者達が頭を悩ませていたある日、1人の戦士がある戦乙女を倒しました。」
「それ自体はままある事です。負けた戦乙女は最下級の、何処にもいそうな顔の女。勝った戦士も良くて下の上の成績の顔の醜い男。」
「誰にとってもどうでもいい、ありふれた結果。」
「しかし、この後にこの2人がやった事が今のこの世界の在り方を決めました。」
「勝った戦士が負けた戦乙女を無理矢理抱いたのです。それも、他の人たちがいる場所で。」
「醜い男は夢中で平凡な女を貪りました。」
「見せつけるようなその行為に、誰もが目を離せません。」
「双方が何度果てても交わりは続き、後からやって来た強い戦乙女に引き剥がされるまで性交は終わりませんでした。」
「その日から、その場にいた人々は倒した異性を抱くようになりました。」
「あの男に出来て自分に出来ない筈はない、と
「誰も経験していない快楽を味わった平凡な女の
「その感情を当人ならざる私達は推測することしか出来ません。」
「⋯⋯確かな事は、戦闘の後に見せつける様な性交をした戦士はしていない戦士より概ね良い成績を修めた事だけです。」
「この結果を知った
「それが
「勝っても負けても胸が高鳴り、身体が男を求めるように成りました。」
ゴリゴリに干渉してくるじゃあねぇか!
「これをきっかけに、神竜に作られた兵器としての
「それに加えて、指導者達は幾つもの闘技場を作り、全ての不死召喚戦士は一週間に一度はいずれかの闘技場で戦乙女と戦う掟の追加と、戦闘後の性交の許可と推奨を宣告しました。」
「そうして闘技場での戦いが始まって50年ほど経つと、第一世代の他にも、第二世代の猛者や知られていなかった強者が頭角を示し、彼女達とその他とで圧倒的な差が出来ました。」
「彼女達は自分達でそれぞれ戦士を鍛える領域を構え、そこで鍛えた戦士達を一年に一度集まって競技会で強さを見せ合う約束をして各地に散りました。」
「彼女達が今の領域支配者に成ります。」
「⋯⋯以上が、神竜の没後から今にいたるまでの大まかな歴史ですね。」
「⋯⋯何か質問はありますか?」
「色々と。まず、大昔の話で戦乙女が決戦で何人も死んでいたけど、不老不死じゃないの?⋯⋯死ねるんならその、弱い戦士達や生きるのがイヤになった人達が何人も自殺しそうだけど。」
こんな闘争と情欲の世界に適合できる人間の方が異常だもん。
「⋯⋯では、まず我々の不老不死についての説明からですね。」
「我々は不老不死であっても無敵ではありません。」
「剣に斬られ、槍に穿たれ、矢が刺さる普通の人間と同じ耐久力です。」
「しかし神竜の作った
この留める力は人間が想像できるあらゆる死に方、殺され方を総動員しても破れない力です。」
「⋯⋯再生までの苦しみを和らげはしませんが。」
「生命力が無いと、苦しみは永続しますよね、多分。」
「⋯⋯これを、凄まじい成長で突破して来たのが邪竜達です。」
「彼等は少数だったが故に数で勝っていた戦乙女は勝利できたそうですが……。」
「復活した邪竜が大量の眷属を用意できたら、と考えるとぞっとしませんね。」
「なので、戦乙女はどんな落ちこぼれでも見放せません。今、目の前にいる落ちこぼれは、未来の戦場で共に戦う仲間でもあるのですから。」
う〜んブラック企業。
「弱い戦士を完全に脱落させない為に、戦う力を持たない非戦型戦乙女がお世話したりしますよ!」
「噂では
ろくでもなさそうだが、この世界だと結構な慈善事業に聞こえてくる。
「非戦型のお世話も受け付けない、長く生き過ぎて疲れてしまった方は⋯⋯聖戦領域の司祭サラ様のお力で石の眠りに入られます。」
「石になって、戦いの日を待つんです。」
「⋯⋯ろくでもないですよね。こういうの。」
「まだ、そうなった方は少ないそうですが⋯。」
大分慈悲深く聞こえたあたり、俺はもうダメかもしれんな。
「⋯⋯自分から聞いてなんだけど、この話、やめません?」
「⋯⋯はい。」 「そうですね⋯⋯。」
空気、超重い。
早く、他の
「⋯⋯あ、今最強の
「あ、はい。今現在最強の戦士は⋯⋯。」
「ムゲン様ですね!不死召喚戦士の第一世代!蒼暁領域の序列1位、オルティナ様のお弟子さん!」
「あまり人前には出てこない御方ですが、一年に一度だけ確実に姿を見せます。それが⋯⋯」
「大競技会です!
「個人戦優勝回数392回、現在16連覇中。他の追随を許さぬ最多優勝者です。」
「お師匠様と同じ、大剣二刀流!豪快かつ精密な技で敵を瞬殺する、最強の剣士です!⋯⋯まあ、カムイ様には及びませんが。」
「カミラ様ともいい勝負はしますが、10回戦えばカミラ様が8回勝つでしょう。」
「⋯⋯⋯そんな強い人でも、カミラさんには負け越すのか⋯⋯。」
「⋯⋯あくまで私の私見に過ぎませんが、そう大きくは外れないでしょう。カミラ様に2回土を付けられそうな方は他に好敵手であられるゼクス様だけかと。」
「唯一無二の
「すげぇ⋯!」
「失礼ですが、感動してばかりではいけませんよ?ご主人様にその才能を見初められたからには、お客様には是非とも彼等を追い抜いて頂かねば、困ります。」
「できるかぁ⋯⋯?」
「別に今すぐに、とは言いません。しかし、追い抜く気概くらいは持っていて欲しいですね。」
「気持ちで負けていては、勝ち目はありませんよ!」
⋯⋯今の俺の目標は、最強の
(彼等を通過点にする気で、強くならないとな⋯⋯!)
そう、心中で決意していると、フローラさんは
「⋯⋯そろそろ夜も更けて参りました。今日の質問はこれまでと致しましょう。」
そう、宣言した。
「⋯⋯お話、ありがとうございました。」
「時間がとれたら、またお話しますね、お客様。軽いお夜食を準備しますので、お待ち下さい。」
「姉さんのお夜食はとっても美味しいので、食べ過ぎ注意ですよ〜。」
「夜食の食べ過ぎで2キロ太ったあなたが言うと、違うわね。」
「うぅ⋯⋯」
「⋯⋯気をつけます。」
調理をしに出ていったフローラさん。
するとフェリシアが俺の耳に近づいて、そっと
「姉さんは一時期、ストレスで大食いになって5キロ太ったんですよ。」
そう、推定フローラさんのストレスの元凶が囁いてきた。
フローラさんに聞かれちゃいないだろうか?
内心びくびくしていると十分程でフローラさんがお皿片手に戻って来た。
「お待たせしました。さあ、どうぞ。」
ホットサンドイッチだ!中身は薄いハム2枚でチーズを挟んだやつ!熱でいい感じにチーズがとろけている!
「「「いただきます。」」」
手を合わせてからかぶりつくと、どうやらパンの内側にマヨネーズを掛けていたらしい。⋯⋯まだ旨味を足して来るか!フローラさん、恐ろしい人⋯⋯!
俺達3人は、罪の三重奏を堪能してからフローラさんの淹れたココアを啜り、歯を磨いてからそれぞれの部屋で眠りに就いた。⋯⋯お腹いっぱいで眠⋯⋯い。
「そろそろ、ですか。」
夜中、急に目が覚めた。
(体が⋯熱い?)
病気や怪我のそれではなく、体の芯から熱が湧き上がるような⋯⋯!
(夜食食べたけど、こんなんになるか?)
夜食を食べると目が冴えると聞いた事があるが、
もしや⋯⋯
「⋯⋯一服盛られた?」
まさか、と思っているといきなりドアが開いた。
灯りが付いて、誰が入って来たのかが分かった。
⋯⋯当然、フローラさんとフェリシアだったのだが、フェリシアの方は顔を赤らめ、息が荒くなっている。
「お客様、どうやらお目覚めの様ですね。」
こちらの目覚めと同時に入って来たってことは⋯⋯
「まさか⋯!」
「⋯⋯はい。無礼の極みと存じておりますが、ココアに。」
やっぱり⋯⋯!
しかし、何故フェリシアも俺と同じ様に苦しんでいる?
「⋯⋯明日から、お客様は我々二人と戦闘訓練に励んで頂きます。」
「しかし、お客様の心にフェリシアへの恐れが残っていては、良い訓練など出来ないでしょう。」
「そこで、お客様にはこちらの駄メイドを存分に貪り、辱めて愚妹への恐れを払拭して頂きます。」
⋯⋯⋯?!?!?!
「その為に二人のココアに媚薬を盛りました。」
「今はまだ体が熱いだけですが、直ぐに凄まじい性欲で体がはち切れそうになるでしょう。」
「そうなったら3時間は勃ちっぱなしです。⋯⋯そう、丁度そんな風に。」
フローラさんが指さした先には、厚手の掛け布団の上からも分かるほど勃起した股間の膨らみ。
急いで確認すると、寝巻きの緩いズボンとパンツを突き破らんとばかりに俺のペニスが勃起していた。
突然の事態に固まっていると、フェリシアが素早く俺のベッドの上に上がり布団とズボン、パンツを剥ぎ取ってしまう!痴女がよ!
俺の赤黒く変色し、血管が浮き出たペニスから目を離さないフェリシア。⋯⋯目が怖い!
恐怖の克服どころか、また新たな
「⋯⋯では、後はお二人で。ごゆるりと⋯⋯」
そう言ってフローラさんは扉を閉め立ち去ってしまう。
待って!この危険人物と二人きりにしないで!フローラさん!フローラさーん!
良ければ、皆さんの美味しい夜食レシピを感想でお願いします。
有能メイドのフローラさんが参考にします。
無論フェリシアは厨房出禁なので、ご安心を。