※この作品はR-18です。

ザナック蘇生if/アイザナ   作:アイザナ大使

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アインズ視点から。
関係を公表することで大混乱起きそう





愛しているから

 

 

俺は、泣いていた。

腕の中で涙を浮かべるザナックよりも、酷く。みっともなく、声を上げて。

「ごめんっ……ザナック……本当にっ……すまなかった…………っ」

嗚咽が止まらない。感情を抑制するはずのアンデッドが泣いている。

その時。聞き慣れた小さな声が聞こえた。冷えた朝の空気の中で、その声だけが妙にあたたかかった。

「大丈夫ですよ。……大丈夫です。俺が、そばにいるから……」

寝言のまま、あやすように撫でられて。俺はさらに鼻をすすり、その小さな温もりを胸に引き寄せた。思い切り抱き締めてしまってから、ようやく我に返った。

「っ……ザナック、すまないっ……怪我は、」

俺の腕に彼の体が力無く預けられていた。先程とは違う、赤ん坊のような安らかな顔。

「寝て、るのか……さっきのは、寝言……?」

泣けないはずの目を、乱暴に拭った。不意に、額を寄せる。彼の体温は相変わらず俺には熱すぎた。親指で柔らかな頬を撫でる。……生きている。ちゃんと、ここに。

「また、君と話したいよ……ザナック」

「……俺もです」

まつ毛が揺れたかと思えば、エメラルドグリーンの目が開けられた。夢で見たように口の片端がつり上がった。

「……え」

次の瞬間。歯列に彼の息が触れた。

「──ッ!!」

「キ……ス……っ!?」

声が震えた。後ろに退くと、ザナックが肩を揺らして悪役みたいに笑う。

「ふふふ……きっ、キスごときで今更照れるなんて……うぶですね、アインズ様も」

「いや君!! 顔真っ赤で、んな事言っても説得力無いからな!? あと可愛いな!」

俺が指さす間にも、どんどん赤くなっていくザナック。枕で顔をガードされる。

「うるさいですっ!ああもう、アインズ様大好きですっ」

枕越しに声がくぐもる。

「は? はぁぁ……!? 君、この状況でそれを言うか!? 覚悟はしてるんだろうな!!」

「してます!! まだ腰は痛いけど、あります!覚悟! 全部思い出したら、ますますアインズ様の事好きになりました!」

「ああ! それは本当にごめん!! 昨日は乱暴してしまって! でも、ありがとう!」

枕に隠れるザナックの手首を取って、ベッドへ押し戻す。彼は驚くほど素直に沈んだ。

「……何もしない……けど、触らせてくれ」

「それ、何もしないって言うんですか?」

首を傾げるザナックを無視した。まずは頬を。慎重に指で摘んだ。

「どうです」

「柔らかいな。あと、揉まれてる顔がかわいい」

次はお腹。ネグリジェ越しでも、もちもちした感触が伝わる。

「はーー……」

大きくため息を吐く。ザナックが猫みたいに目を見開いて、ビクッと反応した。首元に鼻を埋めた。鼻先で鎖骨をなぞり、ゆっくりと匂いを確かめる。彼の存在を確認するように。

「……好きだ。ずっと……俺がそばにいるから」

「なら永遠に、ですよ……?」

「無論だ」

 

 

 

 

 

─────『ザナック視点』

 

 

目の前で、魔導王が床に額を擦りつけている。……何故こうなった。

「アインズ様……! 頭を上げてください……!」

「いいや。俺がしたことは許されることではない。勝手な嫉妬で君に乱暴をした。」

「誰か来たら俺が殺されかねませんから! アルベド様とかに」

「……君はいつもナザリックでそんな環境に置かれてたのか?」

「い、いえ! 違います! もしもの話です! それに、俺のような一介の事務官に王が頭を下げている姿など見られては……」

何故そこまで俺に拘るのか、理解できない。

「は?」

低い声が、空気を重くした。無意識に背筋が伸びる。

「はい?」

思わず、聞き返してしまう。次の瞬間、怒声が飛んだ。

「君は……! 自分の立場を分かっていない!」

「いえ、弁えていますよ……?」

微笑み返した瞬間、鋭く指を突きつけられた。

「君は、俺の友人だぞ!! しかも特別な!」

「ええ、存じております」

空気が凍った。

「至高の四十人より上だと言っているんだぞ!?」

その名を、軽々しく口にしていいはずがない。それは、この国の理を揺るがす言葉だ。

「え?」

それは、彼の世界を壊しかねない宣言だ。そして、俺の居場所も。

「それは、本気ですか……?」

「本気だ。俺は、友人よりも恋人が優先だ! 俺のお嫁さんである君が一番だ! 俺の全てなんだよ!」

アインズ様は気まずそうに頭を搔く。

「あー、そもそも……! 君は、王の正妻なんだぞ!!」

「せ────せせ、正妻」

顔が一気に熱を帯びる。

……聞いていない。そんな話は、ひとつも。

(そんなことを、アルベド様が聞いたら)

正妻。王の。俺が。そんな単語を、こんな軽い勢いで言っていいはずがない。

「聞いていません……! そんな話……!」

声が裏返る。情けない。アインズ様は、はぁ、と長い溜息を吐いた。腕を組み、天井を仰ぐ。

「……あー、もう」

嫌な予感がした。その声音は、重大な決断を下す直前のそれだ。

「いい」

低く、断言する。

「公表しよう」

「は?」

思考が止まる。

「君と俺が、正式に付き合っていることも、婚約していることも。全部だ」

一瞬、音が消えた気がした。

「ちょ、ちょっと待ってください」

慌てて距離を詰める。

「公表って……誰にですか」

「世界に」

即答だった。頭が痛い。

「い、いや、世界はやめましょう!? せめて段階というものが……!」

「段階?」

首を傾げる魔導王。いや、その仕草はずるい。可愛い。だが今はそれどころではない。

「ナザリック内部、外部諸国、貴族社会……順序があります! 手順があります! 根回しがあります!」

「根回しならアルベドに任せる」

それは爆発物を油田に投げ込む行為だ。

「それは最も危険な選択です!」

思わず声が裏返る。アインズ様は、こちらをじっと見た。赤い光が、真っ直ぐに。

「……隠す理由が分からない」

その一言が、妙に静かだった。

「俺は君を愛している。君は俺を愛している。ならば、公にする。それだけだ」

理屈としては、正しい。恐ろしく単純で、恐ろしく強い。

「ですが……」

言葉が詰まる。俺は一介の事務官だ。今は魔導国で働く立場に過ぎない。彼は王だ。魔導王だ。

「俺の立場がどうこう、という話か」

先に読まれる。ぐ、と喉が鳴る。

「……ええ。正直に言えば」

「関係ない」

ぴしゃりと切られた。

「立場は俺が決める。君の価値も俺が決める」

一歩、距離を詰められる。

「君は俺の婚約者だ。それ以上でも、それ以下でもない」

心臓がうるさい。いや、俺の頭は、今は平静のはずなのに。

「……そんな事を、軽々しく……」

「軽くない」

即答だった。その声に、冗談の色は一切ない。

「俺は、失いたくないものを隠さない」

その言葉に、胸が詰まる。一瞬、あの夢のような荒廃した光景が脳裏をよぎる。瓦礫。灰。誰もいない世界。

「……公表したら」

かすれた声で問いかける。

「面倒なことになりますよ。反発もある。嫉妬もある。陰口もある」

「構わない」

迷いがない。

「俺が全部潰す」

物騒だ。物騒だが、頼もしい。

「君は俺の隣に立っていればいい」

その言葉は、甘いのに、重い。

王の隣。

「……俺は、飾りではありませんよ」

気付けば、そんな言葉が出ていた。

アインズ様の目が、僅かに細まる。

「知っている。だから隣に立たせる」

喉が熱い。どうしてこの人は、こうも一直線なのか。

「……後悔、しませんね?」

最後の確認。俺なりの逃げ道。アインズ様は、わずかに口角を上げた気がした。

「ああ」

そして、はっきりと。

「俺の婚約者だと、世界に宣言する」

世界が、少し揺れた気がした。逃げ場は、もうない。

「……」

小さく息を吐く。覚悟を決める音が、自分の中でした。

「……なら」

顔の熱を無視して、真っ直ぐに見返す。

「最後まで、責任を取ってくださいね。陛下」

一瞬、アインズ様の肩が震えた。

「無論だ」

その声は、王のそれだった。

そして同時に、ただの男の声だった。

俺は、とんでもない人を好きになったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

「アインズ様……お願いがあるのですが……」

「君の頼みなら何でも引き受けよう」

「……ひとつ、いえ、ふたつほど……よろしいですか?」

 

 




関係ないんですけど
NAMInoYUKUSAKIをアイザナのイメソンとして聴いてしまってます
和訳見るともっと良い
いい曲です
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