前章にしようと思ったけど視点が増えすぎるのでやめたやつ
アイザナのイチャイチャです
魔導王の部屋に入った途端、フードを深く被った従者──ザナックはふらりと壁に手をついた。
「どうした!? 外で何かあったのか?」
魔導王──アインズは駆け寄り、小さな声で問う。ザナックの青い顔にアインズは気が気でなかった。
「ケラルト・カストディオという神官団の団長様は……危険です」
「何かされたのか」
「いえ、彼女観察力が凄まじいです。俺達の関係を指輪を理由に疑ってきました。これからも警戒した方が良いと思います」
「それで、君は大丈夫か」
「……怖かったです。あんなに恐怖を感じたのは初めてです。初対面のアインズ様より恐ろしかったです」
「そ、そうか」
アインズは安堵に胸を撫で下ろした。アインズはザナックが無事なら重要な危機とは思わないのだった。
「……君をそこまで怯えさせるとは、ケラルト・カストディオ……侮れないな」
「いや、問題はそこではありません。……アインズ様、あまり俺に近付き過ぎずに。それと、目線や瞬きで会話するのはやめましょう。気付かれます。これからは手のひらにあらかじめ一緒に決めた暗号を書きますので」
「分かった。そうしよう」
アインズがそう言い終わると同時にザナックを急に抱き寄せた。自分の懐に仕舞い込むように。
「な、何を……」
ザナックの顔が腕の中でみるみる赤くなっていく。
「何って、怖かったんだろう?」
撫で、背中をゆっくりと叩いた。ザナックの瞳が驚きで揺れる。ついに羞恥に耐えきれず、深い黒のローブをぐしゃりと掴んだ。
「は、離れましょう! 誰か来たら……!」
「仮にも、王の部屋に勝手に入るような輩はいないだろう」
「そうじゃなくて、可能性の話を……!」
「もう十日以上君を感じていない」
「か、感じるって……! な、なんです!」
腰を寄せ、胸に手をついて、抱き寄せ、離れ、密着し、背を反らし。そんなことをしている二人は近付いてくる鎧の音に気付かなかった。
「失礼いたします魔導王陛下! 聖騎士団長がお呼びです!」
聖騎士の声。部屋の前に掛けてある扉代わりの布は捲られてはいない。だが、聖騎士の足元だけが見える。
「「……っ!!」」
思わず二人は飛び上がる勢いで離れた。ザナックはフードを目深に被り直し、アインズはローブの皺を払う。ザナックは顔の熱さが冷めないまま、アインズは脳内が一時的に混乱に陥っていた。
「あの……?」
「あ、ああ……すぐ行くと伝えてくれ」
「はっ! 畏まりました」
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ロイツ解放戦小会議を終え、アインズ一行は戦地に向かった。