※この作品はR-18です。

ザナック蘇生if/アイザナ   作:アイザナ大使

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アインズ視点。
アイザナがキスしてます。


朝焼けと忘却のキス

 

数時間、救助や消化や治療、指揮を手伝った。

やがて東の空が白んでくる。

横に立つザナックを見た。

疲れている。

でも、まだ書類を確認している。

数字と睨み合う彼に声をかけた。

「ザナック」

「はい、陛下」

「少し、付き合ってくれないか?」

「今からですか?」

「少し……で済まないかもしれないが」

都市東側の城壁上にある古い見張り台の近くに上位転移(グレーター・テレポーテーション)で移動した。

焼け跡の残る都市。薄い煙。その向こうから朝日が昇る。

少しの間無言だった。

「それで」

ザナックから口を開く。

「どうした?」

「昨日の、あれは何だったのですか」

「昨日?」

俺は分からないフリをした。

「あのお三方の目の前で俺を持ち上げ、あまつさえ……き、キスをして、舌まで……!」

真っ赤になって頭を振るザナック。

「……ああ」

「ああじゃあないですよ……!」

俺は視線を真っ直ぐ固定した。

「君が嫉妬してくれたからだ」

「……していません」

「カルカ女王と握手した時。手を見ていただろう」

「見ていませんね」

「見てただろう」

「確認しただけです。外交上、相手国王との握手を」

「手を随分凝視する確認なのだな」

「…………」

言い返せなくなった彼に俺は嬉しくなった。

「嬉しかったんだ」

「何がです」

「君が嫉妬してくれたことが」

ザナックの顔が赤い。金髪から覗く耳までも。

「……どうして、そう、意地悪いのですか」

震えて、彼が問う。

「君があまりに可愛いと……意地悪くなってしまうのかもしれない」

少し間が空く。

「だから、安心してくれ」

怪訝そうなザナックが俺を見る。

「俺が好きなのは君だ」

俺の正面に立つ彼を抱き締めた。

「わっ……!? アインズ様っ、ちょっ……!」

小さな手足がじたばたと動く。

「な、何をっ」

「お願いだ、少しだけ」

「少しって……!」

腕の中の温もりはすぐに力を抜いた。

金色の髪に顔を埋めた。

「……ずっと、ずっと我慢していた」

「何を……です」

「これをだ」

さらに深く抱いた。小さな身体がすっぽりと収まる。

「聖王国に来てから、君に必要以上に触れないようにしていた」

首筋へ鼻先を沿わせた。淡く香る匂いを吸い込んだ。

「良い……」

「ひゃ、うう……っ。えぇ……?」

「君の、匂い……」

癖になりそうなくらい頭がクラクラする。

「抱き締めたかった」

「……はい」

「頭を撫でたかった」

「はい……」

「一緒に眠りたかった」

「それは、難しいですよ」

「戦場へ出る君を見送る度、連れて帰りたかった」

声を低く落とした。

「君が傷ついた姿を見て……俺は……怖くて……どうにかなりそうだった」

「……俺も、怖かったですよ。アインズ様が居なくなって……」

「すまん」

「それに、ずっと戦場に居たのは貴方じゃないですか」

「うぐ」

確かにそうだ。図星で肩を縮めた。

「怖かった。とても。……もしかしたら、死んでしまうんじゃ、ないかって」

すん、すん、と鼻をすすりながらザナックは俺のローブを強く握る。

「戻って来て……黒焦げで、骨もあちこちへこんで、欠けていた貴方を見た時。心臓が一気に冷えたんです。そして、今にもバラバラに砕け散ってしまいそうなくらい苦しくて……」

「砕け散らないでくれ……」

背中に手を回し、もう一度深く抱き締めた。

「……そういうことじゃないです。例えですよ」

「……そうなのか」

「でも、生きて戻ってくださってよかったです……」

「……そうだな」

笑って、首筋にもう一度顔を埋めた。

「ひんっ……?!」

「可愛い……とても可愛いよ……」

(小さくて、ふわふわで……)

背中から腰、お尻に手を滑らせた。

「ひゃあッ! ど、どこを触ってるんですか!」

びくりと小さな体が震える。

牙を向いた子猫みたいなザナックにぺしりとはたかれた。

「キスしたい」

「っ!? あ、貴方という人は……何故そう、えっちなんですか……」

わなわなと震えるザナック。

「どうしてもキスしたい」

真っ直ぐに、エメラルドのタレがちな三白眼を見詰めた。

「今、すぐに」

「……ここは、聖王国ですよ」

「誰もいない」

「そういう問題じゃ……」

じっと見た。

「……う。一度だけ、ですよ」

「分かった」

ザナックが目を瞑る。

俺は彼を抱き上げ、その唇にがっついた。

「ん……ぅ」

頭巾越しに頭を撫でられる。

「ザナック……っ、好きだ……はぁ」

「……俺も、れふ」

遠慮がちな舌を捕まえて愛で回す。

「んっ、んっ、んッ……ん〜っ」

上顎や歯列を舐る。こんなところも小さいのかと感動する。歯の大きさや形、全て俺とは違う。

「や、んんぅっ……ふ、はぁっ……む」

頭を撫でる手が緩む。そこで俺は一旦離した。

「はぁ…………」

蕩けた瞳の涙をそっと裾で拭った。

「どうだった」

「……ん」

目を瞑ったザナックが顔を寄せて来る。まるで餌を欲する雛鳥のように。

「……」

高ぶった感情が抑制され、平坦になる。

「……も、もっと……あと……二、三度くらい……ください」

小さな声。

それが答えだった。

彼を抱き直し、再びそっと口付けた。

「あいんず、さま……ンン……ふ、」

「……ザナック……ザナック」

息継ぎの間に名を呼び合い、快感と幸福感に溶けていく。

俺は少しの間、ここが戦場だったことを忘れ去った。

 

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