※この作品はR-18です。

ザナック蘇生if/アイザナ   作:アイザナ大使

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ザナック視点から。
めちゃくちゃイチャついてます



一進一退の関係

 

 

熱が下がりきらないせいか、頭がぼんやりしている。だけどそれ以上に、胸の奥が熱い。

目を覚ました時からずっと、アインズ様が隣にいた。離れない。ずっと、俺を撫でている。

顔、額、髪の毛、耳、喉、肩──ぺたぺた、ぺたぺた。幼い子供をあやす様に、愛でる様に。骨の手がこんなにも心地よいなんて、知らなかった。

(……これ以上優しくされたら、俺……)

喉の奥に、熱い塊が詰まる。

幸せだった。心が満ちて、どうにかなりそうだ。

だけど、駄目なんだ。こんな、浮かれてたら──

「アインズ、様……」

喉が震えて、まともに口がきけない。

だけど、言わなきゃ。これ以上、期待したらいけない。

「その……、ア、アルベド様が……その……」

言葉がうまく出てこない。熱と、怖さと、そして……どこかで期待してしまっている自分が、恥ずかしい。

「ご婦人が……、いらっしゃるでしょう……?」

アインズ様の動きが、一瞬止まった。

(……ああ、やっぱり……)

俺はまた、地雷を踏んだのだと思った。

けれど、返ってきた言葉は──

「……アルベドとは夫婦ではない」

静かで、はっきりとした声。

迷いも照れもない。

「誰とも、そんな誓約は交わしていない」

……目の奥が、ぐらりと揺れた。

「っ……」

(じゃあ、俺にも……可能性が──?)

そんな考えが浮かんだ瞬間、猛烈な嫌悪感が込み上げる。

(男同士なのに……!)

(俺は、なにを……っ)

「い、いえ、でも……! その、俺は……っ、そういうのじゃなくて……!」

震える手を握られて、口を塞がれる。

「ザナック」

アインズ様の声が低く、耳の奥に響く。

驚いて顔を上げた瞬間──

「ぁ……!」

冷たい歯が、首筋に押し当てられた。

「ん、んん……ッ!」

骨なのに、どうしてこんなに甘いのか。

首筋に押し付けられたその感触が、じわりと肌を這うように熱を伝えてきた。

(なんで……? アインズ様、どうして……)

歯が、ほんの少しだけ押し込まれた。

噛まれたわけではない。触れただけだ。

けれど、それだけで──体がびくんと震えた。

「っ……ア、あ……あっ……!」

情けない泣き声が、勝手に口から漏れる。

「……嫌だったか?」

耳元で囁く声が優しすぎて、逃げ場がない。

ダメだ、と思っているのに、体がどんどん熱くなっていく。

「嫌じゃ……ないです……」

唇が勝手に答える。

言葉にならない音が、また漏れてしまった。

「ザナック、顔が真っ赤だ。熱か…?」

骨の指が頬を撫でて、額を撫でて、喉元をなぞって、また首筋に唇──いや、歯を寄せてくる。

呼吸が浅くなる。胸が苦しい。でもそれ以上に、心がどうにかなりそうだ。

(これが……アインズ様の、"気持ち"……?)

もしかしたら、たった一度の奇跡かもしれない。

けれど、俺はそれを──抗えないほど、求めていた。突然、骨の腕に抱きしめられて、冷たい感触が全身を包む。

(ああ、また……泣きそうだ)

でも、今度は泣いてもいいかもしれない。

この幸せを、少しだけ信じてもいいのなら。

(……アインズ様)

──この気持ちは、慕情か、愛情か。

それすら、分からないほど俺はもう、あなたに夢中だ。

 

 

 

 

─────────『アインズ視点』

 

 

この手が、もっと温かければと、何度思ったことだろう。すり、とザナックの頬を撫でるたびに、申し訳なさが胸を占める。それでも彼は「気持ちいいです」と笑うから──つい、何度も触れてしまう。

骨の手が、彼の髪を梳く。額を撫でる。喉元をなぞる。手が止まらない。止められない。

「まだ熱があるな……」

それは嘘だった。もう、下がっている。

けれど、そう言えばずっと傍にいられる。

(もっと傍にいたい……この感情は、なんなのだろう)

彼の吐息が首筋をかすめた時、全身が跳ねるほどの衝撃が走った。彼の肌が、自分の腕に触れるたび、胸の奥に、何かが火を噴く。

(これは……)

思い出す。

生前にあった"性欲"というもの。もう感じないと思っていた。だが、彼の顔が熱に赤く染まり、細い喉を震わせて声を出すたび、自分の内部に、黒い焔のような感情が芽吹いていく。

(可愛いな……)

ああ、いけない。

この感情は、統治者として持つべきではない。

けれど──彼が、こんなにも無防備に甘えてくるのなら。骨の指先で、彼の喉元を撫でる。びくり、と肩が震え、目元が潤む。

「……ザナック」

返事はない。だが、彼は逃げない。むしろ、甘えるように身を預けてきた。

(……これは、看病だ。うん、そう。看病……)

そう言い聞かせながら、耳朶に指を添えて、顎を軽くなぞって、喉の奥の震えを確かめて。すりすりと指の背で。

「は、ぅ……あ、……アインズさま、」

くすぐるように、そっと頬を撫でると震える。はく、と開く小さな口、覗く赤い舌。可愛い。

どうしようもなく、愛おしい。

ずっとこうしていたい。

「アインズ……様……っ」

彼が、震える手でこちらの手を取った。

(……?)

そして───

「……ど、どうぞ……っ」

そのまま、俺の手を、自身の胸元へと──沈ませた。

「俺で……よければ……その……慰めに…つ、使ってください…! 太ってて、柔らかいですし……っ」

骨の手が、ふにゅ、と沈む。柔らかくて、温かい。この世のものとは信じられないほど、心地いい。

「こえ、我慢……しますから……っ」

(────っ!!!)

バチン。頭の奥で、なにかが弾けた。

「……っ、ザナック……」

理性が、音を立てて軋んだ。たまらず、胸を一度、揉んだ。その柔らかさと、跳ね返るような弾力。

「ん、あ……!」

とザナックがびくっと跳ねた。

「……っ!」

我に返る。

手を止めた。

(駄目だ。駄目だ。何をしてる……!!)

「すまない、ザナック」

すぐに手を引き、ザナックの手を握り直す。

強く、けれど優しく。

「……君は今、病人だ。だから、俺が……ちゃんと、守らなければ」

「……っ、ア、アインズ様……?」

「……君が俺を信じてくれているのは分かっている。だが、夜伽のようなことを、君が口にするのは……」

「……っ、ちが……ちがう、ちがうんです……っ、でも、でも……っ!」

ザナックの目が潤む。頬を赤らめ、唇を噛んで、言葉にならない言葉を吐く。

「君は、もっと自分の心身を大事にしてくれ……。友人だろうと、主だろうと信用していようと……そんな簡単に身体を渡すことは危ない。説教をしたい訳じゃない、ただ、君を大事に思う者としての……お願いだ。」

再び彼を抱きしめた。

骨の腕で、ぎゅう、と。

そして、そっと額をあわせた。

「君が大切なんだ……」

こぼれた言葉は、もう、主としてのものとはかけ離れていた。

 

 

 

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