アインズ視点。
ちょっとエロいアイザナ
昨夜、見たものが頭から離れなかった。
クライムと……ザナック。同じ部屋に、眠るふたり。たとえ布団が別だったとしても
"その光景"は、俺の何かを確実に焼いた。
(……俺の、ザナック……)
一晩経てば、気持ちが落ち着くと思っていた。
だが実際は、ますます、触れたくなっただけだった。その結果───。
深夜、彼はもう寝ているはずのこの時間、
俺は、彼を私室に呼び出していた。扉の外から、小さな気配が近づく。
ノック。ひとつ。間。
「………し、失礼します……っ」
ぎこちない声と共に、扉が開かれた。
そこにいたのは、昨夜よりも数段ひどい緊張を纏ったザナックだった。
上は白いシャツ、下はズボンだけの簡素な部屋着姿。風呂上がりらしく、金の髪が少しだけ湿っていて、ふわりといい香りが漂ってきた。
だが──その顔は青白い。
「…………」
(ガチガチだなあ……)
内心、可愛いと思ってしまう自分に呆れる。
だが、同時に胸の奥がひどく焼ける。
昨夜、誰と同じ空気を吸っていた? 誰と一緒に寝ていた? 思い出すだけで、全身にじりじりと怒りと羨望が混ざった熱が広がってくる。
だが、それを表に出してはいけない。
俺は、ナザリックの主。ザナックにとっては"上司"だ。……そして、大人、なのだから。俺は、できるだけ柔らかく、低く、落ち着いた声で言う。
「ザナック。……こっちにおいで」
ぴく、と彼の肩が跳ねる。怯えたようにこちらを見た瞳は、まるで処刑宣告を受けた囚人のようだった。
「……は、はい……」
ぎこちなく歩み寄ってくる。
そして、俺は手を伸ばすと、そのまま、ザナックを膝の上に乗せた。
「っえ……あ、あの……っ」
「大丈夫。怖がらなくていい」
髪に触れた。
柔らかく、細く、まだ少しだけ湿った金の毛束。撫でるたびに、ふわりと甘い香りが立ちのぼる。ザナックの体がこわばっているのが分かる。でも、逃げようとはしない。その従順さが、嬉しくて、同時に苦しい。
もっと欲しくなる。
──俺だけのものにしたくなる。
(……閉じ込めてしまえばいい。そうすれば、クライムに触れられることも、誰かに口説かれることもない)
(でも……)
(そうしたら、この子の笑顔は……)
だから──俺は、手段を選ぶ。
けれど、我慢はしない。
そっと、シャツの前を指先で外す。
ザナックの小さな体がぴくりと震える。
「ぬ、脱がせるんですか……? 俺、自分でやりますよ……」
ぎこちない微笑みで
ザナックが提案した、が
「……いい。」
ゆっくり、シャツの襟を広げて
首筋、そして鎖骨のあたりへ。
骸骨の顔を近づけて、歯を押し当てた。
ザナックが、声を噛み殺す。
「……ッ、ん、っ……ぅ……」
耳元で、低く囁く。
「……ちゃんと、香ってるな。いい匂いがする。……君の匂い、好きだ」
「あ……う、うぅ……っ」
歯の先が、柔らかな肌に押しつけられる。
押して、離して。押して、撫でるように──また押す。ザナックの声が、抑えきれない喘ぎに変わる。
「っ……あ、ぅ……ん……ッ、あ……」
その小さな胸が上下し、熱が体温よりも高くなっていくのを感じる。それでもザナックは耐えていた。罰を受けるように、ただじっと。
なんでだ。なんで、お前はそんな顔で、俺の膝の上にいる?
「……ザナック」
「……っ、はい……」
「気持ちいいか?」
「…………っ……」
返事がない。
無言のまま、首筋に歯をもう一度──強くぐっと押しつけた。
「あ、ぁっ……!」
「……聞いてる。気持ちいいか?」
「…………わかりません……ッ、けど……でも、嫌じゃ……ないです……」
(……ああ、そうか)
嫌じゃないのか。
それだけで、救われた気がした。
だから俺は、もう一度だけ──その白い肌に印を残す。歯を、今度はほんのわずかに甘噛みに変えて、彼の鎖骨の際に、そっと痕を刻む。
ザナックの身体が、小さく跳ねた。
だけど逃げない。声もあげない。
ただ、目を伏せて、微かに肩を震わせている。
まるで──泣くのを堪えているかのように。
「……どうして、こんなことを……?」
ぽつりと、問う声が落ちた。
震える声。問いかけに混じるのは、戸惑い、そしてわずかな恐れ。俺は、その頬に手を添えて、視線を絡める。
「……君に魔法をかけているんだ」
「……魔法……?」
ザナックが、ゆっくりと目を見開いた。
その瞳の奥に、揺らめくものがある。
純粋な疑問と、不安と、ほんの少しの信頼。
「俺が安心できるように、君に魔法をかけている。……俺の手が、君に触れている限り」
その手の中で、ザナックの喉が小さく動いた。
「俺のもとに、君が"帰ってくる"ように。……何があっても、誰と過ごしても、君の心が迷わぬように」
「………………」
俺は、そっとシャツをさらに開いた。
ふんわりした体躯、小さな胸板。
その中央にある控えめな乳首に、自然と視線が吸い寄せられる。
(……小さい。……可愛い)
そっと、その場所に指先を近づける。
しかし、触れはしない。
代わりに、見つめる。
ただ、それだけで、ザナックの顔が真っ赤に染まった。
「……そ、そんなに……見られると……俺なんかのそんなところ見て、何が……」
唇が震えていた。視線を逸らし、声も細くなる。羞恥に塗れたその姿は、酷く無防備でとても、愛おしい。
そして、俺は。そっと身体を伏せて
数度、そこに歯を押し当てた。痕が、ほんの僅かにつく程の力で。
──ザナックの反応は鮮烈だった。だが彼の表情は、快楽と言うより、混乱、恐怖、悲しみに近かった。しかも、俺を怖がってるのではなく………もっと、別の何か。見えないものを。
「ぁっ、ん……! だ、だめ……っ、そんなとこ……っ……んんっ」
小さな声が零れるたびに、まるで俺の名前を呼ばれているかのように胸が鳴る。
もっと──もっとしたくなる。
衝動が、理性を、少しずつ溶かしていく。
けれど。
(……まだ、今は)
俺は、首筋から鎖骨、胸へと、ゆっくり視線を滑らせていく。
この美しい身体が、俺の膝の上で、呼吸し、生きている。その奇跡に、目が熱くなる。
やがて、ザナックの肩をそっと抱きしめる。
力強くはない。けれど、確かに、腕の中にある命を感じるための抱擁。
「……今日は、俺の部屋で寝よう」
低く、命令するような声。
逃がさない。拒否も許さない。
けれど、それは恐怖ではなく、安堵を与えるような強制だった。
「……え?」
「添い寝だ。俺は寝ないけどな。……君がいるところに、俺もいたい」
「……………」
ザナックはしばらく沈黙したあと、
そっと俺の胸元に額を当てた。
「……ほんと、ずるいです……アインズ様……」
「……すまない。でも……君に"ずるく"なるのは、俺の特権だ」
俺はザナックを膝から抱き上げ、ベッドの上へと運んだ。その身体を毛布で包み、隣に腰を下ろす。
俺は、眠らない。
ただ寄り添うだけでいい。
息づく温もりを、いつまでも
この腕の中に感じていたかった。
(君が、俺のもとに居る──それだけで……)