次回、乳首責めです
「ザナック」
耳元であの人の声がした。
幻聴──ではなく、
逃げ場がないと、本能が理解した。
思わず背がビシッと伸びた。
「はい……!!」
────「部屋に居るのか。至急庭園に来なさい」
低く重い命令。
「……承知しました。すぐに」
「…………」
きゅうっと喉が締められ、息が詰まる。心臓が重い。
「っっはぁ……はぁ、はぁ……はぁ……はぁ」
頭に血が上る。耳を塞いでも、耳元で激しい鼓動音が鳴り止まない。俺はこの先どうなるんだ。怒られるのか。見限られるのか。それとも──捨てられるのか。
「はぁ、はぁ、はぁっ、はぁっ……ハァッ……はーっ、」
不安で息苦しい胸を押さえ、気持ちとは裏腹に駆け足で彼の元へ向かった。
─────『アインズ視点』
金木犀の香る庭園。
クッキーやマカロン、旬の果実水を注いだカップ。俺はティーテーブルに肘をついて彼を待っていた。
焦って走るような、軽いヒール音。
それを聞いただけで、無い口角が上がった。金の髪を揺らして廊下の奥から現れたザナック。小さな階段から庭園へと降り立つ。こちらまで早足で来るまでのどんくさい仕草を、俺は脚を組んで眺めていた。
「っ……アインズ様、申し訳ございません。お待たせ致しました…………」
「座って落ち着くといい。君に果実水を用意した」
「……はい、ありがとうございます。失礼します」
ザナックが恭しく頭を下げる様子にイライラした。隣に腰をかけた彼は、膝に手を乗せて姿勢を正す。
「ほら、飲みなさい」
カップを指さす。
「はい……いただきます…………」
こく、と喉の音。果実水を飲んだ彼は、落ち着かない様子で俺を見た。
「君を呼び出した用件を話そうか」
「クライムと一緒に居た時について」
クライムの名を出した瞬間、胸の奥が黒く濁る。ザナックは肩をビクッと震わせた。
「…………あの、怪我の件でしょうか? アレはその、俺が勝手に転んだだけで……だからクライムは何も悪くないんです、全て俺のせいで……」
「そうだな。君に責任がある」
「ええ、なので……」
不意をついて、脇から彼を持ち上げた。
「は……」
慣れた動きで膝に乗せる。
ザナックも、癖で俺の両腕に掴まった。
「あ、アインズ様……?」
彼のベルトを外す為に手をかける。
「ひゃ、エッ…………!?」
ぴろっとズボンを下げると、
肌が透けるほどの薄い生地で出来ている黒の女性物パンツが露出した。真ん中にはリボンが飾られている。
「あっ、や、アインズ様ッ……なんで」
「…………こんなものを履いていたんだな」
クライムと居る時も、か。
俺はその場でテーブルにヒビを入れてしまうそうだった。
「待ってくださいっ、こんなところで」
「……こんな格好で俺の前に来るなんて。正気か、ザナック。」
「……う、すみません……貴方に、喜んでいただきたくて…………」
(良かったなザナック。俺は喜んではいるぞ)
ザナックの頬が桃色に染まる。瞳が潤む。
「や……そんなに触らないでください……」
(あー、ムラムラして来た。)
「上はやはり着けないんだな」
「はい…………擦れるのが、なんか、変な感じがして」
(なるほど、一回は着けてみたんだな)
そう言って、彼は胸を押さえるので、俺は疑い深く見詰めた。
「…………本当にノーブラなのか?」
「えっ? 本当ですよ」
ツン、とザナックの胸先に人差し指の腹を沈めた。
「あひゃぁっ!?」
肌の温かくて柔らかい感覚が伝わる。それに、ぷにぷにしていた。
「や、めっ…………ンっ……」
特に指を動かしたりはしてないのに彼は小さく喘ぐ。こんなに敏感な身体で人前に出たのか?
あぁもう本当にムラムラする。
「……なぁ、君にいくつか質問があるんだ」
「へ……?」
「君はこの下着をつけたままクライムと出かけたが、もしクライムに……いや他人に見られたらどうするつもりだったんだ? それと、君の素はクライムと居た時の君なのか? 君の隠してる事を俺に全て教えてくれないか?」
「あ、の……指、退けてください………っ」
「君が俺の望む答えを出せば言う通りにしよう」
ザナックの反対の胸にもそっと指を当てた。
「ひっ…………」
「ずっと黙っているつもりなら、摘むぞ」
「ヒェッ…………!」
顔を真っ青にした彼を見下ろし、俺は心の中でほくそ笑む。
「クライムに、他人に見られる事は……頭にありませんでした…………考え無しで、すみません……。」
まつ毛が震えていた。エメラルドグリーンの瞳からは今にも涙が溢れそうだった。
「それで…………君の事を教えてくれる気になったか?」
「…………それは……、お教え出来ません」
「何故?」
「知らない方が、幸せな事もあるということです……」
「それは君…………いや、君から見た俺の幸せという事か?」
「……俺は貴方に嫌われたくない…………もう捨てられるのはいやだ……今更ひとりになれないんです」
──誰が捨てるものか。彼にこんな刷り込みをした奴らが絶対に許せない。
「はぁ…………前世の話までした伴侶を、手放すわけない。……もう二度と」
ぽんと、乱雑に彼の頭を撫でた。
「…………すみません……どうしても言えません」
ふいっと目線を逸らされる。
「なら、俺は、君が言いたくなるようにするまでだ」
「んっ…………アインズ様!? だから、変なところを触るのは……!!」
再び胸の先端に指を置くと、ザナックが声を荒らげた。
「変じゃない。俺がどれだけ我慢してると思ってるんだ。こんなエロいパンツを履いて俺の為だと言って、逃げもせず大人しく膝に座ってしまってる時点で君は手遅れだ。」
「あ、それはッ……アインズ様のお話を聞くために……」
「そもそもクライムは護衛なんだろう? "一緒に"食事をとる必要だってないし、上着を貸して貰うとは何事か、君がクライムの上着を羽織っていると気付いた時、俺がどんな気持ちになるか想像したか? 今だって俺以外の男の匂いを体に付けて、それを無視してずっと我慢しろと言うのか。君は残酷だな」
指をぐりぐりぐりと押し込んだ。
「も、申し訳、ありませ……んっ」
「これは罰じゃないよザナック。俺は君が嫌いだからこんな事を言ってる訳じゃない。君が好きだから分かって欲しいんだ、なぁ、」
「あいんず様っ……。話をするだけでは……?」
「大丈夫だザナック、今から優しく教えてあげるからな。痛くするのは可哀想だし、そんな事俺には出来ない……」
「……?」
ザナックが首を傾げる。
二枚重ねのクラバットに指をかけ、シュルシュル……と音を立てて解いていく。だんだんと見えてくる白い肌。
他の誰にも触れさせたくない。
「……あ、ちょっ……アインズ様??」
クラバットを緩めると、ほんのり汗の香りがした。
「ふえっ……アインズ様ッ」
ベルトを締め直して、首筋に顔を近づけて舌先で舐ると、ザナックは小さな手を俺の肋骨にぐいっと当てて、ささやかな抵抗をする。
「ダメです…………ここはっ、廊下から誰かに見られ、たら……」
「良い。見られても。むしろ見せつけようじゃないか」
君が俺のものだと分かるなら。
「は、はい!?」
目尻に涙を溜めたザナックは、あわあわと口を手で覆った。
(怖がってるな。可愛い。……守護者達は別の仕事に付かせているから大丈夫なんだよな。まぁ、メイドには見られるかもしれないけど)