FGO ~ Loopback Against the Order ~ / In your room 作:アルタナ
冬木から戻り、目を覚まして。
その日の夜。
「……」
「……」
ジャンヌと共に、与えられた部屋のベッドに腰掛ける。
お互い、言葉はない。
部屋の外に人がいるかどうかは分からないほどの防音がされているのか、部屋の中は物音が何もない。
そのせいか、自分の心臓の音が聞こえるような気がする。
緊張のせいかもしれない。
なぜ緊張しているかといえば、冬木にいた時にジャンヌとした約束。
……魔力供給、のため。
「…」
ちら、と隣に座るジャンヌを見やる。
ジャンヌは少しだけ俯いており、髪で隠れて表情は窺えない。
しかし、そんなジャンヌの白い肌はほんのりと赤くなっている。
この状況で、ジャンヌの言う魔力供給というのが何なのか察せないほど、朴念仁でもなければ、女性に興味がないわけでもない。
ただ、察した内容が間違っていた時に気まずくなることが容易に想像できるので、それ以上は踏み込めない。
そのために、ジャンヌの言葉を待つしかなくなっていた。
情けない話ではあるが。
「…マスター」
何か声をかけようとしたが、その前にジャンヌから声がかかる。
声がかかるとは思っていなかったので少し焦る。
「魔力供給…何をするか、分かる?」
「……部屋の中で男女二人ともなれば…まぁ。俺の想像が勘違いでなければ…だが」
「ん……」
ジャンヌは少し間を置いて。
「多分、マスターのそれ…勘違い、じゃないわ」
「……そうか」
「ねぇ…始める前に、一つだけ…聞かせて」
ジャンヌはこちらに向き直る。
ジャンヌの頬は紅潮しており、冬木にいた時の強気な彼女の表情はなく、不安そうな表情をこちらに向ける。
「私とそういうことをするのは……嫌じゃない?」
「……嫌なわけ、あるか」
ここで嫌だと言えるほど、空気が読めないつもりもないし、ジャンヌを嫌っているわけでもない。
それよりむしろ、といったところ。
だからこそ、俺も聞かなくてはならない。
「…俺も、聞いていいか?」
「何、かしら」
「ジャンヌは…俺が相手で、いいのか?」
ジャンヌにとってのマスターは、ある意味では俺なのだろうが、またある意味では俺ではない。
だからこそ、聞いておかなければならない。
本当に、俺でいいのだろうか、と。
「…よくないわ」
言いながら、ジャンヌはふっと笑顔を浮かべる。
どこか苦笑交じりの笑顔。
「マスターでいい…じゃない。マスターだから、いいの」
「…そうか」
今度はこちらが気恥ずかしくなる番だった。
贔屓目かもしれないが、ジャンヌは俺には不釣り合いなほどに美しい女性だと思う。
それ程の女性にこうも思いをぶつけられれば、気恥ずかしくもなる。
思わず、顔を逸らしそうになるが。
「…私を、見てて」
両の頬に、ジャンヌの両手が添えられ、視線を逸らすことが許されなかった。
いつの間にか眼前に近づいたジャンヌの表情に見惚れてしまう。
しかし、その隙を突いて、という感じで。
「ん……」
口元に、ほんのり温かい感触。
突然の衝撃で動けずにいると、添えられているだけだったジャンヌの手は俺の背に回り、ジャンヌに抱きしめられるような形になる。
ぐい、と押し付けるように身を寄せてくるジャンヌにバランスを崩し、ベッドに背中から倒れこむ。
しかし、ジャンヌは密着したままで。
「…口、少し開けて」
ジャンヌの言葉に聞き返そうとした瞬間。
「ん、ふ…っ」
「っ!?」
ジャンヌの舌が口の中に入ってくる。
俺の舌と絡めているのか、水音が響く。
ジャンヌの行動に圧倒され、口を閉じることすらできずにされるがままで。
「ん、は…っあ……ん……」
少し息苦しさを感じつつも、ただされるがままというのも格好がつかないと思い、ジャンヌを抱きしめる。
抱きしめたジャンヌの体は思った以上に華奢で、どこにあれほどの力があるのだろうと思うほどだった。
けれど、そんなジャンヌを愛おしく感じ、少しばかり強く抱きしめてしまう。
「んっ…!?」
突然触れたせいか、体を震わせるジャンヌに思わず腕の力を緩める。
「…マスター?」
「いや、すまない…痛かったか?」
謝りながら尋ねれば、少し間を置いて。
「…むしろ逆。もっと…抱きしめてくれても問題ないわよ」
「そうか…ならいいが」
「というより…もっと抱きしめて」
「あぁ…」
ジャンヌに言われるがまま抱きしめ、再度キスを開始する。
今更だが、戦う時の鎧は外してくれているのか、布越しに人肌の温かさが伝わる。
さっきはされるがままだったが、こういう時に男が受け身というのもどうなのかと思い、こちらからも応えるように舌を絡めていく。
「っ、ふ、ぅ…んぅ……っ!」
ジャンヌの吐息と暖かさで、思考が止まる。
ただ、無心にジャンヌを求めるように。
そうする以外に、出来ることがないかのように、ただ、ジャンヌを求める。
「ん、ぅ…っ」
それから、どれくらい時間が経っただろうか。
数十秒かもしれないが、もう数十分かもしれない。
そんな事も分からないくらいに触れあって。
「は、ぁ…はぁ……」
どちらからともなく、息苦しさから離れる。
息が上がり、口で息をするジャンヌ。
口元からはキスの余韻で、どちらのものとも分からない唾液がついている。
その様子がひどく扇情的だった。
「…大丈夫か?」
尋ねるが、息を整えるので精一杯なのか、返事がない。
ただ、頷くだけだった。
「は、ぁ…はぁ……」
息が整わないのか、肩で息をしながら身を寄せてくる。
このままでは落ち着かないかもしれないが、かといって落ち着くために何もしないというのも、何か違う気がする。
「……嫌なら、すぐ辞めるから教えろ」
それ以上は言葉にするのも野暮と思い、ジャンヌに手を伸ばす。
その手は服越しに、ジャンヌの胸に触れる。
「んっ…」
ぴくり、とジャンヌが反応する。
しかし、俺の手を避けようとか、払おうとはしなかった。
少なくとも、嫌ではない、ということだろうか。
いかんせん、自信を持つことができない。
「っ……」
力加減が難しい。
布越しに触れた指は、さほど力を入れていないはずなのに、深く沈み込んでいく。
それが、ジャンヌにとっての痛みになっていないかと思い、力が入らない。
結果、布越しにジャンヌの胸を撫でるようになっていた。
「んっ…マスター」
「…どうした?」
痛いのかと思い、手を止めて尋ねる。
しかし。
「…くすぐったいわ」
「む……」
弱すぎたか、と考えていると、ジャンヌは可笑しそうに笑う。
女性経験がないとこんなものだろう、と自分で自分を窘めるが、ジャンヌとしては割とどうでもよかったようで。
「…もっと、こう…んっ…」
「っ…ジャンヌ…」
ジャンヌに手を掴まれ、胸元に押し当てるようにする。
布越しにジャンヌの胸に手の指が沈むが、お構いなしだった。
「これくらいでいいから…してみて……」
「…あぁ、分かった」
ここまでされて、躊躇ってもいられない。
少し、力を入れてジャンヌの胸に触れる。
それはそれとして。
「……ところで、だが」
「んっ…な、に…?」
「…下着とか、つけてないのか…?」
さっきから布越しとはいえ、伝わってくる感触が妙に直接的で、遮るものが少なくさえ感じる。
そんな俺の問いに、ジャンヌは少し言葉を詰まらせた後。
「…んっ……どうせ、脱ぎ、ます…っから…ふっ…ぅ……」
つまりはそういうこと、なのだろう。
とはいえ、布越しですら感じるその感触は、俺の心拍数を上げるには十分すぎるものだった。
「…ん、ぅ…んっ……」
悶えながら声を漏らすジャンヌだが、逃げようとしているわけでもなさそうだったので、ただ無心に続ける。
やがて、無意識のうちに手の動きが大きくなってしまっていたのか。
「んぁっ…!」
指先が少し尖った場所に触れたとたん、ジャンヌが少し大きな声を上げる。
思わず手の動きを止める。
「…ジャンヌ?」
声をかけると、ジャンヌがこちらに視線を返す。
その瞳は微かに潤んでおり、頬を紅潮させ、どこか切なげな表情で肩で息をしていた。
その表情はあまりに扇情的で、思わず息を呑み。
「っ…!」
「んんっ…!?」
思わず、先程のようにジャンヌと口付けをしながら、空いている手をジャンヌの胸に当て、刺激する。
はっきりいって、衝動的なもの、だった。
ジャンヌと、こうしたいと、直感的に思い、止められなかったともいう。
けれどジャンヌは、それに抵抗することもなく受け入れてくれた。
「んっ…ぅ、ふぅ……ん、ふ……っ!」
口付けで口を塞がれているジャンヌも、漏れる声を抑えきれないのか、徐々にその声は大きくなっていく。
抑えきれないジャンヌの吐息が漏れ、昂っているのか、その熱にこちらも思考がぼやけていく。
ただ無心になっていたが、やがて息は続かなくなり、口を離す。
「ん、あっ…んぅっ……!」
激しく愛撫していく中で、ジャンヌの敏感な敏感な部分を刺激しているのか、体を震わせるジャンヌ。
しかし。
「っ…!?」
突然、視界が回り、仰向けにされる。
見上げれば、こちらに跨って見下ろしてくるジャンヌの顔。
そんなジャンヌの表情はすっかり蕩けた感じになっている。
「…もう、そっちはいいわ……見て」
言いながら、服の裾を持ち上げ、下半身を露にする。
上と同様に下着はつけておらず、露にされた下半身。
「っ…」
太腿の内側は何かの液体が伝っている。
それが何なのか。
また、本来下着で守られているべき場所はじんわりと、熱い液体が染み出すように漏れてきていて、それが重力に負けて、糸を引いて垂れてくる。
やがてそれは、こちらの体を濡らしてくる。
「…私の方は、もう……大丈夫そう、だけど…」
ジャンヌの手が、こちらの体のある部分に触れる。
やがて、そこを少し撫で。
「マスターも…大丈夫そうね」
「っ…」
そんな風に言われ、恥ずかしさを感じる。
ジャンヌもひょっとしたらそうなのかもしれないと思うが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
そんなことを考えていると。
「…いいわ。私が誘ったのだものね…最初は、私がするわ」
言いながら、ジャンヌはこちらの服に手をかけ、下半身のそれを出してくる。
ここまでにしてきたことが原因であろうが、すっかり起立したそれに、ジャンヌは優しく触れる。
そして、それを手で上向きに支えながら、その先端を自らの太腿の付け根の割れ目に当てる。
「んっ…っ……ぅ…」
ジャンヌも慣れているわけではないらしく、上手く入らずに少し手間取る。
俺がすべきなのでは、と思ったのだが。
「ジャンヌ…」
「…待って、もうちょっと、んっ」
やがて、上手く位置をとらえたか、少しずつ腰を落としていく。
先端がジャンヌの熱を直接感じる。
それだけでなく、初めて入る女性の中は予想以上にきつく、けれど痛みもない不思議な感覚だった。
「ん、ぁ…ぅ、ふぁ……」
そのまま半分くらい入るところまでジャンヌは腰を落とし、そこで手を離す。
両手でこちらの体の上に手を置き、体を支えながら、更に腰を落としていく。
「ん、あっ、く、ぅ……っ!」
そのまま、体が触れるまで腰を落とす。
起立していたそれは、ジャンヌの中に完全に包まれている。
「……は、ぁ…ちょっと、だけ…待って。服……脱ぐから…んっ……」
繋がったまま服を脱ぎ、生まれたままの姿になるジャンヌ。
そうして露になったジャンヌの体を改めて見る。
ふと、繋がっているところに目をやると。
「…ジャンヌ」
「ん…?」
ジャンヌがこちらの視線に気づき、それを追う。
繋がった場所は、血が滲んでいる。
それが俺のものでないとするなら。
「……初めて、なのか?」
「当たり前、じゃない…私はそんなに軽い女じゃ、ないっての……ぅ…」
俺と会う前のマスターとはしなかったのだろうか。
そう思い、思わず聞いてしまうが、ジャンヌは何をいまさらと言わんばかりの答えを返す。
「…痛くはないか?」
「痛い、けど…平気よ。それよりも……嬉しいから」
嬉しい、という言葉にジャンヌは自分で頷き、言葉を続ける。
「…ん。マスターとサーヴァントとして、じゃなくて……男と女として。マスターと、こういう関係になれたことが…嬉しいって思ってる」
「ジャンヌ…」
「マスターは…どう。私として…後悔、してない?」
その答えなんて、考えるまでもなく。
「…するわけが、ないだろう。ただの魔力供給というだけでなく、こうして想いを交わせるのなら…純粋に、嬉しい」
「ん…」
俺の答えに、ジャンヌは痛みで僅かに流したであろう涙をそのままに笑みを浮かべる。
そうして、一つだけこちらに口付けを落とし。
「…なら、マスター。もう…魔力供給なんて建前は使わないから」
だから、とジャンヌは続ける。
そこで、一度言葉を切り。
「…セックス、しましょう。マスターの全てを受け止めるから、全部を私に…ちょうだい。そして…私のことを、受け止めて」
「……あぁ」
そう言葉を交わす。
ここから始まるのはマスターとサーヴァントの魔力供給ではない。
ただ想いを交わした男女が、獣のように互いを求める性行為。
「んっ…くぅ……」
ジャンヌが痛みと、不慣れなことが相まってぎこちなく腰を動かす。
決して大きく動いているわけではないが、劣情を誘う水音が、ジャンヌの吐息と共に部屋の中に響く。
ただされるだけというのも情けないとは思うが、少し動けば達してしまいそうで動けない。
「んぁ…んっ……ぅ…っ」
しているうちに、少しずつとはいえ痛みが引いてきたのか、腰の動きが少しずつ大きくなる。
それに伴って水音やジャンヌの声も少しずつ変化が出てくる。
実際、中の感覚も、最初は緊張していたのか締め付けられる感じだったが、今はうねるように絡みつく感覚になってきている。
「あっ…ます、たぁ……きもち、い、ぃ…?」
「っ…」
ジャンヌの言葉に頷いて返す。
それが伝わったのか、笑みを浮かべて、少しだけ腰の動きを強めるジャンヌ。
「っ…ジャン、ヌ……っ!」
「あ、んぁ…んぅ……」
腰を前後に揺らすように動かしながら刺激をしてくるジャンヌに、耐えきれなそうになる。
「っ…ま、ず…っ!」
いよいよ耐え切れなくなりそうで、踏ん張りたかったが手のやり場がなく。
その焦りからかジャンヌの腰を押さえつけるように両手で押さえつける。
「っんぅ!?」
その勢いでいきなり奥まで突き立てられ、その刺激にびくりと体を震わせるジャンヌ。
中の圧も強くなり、いよいよ耐え切れず。
「くっ…!」
「あ、出て…んんんんんんっ!!」
ジャンヌの中に出してしまう。
ジャンヌもまた体を震わせ、それを奥で受け止める。
「はぁ、はぁ……あ、んぁ……」
中に出したせいだとは思うが、体を震わせるジャンヌ。
やがて、体を支えきれなくなったか、こちらに倒れるように覆いかぶさってくる。
そんなジャンヌを支え、けれど俺の上では寝心地も悪かろうと思い、脇に寝かせるように身を捩る。
「んんっ…」
動いた拍子に挿入していた物が抜け、その刺激でジャンヌが声を漏らす。
行為の余韻のせいか、少しの間肩で息を続けていた。
俺も似たようなものではあったのだが。
「…ね、マスター」
「なんだ…?」
「気持ち、よかった……?」
「…あぁ」
「ん…」
擦り寄るように抱き着いてくるジャンヌとの、そんな会話。
それ以上は何も互いに言わない。
互いに初めてで疲れていたが、それでも。
「…っ!?」
ジャンヌの指が、さっきまでジャンヌに挿入していたものの根元に触れる。
触れる程度ではあるのだが、擦るような動き。
女性に触れられているという事実が、硬さを取り戻させていく。
「マスター…」
問いかけてくるジャンヌは、どこか物欲しげな視線で、言わんとすることは察することはできる。
それでも確認の意味も込めて。
「ん…っ」
こちらも手をジャンヌの太腿の間に差し込み、さっきまで繋がっていた場所に触れる。
刺激からか一瞬体に力が入るジャンヌだったが、抵抗の意思はないのかされるがまま。
軽く撫でてみれば、先程出したそれなのか、それともジャンヌ自身のそれなのかは分からないが、熱い液体が溢れ出している。
少し指で撫でれば、どこか卑猥さを感じる音を立てながら、更に暑さを増していくのを感じる。
「んっ、ぅ……」
背筋を震わすように刺激を受け止めるジャンヌの様子を見るが、もっと見たいと思い、指が止まらない。
いつの間にかジャンヌの指は止まっており、こちらの刺激を受け止めることに集中していた。
その指の動きが無意識に大きくなっていたのか、不意に。
「っんんんんっ!」
突起のようなものに触れた瞬間、一際大きく体を震わせるジャンヌ。
突然のことに指を止めるが、それでも痙攣は止まらない。
やがて、少し落ち着くジャンヌだったが。
「…これで、終わり……?」
「っ…」
縋るようなジャンヌの問いに、何も考えずにジャンヌに覆い被さる。
思考が、徐々にぼやけていくが、ジャンヌの事だけははっきり認識できる。
「…いいか?」
何が、とは言わない。
けれど、伝わる。
ジャンヌは、何も言わない。
ただ、僅かに視線を逸らし、頷く。
ただ、それだけ。
けれど、それだけで、十分だった。
「……」
とはいえ、ジャンヌ以外に精経験もなく、まして初めてをジャンヌに任せていた以上、自分からするのは初めてなわけで。
「…?」
上手く位置がつかめない。
ジャンヌは緊張しながら自らの下半身を見つめているが、やがて焦らされているように感じたのか。
「…ここ」
ジャンヌが自らの手で導くように手を添える。
情けなさを感じながらも、そのまま腰を前へ。
「ん…ぅ……」
先端が、先程まで感じていた熱さを再度感じる。
腰を前にやるほど、その熱さを感じる範囲は広がっていく。
「ふ、ぅ…ふぅ…っう……んんっ…」
ジャンヌの声も大きくなっていく。
やがて、奥まで入り。
「…大丈夫か」
「えぇ…さっきよりは、きつさはないから……好きに、して」
体を強張らせながらも、こちらに身を委ねるように力を抜くジャンヌ。
「…もう、確認はしないからな?」
「えぇ……来て。マスターの全てを……私が受け止めたいの」
だから、やめないで。
それが、今日最後に聞いた、ジャンヌの言葉といえる言葉だった。
「っ…!」
「ひぁ…あ、ん、ぁう…!」
そこからは、腰を打ち付ける音、卑猥な水音、ジャンヌの喘ぎ声。
それしか、部屋の中には響かない。
その一つ一つの音が、俺の理性を溶かしていく。
愛し合う者同士のセックスなんて言葉で片づけていいのかどうかすら怪しい。
それはまるで。
「あっ、あっ、あぁっ、だめ、おかし、なぁ……あぁっ!」
獣同士の、交尾と言わんばかり。
感情を排し、ただ欲望をぶつけるだけの。
一方的かどうかなんて、考える余裕すらなかった。
「あっ、だめ、わた、ひ……おく、いっひゃ……あっ、あぁっ、んぁっ……!」
ジャンヌはもはや、口を閉じる余裕すらないのか、喘ぐ声は最後に向けてどんどん大きくなっていく。
これが苦痛ではなく、快感であればいいと祈りながらも、腰は止めずに打ち付ける。
「っ…!」
「あっ、んぁ…ます、た……だひ、て…っ…わた、ひの……な、かぁ……!!」
そろそろ限界が近いと思っていた矢先、そんな風にジャンヌに言われる。
何も言っていないのに、何故わかったのだろう、等と考える余裕もなく。
ただ、ジャンヌに言われるがまま、ジャンヌの中で果てるために、更に打ち付ける。
ジャンヌも応えるように、両脚をこちらの腰を抑えるように回してくる。
「くっ…!」
目の前が真っ白になるほどの快感とともに、ジャンヌの奥まで腰を密着させ、果てる。
「あ、いく、わたひ…も……、らめぇ、あ、あ、ああぁぁ………っ!!」
その瞬間、まるで電気ショックでも受けたかのように背筋を逸らしながらジャンヌは体を震わす。
「あ、っ…ふ、ぁ……」
やがて、体の力が抜けるジャンヌだったが、下が布団で柔らかくて大事にはならなかったが。
それでも、余韻で少し体を震わせているジャンヌ。
「…大丈夫、か?」
流石に硬さを失い、繋がっている部分から抜ける。
ジャンヌのその場所からは白濁した液体が溢れ出していた。
今更、と言われればそれまでなのだが、どこか焦点が合わない目でこちらを見ながら、ふっと笑みを浮かべ。
「ん…」
肩に腕を回してきて、軽い口づけをされる。
「…マスターに…イかされちゃった……」
ふ、と恥ずかしげに笑みを浮かべるジャンヌにこちらも口付けで返す。
気づけば、日付が変わっていたのか、時計の短針が一番上を過ぎていた。
「…明日もある。そろそろ休むか?」
ジャンヌに問いかける。
その答えは。
「……」
自らの手で繋がっていた場所を広げるジャンヌ。
抑えを失い、そこからは行為の証が更に溢れ出す。
見つめてくるその視線の意味など、考えるまでもない。
確かに、明日…もとい、今日もある。
しかし。
「っあぁっ!!」
直後のジャンヌの嬌声。
そこにはどこか悦びの色も交じっているように聞こえる。
もう少しだけ、二人の時間を続けたいと、そう願った。
…それから、どれくらいジャンヌと交わっていたのか、定かではないが。
…この部屋には、窓がないため外の様子が見えない。
…そのせいか、互いに疲れて休む頃には、下手をすれば陽が昇り始めるであろう時間になっていた。
それから、いつのまにか眠っていたのか。
「…う」
目を覚ます。
ほんの僅かに寒々しい部屋で目を覚ますと、もはや見慣れた白い天井。
ただ違うことがあるとするなら。
「ん…」
隣で眠るジャンヌの姿が目に入る。
昨日からの行為の後、ジャンヌもそのまま疲れてしまったのだろうか。
結局あれから、全部で何回したのだろうか。
途中から記憶が曖昧なのだが、とにかく一晩中、ジャンヌだけを見ていたという確信はある。
それでも見飽きないのというのは、俺も相当かもしれない、なんて思いながらジャンヌの寝顔を見ていると。
「…マスター?」
「起きたか?」
「ん…」
目を覚ますジャンヌに声をかけると、眠気に引き摺られながら返事を返してくるジャンヌ。
布団の中で身じろぎをするジャンヌは、案の定というべきか、一糸纏わぬ姿だった。
ジャンヌもやがて眠気から覚醒したのか、一糸纏わぬ自らの姿から、思い出したのだろう。
「っ…」
黙ってしまった。
恥ずかしかったのか、俯いてしまっているが、それすら愛おしく感じる。
今日も、カルデアにいる以上やるべきことは、ある。
それでも。
「……もう少し、このままでいるか?」
「ん…」
僅かに身を寄せて、そんな会話を行う。
「…ね、マスター」
「どうした?」
「今日も………いい?」
その誘いが何の誘いかなんて、確認などするつもりはない。
ただ、布団の中でジャンヌを抱きしめ。
「夜に…な」
「ん…」
そんな会話を交わす。
…今日も、ジャンヌと共に、一日が始まる。