リンの受けた依頼に同行して郊外で過ごしてから数日の時が流れた頃、平日の学業の終えた放課後に彼女は珍しくビデオ屋ではなく『ルミナスクエア』に足を運んでいた。
「(学校が終わった後に着替えてから集合しようってクラスメイトの友達と話して、一番に待ち合わせ場所に着いたのはいいけどっ)・・・どうしようかなぁ、この状況」
ポツリと現状を嘆く呟きを漏らす彼女を尻目に、ベンチに座る自身を囲むように目の前に立つ二人の男は構わず話を続ける。
「だからさぁ、俺たちと遊んだほうが楽しいって!」
「なんなら後から来る友達も誘っていいからさっ、俺たちともっと楽しいことしようぜ!」
「そういうの興味ないので、他の人をあたってくださいっ」
誘いを断っているにも関わらずしつこく食い下がる二人の男にタメ息を吐く彼女に、業を煮やした一人が苛立たしげに左手首を掴み上げて強引に引き寄せる。
「ぃっ・・・!離してくださいっ!」
「あっ、おい!あんまり乱暴にすんなよ、傷がついたらどうすんだ!」
「ちょっとくらい構わねぇよ、むしろ黙ってついてきたほうが身のためって分かるだろうぜっ!」
そのまま引き摺って行こうとする相方に苦言を呈しつつ自身も彼女の腰に手を回して手助けし、雲行きの怪しくなってきた状況に内心で焦りながら後ろ手に回した右手でスマホを操作する。
「(リンさんとアキラさんが念のために用意してくれた『Fairy直通警報システム』を使う時かもっ・・・!できればお二人に迷惑はかけたくないけどっ――――)」
「失礼。私の連れに、何か御用でしょうか?」
探していたアイコンを見つけていざ押そうとしたところで第三者の声が聞こえ、顔を上げた彼女は二人の男に相対する執事服に身を包んだ長身の狼のシリオンの男性に気付いて表情を明るくする。
「ライカンさん!」
名を呼ばれたエレンの同僚で先輩である『フォン・ライカン』は鋭い視線で二人の男を見下ろし、駆動音を鳴らして冷気を放つ義足も相まった威圧感に終始萎縮した二人は足早にその場を去っていく。
少し離れた先で先程の二人組が治安官に連行されていくのを横目で確認して鼻を鳴らし、彼女に顔を向けたライカンは目尻を下げて柔和な笑みを浮かべる。
「申し訳ありません、ジャスミン様。駆けつけるのが遅れてしまいました、お怪我はございませんか?」
「ライカンさんが謝ることじゃないですよっ、怪我もしていないので気にしないでくださいっ――――ぁっ」
右手を振りながら笑顔でそう返す彼女を見つめながら、素早い動きで身体を使って隠す左腕を手に取って手首を確認する。
「少し赤くなっていますね、すぐに手当てをしましょう」
「ほっ、本当にこれくらい大丈夫でっ「これで問題ないでしょう、あまり無理に動かさないようにしてください」――――って、早っ!?」
話し終える前にどこからか取り出した救急箱で迅速に応急処置を済ませるライカンに、彼女は驚きの声を上げてこれが家政の実力かと戦々恐々とする。
「それでジャスミン様、今日はお一人でどうされたのでしょうか?手伝えることがあれば、このライカンにお申し付けください」
「あっ、えぇっと・・・今日は学校の友達と遊びに行く約束をしてて、それで今は待ち合わせ中なんです」
「左様でしたか。でしたら御友人方が来られるまで、不肖ながら私が話し相手を務めさせていただけたらと」
「えっ、いいんですか?それならライカンさんの少しの時間、私が貰っちゃいますねっ!」
「少しと言わず一生でもっ――――んんっ!いえ、何でもありません」
うっかり本音が漏れ出そうになったライカンだが誤魔化すように咳払いを挟み、不思議そうに首を傾げる彼女は気付いた様子もなく最近あった出来事を話し始める。
数分も経たない内に友達がやってきたことで話を中断した彼女は後日に話の続きをすることを約束し、手を振りながら離れていく姿が見えなくなるまで見送ったライカンは、懐から懐中時計を取り出して確認しながら思案する。
「・・・さてっ」
「なにが"さてっ"・・・なのですか、ライカン?」
懐中時計を懐に仕舞って歩き出そうとするライカンの肩に手を置いて歩みを妨げるリナの問い掛けに、少しばかり動揺しながらも真剣な眼差しを返しつつ問いに答える。
「ご主人様はリナ、貴女にお任せいたします。私はジャスミン様の護衛をっ――――」
「ダメ、ですわよ?お仕事を蔑ろにするのはいけないことですわ、それに御友人とのひと時を邪魔するのもいただけません」
「しかしっ・・・!」
「はいはいっ、言い訳は戻りながらお聞きしますから(エレンといい、ライカンといい・・・ジャスミン様が関わるとどうしてこう手が掛かるのかしら、私がしっかりしないといけませんわねっ)」
ライカンの腕に自身の腕を絡めて引っ張るようにその場を離れるリナは内心で決意を新たにし、依頼主の側であたふたする後輩の姿を見つけて足を速めるのだった。
――――所変わって数時間経ったビデオ屋『Random Play』にて
『HDDシステム』を使ってボンプの『イアス』に接続するリンのサポートをしていたアキラのスマホが着信を知らせて、相手を確認すると知り合いの治安官『
「もしもしっ、アキラ君?至急確認したいことがあって連絡させていただきました、今お時間は大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ないよ。それで、どうかしたのかい?酷く焦っているような、それに周りも慌ただしい気が・・・」
「詳しい説明は後でっ!それよりもそちらにジャスミンちゃんはいらっしゃいますか?」
突然飛び出したバイトであり友人の名前に疑問符を浮かべつつ、本日は不在であると伝えると通話越しに息を呑む音を耳にする。
「そう、ですか。分かりました、それでは私はこれでっ――――」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!さすがにジャスミンのことを尋ねられて、何の説明もなくはいそうですかは無理があるんじゃないか?」
「・・・そうですね、今お近くにテレビはありますか?すでにニュースになっているとは思いますが・・・」
ソファに置かれたリモコンを操作してテレビをつけると速報が流れており、小規模だがホロウが突発的に発生したことを大々的に報じている。
「ホロウ発生のニュースが流れているけど、もしかして朱鳶さんの周りが騒がしいのはっ」
「はい、そのホロウの対応で動いているからです。現在救助は大詰めで慌ただしくしていますが、幸い比較的安全な場所にいてくれたおかげで死傷者も少なく済んでいます・・・ただ一人を除いて」
「待ってくれ、その一人ってまさかっ」
「・・・はい、その一人とはジャスミンちゃんのことですっ。彼女はご学友を助けるためにエーテリアスを引きつける囮となり、その過程で裂け目に入ってしまったようで・・・捜査したところ彼女は現在、"零号ホロウ"に迷い込んでしまったようですっ」
朱鳶の言葉に驚きを抱えながらもどうにか頭を働かせ、そこであることを思い出して深呼吸を挟んでから冷静に言葉を返す。
「すみません、私たちもすぐに捜索に出たいのですが中々許可が下りずっ・・・雅と連絡が取れればいいのですが」
「そのことなんだけど朱鳶さん、リンが今雅さんたちと一緒に調査に出ていてね・・・僕の方から連絡を取ってみるよ」
「本当ですか!?情けない話ですが、お願いできますか?許可が下り次第すぐに私たちもそちらに向かいますので、ジャスミンちゃんのことをお願いしますっ!」
了承の返事をしてすぐに通話を切ると続いて妹の連絡先を選んで連絡を繋ぎつつ、Fairyに朱鳶から送られてきた位置情報の詳細を調べるように指示を出すのだった。
『零号ホロウ』で『
「もしもし、お兄ちゃん?どうしたの、私の声が聞きたくなっちゃった?」
[すまない、リン。今は冗談を言い合える状況じゃない、緊急事態だっ]
普段なら乗ってくる軽口を躱す少し焦った声色に何かあったことを察したリンは、対ホロウ六課に声を掛けてから立ち止まってもらって兄の話に耳を傾ける。
「それで何があったの、お兄ちゃん?」
[詳しい説明は後でする、今は送った位置データと真実だけを伝えるよ。ジャスミンが零号ホロウに迷い込んでしまったんだっ、だからすぐに助けに向かってほしい!]
端的に伝えられた状況にリンは思考が追いつくまでに時間が掛かり、ようやく理解が追いついたと同時に驚愕の声を上げる。
「ジャスミンが零号ホロウにいるって、どういうことっ!?」
「っ、プロキシさん?」
「・・・むっ」
待機している対ホロウ六課の面々は突然大声を上げる
[詳細を話してる時間がないんだ、リンっ!Fairyに正確な位置は割り出してもらっている、まずはそこを目指してくれ!]
<マスター、現在良い知らせと悪い知らせがあります。どちらからお聞きしますか?>
「今ここで二択出すの!?こういうのはまず悪い知らせから聞くものだよね、悪い知らせって何?」
もどかしさを感じつつも悪い知らせを選択するリンに、Fairyは淡々とした調子で現在の凶報を告げる。
<現在進行形で零号ホロウ内のエーテル活性が急激な上昇を続けています、さらに零号ホロウ内全域でエーテリアスの大移動を確認中です>
「えぇ!?こんな時にっ・・・!良い知らせはっ?」
<ビデオ屋『Random Play』の忠実で勤勉な店員『ジャスミン・スー』の正確な位置が、マスターの現在位置からそう遠くない場所ということです。位置情報をアップロード、マスターが知覚できるようにしました>
Fairyの言葉通りに彼女の位置を確認したリンはイアスに意識を戻して立ち上がると、それに気付いた対ホロウ六課副課長『月城 柳』が足早に駆け寄ってくる。
「プロキシさん、お話は済んだみたいですね。ジャスミンさんの名前が出ていましたが、何があったのですか?」
「うん、実はジャスミンが零号ホロウに迷い込んじゃったみたいっ!だからすぐに助けに行かないとっ「ちょっ、課長っ!?」――――っ?
『浅羽 悠馬』の驚愕した声を耳にして顔を向けるリンと柳は、待機しているメンバーがもう一人の『蒼角』のみになっていることに疑問符を浮かべる。
「浅羽隊員、雅課長はどこに?」
「いや、それが"行かねばっ・・・!"って呟いたかと思えば、あそこに・・・」
「は?――――っ!雅課長っ!?」
悠馬の指差す方向へと顔を向けると浮遊する瓦礫に飛び移りながら突き進む雅に、思わず声を大にして叫んだ柳はタメ息を漏らしながらイアスに視線を戻す。
「プロキシさんっ、目的地は雅課長の向かう先で合っていますか!?」
「う、うんっ!今ルートを検索するねっ――――うわわっ!?」
イアスを抱きかかえる柳は悠馬と蒼角に声を掛けてその場から駆け出し、導き出されたルートに沿って雅の後を追いかける。
<エーテリアスの到達地点を予測、現在の目標地点と酷似しています。結論、エーテリアスはジャスミン・スーに"引き寄せられている"と推測します>
「こんな時に嫌な推測立ててくるじゃん!?Fairy、脱出ルートの検索もよろしく!ジャスミンと合流したら一旦零号ホロウから出よう、柳さんもそれでいいよね?」
「もちろんです、まずはジャスミンさんの安全が優先ですからっ!」
Fairyの不吉な予測に苦言を呈しながら次なるお願いをするリンに同意する柳は、道中に居合わせるエーテリアスを蹴散らしながら目的地に向けて駆け抜ける。
荒い呼吸を漏らしながら背後に迫るエーテリアスから逃げ続ける彼女は、身を隠してもすぐに見つかることに違和感を抱きつつどうにか足を動かして距離を取る。
「はぁっ、はぁっ・・・!(友達を助けるために囮を買って出たけど、逃げた先に裂け目があって零号ホロウに迷い込むことなんてある!?)どういう、確率っ・・・なのっ、もーっ!」
苛立ちと共に声を上げる彼女を気にせず向かってくるエーテリアスに悪態をつきつつ、どうにか撒こうと足に力を込めて全力を出そうとした矢先に前からもエーテリアスが現れる。
「ぅわっ!?わわっ、あぅ・・・っ!」
急ブレーキをかけた衝撃でその場に尻餅をついた彼女は囲まれていることに気付いて、悲鳴を漏らして後退りながら打開策がないか思考を巡らせる。
「・・・いや、無理っ!」
間近で見るエーテリアスの迫力に冷静に物事を考えられるはずもなく、そう声を上げて伸ばされる手を見ないように覚悟を決めたように固く目を瞑る。
「――――・・・・・・?なにも、こない・・・?」
何も起こらないことに疑問符を浮かべて瞼を開けた彼女は、目の前でたなびく黒いスカートに気付いて顔を上げる。
「雅、さん?」
「大事ないか?」
凛として立つ雅の問い掛けに頷きを何度も返す彼女の姿に安堵の息を漏らし、未だ集まるエーテリアスを捉えると柄を握る手に力を込める。
「すぐに終わらせる、少し待っていろ」
「は、はいっ!」
佇まいを整えて緊張した面持ちで返事をする彼女に頬を緩ませてから気を引き締め直し、周囲に鋭い視線を向ける雅は地面を蹴ると手近なエーテリアスを斬り飛ばす。
「ふっ、は・・・っ!」
「ひゃっ、わわっ・・・はっ、速すぎて何が何だか・・・」
一刀両断されて消えていくエーテリアスを眺めながら彼女がポツリと呟いている間に、周囲を囲んでいたエーテリアスは一匹残らず雅の持つ妖刀『骸討ち・無尾』の錆と化していた。
「立てるか?」
「ぁっ、ありがとうございます」
差し出された手を取って立ち上がった彼女が服に付いた埃を払っていると、リンのナビ通りに大回りで追いかけてきた柳を始めとする対ホロウ六課も辿り着く。
「課長っ、勝手に飛び出さないでください!」
「むっ・・・すまない、だがっ――――」
「わかっています、ですので手早く終わらせましょうっ」
「あぁ、援護を頼むっ」
柳が雅の隣に並び立って武器を構えるのと同時に上空を巨大な影が覆い、一行が見上げる先には"超級"エーテリアス『相利共生型エーテリアス群・コード:ニネヴェ』が小型エーテリアス『ホーネット』を引き連れて悠々と姿を見せる。
「・・・ニネヴェ」
彼女の囁くような声量の呟きが聞こえたように身体を向けるニネヴェは子供が欲しい物を求めるように腕を伸ばし、それに呼応するように周囲を舞う数十体ものホーネットが動きを見せる。
「浅羽隊員はプロキシさんとジャスミンさんの護衛と、私たちの援護をっ!雅課長と私、蒼角でホーネット他集結するエーテリアスに応戦します!」
「まかせてっ、ナギねえ!」
「斬り捨てるっ」
「了解ですっ、副課長」
臨戦態勢に入る対ホロウ六課の姿を目の当たりにして瞳を輝かせる彼女を尻目に、苛立った様子で咆哮を上げるニネヴェを合図に戦いの火蓋が切って落とされる。
ニネヴェの攻撃を躱しながら無尽蔵ともいえるエーテリアスの軍勢を対処している対ホロウ六課に、演算を終えたリンが彼女に抱き締められながら大きな声を上げる。
「皆っ、出口に続く裂け目を見つけたよ!」
「柳っ!」
「はい、課長!」
迫るニネヴェを一刀のもと押し返す雅は踵を返すと駆け抜ける勢いのままに彼女を抱き上げ、柳も続いてイアスを抱き上げると蒼角と悠馬も続いてその場を後にする。
「これって特別手当が出るんですよねっ、副課長!?」
「上にいくらでも請求してくださいっ!」
「蒼角、もうお腹ペコペコだよ~っ!」
「もう少しだけ我慢してくださいね、蒼角っ」
雅にお姫様抱っこで抱えられる彼女は後方で行われる会話を耳にして懐を漁り、飴の包み(メロン味)があることに気付いて軽く手を振って注意を引いてから蒼角に投げ渡す。
「えっと、今はそれで我慢してください!」
「やったー!ありがとうっ、ジャスミン!」
「ジャスミン、私の分は無いのか?」
「へっ?い、今はアレだけしか・・・」
緊張感のない会話を続ける面々の背後にはニネヴェを始めとした中型・大型エーテリアスが列を成して押し寄せる光景があり、イアスに接続するリンは対ホロウ六課はともかくとして彼女の落ち着いた様子に内心で驚きの声を漏らす。
「(ジャスミンって意外と肝が据わってるんだよね、けどそれだけじゃない気もする)って、見えたよ!あの裂け目に入って!」
降り注ぐ色とりどりの攻撃を躱して駆け抜ける面々がその勢いのまま裂け目に飛び込むと零号ホロウの外へと飛び出し、全員が通り抜けたことを確認すると同時に裂け目も閉じて一様に安堵の息を吐くのだった。
彼女が侵蝕状況や健康状態などの検査を受けている間に零号ホロウの活性状況が調査され、不思議なことに外からは一切の変化が見られずにエーテル活性も正常に戻っていた。
「おかえり、ジャスミン!って手首に包帯巻いてる、もしかして怪我したの!?」
「あっ、いえ!これはホロウに入る前に色々ありまして、ライカンさんに手当てしてもらったんです!」
「何処の輩だ、私が斬り伏せよう」
「その犯人なら既に治安局が拘束しています、安心してください」
「朱鳶さん!?」
検査を終えた彼女だが今度は治安局からの聴取を受けることになり、といっても安否確認などホロウ内であったことの聞き取りだけで終わりすぐに解放される。
「ご友人にも無事を知らせてあげてください、すごく心配していましたから」
「は、はい!ありがとうございます、朱鳶さん!」
「話は済んだか?では私のジャスミンは返してもらうぞ、朱鳶」
「帰すのは良いけど、貴女のではないでしょう。雅・・・それではリンちゃん、後日ビデオ屋に伺いますので心の準備をしておいてください」
「え、怖っ・・・悪い話じゃないよね、朱鳶さん!朱鳶さーんっ!?」
聴取を行った治安官の朱鳶からの助言で友人たちに自身は無事だから心配しないでと連絡を取り、両親にも無事を伝えて一段落した彼女だが今度は対ホロウ六課から声が掛かる。
そして現在彼女がいるのは対ホロウ六課が所属する『H.A.N.D』の大型ビル内にある第六課オフィスであり、全体を見渡せる雅の足の上に座らされて疑問符を大量に浮かべていた。
ちなみにリンは朱鳶から告げられた意味深な言葉に不安を覚えて、対ホロウ六課に彼女を託して一足先にアキラと相談するためにビデオ屋に戻っていた。
「えぇっと、私は何でここにいるんですか?」
彼女の問い掛けを耳にした雅は腰に回した腕の力を強めて抱き締め、柳は眼鏡を持ち上げながら柔和な笑みを浮かべて口を開く。
「さっきからその質問ばかりですね。今回の零号ホロウの異常な活性化とエーテリアスの集結にたまたま居合わせた貴女が関わっていると考え、特殊な検査やテストを行いたいとホワイトスター学会から要請がありましたが・・・雅課長が待ったを掛けたことで、現在話し合いがなされているために我々が一旦身柄を預かっているというわけです」
「わっ、私どうなっちゃうんでしょう・・・?」
「心配することはない、後は私が何とかしよう」
「課長の言う通りです、ジャスミンさんが心配することはありませんよ。ただ大事を取って明日は学校をお休みしてもらいます、連絡はこちらからしておきますので気にしないでください」
柳の言葉に大変なことになったと内心で混乱しながらも平静を心掛けて頷きを返す彼女は、短い時間とはいえ走り回って疲労が溜まっていたのかついつい欠伸が漏れる。
「眠いのか?なら仮眠室に運ぼう、ジッとしていろ」
「へ?ひゃっ・・・!」
そう口にすると彼女を抱き上げてオフィスを後にすると近くに位置する仮眠室を訪れ、ベッドに寝かせると優しく髪を梳くように頭を撫でて口を開く。
「お前も疲れているだろう、今はゆっくりと休むといい。次に起きた時には、いつも通り生活できるようにしておこう」
「んっ・・・ありがとうございます、雅さんっ」
落ち着いた声で語り掛ける雅の様子に安心感を感じて頬を緩ませる彼女は、重くなる瞼に逆らうことなく目を閉じると少しして寝息を漏らす。
「待っていろ、お前を誰にも渡すつもりはないっ」
最後に一撫ですると仮眠室を後にしてすぐにスマホを取り出してある人物に連絡を取り、オフィスに戻って柳に用事を済ませに少し出ると告げて建物を後にするのだった。
―――Z♡Z♡Z―――
割れ物を扱うような優しい手付きで頭を撫でられる感覚に閉じていた瞼を開いた彼女は、自身を優しい表情で見下ろす雅と視線を交差させて目を瞬かせる。
「むっ、すまない。起こしてしまったか?」
「ひゃっ・・・い、いえっ!ちょうど目が覚める感じでした!」
焦って妙な返しをしてしまったと気付いて頬を朱に染める彼女に、雅は口元を緩ませてベッドの端から腰を上げて彼女の腹部に腰を下ろす。
「起きてすぐですまないが、お前にしてもらいたいことがある」
「え、はい・・・?えっと、このまま話を続けるんですか?」
投げ掛けられた疑問に答えることなく伸ばした手で彼女の衣服を脱がす雅に、状況を飲み込めずに固まる彼女は言葉にならない声を漏らして戸惑いを見せる。
「? あぁ、そうか。こういう時はまず、キスからだったか」
「へ?いえ、そういうことじゃっ――――んむっ!?♡」
衣服を脱がす手を止めてそう口にする雅に意見しようと口を開こうとした瞬間に唇を奪われ、驚いて目を見開く彼女だが微動だにしない雅に困惑する。
「ん、んんっ♡・・・・・・んんんーっ、ぷはぁ!」
「んっ、すまない。いつ離していいか分からなかった、こういうことには不得手でな」
平然と告げる言葉に乱れた呼吸を整える彼女はムスッとして不機嫌そうに頬を膨らませるが、淡々と衣服を脱がす雅には効果がなくあっさり身包みを剥がされてしまう。
「服越しで見るよりも大きいな、柳以上の胸は初めて見る」
「んぅ、ひやっ・・・♡雅さっ、ひぁ・・・っ♡」
膨らみに手を這わせて感触を確かめるように持ち上げたり寄せてみたりと物珍しそうに弄ぶ雅に、彼女は甘さを含んだ吐息を漏らしながら手首を掴んで弱弱しい抵抗を見せる。
「むっ?お前も待ち切れないのだな、私もだっ」
「ふぇ?♡どういう意味っ――――ひゃ♡」
彼女の抵抗を催促であると解釈した雅はスカートをたくし上げて肉棒を外気に晒し、弾かれたように上向きにそそり立つ存在を目にして彼女は可愛らしい悲鳴を上げる。
「お前を見てから勃起が治まらなくてな、作戦中も雑念が混ざって大変だった」
「そっ、それは・・・ゴクッ♡私のせいじゃ、ないですよねっ・・・?♡スンスンッ♡」
膨らみを押し退けて眼前に突き付けられる肉棒に視線を釘付けにさせながら反論する彼女を尻目に、徐に膨らみを持ち上げる雅は肉棒を包み込むように寄せて挟み込む。
「ひゃんっ♡み、雅さんっ♡勝手に私のおっぱい使って、パイズリしないでくださぃっ♡んんっ、くぅ・・・っ♡」
「くっ、すごいなっ。もともと男根を挟むためにあるような胸っ・・・いや、おっぱいだ。気を抜けばすぐに果ててしまうっ、んっ・・・!」
そう言いつつも動かす手を止めずに膨らみを肉棒に擦り付けるように上下させて扱き、先走り汁でさらに滑りが良くなって扱く動きも早まっていく。
「ぐっ・・・!これは我慢、できないっ・・・!射精るぞっ、ジャスミン!」
「はっ、はぃ・・・っ♡んっ、わぷっ・・・!♡はぷっ、んぶぅ・・・!♡」
一際強く膨らみを押し潰すように寄せて肉棒を挟み込むと同時に高まった情欲を解き放ち、隠しきれなかった亀頭の先から勢いよく放たれた精液に寄って彼女の顔は白く染め上げられる。
「っ、ふぅ・・・!膣内に挿入するまで射精しない修業は、失敗してしまったな。お前のおっぱいの力を侮っていた、だが次は負けないぞっ」
「んあっ、ひゅぅ・・・っ♡雅しゃんの匂いに包まれてぇ、変になっちゃいましゅぅ♡ぇろっ、んちゅっ・・・♡」
首から上を真っ白に汚された彼女は精液の匂いに包まれてだらしなく口元を緩ませつつ、精液を指で掬っては口に運んで咀嚼して丹念に味わって飲み込んでいく。
「お前も気に入ったようだな、次はこっちにも馳走してやろう」
膝立ちとなって数歩下がった雅は愛液を垂れ流して十分に濡れた秘所を目にして喉を鳴らし、閉じられた両足を広げて秘所を露にすると熱く滾る肉棒を押し当てる。
「ひゃっ♡おま〇こ熱っ・・・♡そんなとこにおち〇ぽ押し付けちゃダメですよぉ、雅さんっ♡そんなことしたら雄が雌を自分のモノにしようって、考えてると思われちゃいますよぉ?♡」
「ならば間違っていないな、お前は私のものだ。ジャスミンっ」
真剣な眼差しを向けて告げられる言葉に胸を高鳴らせてキュンッ♡下腹部を疼かせる彼女は、自ら秘所を指で開くと腰を振って肉棒に擦り付けて媚びを売る。
「なら私のおま〇こを、雅さんの虚狩りおち〇ぽで貫いてっ♡名実ともに貴女のモノだって証拠を残して、心に刻み付けてくださいっ♡」
「元よりそのつもりだ、挿入れるぞっ?」
肉棒を秘所に押し付ける雅は最後の確認に問い掛けると頷きが返ってきたことで、一気に腰を突き出して膣内を押し広げながら最奥を貫く。
「ん、くっ・・・!全部挿入った、ぞっ・・・!」
「かひゅっ♡子宮押し潰されて、苦ひぃ・・・っ♡けど、これでっ♡私は雅さんのモノ、ですねっ♡――――んごっ!?♡」
だらしない笑みを浮かべて嬉々とした声で語り掛ける彼女だが、顔を俯かせる雅は反応を返すことなく腰を引いて再び最奥を貫く。
「みっ、雅さっ・・・ほごっ!?♡なにか、言っ・・・ふぎっ!?♡腰止めっ――――んぎょぉぉお゛ぉ゛ぉぉぉっ!!?♡」
無言で腰を振る雅に困惑した様子で声を掛ける彼女に配慮することなく、最奥を叩き潰されると同時に射精を行われて子宮内を満たしていく。
「はっ、はぁ・・・っ!まさかこれほどとはっ、夢中で腰を振ってしまった。ジャスミン、問題ないか?」
「んひっ、ふほぉ・・・っ♡はぃっ、問題ないでしゅ♡私のことは気にせず、好きなだけ膣内射精してくださいっ♡」
子宮内を満たす精液の熱さに頬を緩ませる彼女は問い掛けに肯定的に答え、それを聞いた雅は短く息を吐くと腰振りを再開して最奥を叩き潰す。
最初の膣内射精から一時間ほど経った頃、彼女は何度目か分からない絶頂を迎えて潮を吹く。
「んおおおぉぉぉぉぉっ!!?♡ほひゅっ、ほおぉぉっ・・・!♡」
「むっ、また絶頂したのか?私はまだ一回しか射精をしていないぞ、もっと気をしっかり持てっ」
「しっ、しょんなこと言われてもぉ♡雅さんの、虚狩りおち〇ぽっ♡強すぎて、無理でしゅぅ・・・っ♡」
「お前も修業が必要だな。安心しろ、私がいくらでも付き合ってやるっ」
そう口にしてすぐに腰振りを再開する雅によって敏感になった膣壁を削られる彼女はあっという間に絶頂を迎え、潮を撒き散らす様子に呆れながらも腰振りを緩めることなく逆に動きを速めていく。
「私もそろそろ射精するぞっ、しっかり子宮内で受け止めろっ・・・!」
「ふぎゅっ、ほびゅっ・・・!♡は、はいっ♡雅さんのつよつよ遺伝子受け止めてっ、私の卵子喰い潰してくだしゃぃっ♡――――ふぎょほぉおおおぉぉぉぉぉぉっ!!?♡」
彼女の腰を掴んで肉棒を根元まで突き入れる雅は今まで我慢していた分も解き放ち、子宮を突き破らん勢いで流し込まれる精液に大きな嬌声を上げて一際身体を跳ねらせる。
「んぎっ、ぐうぅぅっ・・・!♡射精、長っ・・・!♡ぐぎっ、ぶひゅぅぅ・・・っ!♡」
射精中もグリグリッ♡と押し付けられる肉棒に絶頂でゆるゆるとなった子宮口はあっさりと抉じ開けられ、子宮内に侵入した肉棒はカリが引っ掛かって抜けなくなり彼女も異変に気付いて声を上げる。
「こ、こりぇ・・・!♡子宮におち〇ぽっ、入ってましゅ!♡子作り部屋に直接射精されてっ、イグう゛う゛ぅ゛ぅぅぅぅっ!!?♡」
「そうなのか、どうりで男根への締め付けが強くなったわけだ。だが私に支障はない、続けるぞっ」
「そっ、そんにゃっ・・・!♡んぎゅっ、ぶほっ・・・!♡ぐぎゅっ、ぶぎ・・・っ!♡」
腰を引かれる度に子宮を引き摺り出されて突き出される度に子宮内から押し戻される未知の感覚に、彼女は目を白黒させながら身体全体を痙攣させて容易く絶頂に導かれる。
「どうした、さっきよりも弱くなっているぞ?」
「だって、こんにゃのぉ・・・!♡耐えるなんてっ、むり・・・っ!♡――――んィグヴう゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅっ!!?♡」
「まだまだ修行が必要だな、へばっている暇はないぞっ」
身体を仰け反らせて盛大に潮を撒き散らして絶頂を迎える彼女に、一切配慮することなく腰振りを続ける雅は我慢をやめて何度も膣内射精を行い始める。
顔射以降の射精を全て子宮で受け止める彼女の腹部は妊婦のように膨れ上がり、未だ子宮に突き刺さったままの肉棒は萎えることなく寧ろ回数を重ねるごとに怒張していく。
「お前のおま〇こ?だったか、これを名器というのだな。たしかにいくら射精しても萎える気がしない、無限にお前を使い続けられるぞっ」
「はへっ、はひゅぅ・・・♡私も雅さんのおち〇ぽ味わえてぇ、幸せでしゅぅ・・・っ♡」
「そう言ってくれて、私も嬉しい。夜はまだまだ長い、今日はとことん付き合ってもらうぞ」
「ぇへっ、ひゃいっ♡雅さんの気が済むまでぇ、私のおま〇こ使って気持ち良くなってくださぃっ♡」
蕩け切っただらしない雌の表情を浮かべる彼女に肉棒の硬さを増しながら言質を取った雅は、腰振りを速めて数えるのも億劫なほど行ってきた射精をして性行為に没頭するのだった。
―――Z♡Z♡Z―――
身体を揺らす規則的な衝撃に重い瞼を開けた彼女がまず目にしたのは一糸纏わぬ雅の姿で、次に感じる快感に口から甘い嬌声を漏らして枕元に置かれたスマホを確認する。
「んっ、くぅ・・・っ♡ぁっ、雅さん♡朝っ、もう朝ですよっ♡一旦腰を止めて、くださいぃ♡」
「むっ・・・もうそんな時間か、時が経つのは早いな」
最後に見た時よりも二回りほど大きくなった腹部越しに視線を交わす雅にそう声を掛けるが、腰振りが止まるどころかむしろ速度を速めていく。
「これで最後だ、暫し待て・・・くっ!」
「ふひゃっ!?♡本当に射精てっ、んんっ・・・!♡ふぐっ、ふあぁ・・・っ♡んちゅぅ、ぷぁっ♡」
言葉通り射精を終えた雅は口付けを交わすと膣内から肉棒を引っ掛かった子宮口ごと引き抜いて立ち上がり、ベッドに横たわる彼女を抱き上げるとシャワー室に続く扉に向かう。
「まずは身を清めるとしよう、このままでは皆の前に顔を出すことができないからな」
「た、たしかにそうですねっ。わぷっ、むちゅ・・・っ!?♡ちゅっ、ちゅぷっ・・・♡」
一緒にシャワー室に入ったものの我慢できずに再び口付けを落としてから性行為に及ぶ雅によって、射精の手助けを数回もすることとなった彼女は苦笑を浮かべつつも拒むことなくしっかりと子宮で受け止めるのだった。