幼稚園の頃からいじめにあって独りぼっち。誰の事も信じられなかった。そんな時、スマートフォンから出て来たのが、僕の初めての友達だった。その友達と出会って幸せな気持ちになれて、君だけがいればいいと思っていた。そう、あの出会いまでは・・・。
ニュータウンに引っ越して、少年、松本彼方(まつもとかなた)は乗り気じゃない歩きで学校に向かっていた。
『彼方、新しい学校に行くんだってな!』
スマートフォンの中で王冠を被ったオタマジャクシのデジモンが呼んでいた。
「うん、これから学校に行くんだ・・・」
『彼方、学校で沢山友達が出来るといいな!』
「いいんだよ、そんなのがいなくたって。僕の友達はオタマモンだけだから・・・」
彼方はそう言って校内に入っていった。
「はい、皆。転校生の松本彼方君です。仲良くしてあげてね」
学校の教室で担任の先生に紹介された。彼方はドキドキしながら一言も話さず立っていた。
(なるべく目立たないようにしよう。出来れば誰とも関わらずに学校生活を終えたいな・・・・)
彼方はそう思いながら先生の指示を待った。
「それじゃあ彼方君、山口昌君の隣に座って」
先生に言われた席は一番後ろの席だった。
(良かった、ここなら目立たないよね・・・)
彼方は言われた通りにその席に座った。隣には薄茶色のショートヘアーにボーイスカウト風の半袖に太腿を露出した半ズボンを履いた眼鏡をかけた美少年が座っていた。彼方はその少年の隣に座った。
「転校生だね」
「ひ?!」
座るとその少年が声をかけた。
「僕は山口昌(やまぐちしょう)、よろしくね、松本彼方君♪」
昌は可愛い笑顔で挨拶した。
「ピース、ピース、転校生、ピース!」
そしてその隣の席で白のへそ出しタンクトップに太腿を大胆に露出したホットパンツを履いた小麦色の肌の少年が彼方にピースサインをしていた。
「俺、立川広夢(たてかわひろむ)!よろしくな転校生!」
「広夢君、声が大きいよ」
そして広夢の隣にいる、半袖に太腿を露出した半ズボンを履いたいかにもお金持ちそうな少年が彼方に挨拶した。
「僕は白鳥裕一(しらとりゆういち)、よろしく」
裕一は笑顔で彼方に挨拶した。
(な、何でこんなに馴れ馴れしく接して来るんだ・・・?)
彼方は気安く接して来る三人に驚いていた。でもすぐに忘れるだろうと思い気にしなかった。こうして彼方の学校生活が始まった。
「あれ、無い・・・」
算数の授業になり、彼方は教科書を忘れた事に気付いた。
「彼方君、忘れたの、僕のを見せてあげるね」
隣にいた昌が彼方に教科書を見せた。
「え・・・」
「友達だから助けるのは当たり前だよ」
昌は笑顔で彼方に言った。
「あ、うん・・・」
今まで優しくしてくれた事が無かったので彼方は上手く言えなかった。
「彼方、サッカーしようぜ!」
休み時間、広夢が彼方にサッカーを勧めて来た。
「僕はいいよ・・・」
「ちぇ、つまんねえの・・・でもまた誘うからな!」
広夢は裕一と一緒に運動所に向かっていった。
そしてお昼になった。
「・・・・・」
彼方の席を昌、広夢、裕一が囲っていた。
「へえ、彼方、玉子焼きなんだ。俺の唐揚げと交換しようぜ!」
広夢が唐揚げと交換しようと言った。
「え、いやだよ」
「ええ、つれねえなあ・・・」
(どうしてこんなに気安く・・・)
三人が距離を近くして接して来る。いじめられて来た彼方はそれが何を意味するのか理解出来ないでいた。
翌日・・・。
「彼方君、お待たせ!」
「彼方、弁当食べようぜ!」
昌達が弁当箱を持って彼方の席に来たが、彼方はいなかった。
「あれ、彼方君、どこに行ったんだろう・・・?」
「ふう、ここまでくれば来ないよね・・・」
彼方は屋上に来て横になっていた。自分に接近して来る昌達に疲れていたのだ。
『彼方、あいつ等と遊ばなくていいのか?』
スマホの中でオタマモンが聞いた。
「うん、いいんだよ、今は馴れ馴れしくしてるけど、すぐに忘れるから。それに、僕の友達はオタマモンがいればいいから・・・」
そう言って彼方はスマホを閉じた。
「ふう、どうしてあんなに馴れ馴れしく・・・でも、悪い子じゃない気がする・・・ああ、面倒くさいな、忘れよう!」
そう言って彼方は眠りに落ちた。
「ううん・・・」
しばらく眠って目を覚ました。
「おはよう、彼方君♪」
「え、わああ!!!」
目覚めると昌が正座をして笑顔で座っていた。近くに彼がいる事に彼方は驚いて後ずさりをした。
「屋上で寝ていたんだね」
「彼方、ここで寝てたんだな♪」
「君が起きるのを待っていたよ」
見ると広夢と裕一も微笑んで待っていた。三人が屋上に来ている事に彼方は驚いていた。