元暗殺者の七転人生 作:京谷ぜんきまるpixiv
目覚めた時、ラーシャは柔らかい簡素な寝台の上で寝ていた。
体には毛布がかけられてある。その下は全裸だった。
体中が疼き、擦り傷や痣が痛む。
体力は少し回復していたが、敗北の重さはまだ胸に残っていた。
淫の気の影響で、体は異様に敏感になっていた。
周囲を見回すと、板壁にはの上部には光の魔力で発光するジオルミ照明灯が架けられていた。
木製の棚には保存食とポーションが置かれ、床には獣の皮が敷かれている。
天井が普通の家屋より高い。
地下の隠れ家らしい、質実剛健な造りだ。
(ここは……あの女の巣か……)
体を起こすと、すさまじい倦怠感と性感の疼きが全身を覆った。
体の節々が痛い。そして――。
「うっ……!」
思わず目をきつく閉じた。
(なんてこった……まだ、こんなに疼いてやがる)
下腹に手を当てる。
何度も……貫かれた。
その感触が、いまもある。
アルパイスの闘気と淫気で形成された陽根が、まだ膣内に収まっているかのようだった。
いや、それよりも――。
(奴は……アルパイスは、あたしよりもはるかに強い……!)
意地でも「まいった」の一言は言わなかったが、それが一体何だというのか。
一対一での戦いでの、初の完全敗北を喫したことをラーシャは心では認めていた。
認めるしかなかった。
だが、それだけではない。
敗北は一回ではなかった。
何度も倒され、その最中に性の快楽を刻まれ、何度も絶頂を極めさせられた。
部屋唯一の扉が開き、アルパイスが姿を現した。
「起きたか」
「……」
「ここはアイザートリアにある俺のセーフハウスの一つだ。倉庫も兼ねているが……さて、さっそくだが一晩の約束、果たしてもらうぞ」
ラーシャはうなだれた。
「好きにしろよ……散々ヤッたのに飽きないのかよ」
アルパイスは静かに笑った。
その笑みは何のこだわりもない、ラーシャに対する好意の笑みだった。
(意識が混濁するまで消耗した相手を散々貫いた奴が浮かべる笑いじゃねえっ)
思わず心の中でそうツッコむが、ラーシャはなぜかそれ以上怒る気になれなかった。
「何を言ってる。つき合ってもらうのは、まあ
「なっ……」
ラーシャは息をのんだ。
アルパイスは穏やかに話を続けた。
「お前の闘志は素晴らしい――わたしと修練を共にすれば、もっと強くなれるぞ? お前にとっても悪くない話だ」
ラーシャは、体の疼きがやっと治まっていくのに反比例して、抵抗の意志が薄れていた。
それでも反抗的な言葉を返す。
「ふざけんじゃねえ……こんなところで何すんだよ」
アルパイスは肩をすくめた。
「ふざけてはいない。お前の体で、私の技を覚えろといっているんだ」
彼女はラーシャに立ち上がるよう促した。
アルパイスはラーシャに近づき、低い声で囁く。
「私の修練は、ただの肉の交わりではない。武術に、性交時に使用される淫術を融合させる。それがルストアーツの真髄だ。これを習得すればお前の強さは飛躍的に高まる」
ルストアーツ。
たしかに戦闘時に強制的に性的興奮状態にさせることができれば、相手を混乱させ、身体操作の精度を乱し、体力を消耗させることができる。
……それは身をもって体験した。
わずかながら、ラーシャはルストアーツに興味を持ち始めていた。
「……やってみろよ」
ぶっきらぼうにそう応えるラーシャ。
アルパイスは満足げに頷いた。
「そうこなくては」
修練が始まった。
まず、アルパイスが脱衣して全裸になった。
ラーシャはそれを見て、羽織っていた毛布を肌から滑らせ、裸体を露わにした。
豊乳が重く揺れ、引き締まった腹筋が汗で光る。
「攻撃するぞ。防御してもいいし、躱してもいい」
アルパイスがそう言って無造作に近づいてくるので、ラーシャは反撃の用意をした。
だがアルパイスはどんどん距離を詰めるばかりでなかなか攻撃してこない。
(なんだ? 何を狙って――)
ゆっくりと突き出された手刀……ともいえぬアルパイスの手を己の手で払う。
またアルパイスが手を伸ばしてくる。今度はさっきより速い。
拳打、掌底、手刀、払い、防御、掴み……
どんどん速度が上がり、風切り音とともに常人の肉眼では見えぬ速度に達しても応酬が続く。
淫気を警戒していたラーシャの気が一瞬逸れた。
その直後、彼女の臍穴をアルパイスの人差し指で刺突していた。
「う゛ぉ」
臍が人体の急所である事はラーシャも知っている。
だが攻撃ポイントとしてはあまり選ばれない箇所だ。
予想してなかった攻撃に、ビクッ、ビクッ、ビクッとラーシャの腹直筋が痙攣する。
闘気と淫の気が込められた指突きは、腹筋を貫く痛みを与えつつ、内側から熱い波を広げる。
「ここはルストアーツでの攻め所だラーシャ」
ラーシャの体がビクンと震え、せっかく回復していた下腹部がまた、熱く疼く。
「ぐっ……この野郎!」
彼女は反撃に拳を振るうが、アルパイスはそれを関節技で捻り上げ、腕を背後に回した。
痛みで体が弓なりになり、巨乳がアルパイスの胸に押し付けられる。
「淫気を込めて与えられた痛みは快楽を生み出す。痛みが消えるわけではないのがポイントだ」
「くそっ……!」
アルパイスはラーシャを投げ技で床に転がし、馬乗りになった。
「あッ!?」
煙のようなオーラがアルパイス下腹部から立ちのぼり、あの見えない陽根が気によって形成された。
ラーシャの秘所に押し当てるが、すぐに挿入せず、戦いを続ける。
「まだだ。もっと戦え」
ラーシャの脚を広げ、膝関節を極めながら、指で秘部の肉芽を摘む。
「くひい!?」
さらに淫の気が注入され、発情が加速する。
「これじゃ路地裏の時と同じじゃないか!」
「攻撃も、防御も、受け身の技も、飽くなき反復によって磨かれる。ルストアーツとてそれは同じだ。感じろ。路地裏の時より、お前の体はもう私の技を覚え始めてる」
「っ、ッッ!」
「次はアーツではなく、
「それって、ヤるってことだろーが!」
「そうだ。自らの性交時の最高の快感を抑制し、逆に相手を絶頂させる」
「ちょっと待っ――うあああああッッ!!!」
闘気と淫気。二つのオーラで形成された陽根は本来の侵入する経路を使わずに、ラーシャの下腹部から皮膚と肉を透過して、膣内に沈み込んだ。
「だ、ダメだ……い、いく……イク!」
ラーシャは絶頂に達した。
この時、ラーシャは、身の内の力が、抜け出て発散され、それがアルパイスに流れ込んでいくのをたしかに知覚した!
(これが、ルストスキル……相手の絶頂時に発散する気を蓄えるのか)
「これがエナジードレイン……吸精というルストスキルだ。絶頂時に発散する『精気』を吸収し己の淫気や闘気の源である霊力に還元する。お前もこの技を習得できる」
「お前、本当に人間なのか……そもそも俺はこんなスキルを覚えたいとは一言も――あう!」
体位を変え、アルパイスはラーシャを四つん這いにさせた。
「尻を上げろ」
「う、うう」
「……別にそこまで素直にならなくてもいいんだぞ? 淫気に対する防御や耐性を上げるスキルを持っているわけじゃないだろう」
「う、うるせえ!」
後ろから陽根が、今度は
アルパイスは深く突きこみながら、関節技を仕掛けた。
腕を捻り上げ、四つん這いの体制から上半身を突っ伏させる。
痛みと快楽の挟撃でラーシャを責める。
「あぁっ……痛ぇのに……気持ちいい!? な、なんでだよ、この……!」
ラーシャの声が甘く変わり、腰が勝手に動き出す。
「被虐嗜好の気質がお前の肉体と精神を付与されているのだ。しかしいいぞ」
「何にがいいんだよ!」
「それでいい。戦え」
アルパイスは投げ技を打つかのようにして彼女の体を回転させ、正常位に戻す。
臍穴を再び指で触れる。
「ふぐッ!?」
びくんと大きくラーシャの腹直筋がうねるのを確認すると、ラーシャのたくましい腰をがっしりとつかみ、腰を突き入れた。
子宮口に淫気と闘気で形成された見えざる陽根が到達すると同時に、アルパイスは三度ラーシャの臍穴に指を突き入れた。
残酷なまでにゆっくりで優しい手つきだった。
二穴の刺激で彼女の体が限界を迎え、絶頂の波が襲う。
「んぐっ……イグっ……! あぁぁっ!」
絶頂の瞬間、彼女の精気が発散し、秘所から潮が噴き出した。
アルパイスはそれを精気を吸収し、自身の闘気を高め、ラーシャには淫気を注入……。
今のラーシャはそれを受け入れることしかできない。
「もしお前が絶頂の気を蓄えるスキルを学んだらどうなると思う。お前と私の肉の体ともう一つの体……闘気や淫気を発生源である霊体に環流が生まれるのだ。そうすれば私と拮抗することができる」
「はぁはぁ……そんなの、無理だ……絶頂抑えろって、立て続けにイカせてきやがってぇ」
「環流を伴う性交は、互いの力を高め合える。学びたいとは思わんか?」
「……計数は得意じゃねえけど、引かれたものが元にも土手くるだけじゃないのかよ……」
「いや、違う。まあ今はいい。続けるぞ」
「い、いつまで?」
「朝までだ」
「う……あ」
一晩中、『淫』の修練は続いた。
体位を変えながらの戦い――騎乗位でラーシャが上になり、アルパイスを殴るが陽根の突き上げを食らって悶絶する。
ついにアルパイスは腰を本格的に使い始めた。
側位で抱き締め、首筋を噛みながら抽挿を開始する。
「ここ、弱いな」
「やめっ、そこ噛むなんっ……!」
またもや投げ技で体を翻し、ラーシャの尻の蕾に指をあてた。
ラーシャは激しく狼狽した。
「や、やめろ。そこはマジでやめてくれ!」
「二穴責めで耐えろ」
ずぶりと指をいきなり二本も挿入され、ラーシャは髪を振り乱して悶絶した。
「いずれこちらにも、陽根をぶち込むからな」
「グス……」
洟を啜る音が聞こえ始めて、今度はアルパイスがわずかだが狼狽した。
「い、今ではない。いずれ、な?」
痛みと快楽が交互に訪れ、ラーシャの体は次第にアルパイスの淫の気に適応していく。
だがそれは同時に慣らされているということでもあった。
アルパイスの絶妙の力加減もあるのだろう。
淫気の感じ方、その肌触り、味までも覚えていくラーシャであったが、自らの快楽を抑え込むことはできず、怒涛の如く刻まれていく快楽に流され、立て続けに達し続けた。
「お前は強い女だ。このスキルを身につけろ。絶頂を抑えるのだ、相手の気を吸収する。次は私を逝かせてみせろ」
アルパイスは彼女に教えながら、お互いの体をぶつけ合わせる。
しかし、ラーシャは立て続けの絶頂で消耗し、体がぐったりとしはじめた。
いつの間にか発汗も止まっている。ラーシャの肉体は一回り萎んだかのように乾いていた。
「もう……限界だ……体が、ピクリともしねえ……」
アルパイスはヒュッと短い呼気を吐いた後で、淫気を消失させた。
陽根を形作っていたオーラも消してラーシャを見つめた。
その瞳に気づかいの光が宿っている。
「なら、回復させてやる」
アルパイスを自らの股間をラーシャのそれに当てて、腰を揺すり始めた。
完璧に抑制し続けていた絶頂感をあっさりと解放。
ビュッっと白濁した秘蜜がアルパイスの秘所から噴出した。
濃厚な匂いが室内に漂った。その時発散された大量の精気がラーシャに降り注いた。
さらにアルパイスは、淫気ではなく自身の闘気を回復のエネルギーに変えてラーシャに注入する。
ラーシャの体が温かく満たされ、心地よい陶酔感に彼女は硬骨のため息をついた。
「はぁ……これ、何だ……体が……すげえ楽に」
ハッとしてラーシャは驚きの目でアルパイスを見上げる。
「おい……お前、なんでそんなことすんだよ? 力を高め、蓄えるための修練じゃねえのか?」
アルパイスは肩をすくめ、低く笑う。
「お前を、一方的に消耗させて終わりにするはずないだろう」
ラーシャの頰がわずかに赤らみ、視線を逸らす。
「フン、バカ野郎。そんな気遣い……まあ、悪くねえけどよ」
夜が明ける頃、ラーシャは汗と体液にまみれ、俯せになったアルパイスの広々とした背中にもたれていた。
体は疲弊したが、精神は研ぎ澄まされている。
「はぁ……一晩、長いぜ……」
「少しは興味が湧いたか? ルストアーツに」
ラーシャは困ったような顔をした。
アルパイスは身を起こした。
「実はな」
「ん?」
「お前は今、標的にされている」
「……なに?」
「私はお前を暗殺する仕事を請けてやって来たんだ」