対魔忍の、淫闘禄 作:ごきまる
ベルテイン・スポットをあとにした二人は、地下都市ヨミハラの雑踏を歩いていた。
篝火とネオンが混じる繁華街の空気は、洞窟の湿った淫臭とは真逆で乾いていた。
あさつきは銀のバイザーを着けたまま、フード付きの外套を羽織っている。
その下は、何も纏っていない。
肌に残るゴルガンの体液の感触が、歩くたびに思い出された。
交差点の手前で、ゴルガンが足を止めた。
「ここで別れよう。あさつきよ、淫魔と触手使いによってお前の肉体と霊体の門は拡げられ、開いたままであった」
「……」
「肉体が治療されても、精神と霊体はそう簡単にはいかん。だが開きっぱなしの門の“虚”に巣くっていた蟲もお前自身の手で倒した。開いた門に新たな気(※対魔粒子)を通せるようになった今、ある程度疼きも抑えられるだろう。ある程度はな」
ニヤリと笑うゴルガンを見てあさつきは微かに唇を噛んだ。
「もう小鬼どもの巣に用はなかろう。今後はもっとよい肉交に励むことだな」
そう言って踵を返すゴルガン。
あさつきは彼の背を見て、小さく息を吐いた。
感謝はあった。触手獣を引きずり出し、斃すきっかけをくれたのは確かだ。
だが同時に、あの洞窟で晒した痴態が、胸の奥で熱く焦げ付いていた。
気で形成した陽根による体内貫通。
リバース・フルネルソン──背面駅弁固めのままアナルを犯され、大量の雄液を排便させられたこと。
対魔忍として、女として、あれほどの恥を見られたことが許せなかった。
(今の私なら三日三晩の性交にも耐えられる。お前にも我が房術で恥をさらしてもらうぞ、ゴルガン……!)
口から泡を噴き、気絶しても許しはしない。
気が晴れるまで嵌め倒してやる。
あさつきは振り返り、低く言った。
「……ちょっと付き合え。部屋がある」
ゴルガンは片目を細めたが、拒否はしなかった。
高坂静流が経営するバーの入ったビル。
その上階、あさつきがヨミハラでの拠点にしている一室へ、二人は入った。
狭いが、ベッドと簡易の台所があるだけの殺風景な部屋。
窓の外では、繁華街の喧騒が遠い太鼓のように響いている。
あさつきは外套を脱ぎ捨てた。
銀のバイザー以外、何も残らない白い肢体が、室内灯に照らし出される。
限界突破の余韻か、肌にはまだ薄い光沢が残っていた。
「横になれ」
ゴルガンは言われるままベッドに仰向けになった。
巨大な裸体だった。
すでに半勃起した濃緑の肉幹が、重力に逆らってそそり立つ。
あさつきは跨がった。
騎乗位。
自ら腰を沈めて、熱い巨根を膣内に咥え込む。
一度広げられた秘肉は、抵抗なく彼を奥まで受け入れた。
パチンパチンと肉と肉がぶつかり合う音が室内に響いた。
……やがて、その音にチャッ、ピチャ──っと、水の跳ねる淫らな音が混じり始めた。
「──ふ、んうッ」
「どうした、志賀あさつき。俺のイチモツをねじ切ってやらんばかりのさっきまでの勢いはどうした」
ゴルガンはニヤリと笑う。
あさつきは答えず、腰を動かし始めた。
房術──対魔忍が伝わる密技のひとつ。
括約筋と膣の肉襞の一枚一枚までを自在に操り、締め、擦り、吸い付く。
ゴルガンの剛直を根元から先端までしゃぶるように、内側で波打たせる。
(出せ……出せ……お前の精を、全部搾り取ってやる……)
だが、ゴルガンは一度たりとも射精しなかった。
逆に、あさつきのほうが先に崩れた。
軽い絶頂の波が十数回、すでに身体の内側を撫で上げている。
それを必死に受け流しながら、あさつきは歯を食いしばった。
(バ、馬鹿な──んひぃ!)
腰の動きが乱れる。
締めれば締めるほど、自分のほうが熱を持っていく。
限界突破したはずの身体が、普通の抽挿だけで甘い痺れを積み重ねていくのが怖かった。
「どれ、攻守交代と行こうではないか」
「ッ」
あさつきは引き抜かれ、うつ伏せに近い形でベッドに押し倒された。
後背位。
ゴルガンの巨手が彼女の腰を掴み、再びアナルではなく膣へ、熱い肉槍を沈める。
あの洞窟で犯され尽くしたあさつきには、わかっていた。
まだゴルガンは淫術を使っていない。
気も、発勁も、霊修も、何も乗せていない。
ただの、生身の性交だ。
「ハァ、ハァ、ア、あぐぅッ!」
「グッフッフッ……」
(き、気持ちいい! そ、そんな! 淫気も込められていない普通のセックスがなぜこんなに)
肉がぶつかる音が、狭い部屋に響く。
あさつきの豊満な尻が波打ち、ベッドがきしむ。
ゴルガンの抽挿は深く、正確で、子宮口を優しく、しかし残酷なほど的確に小突き続けた。
「自らに巣くっていた触手一匹始末して、己の限界を超えたことで一皮も二皮も剥けたことは認めよう。しかし俺に肉交の勝負を挑んでくるとは、可愛いな志賀あさつき」
「うるさいッ。お前の精が尽きて恥をさらすまで、どれだけ果てても私は──」
「まだ一発も出させてないのにか」
「だ、だまれ!」
「ならばまずは挨拶代わりだ。ほれ、翔べい!」
そう言って、子宮口を残酷なまでに優しく小突いたあと、あさつきの豊満な尻をギュッと掴んだ。
ゴルガンは肉槍をグリグリと動かした。
「おれは体中のどこでも、どのような動作でも発勁ができるのだ……ほれ、このように肉の奥にッ」
「んいぃぃ!!??」
内臓に衝撃が走った。
稲妻が脳天まで突き抜け、あさつきは奥深いアクメに達した。
大量の発汗とともに、一瞬息を止め、こらえきれなくなって口を開き、舌を突き出しながら嬌声を漏らす。
「ぁいいィィ!」
「小鬼共の細槍に慣れすぎたか? よい締まり、食い絞りではあるが奥が甘いぞ。否、実に美味ではあるがな」
「は──っ ハ──~~……っ、ハァ~~」
ゴルガンは腰の動きを止め、あさつきの背に顔を寄せた。
「本来ならここでさらに追い打ちをかけるところであるが……淫闘の道をやっと歩み始めたばかりのお前にチャンスをやろう。再びお前が上になるがよい」
(お、おのれぇ……ば、バカにして)
どっかりと床の上に──いや、ベッドの上に仰向けに寝たゴルガンに、あさつきは緩慢な動作で再び跨がった。
膝が笑い、太ももが震えている。
それでも彼女は、銀のバイザーの奥で歯を食いしばり、熱い肉幹を再び自分の中へ沈めた。
房術を再開する。
今度は膣だけでなく、アナルの括約筋まで連動させ、内側から二重に締め上げる。
対魔粒子が微かに燃え、秘部の内壁が熱を持った。
(出ろ……出ろ……お前を、先に落とす……)
だがゴルガンの呼吸は、まだ整っていた。
あさつきのほうだけが、また軽い絶頂の波にさらされていく。
窓の外で、ヨミハラの夜が更けていく。
この部屋の中では、まだ勝負は始まってもいなかった。
──―