※この作品はR-18です。

約5割はAIによるアイマスクなヒロピンを   作:総武文芸部

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4話② 水の魔族との戦いから

(前回までのあらすじ)

 春野愛梨は、大学の帰りに魔族を発見した。彼女はまだ昨日に魔法戦士ルミナとして初変身したばかりで、その時の魔族にとどめをさせたくらい。そのため、本格的な戦闘は未経験だった。せめて1日でも先輩魔法戦士であるアクエリアを休ませたくて、ルミナは1人で水魔族リヴィアに立ち向かっていた。光属性だけでなく、火属性魔法すら有利な相手にも関わらず、防御や牽制を中心に戦う魔族に、攻めあぐねていた。

 

 ルミナは1度水の牢獄に捕まり、コスチュームがびしょ濡れになったが。

 拳に炎を纏っているうちに、だんだん動きやすくなっていた。

 

 そして、彼女は早く決着をつけようと急いでいた。

 

「……そうだ、あれなら!」

 

 アクエリアも使っていた光属性魔法の必殺技だ。

 サファイアのブローチが強く輝き、両手から光が奔流となって放たれる。

 

「先輩直伝! ホーリートルネード!」

 

 そんな光の竜巻が、水魔族リヴィアの身体を飲み込んだ。

 このままいけば、先日倒した土の魔女のように浄化できるはずだ。それほどまでに魔族は光属性魔法が弱点だと、ルミナは信じている。

 

 次の瞬間にはリヴィアの身体が、液体に変わって崩れ落ちた。

 これで倒したと思ったが、しかしまだ魔族の魔力が感じられるままだ。

 

「……えっ…まさか分身?」

 

 ルミナは唖然としてしまう。

 リヴィアの声が、背後から聞こえた。

 

「警戒してたけど…そんな必殺技も隠してたか…でも」

 

「くぅ……」

 

 ルミナは振り向いて、余裕な表情は崩さない。

 

 しかし心の中では悔しさでいっぱいだった。

 さっきの必殺技で、魔力を3割ほど消費した感覚が、はっきりと伝わってくる。いわゆる無駄撃ちに終わってしまったのだ。

 

 しかもルミナの残りの魔力は、これでもう5割未満だった。その大半が、攻撃が空振りになったことによる消耗だ。

 同程度の魔力量を持っていても、アクエリアはもっと上手く立ち回れていただろう。

 

 そしてルミナは思わず、後退しそうになる。

 もし魔力がなくなったら、戦うどころか、逃げることすらできない。また人質にされでもしたら、アクエリアに迷惑がかかる。

 

(ヤバそうだったら…一旦逃げなきゃ……)

 

 そして、そんな弱腰となっている思考の隙を突かれる。

 水のカッターが、真正面から叩きつけられた。

 

 

【挿絵表示】

 

「んぐっ!?」

 

 変身コスチュームの自動防御でも抑えきれない痛みが走る。

 ルミナの身体が大きくよろけた。

 

 その瞬間、彼女は昨日の光景が脳裏をよぎる。

 アクエリアが、様々な拷問や屈辱を受けて、傷ついていた姿だ。

 

「きゃあっ!」

 

 そのままルミナは、前に倒れ込んでしまった。

 地面のぶつかった時の痛みまでコスチュームは自動防御してくれるようだが、代償として魔力は消耗していた。

 

 たとえ変身能力を得たとしても、魔力がなくなれば、無力な女子大生に戻ってしまう。身体能力も日常的なもので、魔法は扱えなくなり、痛みから守ってくれるコスチュームもない。

 

「……にげ…ないと…」

 

 ルミナはゆっくりと立ち上がって、震える足で、ゆっくりと距離を取り始めた。

 

 しかしリヴィアが、淡々と宣言する。

 

「逃がさない。あなたの魔力をもらう」

 

 水の触手が意思を持つように伸びて、ルミナの両腕と両足、そして腹部を絡め取った。

 

【挿絵表示】

 

 水の拘束は、思った以上に冷たかった。

 肌に触れるたび、どんどん体温まで奪われていくような感覚がある。足先が震えているのが自分でもわかる。

 

「え…なに…これ……なんで……」

 

 ルミナはすぐ火属性の魔法を放出しようとしたが、重なるように起きたことに驚いてしまう。

 

「こんなのっ……! えっ、何のつもり!?」

 

 胸元のルビーのブローチに、水のチューブが接続されてしまう。しかもそれは青系統の色に無理やり変化される。

 そして、そこから魔力が、ゆっくりと吸い出され始める。

 

「…っ……まさか……」

 

 ルミナは不安で緊張して動けなかったが、その感覚は痛みではなかった。

 

 残っていた魔力が抜けていく。

 それでなぜか身体が火照ってたように熱い。

 

「ダメ…とらないで……!」

 

 魔力は、ルミナにとって戦うための必要なものだ。

 それを奪われるのは、イヤなことのはずなのに、なぜか気持ちよく思ってしまう。そんな矛盾がルミナを襲っていた。

 

 身体の内側が、じわじわと熱を持つ。

 頭がぼんやりして、思考が遅れる。

 

「火属性、吸収の効率がよくない」

 

 そんなリヴィアの呟きが、ルミナにとっては遠くから聞こえてくるかのようだ。

 

「連れ帰って、回復させながら奪おうか。魔力タンクにして」

 

 そんな言葉の意味が、はっきりと理解できてしまう。

 

(……まずい)

 

 ルミナは必死に奥歯を噛みしめる。

 ここで意識を手放したら、終わりだ。

 

「キミが使う、火も光も危険。だったら、なおさらね」

 

 リヴィアは再び水の触手を操作した。

 

「んぅ……!」

 

 ルミナは、思わず身をよじってしまう。

 もだえて、口から甘い声が出てしまう。

 

「ぁぅ……やだぁ……」

 

 変身コスチュームに守られている素肌にまで、すでに水は浸透しきっている。変身コスチュームで完璧に隠されている純白の下着の奥だ。その部分の水を的確に操作され始めていた。

 

「この…感覚ぅ…なんなのぉ……」

 

 両胸のデリケートな部分に。

 女性として最もデリケートな部分に。

 ルミナは、ビリビリと振動を受けているかのようだった。

 

 やがて、ぺたんと座り込んでしまった。

 

【挿絵表示】

 

「ぁぅ……いやぁ……」

 

 決して痛くはない。むしろなぜか気持ちいい。

 それによって集中できず、上手く魔法を発動できない。

 

「魔法は使わせない。このまま魔力を搾り取る」

 

「うぅ…とらないでぇ……」

 

 胸元のブローチに接続された青いチューブからは、ゆっくり魔力が奪われ続けている。

 

 ルミナから、生温かいような息が漏れてしまう。身体全体が熱くなるのに、ひんやりとした水の触手が心地よさを感じさせる。

 水の魔族だとか、スマホを向けている男たちだとか、誰かに視られていることでますます興奮してしまう。

 

「もぅ…やめてぇ……」

 

「人間ってひどいね。もうあきらめない?」

 

 リヴィアの言う通りだった。水の被害を受けない距離で、誰も助けてくれないどころか、興奮しながらスマホを向けてくる。

 

 きっとすぐに、今の姿を撮った画像がばら撒かれてしまうのだろう。

 噂では、魔法戦士アクエリアもそういう画像がばら撒かれていると聞く。

 

「あきらめ…ない……」

 

 ルミナはなんとか反撃しようと、振動が緩んでいるうちに、残った魔力で魔法を発動させようとしたが。

 

「……そう」

「はぅぅ~~!!」

 

 再び、生温かくなってきている水の振動が再開した。

 乳首とか、アソコとか。

 

 ルミナの身体は跳ねるように、そり返ってしまうが、それは水の触手による拘束で引き戻されてしまった。

 

「んっ…ぁぅ…らめぇ……」

 

 ルミナは女の子座りのまま、太ももをもじもじと動かす。

 ぐねぐねと身体を動かして、胸を揺らしてしまう。

 

 どちらも本能的にやってしまっていて、腕は身体の横で固定されてしまっているため逆らえない。時折り手のひらをパタパタと動かしているくらいだ。

 

 とにかく、まずは水の触手をなんとかしなければならなかった。

 

「ひゃんっ!…んぅ……はぅん!?」

 

「また、魔法を使おうとしてたから」

 

 水の触手は、新たに冷たい水を運んできているようだった。身体のあちこちで、タイミングをずらしてくる。

 ルミナは、ビクン、ビクンと、身体を震わせる。

 

「それ…や…めてぇ……ぁん!」

 

 柔らかな振動は続けられていて、そこにすら冷水を一瞬だけ浴びせられる。

 

「ぅ…ぁ……なんか…くる……くりゅぅぅぅ!!」

 

 頬を赤く染めたルミナは鳴くように叫んだ。

 ぐぐぐっと背中が伸びきって、やがてガクンと脱力する。

 

 ルミナのワンピースドレスの奥に隠されたショーツの周りは、とても生温かい液体で、まるで防護されているかのようだった。

 

「はふぅぅ…はぁ…はぁ……」

 

 

 外なのに、見られながら、魔法戦士ルミナは『絶頂』してしまった。

 

 

 

 ルミナは俯くように視線が下がってしまう。

 魔力を奪われ続けていて、さっきまでの辱しめは周りからスマホで撮られてて、たぶん拡散される。

 

 アイマスクの認識阻害のおかげで、顔はよく見えないだろう。これだけ大声で叫んでも、正体が春野愛梨だということもバレていないはずだ。

 それは唯一の救いというべきなのだが。

 

【挿絵表示】

 

 でもルミナは、もう抵抗する気力すら失いそうだった。

 

 水の魔族リヴィアは、ルミナも無理に危害を加えるつもりはない。

 貴重な魔力タンクだからこそ丁重に扱っている。わざわざ周囲の人間は近づけさせないように、触手を動かし続けていた。それでも安全な場所から、スマホを向けてくる人間たちはいたが。

 

「ようやく、あきらめる?」

 

 慈悲を与えられるかのように、ルミナは問いかけられた。きっといろいろと諦めれば、もう苦しまなくて済む。これから長く続いていく戦いの日々は、たぶん始まらない。

 

(こういうのなんだ……)

 

 ルミナは、昨日の戦いでアクエリアが受けていた屈辱を思い浮かべる。

 立ち上がれないほどに拷問され、女性として屈辱を受けて、マスクを奪われて素顔まで晒された。片手で目元を抑える姿は、まるで泣いているようだった。

 

 だが次の日になれば、凛とした表情で日常に戻っている。

 

(優奈先輩、何度も…何年も…もっと苦しいことまで……?)

 

 ルミナの胸が、きゅっと締めつけられる。

 まだまだ知らないことは多いが、魔法戦士アクエリアとしてずっと1人で戦ってきたはずだ。

 

 そんな優奈先輩を助けたいと思って、勇気を振り絞って、愛梨も魔法戦士に変身できた。そんな気持ちを思い出すと、ルミナの瞳に光が戻っていく。

 

「…わたし…守られるだけ…なの…やだ……」

 

 リヴィアは、ほんの少しだけ首を傾げる。

 

「変なの。あなた、もう十分がんばった。不自由なく生かしてあげるし、痛みも感じさせない」

 

「……そんなのっ……お断り…」

 

 ルミナは、必死に首を振った。

 ピンク色のアイマスクの奥で、視界がにじんでいるけど。

 

「……逃げない……!」

 

 叫ぶように、声を振り絞る。

 全身に力を込めて、立ち上がろうとする。

 

「逃げないって……今、決めた……!」

 

 だが、ルミナはすぐに押さえ込まれる。

 ますます水の拘束が増えていく。さっき1度閉じ込められたが、再び水の牢獄が形成されていくかのようだ。

 

「意志だけじゃ、どうにもならない」

 

 リヴィアは淡々と言った。

 

 ルミナの全身にかかる水の圧力が強まっている。

 どうやらそれに自動防御は発生してくれないらしく、ルミナの身体が押しつぶされていくかのようだ。

 

 ルミナの顔には、流水がかけられ始めた。

 念入りに抵抗できないようにされているかのようだ。

 

「っ……ぁ……」

 

 ルミナの呼吸が浅くなる。

 胸が上下するのに、空気が足りない。

 

(……だめ……)

 

 このままでは気を失ってしまうのが先か、魔力を奪われ尽くされるのが先か、もうすぐ変身解除されてしまう感覚があった。

 

 もし変身が解けたら。

 もし普通の大学生の身体に戻ったら。

 

(わたしは、また無力になる……)

 

 そんな想像だけで、全身が震えた。

 

「……たす…け……」

 

 誰に向けた言葉なのか、自分でもわからない。

 声は、ほとんど囁きだった。

 

 水魔族リヴィアは、しばらくルミナを見つめていた。

 その無表情からはどういうことを考えているかは読み取りづらい。

 

「……まあ、いいや」

 

 リヴィアは、これからルミナを連れ帰ろうとしていた。人間にしては魔力量が多く、回復させて毎日魔力を奪えば、リヴィアは強くなれるからだ。

 

 そんなとき、河川敷の空気が急に変わる。

 湿り気を帯びた風が流れ、張り詰めるような水の魔力が、ふっと揺らいだ。

 

「そこまでですわ」

 

 澄んだ声が、はっきりと響いた。

 

 魔法戦士アクエリアが、水を掌握する。

 絡みついていた拘束は、まるで意思を失ったかのようにほどけ、川へと押し流されていった。

 

「……ぁ…」

 

 ルミナの身体が、重力に引かれて崩れ落ちていく。

 凄まじい速度で駆け付けたアクエリアは、迷いなくルミナの身体を抱き留めた。

 

「遅くなって申し訳ございません」

 

 その声は、戦場に似つかわしくないほど落ち着いていた。

 ルミナは、ぼんやりとした視界の中で、アクエリアの姿を見上げる。

 

「…ううん……へいき…だよ……」

 

 すでに変身の維持がやっとだ。

 強がりだと、ルミナは自分でもわかっていた。

 

 それでも、胸の奥に溜まっていた不安が、すっと溶けていく。

 だってもう、先輩が来てくれたから。

 

 そして周囲には、ざわめきが広がっている。

「アクエリアが来たぞ!」

「やはり安心感が違うな」

「その子を助けてやってくれ!」

 

 一方で、無責任な声も混じる。

「あの小さな子、やっぱり無理だったんじゃ……」

「最初からアクエリアが戦ってればなぁ」

「いつも来るの遅いよねぇ」

 

 自分が弱いのは仕方がないことだ。

 でも自分のせいでアクエリアまで文句を言われてて、ルミナは小さく身をすくめた。

 

「……ごめん」

 

 ルミナは、アクエリアの胸元に顔を寄せるようにして、小声で謝った。

 

「連絡…できたのに……しなかった……」

 

 アクエリアは、一瞬だけ目を伏せる。

 それから、穏やかに微笑んだ。

 

「気にすることはありませんわ」

 

 ルミナの小柄な身体を支えている腕に、アクエリアは安心させるように力を込める。

 

「あなたは立派に、あの方々を守ってくれました。わたくしは……本当は弱いのです……」

 

 そっと顔を近づけて、ルミナの耳元で、アクエリアは本心を伝えた。

 

「わたくしは……ルミナにしか弱音を吐けなくて、一緒に戦ってほしいと、頼めないから」

 

 いつもと違う口調で、アクエリアはそう伝えてくれた。

 

 かけてくれた言葉は、決して慰めではなかった。

 はっきりとした信頼だった。

 

 ルミナの胸が、じんわりと熱くなる。

 

 アクエリアは、ルミナを支えながら地面に立たせた。

 きっと、この日が新米魔法戦士にとって、本当の始まりなのだろう。

 

「もう立つのもやっとでしょうが、わたくしを手伝ってくださいませんか、ルミナ」

 

「うん……がんばってみる!」

 

 そして2人の魔法戦士は、水の魔族リヴィアと正面から向き合った。

 

「人々の魔力を奪う行為、どんな理由があろうと、これ以上は見過ごせません」

 

「……やめる気はない。水属性、相性がいい、その魔力も貰う」

 

 アクエリアは静かに手を掲げた。

 まさしく正義のヒロインのポーズは、人々を安心させ、隣のルミナも安心させる。

 

「ならば、力ずくでも、止めさせていただきます」

 

 リヴィアが放つ水の刃を、アクエリアは的確に受け流す。

 壁のような水流が、ルミナの前に展開される。

 

「わたくしが支えますわ。自信を持って戦うのです」

 

「……わかった!」

 

 残りの魔力は1割あるかどうかだ。

 光属性の必殺技など使用できない。

 

 だけどだんだん使い慣れてきた火属性の魔法がまだ使える。

 

「まだ……やれるから!」

 

 ルミナは踏み込んで、炎を纏った拳で攻撃を仕掛けていく。

 どうやらアクエリアはロングブーツの水まで解除してくれたようで、とても走りやすかった。

 

「炎は厄介……!」

 

「わたくしがサポートいたします!」

 

 アクエリアが水流を掌握し、リヴィアの動きを止めた。

 そこにルミナが確実な一撃を入れた。

 

「……ここは防御で」

 

「さっきまでの! 仕返し!!」

 

 炎と水がぶつかり合って、河川敷に白い霧が立ち込めた。

 

「…ここは逃げる……」

 

 水魔族リヴィアは、ルミナの勢いに押されて、後退していた。

 それどころかルミナが何度かそう思ったように、彼女も逃げることを選んだ。

 

「そっか……」

 

 立ち止まったルミナは呟いた。

 

 正義の味方が悪を滅ぼすような、勧善懲悪じゃない。この戦いは、まさしく命のやり取りである。リヴィアも、アクエリアも、恐怖を抱えて戦っている。譲れないことがあるから戦っている。

 

 ルミナと前衛を交代するように、アクエリアが走っていく。すでに手のひらには、光属性の魔力を溜め込んでいた。

 

「浄化させて差し上げます! ホーリートルネード!」

 

 清浄な光は渦となり、一直線に解き放たれる。

 光の竜巻は、リヴィアを包み込み、浄化していった。

 

「……ああ、終わりか…」

 

 リヴィアは、諦めたようにその光に飲み込まれている。

 そんな呟きを最後に、光は収束していき、浄化された魔族の姿は消え去っていた。

 

「ねぇ……あいつ、どうなるの?」

「闇の魔力は浄化され、ほとんどの記憶を失い、この人間界のどこかで生まれ変わる……らしいですわ」

 

 そっか、とルミナは呟いて、光の粒子が登っていく空を見た。

 

 人間から魔力を奪うということをしていて、たぶん見逃せば、他の街で似たようなことを続けただろうけど。

 魔族にもいろいろと事情がありそうだな、ってルミナは思った。

 

 

 

 張り詰めていた緊張が解け、ルミナの身体がぐらりと揺れる。

 

「あぅ……」

 

 倒れかけた肩を、すぐにアクエリアが抱き寄せた。

 

「無理をしましたわね」

「……ちょっとだけ」

 

 そして周囲から、歓声と拍手が湧き起こる。

 

「すごかった!」

「2人とも、ありがとう!」

「さすが魔法戦士だ……!」

「そっちの子も、小さいのによくがんばったぞ!」

 

 アクエリアは、ルミナをお姫様抱っこしてから、そのまま人々に背を向けて去っていく。

 

 どれだけ賞賛されようと、自慢したり誇ったり、そんなことはないらしい。

 次はもっと早く来てよね、だとか。あれこれ言われようと、全く気にしないらしい。

 

「わたし、また助けてもらっちゃった。ありがと」

「どういたしまして。無事でよかったですわ」

 

 別にルミナもそういうのに興味はない。

 それよりカッコいい先輩に、お姫様抱っこされるのが恥ずかしかったり、でも嬉しかったり。

 

「ルミナのおかげで、誰も死ななかったのです。よくがんばってくれましたわ」

「……結局ほとんど、アクエリアのおかげだけどね」

 

 アクエリアに褒められることは、かなり嬉しかった。

 ルミナは照れたように笑う。

 

「これから成長していけばいいのです……つらかったでしょう?」

「…まあ…ちょっぴりね」

 

 逃げてと言っても聞いてくれないし。

 無責任なことまで言われるし。

 たぶん恥ずかしい画像すら、ばら撒かれるし。 

 

 溜め込んでいる文句はとても多い。

 けれど確かな決意が芽生えた。

 

(みんなを守る、そんな魔法戦士アクエリアのために、わたしもがんばってみよう)

 

 魔法戦士ルミナは、本格的に戦っていく決意をした。

 

 

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