どうか、お楽しみください。
こちらの作品もpixivにて投稿しています。
《 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27093963 》
「先輩、知ってますか?名高きシスターフッドのサクラコ様、幼い男の子と付き合っているらしいですわ」
「えぇ……。サクラコ様が?随分と可哀想ね、その子。サクラコ様は何を考えてらっしゃるのか分からない、怪しいお方でしょ?ご両親はどうされてるのかしらん……」
「仰る通りです!私たちは男子校の殿方とお付き合いしたいと願ってばかりなのに、あの人は光源氏を気取ってらっしゃるのでしょうね。羨ましいったらありゃしませんこと」
「まぁまぁ、愚痴はそこまでにしなさい。あら、例のラクロス部との交流試合が明日あるらしいわ。私たちも見に行かない?」
「承知しましたわ。私もお供します。素敵な殿方……、ムフフ♡」
「コラ!はしたない!」
……皆さん、随分と好き勝手なことを仰ってますね……。
私は教会の蔵書を整理する最中、偶然にも会話を聴いてしまいました。彼女たちを遮る壁を突き破ろうと考えましたが、それを耐えた自分を褒めたい程です。
あの人たちが言っていたように、私にはお付き合いしている男の子がいます。それも、私よりも一回り程年の離れた、小さな男の子。栗色のクリクリとした瞳を持ち、凛々しい黒髪、年頃らしくせかせかと歩き回る姿。彼の姿を思い浮かべる度に幸せな心になるのです。
彼と出会ったのはそう、6か月前のことでしょうか。当時、シスターフッドの要職についていた私はその子と出会いました。秋の寒さも激しくなり、夕暮れの時間も涼しくなり始めた頃と覚えています。私は礼拝所の清掃を終えて帰ろうとしたとき、その子は一人だけで残っていました。
「どうしました?何か、相談されたいことがありまして?」
「……わ、あ、え、えと、その、ぼ、僕……」
――サクラコ様のことが好きです!
彼の恥ずかしがりながらも大きかったその声は、静かな教会に一層響き渡りました。あのときの私はというと、話したこともない彼に好意を向けられたことをすぐには受け止められませんでした。無理もないでしょう。
「わ、私のことですか?もしかして、その、私そっくりな女の子が好きだとか?」
「ちが、あ、え、えっと、サクラコ様の噂を聞いて、ずっと前から好きでした……」
付き合いのない男の子からの告白。一体、どんな理由で私に告白してきたのでしょう。
私からすれば、力比べによく呼ばれるシスターヒナタならまだ納得がいきます。あのおっとりとした性格や大柄な体格。男の子の憧れそのものです。先日の初等部でのお勉強会でも彼女は男の子たちとよく遊んでいたのを見ると、私に告白する理由なんて想像できません。ですが、私はシスター。どんな理由であれ、悩める者の声に耳を傾けなくては。
「私のどんなところがお好きなのですか……?」
男の子は、即座に視線をそらしました。身体も蛇の前にした鼠のように震えています。
「え、えと、た、助けてください!」
何が起きたのか分かりませんでした。背中に何かが巻かれ、右肩に何かが当たる感触に気づき、私はようやく察しました。彼はどうやら、私に抱きついてきたようです。
「ぼ、僕は友達にいつもバカにされて、笑われて、それで……、とても苦しかったんです。父さんにも母さんにも相談できなくて、辛くて……、サクラコ様なら何でも解決してくれると思って……」
2人だけの教会で、彼は話しました。様子を見るに、相当悩んでいるみたいです。
「分かりました。私は何でも解決できるわけではありませんが、あなたが解決できるように尽力いたします」
自然と、右手が動き、彼の後頭部を撫でていました。自分でも驚きました。私のシスターとしての振る舞いが自然と形になったのかもしれません。
「あ、ありがとお、ございます、うぅ……」
日が暮れるまで、私たちはその場にい続けました。
その後、彼もお友達との関係も何とか良い方向に変わり、元気であることを知りました。おそらく、そのお友達から言ってこいとでも言われたのでしょう。自分で書いた手紙でそれを知ったときは安堵した一方で寂しさを感じました。たとえ噓であっても、私のことが好きだ、と伝えられてしまっては気にならずにはいられなかったからです。日課である礼拝所の清掃、地下書庫の整理や蔵書の修理、進路選択の紹介動画の視聴をしていても、頭から離れてくれません。
聖夜が近づきつつある中、私はその子と再会しました。
後輩たちが担当する聖歌隊の練習を終え、空腹になった身体を無理矢理動かして家路に着こうとしたときです。本当に偶然でした。彼は両親と買い物をしていました。父親は中身によって角ばったバッグを提げ、母親はそのバッグに劣らない位、重そうなものを両手に抱えています。夫婦の仲はとてもよいのだなと察せます。
その3人は私を見るや否や、すぐに近づいてきて丁寧に頭を下げました。
「先日は息子のアツヤのことを助けてくださり、ありがとうございます」
「アツヤはおかげで元気に過ごせています」
私は大したことはやっていません。それでも、あの夫婦からすれば息子の恩人なのでしょう。どこか、恥ずかしいながらも誇らしさもありました。
「私はシスターの一人としての職務を全うしただけです。お役に立てて何よりです」
「その……、サクラコ様にお伝えすればよいのか、悩んでいましたが……」
伝えたいこと?何でしょうか?
「……ぼ、僕とお付き合いしてください!」
水を割るように彼は言ってきました。いや、寒い冬には相応しくないかもしれませんが。
「わ、私ですか?ど、どうして、ですか?」
「辛かったときも、寂しかったときも、サクラコ様といつか逢えると思えば怖くなくなって……。もっと一緒にいられたら心強い気がして……」
……唖然としました。自分で想像していたよりも彼にとって私の存在は大きかったようです。私としては、正直、怖がられることの多い自分に素直な想いをぶつけてくれた彼が輝いて見えます。
「……分かりました。お付き合いは難しくても、偶にお会いしてお勉強を教えたり相談に乗ったりなら、いいですよ」
目の前の子の顔が明るくなりました。周りに連なるイルミネーションに頼らずとも、です。
街中の音楽は、一層騒がしくなってきたみたいです。私はスマホを取り出し、彼と連絡先を交換しました。そのつながりは小さいながらも、とてもハッキリと感じられました。
私は3年に進級し、彼と付き合うことも少なくなりました。それでも、関係そのものは変わることはなく、居心地のいい仲のままです。
さて、今日はというと、アツヤ君の方から連絡が来ました。
……その、こういうことはシスターの身では申し上げにくいのですが、これから私たちは「特別な関係」になります。えぇ、文字通りの意味です。
最初、私は断ろうとしました。神に仕える立場の者として、色欲に身を任せるなんて以ての外です。ですが、同級生たちは彼氏を作ってはそういったことを経てしまった、と聴く度に煩悶してしまいます。シスターとしての自分を守るべきか、一人の人間としての自分を貫くべきか、悩んだときにあることに気づきました。彼は私のことを「一人の人間」として見てくれています。今年度入学してきたシスターマリーやシスターヒナタといった周りの人たちは「シスターフッドのリーダー」、「シスターの鑑」と見ています。切なくなりました。私はどこまで突き詰めても女です。月のモノからは逃げられませんし、男性の方よりも力はありませんし、――いや、ツルギさんやミカ様は例外として――全うに生きていると息苦しさを覚えてしまいます。そもそもな話、人間であることを否定してまで神は私たちの奉仕をお認めになるのでしょうか。私がその立場にいましたら、そんなことを許したくはありません。
待ち合わせ場所は寂れた商店街の近く。その近くには小さいながらもお手頃に利用できる連れ込み宿があります。2人でお金を出し合って利用するには丁度いい料金だそうです。雨が昨夜降ったからか、大きな水溜まりが目立ち、暑い日差しと合わさって嫌な熱気を作っています。折角おめかしをしたというのに、これでは化粧も香水も、バッグに詰めたアレもダメになってしまうかもしれません。
そんな心配をしていると、遠くから彼がやってきました。
「ごめんなさい!電車が遅延してしまいまして……」
「いえ、大丈夫です。貴方がご無事であるなら嬉しいです。さ、行きましょうか」
私は彼の小さな手を握って、目的地である連れ込み宿へ向かいました。
そうして、私たちは部屋にある大きなベッドの上に座って向かい合っています。私はシャツと下着、アツヤ君は肌着とパンツだけになっていました。
「そ、それでは、始めます……。不慣れなところがあるかもしれませんが、ご容赦を」
「は、ハイ。大丈夫です。ぼ、僕も初めてで……」
あぁ、「初めて」……。両親にはいつものお勉強会だと言い訳をしたこともあって、私が彼の童貞を亡き者にするのだと罪深い気持ちになってしまいます。それを実感すると、身体の奥底がジュクジュクと暑くなってきます。
「そ、それでは、まずはハグを」
「ハイ、お願いします」
まずは互いの身体を抱きしめ合いました。整えられた髪からは少し酸っぱい臭いが、服越しにあばらや肩甲骨の感触が伝わってきます。そして、彼の顔、息遣いが胸全体で感じられます。こんな小さな身体で大きい私の身体を抱きしめようとする様子は、とても愛らしいものでした。
「サクラコ様のおっぱい、あぁ、ふぅ……」
「コラコラ、落ち着いて。優しく抱きしめてください」
そして、谷間から私に向けて顔を覗かせました。自分よりも幼い子どもがこれから私と身体を重ねるのが嘘に思えるような、そんな愛らしい顔です。
「つ、次はキス、ですか?」
「……うん、お願い、します」
「分かりました。さぁ」
身体をこちらに寄せ、静かに口を重ねました。唇の柔らかい感触を堪能しようとすると、互いの鼻息が当たってしまいます。ただ、この状況が喜ばしいのか、彼の男の子たらしめるトコロは凶暴な獣のように、小さいながら硬くなっていました。
「……ッハァ。もう、こんなに大きくなってしまうなんて。悩める者を救うシスターとして、ここの悩みも解決して差し上げます♡」
パンツをそっと脱がせると、立派なのがそびえていました。付け根の周りには荒野の雑草のように短く毛が生えています。そして、そびえるそれは皮を被っていて、どこか息苦しそうです。
「や、ヤメテ……。そこは恥ずかしいからぁ……」
「恥ずかしがることなんてありませんよ。ここは剝くことができるんですよ」
知っていますよ、私は。男の人のはその気になれば皮を剥くことができるって。昨日まで読み漁ったいやらしいマンガでもそうありましたし。怖がることはありませんから、一緒に大人の階段を昇りましょうか。
「さ、剥きますよ」
私は硬くなったそれを手に握り、薄い皮を根元へと引っ張ろうとしました。
「い、イタァイッ!ア、アフゥゥ……、痛い、ウゥゥゥ……」
……え?「痛い」、ですか……?し、信じられません。男の人はここの皮なんてすぐに剥けるはずでは?
「だ、だ、大丈夫ですか……?」
彼は痛がるばかりで話してくれません。部屋に流れる音楽はテンポの速いデスメタルに変わって、緊張する私を煽ってきているみたいです。
とりあえず、マンガによくある「剥き剥き」は今の彼には難しいみたいです。では、「射精(だ)す」のはどうでしょうか。きっと、若くて元気にあふれる彼なら、キヴォトスの外にあるとされるヴェルサイユ宮殿の噴水よりも見事なものを見せてくれるに違いありません。
「アツヤ君、さっきはごめんなさい、この棒さんに乱暴してしまって……。その、お詫びにお手手で気持ちよくしてあげます!」
「え、あ、ちょ、ちょっとま」
さっきの申し訳なさに止まっている暇なんてありません。優しく、そして、力を込めすぎず、絶妙な力加減で……、こうすればご立派な射精も。
「アッ、イクッ!……ウフゥ……」
……確かに、彼は射精をしました。しかし、その射精は、マンガにあるようなものとは程遠く、私の掌に小さく、そして、半透明で濁った小池を作っていました。指には精液の温かさや粘っこさが残っています。マンガでよく見てきた精液は白く、そして、噴水のようにたくさん出ていただけに、拍子抜けしました。
「……おやおや。もっと、精子さん、出せますよね?」
聞かずにはいられませんでした。彼の身体はエッチをする状態ができていて、今にいじればもっともっと出せるのではないかと考えていました。
「ごめんなさい……。い、今すぐは難しいかも……。痛い」
どうして……。どうして……。
私は、男の子たちがよく読むエロマンガでエッチをしっかりと学んできたはずが、全く上手くいきません。もしかしたら、これは神が不貞を働いたこの私に天罰をお与えなすったのでしょうか。
アツヤ君の身体を愛撫してばかりでは彼も可哀想です。尤も、私もドジを踏みながらもこの身体を愛撫されたい思いで満ちています。
「それでは、私の身体を、どうか、ご堪能ください……」
あられもない身体を彼に見せました。しばらく、私の身体を見たと思うと、恐る恐る、掌で私の乳房をつかみました。つかまれ、クルクルと揺らされる感触が胸全体に広がります。
「これが、女の人のおっぱい……。こんなに柔らかいんだ……」
「フフフ、おっぱいに夢中になるなんて赤ちゃんみたいですね。ちゅ、……チュッチュ、しますか?」
吸おうとする彼はまさに、赤ちゃんのようです。神の母もきっとこうして吸わせて。
――イッダッッッッッ!
乳首が焼けるような熱さに襲われたみたいです。いや、焼けるというよりは何かに挟まれるような、いや、千切られるような痛みが全身に迫ってきます……。おかしなことに、地下書庫の蔵書が地震で床に崩れ落ちたときに乳房に当たったあのときの痛みを思い出しました。きっと、これは走馬灯に違いありません。私の女としての尊厳は、今日、ここで煉獄に連れていかれるのでしょうか……。
「どうしたの?辛い?」
口から乳首に唾液の橋を作った彼は私のことを心配しています。先程まで非礼を働いた身として、彼を困らせるわけにはいきません。
「あ、えぇ、大丈夫ですよ。それにしても、お上手ですね。あまりにも上手くて声が出しまいましたわ」
「そ、そうなの?でも、声がそうには聴こえなかったような……」
あぁ、バレてしまっていますか。部屋に流れる音楽が煩わしく思えます。
「そんなことは気にせずに。さ、この下のお口にもキスをお願いします」
ベッドに倒れ、股の奥を彼に見せました。他人に見せるのは彼が初めてです。きっと、あまりのいやらしさに感動しているに違いありませんね。
「ウッ……、サクラコ様、く、臭いです」
「……え?」
「臭い」?嘘だと思いました。いや、私のワギナが臭い?エロマンガでは、男の人がそこの臭いに感動してエッチを始める描写をよく見てきました。さっきと同じ過ちを犯してしまったようです……。ティッシュを乱暴に引き出し、一心不乱に陰部に擦ってみました。拭いた後のティッシュを嗅ぐと、汗ばんだ衣服のような臭いが感じられます。自分の身体がこんな臭いを発しているとは信じがたい気持ちです。ただ、ティッシュで拭いたこともあってか、多少の臭いはマシになったみたいです。
「さ、改めまして、こちらにも接吻してください♡」
「ハ、ハイ……」
上にあるひなさきに歯が当たると電気が走ったような、細い舌が膣に入る度に満たされるような、唇がヒダとくっつくと一つになったような、独特な快感が全身を巡ってきました。先程の私の痛がる様子から何かを察したのか、彼も慎重に口で愛してくれているみたいです。
今の私は神に仕えるシスターではなく、最早、俗世の色欲に溺れる淫売そのものです。ですが、古来より神々の神話は愛憎にまみれています。神様が色欲に溺れるのなら、その神に仕えるシスターだって同じことをしても構わないはずです。現に、愛撫のこの気持ちよさは夢中になりそうです。こんな愉しいことがあるのなら、もっと早く気づくべきだったのかもしれません。
そうして、トラブルに幾度も直面しながらも、何とか愛撫しあうことができました。今の私たちを止めることは誰にもできないはずです。
「それでは……、最後のアレをしましょう。このときのために様々なサイズのを買ってきました!これで貴方も一足先に大人ですよ」
「僕が大人に……?何だか分からないけど、そんなにすごいことなの?」
「えぇ……、セックスは愛情の最終地点。そこに至れることは立派なことなんですよ。さぁ、一緒に来てください」
傍らに置いたバッグから、あれを出しましょう。えぇ、「あれ」です。
殿方はご存じの「コンドーム」です。
私がこれでよからぬことをするかって?そんなことはしません!使ったコンドームを腰に提げるとか、見せつけるとか、ふしだらなことなんてしませんよ!私はあくまで、避妊のために使うんですからね!
さぁ、ここで彼にコンドームの使い方を教えられればきっと、彼にも素敵な未来が待っているかもしれません……。我ながら大人らしいですね、私。
黒に艶やかなピンクの蝶が象られた箱を取り、私はそこからコンドームを出した、はずでした。例のマンガの知識で買ってしまったことを後悔しました。無理もありません。何せ、入っていた個数がたったの2個だけだったのです……。どうやら、極薄で使いやすい、という売り文句から内容量も少なかったのでしょうか。
わ、私としたことが……。
い、いや、こんなところでめげません!
「見てください、これが大人のエッチに必要なアイテムです」
「お菓子の袋?」
「これは食べられませんよ。今から使い方を教えます」
マンガの知識を参考にするならば、袋を開ければ。
何だか、嫌な音がしましたねぇ。
……え?ま、まさか。
そのまさかでした。
封を切るとき、袋諸共本体まで切ってしまったようです。
「どうしたの?」
「い、いえ、何でもありません……」
しくじってしまいました……。これで使えるコンドームはあと1つ。もう後はありません。
さっきの反省を活かして、慎重に封を……。……よし!成功しました。
「これがコンドームです。これをつけてするのが、大人なエッチなんですよ♡」
「保健体育の授業で見たこと、ある……。こんなに薄っぺらいの?えっと、どうやって使うんだっけ?」
「安心してください、この私が」
――あ。
縮んだカバーを広げようとして、無惨にもそれを破いてしまいました……。
「あれ?ど、どうしましたか?」
恐怖、動揺、困惑。それらの感情が渦巻いてきました。計画通りに全ての物事が行くとは限りません。それにしてもこれはまずい事態です。このままでは妊娠、最悪、性病の危険が……。
ベッドの近くにある小箱を開けました。ネットのレビューでは、「小箱の中にコンドームが何袋かが入っている」と聞いています。もう、何にでもすがりたかったのです。
しかし、現実は無常とはこういうことでしょうか。その小箱には、何も入っていませんでした。このときばかりは神を憎みたくなります。罰当たりかもしれませんが、そんなことはきにしていられません。
私は外出可能であることを確認してから、最低限の服を身に包み、近くのドラッグストアへ向かいました。
私の最後の頼みの綱は、アフターピルでした。
これは学校の授業で学んだ、文字通りの「最終手段」です。シャーレの先生よりも頑丈な私たちでもこのアフターピルを口にすればただではすみません。頭痛、吐き気、眩暈。どれが、どれだけやってくるかは個人差があるそうです。それでも、飲めば妊娠する確率はかなり低くなると思えば、その効果に賭けるしかありませんでした。
「そのラムネみたいなのはなぁに?」
「そ、その、今から、……コンドームを使わずにエッチしてくれますか?」
「え⁈それをしたら、赤ちゃんができちゃうんじゃ?」
「だだだ、大丈夫ですッ!シた後でこのお薬さえ飲めば怖くありませんよ、アハハ……」
彼も納得してくれたみたいです。
まぁ、私もいつか、生でエッチしてみたい、という邪な心もあったのは事実です。それでも、今の私はまるで、アクシデントを都合のいいように解釈する悪い少女のように思えてきました。
そんなことを思っていても、やめられるワケにはいきません。
「……フゥ。さて、私のお股も準備が、ハァ、完了、しました……」
――貴方の初めて、全身で受け止めます♡
彼は躊躇うこともなく、本能に任せるがままにはちきれそうなオスを私の膣にあてがいました。自分の身体ではない、異性の身体が入ってきているはずなのにたまらなく気持ちがいいのです。これが「雌の快楽」でしょうか。主よ、この快楽に溺れる、惨めで愚かな私めを許してください。
彼が腰を振るにつれ、私も抱きしめる力が強まり、股が濡れてくる感触が伝わってきます。きっと、汗だけではここまで濡れないでしょう。最近流行っている、清純なラブソングが喧しく流れている中で、私たちは禁忌のセックスをしています。そのおぞましさ、目先の快楽の心地よさ……。もう、たまりません。
彼が急に抱きしめてきたと思ったら、身体の中のオスがヒクヒクと動き、何かの液体が出たような気がしました。私の乳房に顔を埋めてしまう程に身体の力が抜けてしまっています。恐らく、初めての生中出しを終えて疲れてしまったのでしょう。
「さ、このときにアフターピルを飲みましょう。こちらに」
私はアツヤ君の口にも、そして自分の口にピルを含み、ウォーターサーバーのお水で身体へ流し込みました。病院で処方される薬とはそんなに変わりません。これで飲んでしまえば怖いことはない、と思うと不思議な気分です。
「ありがとうございます、サクラコ様。僕の身勝手なお願いを聞いてくれて」
胸元に寄りかかる彼の頭を撫でながら、私は言いました。
「身勝手ではありませんよ。私はシスターではなく、一人のお姉さんとして貴方と向き合えましたし、とても楽しかったですよ。それと、お顔、向けてくださいます?」
アツヤ君は先程と同じように顔をこちらに向けます。その唇に私は接吻しました。このときの接吻は、柔らかさよりも酸っぱさと汗臭さが勝っていました……。
それから数日後。
私の元に電話がかかってきました。相手はアツヤ君のご両親です。
「もしもし、サクラコ様。失礼ですが、先日のお勉強会から息子の体調が悪いのです。何か、ご存じでしょうか……」
ここは、恥を捨ててでも言い訳を考えないといけないみたいですね。トホホ……。
いつか、今作のようなギャグタッチな作風の小説も書いていきたいですね……。