※この作品はR-18です。

忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん!   作:さとう_2701

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第102話 バンドラガルへ再び

 6月上旬。

 

 先日ベアトリーゼ殿下とお約束した通り、今回はバンドラガルの町へ向けて遠出してるわ。

 愛し子捜索という名目で、姿絵をゲットするのが主目的よ。

 私もラウラの姿絵たのしみ♡

 

 メンバーは私の眷属とフォーレ、レイハスさんとセリス、今回はユスフさんも一緒。

 

 ストレージはリーも持っているから、荷物持ちの観点で言えば不要なんだけど、国内は是非に♡と要望があったのよね。

 

 シェラも来たがったけど、まだ学校があるんだって。7月に卒業で卒業試験もあるそうで到底むりとのこと。

 正直ほっとしてるわ。

 ラウラとシェラが揃った時にうまく対処できないのだもの。

 

 

 結構な大所帯のはずなんだけど、マグとリーはペットになっているので、そこまで威圧感はない、はず。

 あの二人がヒト型でいると男性から視線を向けられたり、声をかけられたり、碌なことがないんだもの。

 

 

 昨日は旅程の半分ほどを走ってミードルイートに宿泊したけど、ここからは森林が街道そばまで迫ってる。

 人目につかないように、森の中も走ることになったわ。

 

 え? 木の上を走ったらいいでしょうって?

 私の実力ではまだ枝々を飛び跳ねては渡れないの。

 

 これでも先頭のレイハスさんが飛び出した枝や、肌が切れやすい草などを切り伏せながら進んでくれてる。

 

 氣を練り、身体中に巡らせて走る。

 身体強化も少しずつ良くなってはいるけど、一朝一夕に上手になるわけじゃない。

 

 草地と違って地面がでこぼこしているから走りづらいし、5月とは思えないほど森の中は鬱蒼として薄暗い。

 

 見えていたレイハスさんの背中が見えなくなって、私の脳裏に数ヶ月前の光景が突如浮かんだ。

 

 ナウシーさんを助けた後、森で追いかけられたときの。

 

 

 あのときは夜だったからもっと暗かったけど、鬱蒼とした感じと、必死に走ってる自分が重なる。

 

 ドクドクと違う意味で心臓が変な風に跳ねる。

 

 

 大丈夫よ。

 ラウラは私のすぐ後ろをついてきてるし、リーも同じ。

 

 フォーレは先ほど離脱してセリスに抱っこされて上空組に入ったわ。

 セリスとフォーレ、ユスフは空から警護してくれてる。

 マグはここにはいなくて、先行して広域を探索してくれてるけど。

 

 みんないるし、昼間だし。

 

 頭からっぽにして走ればいい。

 

 

 そう思うのに、今度はイーダさんが妹のミーシャを連れて逃げる情景が浮かんできた。

 

 逃げたのに追いつかれて――――。

 

 そのあとのことも思い出してしまって、私はとうとう足を止めた。

 

 

 

「ごめんなさい。ちょっと休憩したい」

 

「顔色悪いね。抱っこする?」

 ラウが提案してくれるけど、いえ…それは…別の意味で落ち着かなくなるから、だめ。

 

 森の雰囲気が似てるのかも。植生とか。

 後ろがついてきてないのに気がついてレイハスさんが戻ってきた。

 

「フェリシア様、どうなさいました?」

 

「ごめんなさい。少し休憩させてもらいたくて」

「もちろんです。この先に開けた場所がありましたよ。そこにしましょう」

 

 レイハスさんの案内についていくと、確かに鬱蒼と茂っていた木々が遠慮した、ぽっかりと木漏れ日の差す広場があった。

 

 雰囲気がちがう。

 ここなら大丈夫かも。

 

 上空組も合流して、ここで休憩をすることになったわ。

 

 ラウがテーブルや椅子を水術でつくってくれて、ユスフさんのストレージからお茶セットがでてくる。

 フォーレはお茶菓子はどれがいいか選んでるわ。

 

 

「フェリ」

 椅子に座ってるラウから、となりをポンポンと示された。

 素直に隣に座る。

 

《どうしたの? 教えてくれる?》

 

 言わずに自分の中で溜め込んでいると、眷属のみんなの初動が遅れる。

 こんなことを、とか、いつまでも、とか思わなくていい。

 何を思って、どんな風に感じたか、共有してほしいって言われてる。

 

 私のコンディションひとつで浄化の効果も違ってくるからね、とリーとマグとラウラからしつこく言われてるから。

 

 肩を抱いてくるラウの手がやさしい。

 

《前にハユール村で・・・》

 

 ハユール村って言ってもラウは覚えてないかも知れないわね。

 

《ナウシーさん助けた村で殺されかけた時あったでしょう? その時、森を走った感じが似てるなって。イーダさんの記憶も似たようなのがあって、思い出してしまって…》

 

《そうだったの。無理して森を走る必要なくない? 街道を走るとみんなの迷惑になるからって走ってるだけだし。街道歩いてこ?》

 

 歩いていくとなると、行き2日と帰り2日で余分に4日かかる。

 

《今回調査で予定してる日程は2週間でしょう?4日も余分に使うわけには…》

 

 ラウの肩を握る手に力がこもった。

 

「なら、抱っこにしよっか♡」

 

 うう…。文句言えないわね。

 にこにこと本当に嬉しそう。

 

 私が走るよりも速いしね。なんなら旅程を短縮できそう。

 

「レイハスー!このあとはわたしが抱っこして走るわ」

「承知しました。では休憩したら出発しましょう」

 

 

 ユスフさんが用意してくれたお茶をいただいてから出発したのだけれど、なもなくしてマグから心話が入った。

 

《フェリシア様、我はバンドラガルから北東50キロのところに来ていますが、瘴気が確認されました。急ぎこちらに向かって頂けますか》

 

「え〜〜」

 

 心話は相手を限定できるのだけれど、今回は眷属全員に入ったわ。

 バンドラガルを楽しみにしていたラウはがっくりしているけど、瘴気があるってわかっているのに、呑気に絵姿を買ってられないわ。

 

「浄化してから帰りに買いましょう? その方が落ち着いて買えるし」

 

 ばぁぁと顔を輝かせるラウ。

「うん! 急ごう!」

 

 カトレア隊の3人にも伝え、バンドラガルには立ち寄らずまっすぐ向かうことにした。

 

 

 

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