※この作品はR-18です。

忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん!   作:さとう_2701

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第104話 森ネズミの浄化2

 

森ネズミの浄化2

 

 

「本当に酷いわね」

 

 浄化を始めて3日。

 村や町の人たちは風邪のような症状が蔓延し、作物は食害で全滅。雑草や木々まで齧られてる。

 

 比較的大きな町の代官に話を聞くと(マグがね)、2ヶ月前から森ネズミが増え、1ヶ月前まで食害もそこまで酷くなかったそうなの。

 それが徐々に数を増やして、2週間前からは倦怠感、咳、熱などの体調不良者が増え、5日前に領主に窮状を訴える遣いをだしたとのこと。

 

「マグ、情報収集ありがとう。この辺りが一番被害が大きいって?」

 

 私たちは町には入らず、見渡せる丘陵を今日の拠点に選んだ。

 森と町の中間地点ね。

 

「左様です。森ネズミはこの辺りの森が発生源でしょう。これより南には向かっておりません」

 

「どうして北上したのかしら?南下しなかったのはなぜ?それに川を渡ればテラニード王国でしょう?そちら側に被害はないとも報告を受けたけれど、それはテラニード王国の愛し子が浄化したからなの?」

 

 マグもリーもにっこりと笑みを浮かべた。

「2ヶ月前からネズミの姿が増えたということは、そもそもは3ヶ月前くらいにこの地に放たれたのでしょう」

 マグの言をリー続ける。

「3ヶ月前はフェリ様がちょうどガカーヤカム・ダンジョンに向けて南部を通過されておりました。南下はしないように仕向けたと考察いたします」

 

 なるほど。その時期の瘴気となるとグラハスの森の精霊かな。

 怖くてどんな動物かみんな見れなかったって言ってたし、森ネズミでもおかしくない。

 

 浄化してもしてもネズミは蒸発してしまい、フォーレのようにできないのだけれど、そもそもの生成時の精霊への悪意の込められ方が違うのかも知れないわね。

 

「ではこの地の浄化作業を始めましょう。終わったら北部に戻るわ」

 

 弱いとはいえ、今は汚染も広がっているでしょうし、急いだ方がいいでしょう。

 

 手分けしてネズミを集めを依頼する。

 チーム分けはずっと一緒よ。

 

 残ったのは、私とリーとレイハスさん。

 レイハスさんは出番が少なくて(野外の食事の用意は一手に引き受けてくれているわ)、ちょっと元気がない。

 

「レイハスさん、作物も根こそぎ食べられては町の人たちは飢えで辛いでしょう。町を先に浄化しますから、食糧を持って行ってもらえますか?あと、近隣の町や村にも配ってきてもらえると助かります。リー、余分に持ってきている食糧だして」

 

 ちょっと間があったけど、リーは素直にストレージから出してくれた。

 

 現地までリーも一緒に行ってストレージから出してもらえた方が手間はないでしょうけど、リーはここを離れないと思うのよね。

 

「一人で行ってもらいますが、大丈夫ですか?」

 

 交渉ごとはレイハスさんかマグに適性があると思っているの。適材適所と考えているけど、女だからって舐めてくる首長がいてもおかしくない。もし一人が不安ならカトレア組が戻ってきたら同行してもらうのもでもいいしね。

 

 

「大丈夫です。お任せください!」

 

「ありがとうございます。私の浄化後でも体調が芳しくない人がいたら知らせてもらえますか?さらに祝福しますので」

 

「承知しました。早速行って参ります」

 

 レイハスさんが出立するのを見届けると、私はすぐに浄化に取り掛かった。

 

 血を与え、氣と血力を練り上げる。胸の中央から力を汲み上げ、町に範囲を限定する。

「この地の穢れがすべからく浄化されますように。クレンズミスト」

 神力を加えてさらに細かい粒子に転換する。

 皆の体から瘴気が消えるように。

 

 しばらく浄化が持続するように固定化して、ようやく一息ついた。

 

 あんまり連発できないのよね。1日4回が限度。使っていればそのうち上達するでしょうけど。

 

「お見事です」

「ありがとう。リー、ベアトリーゼ殿下に支援要求をしてくれる?あとジーガン領の領主と、テラニード側のドンオール領にも食糧の援助を頼めるかしら?」

 

 レイハスさんは大きな麻袋を担いで出発してくれたけれど、あの町の規模からすると二食分の食糧にもならないと思うの。

 ジーガン領は南街道があるカンラータを含む領主よ。前に会ったことがあるから援助要請を好意的に捉えてくれると思うけど、たぶん足りないと思うのよね。

 

 ロンダルディア王国からすれば外国だけど、リーにも私にとっても距離的に近いドンオール領にも依頼したい。

 

「ドンオール領ですか…。フェリ様の要望ならば、喜んで拝命するでしょう」

 

 いやよ、なにその恐怖政治みたいなの…。

 利害関係の方がすっきりするわ。

 

「事態が収束したら祝福に行くって加えて」

 

「承知しました」

 

 リーはマグがネズミ回収から戻ったタイミングで隣国ドンオール領に向けて飛び立った。

 ストレージで大容量受け取れるからね。

 

「フェリシア様…」

 マグがシカメシイ顔してる。

 

「分かってるわ。ここの浄化が終わったらすぐに北上した方がいいよね。また先行して――――」

 

「……フェリシア様」

 

「ん? どうしたの?」

 マグの眉間に皺がよってるわ。

 

「ヨウヤク我のデス」

 

「え? なに?」

 小声で聞こえなかった。

 

 

「我ももっと構って貰いたい!!」

 ひたむきに紅蓮の瞳が見つめてくる。

 

 そうだった。

 マグも本来は末っ子タイプなのよね。

 しっかりしてるから一人で先行させたり業務任せたりも多いし、それに加えて序列も守るからリーより前に出たりもしないものね。

 

 

「リーや皆ばかりズルい。我もナデテほしい!」

 

「わかったわ」

 微笑ましくて、つい口元がにんまりしちゃう。

 撫でるのはいいけど、身長足りないわ。

 

 どうしようかなと思っていると、マグがしゅるんとボーダーコリーに転じてしまった。

 

 

 くりっくりのお目めがかわいい♡♡

 ぶんぶん振り回してるしっぽもかわいい♡♡

 

「わ〜♡ マグかわいい~♡♡♡」

 

 ころんとお腹を見せてくるから、ついわしゃわしゃ撫でてしまう。

 つやつやでほかほかで温かい。

 

 くぅ~ん、くぅ~んとマグの演技も堂に入ってる。

 故郷では野生動物たちも撫でさせてくれたのよね。

 懐かしいわ。みんな元気かしら。

 

「ごめんね。マグのことを蔑ろにしてたわけではないのだけれど」

「わぅわぅん!」

 

 リーが悪いって言ってる気がするわ。。

 ヒト型に変じて言ってくれればいいのに、変じたら私が撫でにくいから嫌なのね。ふふ。

 

 おなかもいいけど、耳の後ろやおでこ、鼻の上あたりもいいのよね♡

 なーでなでしていると、ふと視線を感じて振り返った。

 

 

 ジト目のラウとフォーレ・・・・・・。

 

 1秒後に何事も無かったかのように、するっとヒト型にもどったけど、ばっちり見られたわね。

 下手な言い訳もできないし、マグの威厳も保っておいてあげたいわ。

 

「リーにはお使いに行ってもらっているわ。久しぶりにマグと二人きりだったから、撫でさせてもらっていたの」

 

「リー、どこにいったの?」

 よかった。ラウもフォーレもあんまり気にしてないみたいね。

 

「ジーガン領と、テラニード王国よ。ドンオール領はここから川一本向こうなだけだもの。食料が足りないでしょうから支援してもらえるようお願いに行ってもらったの」

「そっか。レイハスも?」

 

「レイハスさんには私たちの手持ちの食料を、あそこの町に届けに行ってもらってるわ」

「そっか。作物全滅だもんね」

「ええ。ネズミにかじられる前にいくらかは収穫したと思うけど、おそらく足りないと思うしね。さっさとここを浄化して北に向かいましょう。途中から南下してきたけど、北の方も弱いけど瘴気に侵されていたし」

 

「そうね。わたしたちも急いでネズミ捕まえてくるわ!」

 

 ラウとフォーレが捕まえてきたネズミたちを浄化すると、二人ともすぐに捕獲に向かってくれた。

 

 入れ替わりにセリスとユスフさんが戻ってきて、二人が捕獲してくれた分の浄化していると、セリスが西方の森に目を向けた。

 

 

「フェリ、愛し子の応援きた」

「ほんと?」

 

 私は浄化を急いで終えてセリスの視線を追ったのだけれど何も見えない。

 

「精霊術で隠蔽されてるから。もう間も無く来る」

 

 

 

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