忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん! 作:さとう_2701
翌日、私は馬上から演説をするギルド長の隣の人物を目にし、このまま回れ右をしようかと本気で思った。
白地に金で縁取られ、四精の意匠を胸に刻んだローブ。年若そうな男性だ。
「ばれる?」
私の周りに精霊がたくさん飛んでいれば、目視でも見つかるかも知れない。
商人ギルドの中年紳士を思い出す。
せっかく仲良くしてくれる町のみんなも、あんな風に・・・?
後ろから包み込むようにハグされた。
「大丈夫。わたしもプティもフェリに近寄らないよう精霊たちに伝えてるから。見ただけじゃ分からない」
「・・・うん」
喉の奥がぎゅっとしてうまく声も出ない。
「大丈夫だからね。・・・邪魔なら殺そうか?」
「それは、だめ」
大事になってしまいそうだし。
「手、冷たくなってる」
胸の前で両手を合わせるように温めてくれる。
「わたしから離れないようにしてね。トイレ行くときもね」
「・・・・・・それはいや」
「ーー以上だ。今回の作戦に神官のラーフロー殿も同伴してくださる。ポーションや自分の回復術で治療が難しい場合は早めに本部まで来るように。今回動員した戦力があれば死者はありえん! チーム同士協力して事態に当たってくれ!では出発する!」
ギルド長の演説が終わり、移動が開始された。
しばらくは街道を行くそうで、晴れた天気にガッチャンガッチャンと鎧の擦過音が響く。
それぞれチームごとの移動で、群れBを担当するチーム同士集まって歩く。
基本的に森に進行するため、みな徒だ。
馬に乗っているのは、ギルド本部のメンバーか資材を積んだ荷馬車の御者くらい。
歩くのは不得手じゃないけれど、冒険者でならす面々と私とでは脚の長さが違う。みなが一歩のところを二歩いかねば間に合わない。
ほかのチームから、なんでこんな子どもが? の視線を感じ、代表して20代中頃の女性が話しかけてきたけど、ケイナさんが相手してくれた。
「この子はラウラリーエの妹。ま、私の妹でもあるけど」
「!?」
びっくりしてる間にサニクレアさんも口を挟む。
「私の妹でもあるけど?」
「へ~、ケイナは年下好きだけど、サニクレアもとはね~。ラウラリーエは名前聞いたことある。水精術使えるんでしょ? 妹も使えるの?」
親が使えればその子どもが、兄や姉が使えれば、その弟や妹が使える割合は高い。普通の質問だったとは思うけど、私は心臓がどきりと跳ねた。
「ううん。妹は使えないの。妹に話がある人はいないと思うけど、話しかけないでね。言いたいことがあるならわたしが聞くから」
笑顔で周囲を威圧するラウに、ケイナさんやサニクレアさんも賛同する。
「こっちも通してね」
「そうそう」
どうして同じ仲間同士で威圧するの?
「ご用があればなんでも声かけていただいて大丈夫です。私は戦闘には参加しませんので。雑用は頑張りますね」
みんなの助けになりたい。
忌み子の身では近づくだけでみんなに不幸をもたらすのかなと思っていたけど、ラウはそれは違うと言ってくれたから。
私が近寄っても、名前を呼んでも不幸になったりしないって。
大丈夫なんだって思わせてくれたから。
それなのにーーー。
「はぁーーー♡♡ めっちゃ可愛い! 好きに話しかけて良いんでしょ? 名前なんて言うの? いくつ?」
瞬きする間に、先ほどの20代中盤の女性が隣にいて、頭を撫でようとしていた手をラウが取り押さえてた。
「話しかけないでといいました。ケイナさんもサニクレアさんも言いましたよね?」
「妹ちゃんは話しかけて良いって言った!」
「ラウ、大丈夫だから」
ラウに手を離させると、改めて女性に向き合った。
「フェリです。年が明ければ14になります。よろしくお願いしますね」
どうしてか女性のお尻がふりふりしている。
「12歳くらいかなと思ったけど、今は13歳ね。しっかりしてるわぁ。私はカルロアよ。ロアでいいわ」
「はい。ロアさん」
「ふわー♡ 可愛い!」
可愛い?
感性がラウ寄りなのかな?
それとも動物の赤ちゃん全てかわいいみたいな?さっき14と自己紹介したはずだけれど?
「フェリちゃんお菓子食べる?」
了承する前から、ポッケに手が伸びてる。
「ごめんなさい。甘いものはあんまり好きじゃなくて・・・」
「そうなの。何が好きかな? あ、ナッツはどう?」
カルロアさんと話しているとほかの女性たちも、ずるいずるいと迫ってきて、追い返すラウとケイナさんとサニクレアさんの間でもめる羽目になった。
なお男性陣は近づいても来なかった。危険を察知したらしい。
食事の間もジャンケン大会が開催され、食事中だれが私を膝に乗せるか競い合っていて、今晩もラウは悔し涙を飲んでいた。