※この作品はR-18です。

忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん!   作:さとう_2701

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第47話 ~sideシェラロッテ~ 術士学舎にて

「先週から術の精度と威力すごいことになってんね~」

 

 ミネアの発言にレニーシャもこくこくと頷く。

 術士学院の食堂はまあまあ混雑しているけど、そもそも精霊術士は貴族出身が多く、寄付も多い。広々とした造なので圧迫感はない。

 

「私も契約したらそんな風になれるのかなー?」

 

 愛し子との契約の話はいま一番注目されてる。わたしは誰に聞かれたって構わないんだけど、ユニファが防音の結界を張った方がいいと言う。無闇にやっかみ買わなくてもいいでしょ、とのこと。

 

「機会があれば、かな。術士の選定基準については聞いてないけど、たぶん貴族派は含まれないんじゃない? そもそも嫌ってるんだし」

 

 ミネアはローストビーフにフォークを突き刺しながら、さらに続けた。

「貴族派ねー。こうも見せつけられちゃうとね。契約できた人は次々出世してるじゃん」

「そうね。実力と実績が伴ってるから、貴族派も反論しにくいわね」

 会話を引き継いだのは、ユニファだ。

 クラスには15人くらいいるけど、仲良くしてるのはこの3人くらい。

 

 ミネアは貴族が多い術士学院には珍しく、地方の商家の出だ。明るくて人懐こい。たまにぽろっと失言することもあるけど、友だち思いのいい子。上京してきたばかりの頃は学生寮に入っていたから、何くれとなくお世話をしてくれた。

 

 レニーシャは貴族の四女だったかな。引っ込み思案であんまり発言はしてこないけど、忘れ物をしたらこっそり貸してくれたり、一般教養や礼節の講義では放課後教えてくれたりしてくれる。この辺はミネアも苦手なので一緒にね。

 

 ユニファは侯爵家の次女で、成績優秀、品行方正でクラスのリーダー的存在。わたしが田舎者過ぎて見てられなかったんだと思う。いろいろとお世話をしてくれるうちに仲が良くなって、よく話すようになった。

 高位貴族といっても頭でっかちじゃない。冗談も通じるし話しやすくて、何か困ったことがあれば解決してくれる頼りになる存在。男子側のリーダー格のサーランと婚約しているところもイジり甲斐がある。

 

「シェラの契約者、会ってみたいなぁ~」

 ミネアから度々おねだりされるけれど、曖昧に濁す。

「そうね。機会があればね」

 

 絶対に会わせたくない。

 これ以上フェリシアの周辺に余計な術士は不要なの。でも、はっきりと断ると面白がってついてきそうなんだもの。

 

「またそれぇ?」

「ミネア、無茶を言わないの。人が嫌いな子、て聞いたでしょ」

「そうだけど、どんな子か興味あるじゃん? シェラが故郷から連れてこようとしてたくらいの子だよ? 今シェラが数学、国語、歴史で成績いいの、その子のおかげでしょ? いま貴族界は愛し子ブームが来てるし、もう誰も虐めたりしないと思うんだけどなぁ」

 

「貴族界はね」

 ミネアののんきな一言につい言い返してしまった。

 

「どういうこと? 平民は虐めてるの?」

「これは言ってなかったんだけどーーー」

 ナウシーさんから聞いた北方の村での契約の顛末を話した。

 

「なにそれ! 助けてもらったくせに殺そうとしたの?」

「ぜんぶの村じゃない。わたしの故郷でもこんな風に考える人はいなかった。でも実際にいるの。それに教会の人だって愛し子に酷いことしてたって聞いた」

 

 ずっと聞き役に回っていたレニーシャが小さな声をあげた。

「お姉様が仰っていたのだけれど、そういう方は精霊術の力が弱まるか、失ってるって。降格か除籍処分になってるって」

 

「レニーシャのお姉さん、教会職だっけ? 愛し子保護政策もカイエル陛下がいらしてからだもんね。忌み子として教わった世代はそういうことする人もいるのかも。シェラの契約者は大丈夫? 警護の人がついてるの?」

 

 しゃべってばかりだとお昼の時間が終わっちゃう。

 もくもぐとパンを口に放り込みながら答えた。

 

「まあ、お姉さん? がいるわ」

 姉ではないと聞いたけれど。

 フェリシアが精霊人にしたなんて、とんでもなく驚いたけど。

 

「歯切れ悪いわね。姉なんでしょ? 強いの?」

 

 

 ラウラリーエが精霊人だと知って、その日の夜イルヴァングさまに伝えたのだけれど、新しい養父はそこまで驚いていなかった。

 

「あそこまで精霊に愛されるなんて尋常じゃないしねえ。それにテラニード王国で精霊人と謁見したことがある。まったく同じというわけではないんだけれど、どこか似通ったところがあってね。もしかしたら、という可能性の一つとしては考えたいたからね。ただの姉だったら、妹離れしてくれたら・・・と思っていたんだがねえ。無理だね」

 

「結婚しましたしね・・・」

 

「それは精霊人の性と聞いたけれどね」

「さが、ですか?」

 

「テラニード王国の精霊人、マグ様と仰るのだけれど、マグ様もまだ主の帰還を待っていると聞いたよ」

「テラニード王国の精霊人は何千年も前からご存命と伺いましたけど?」

 主はとっくにお亡くなりになってるのでは?

 

「生まれ変わってこられるそうだよ。いままで3度出会ったらしい。次の生まれ変わりを今も彼は待ってる。それくらい彼らの創造主は魅力的らしいね。メロメロに執着して離れられないらしい。フェリシアのところも一緒だね。ラウラリーエは離れたりしないだろうなぁ。ほんとよく殺されずに契約できたよ。私もびっくり」

 

「ラウラリーエはそこまで物騒じゃないですけど?」

 

「精霊人を普通の術士の感覚で捉えてはいけないよ。ちょっとした弾みで殺しちゃうくらい力を持っているからね。まだ産まれたばかりと考えれば、そこまで力はないのかも知れないけど、気を付けるに越したことはない。重々気を付けなさい」

 

 以上、回想ここまで。

 

「実際に見たわけじゃないけど、強いらしいわ」

「へーー。お姉さんにも会ってみたいわね!」

「すっごいシスコンよ」

 

 結婚してるってことは黙っておいてあげよ。お昼休みなくなっちゃうし。

 それに今日は心待ちにしている面会日!!

 この前は詳しく聞けなかったから、今日は聞き出すぞ!

 

 

 

 講義が終わると、誰からも話しかけられないよう急いで校舎を出る。

 馬車に乗って高級茶屋へ行くと、すでに3人は部屋に通されたとのこと。

 

 階段を上って扉を開けると、ラウラリーエにべったりくっつかれ、フォーレを膝に乗せたフェリシアがいた。

 

「シェラ、お疲れ様」

 にこ、とはにかんでくれる。

 

 硝子窓から午後のやわらかな陽光が入り、フェリシアを照らしている。茶色の髪が輝いて見えて、まるで天使のよう。かわいい。群を抜いてかわいい。

 

 

「フェリシア!」

 嬉しくなって駆け寄ろうとしたけど、フェリシアから氣?の力を感じて踏みとどまった。

 

「その力、どうしたの?」

「王太后さまからの訓練の一環ね。早く強くなりたくて」

 

「そうなのね」

 

 恐る恐る近づいて、空けてくれている右手に触れる。

 過多症はよくなったから余分な術力が放出される感じはないけど、彼女の体内でとぐろを巻いている力を感じる。

 もちろん嫌な感じは受けないけど、量が多すぎない?

 

「体大丈夫なの? 疲れない?」

 

「ふふ。疲れるよ。疲れないと訓練にならないじゃない?」

「そうだけど。フェリシアはすごいわね。わたしだったら家に帰ってまで訓練したくない」

 

 んー、とフェリシアは首をかしげる。

 

「私はやるべきことが分かって嬉しい。どうしたら強くなれるんだろうって思ってたから、どんどん試したいの」

「すごいわね。王太后さまのところで教えてもらうって言ってたけど、誰が教えてくれてるの?」

 

「王太后さまよ?」

「ご本人!?」

「ええ。驚くわよね。でもお話しやすいし、わかりやすいわ」

「すごいわね・・・」

 

 

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