忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん! 作:さとう_2701
「フェリがあんなこと考えてるなんて思ってもみなかったわ。さて、どうやって稼ごっか? 何か考えてる?」
シェラにああは言ったものの、手段については何も考えられてない。
もらうに能わないと思ったから言ったまで。
「安息日だけで稼げればいいのだけど。前に見たィエール海での蟹だったら、今なら一日で走って帰ってこられそうじゃない?」
「そうね。フェリが疲れたらわたしが抱っこして走ってもいいし。とりあえず冒険者ギルド行ってみましょ」
今も同じような依頼が出てるからわからないけど、依頼の傾向や稼ぎになりやすい場所を聞くだけでもいい。
ラウラとフォーレと手を繋いで向かうと、前来た時には見ない顔が出迎えてくれた。
「あーー! ラウラリーエさん! フェリちゃん! こっち来てたんですね!」
「どうしているの・・・」
黒髪ロングの美人受付嬢ミルシアさん・・・。
「どうしてか本店に異動になったんですよぉ。知り合いもいなくて寂しくて! 今日飲みません?」
「どうしてそうなるの・・・」
私の呟きを物ともせず、ラウラも喜声をあげた。
「わぁぁ! 嬉しいです! ぜひぜひ行きましょ!」
「ええー」
「あのおねえさん、誰なんだも?」
フォーレが不思議そうに見上げている。
ミルシアさんが屈んでフォーレと目線の高さを近づけた。
「こんにちは。お名前はなんて言うのかな?」
「フォーレだも! フェリさまが付けてくれたんだも!」
「そう! 可愛いわねえ」
「みんなそう言ってくれるも」
はにかむフォーレにミルシアさんもメロメロになってるみたい。
「ところでこんな時間に冒険者ギルドにどんなご用ですか? 誰かと待ち合わせですか?」
ミルシアさんが私とラウを交互に見てくるけど、ミルシアさん相手ならラウに任せるわ。
ラウに目配せする。
「ええと、実はお金が必要になってね。まずはどんな依頼があって稼げそうなものがあれば教えてもらおうと思ってきたの。王都店に長く在籍してる人の方が詳しいかな?」
ミルシアさんがすっくと立ち上がって胸を反らした。
「そういうことですか。私も配属になったばかりで傾向までは分からないんですよね。詳しい人呼んで参ります」
ミルシアさんは内部で事務仕事をしている方と話したかと思うと、連れだって戻ってきた。
「こんにちは~。ここで10年担当してますティーエと申します。ミルシアちゃんからお話は伺いました~。こちらの談話スペースでお話をいたしましょうか。どうぞ~」
ティーエさんはミルシアさんより背が低く、ゆるい感じがナウシーさんを彷彿とさせるわね。
10人くらいが入れる談話室に通されると、ティーエさんに向かい側に座るよう促された。
私たちの真向かいにティーエさんとミルシアさんが座る。
「王都店での依頼の傾向を知りたいとのことですが、掲示板に貼ってあるのはごく一部でして。ご希望のご依頼はどういったものになりますか~? 採取系や討伐系、護衛や捜索など、ランクや期間に応じてご紹介いたしますよ~」
ミルシアさん相手じゃないし、ここは私が矢面に立とう。
「私の姉ラウラリーエはランクD、私はFランクよ。この子は冒険者登録はしていないわ」
「DとFですか・・・。それでどういった依頼が得意ですか?」
「採取や討伐が得意です。このあたりで高値が付く討伐や採取はどういったものになりますか?」
「DとFですよね・・」
ティーエさんの眉間にしわが刻まれる。
「あの!」
ミルシアさんが声を上げた。
「以前も説明しましたが、受けられる依頼はランクに応じています。お二人はオーク討伐戦後、ランクアップ登録を行ってませんよね? あの実績が加味されてラウラリーエさんはBランクに、フェリちゃんはCランクになってるんですよ。ティーエ先輩、そこを加味してご提案いただけないでしょうか?」
「BとCならーーー」
言いかけたティーエさんの言葉を遮った。BやCではなく稼げるアイテムが知りたいの。
「ティーエさん、申し訳ないけど依頼を受けたいわけじゃない。この近くで希少価値が高いものはなに?10位くらいまで教えてもらいたいの」
ギルド職員のふたりはぽかんとしたが、ティーエさんがすぐに立ち直った。
「王都近隣で高いものはブルーディアと言われる鹿ですね~。角も加工品として使われますし、お肉も高値で売られます」
「まえにィエール海の蟹の採取が掲示板に貼られてたわよね? どっちが高いの?」
「そこまで範囲を広げていいのでしたら、蟹の方が断然高いです~。あとは南西のダンジョンのアイテムが総じて高値で取引されています。15層以上に出現する魔物や30層でとれる鉱物とかですね~。魔物ですと金貨20枚から、鉱物だと100枚は下らないですね」
「金貨100枚?!」
「そうですね~。魔鉱と言って、武器や武具の材料になるんです。高い霊力を備えているので、対精霊魔法に高い効果があります。でも魔物を打ち倒しながら、テントや食料などの備品を背負った上で鉱石を持って帰ってくるわけですから、希少価値が高いのです~」
「なるほど。南西のダンジョンとは「ヨルロン」のことですね?」
「ご存知でしたか」
「本で読んだだけです」
ここからィエール海に行くよりは近そう。走れば半日くらいで行けるかな。
ラウも、うきうきしてる。
「次の休みに行きましょ! これでしばらくはお金に困らないわね」
「あらあら~。ランクBとCでしたら、10階までいけるかどうかですよ~。それよりも何度か足を運んでダンジョンに慣れるのが先決ですよ~。食料・水・ポーションなどの消耗品、テントなども必要ですし、ダンジョン内は真っ暗ですからね。カンテラなども必要です。よければ地図も販売していますよ~」
それは嬉しいかも。
「おいくらですか?」
「1階で金貨3枚、1階から5階まで纏めてお買い上げいただくと12枚です~♪」
「「たっか!」」
ラウラとハモっちゃった。
「まずはなしで何処まで行けるか行ってみましょう。どうしても必要なら購入もやぶさかではないし」
「そうね。そうしましょう」
このあとは出現する魔物の特徴や、採取できる鉱物の一覧表などを閉店時間まで見せていただいた。