※この作品はR-18です。

忌み子のわたし、精霊に愛されてました。知らなかったの!見えないんだもん!   作:さとう_2701

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第86話 もっと飲ませて・・

 別人みたいにみえるけど、いつものフェリにもみえる。この建物に飛び込んだ時のフェリはいつものフェリだった。

 

 いつの間にか幼児がフェリの結界に閉じ込められてて怪我してるし、フェリはわたしの知ってるフェリじゃなくなってる・・・。瞬きをする間によ?

 なんの気配も察知できなかった・・・。

 猫のリーがヒト型になって、フェリに傅いてるし。

 

 そこにまたわたしが壊した壁の穴から男性?が入り込んできた。

 

「失礼する」

 

 真っ赤な髪に深紅の瞳で沈着冷静な雰囲気。

 軍服のようなきっちりした服を着てるのも相まってちょっと近寄りがたい感じがする。

 

「マグ様!!」

 精霊術士の人間が騒いでる。

 

 マグってこの国の精霊人じゃなかった?

 確か国王さまより偉くって、有事の際に出てくるっていう守護精霊。

 

「騒がせてすまない。ここは我に任せて君たちは通常業務に戻ってくれ。また、この者は愛し子に重傷を負わせた。処遇については追って知らせる。異議のある者は?」

 

 フェリの結界に閉じ込められた幼児は腕を組んだまま、こちらをにらみ付けてる。

 フォーレよりも年下に見えるのに偉そう。

 

「ノキスがですか? 言動に荒いところもございますが・・・」

 子どもは大言壮語を吐いてはいたけど、フェリを傷つけたところは見てなかったのかしら。

「愛し子様にご不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません。ですがノキスはまだ三つの幼子です。何卒寛大なご処置をお願いいたします」

 術士の中年男性の嘆願に、マグは眉一つ動かさなかった。

「善処しよう。さあ、行くように。ここにはしばらく結界を張る。何人も入ることは叶わぬ」

 

「承知いたしました」

 全員が退室していくと、マグはこの部屋全体に結界を張った。

 強度もすごいけれど、隙が無い。

 敵対はしなさそうだけれど、もし対峙することになったらやっかいかも。

 

 わたしはフェリを抱き止めたまま、リーやマグとやらにも気を許さない。

 抱きしめていても、するりといなくなったのだから。

 

 わたしの警戒心にマグは見向きもしないで、フェリの結界――中の男の子に体を向けた。

 さきほどの無表情とは打って変わって、狂気すらにじませる眼光に、わたしはより一層警戒を強める。

 

「オーウェル・・・・。ようやく。ここまで来た。本当に永かった。ここで貴様もお終いだ。己の所業を振り返っていろ」

 

 マグはフェリの結界の上に遮光と遮音の結界を施して、リーに並ぶようにフェリに傅いた。

 

「ジーン様・・・今生はフェリシア様で在らせられました。心より再会をお待ちしておりました。本来ならば、記憶を戻すことなくオーウェルを排除できる予定でしたが、我らの力不足、誠に申し訳ございません」

 

 テラニード王国の精霊人はずっと主人を待っているって言ってなかった?

 それがフェリってこと?

 

 

「今回の事宜はどなたが図ってくれたの?」

 わたしのフェリとは違和感がある。言葉の重み。滲み出る貫禄。

 

 マグは下げた頭を上げないまま回答した。

「システィナ様です」

 

「あの子が…」

 ふんわりと笑む。慈愛ともいえる愛情深い表情。

 こんな顔フェリはしなかった。

 

「今はガカーヤカム・ダンジョンの管理人をされています」

「そういうことね。あの子は本当に・・・」

 

 想いをはせているフェリにリーが首を垂れた。

「フェリ様、すぐにお召し物をお持ちいたします。食事はどうされますか?」

 

 わたしの水精術クリーンは綺麗にはできるんだけど、破れは直せないのよね。

 フェリの胸元はざっくり裂けたまま。

 

「そんなことよりも、ちょっと待っていて」

 わたしをそっと押しやって、距離をとられた。

 

 フェリはふたりと対峙すると両手を広げた。

「ふたりとも他人行儀過ぎるわ。まだ記憶が定着してなくてあやふやなところも多いのだけれど――――おいで?」

 

 顔を上げた二人は長いこと飼い主を待っていた犬そのもの。

「ジーン様!」

 さきに抱きついたのはリーだった。

 あなたは猫の姿でフェリの膝に乗ってたでしょ!

 

「お待ちしておりました! 前回は誠にふがいなく・・」

 ぐずるリーの頭を、つま先立ちでフェリがなでなでしてあげている。

「いいのよ。また私のために永いこと過ごしてきてくれたのでしょう?」

「ジーン様を思えば永くなどございません」

「ふふ。リーは変わらないわね。マグもおいで?」

 

 リーが身を引くと、いい大人のマグも子供のように抱きついた。

 リーと違ってマグは男性寄りに見えるから、ちょっとというか、かなり不快。

 

「ジーン様・・。こうしていられるのは、結局はシスティナ様の功績です。大変申し訳ございません」

「そんなことないわ。いつもありがとう。みんなにはとても感謝してるわ」

 マグが背中をぽんぽんとされてる・・・!

 

「ところでヤーグは?」

「システィナ様をお迎えに行っております。明日まで結界は持ちそうですか?」

「たぶんね。がんばるわ」

 マグとの抱擁はあっさりしたもので、フェリは気が済んだとばかりにマグを離すと、こちらに戻ってきた。

 わたしの手を取って、自分の腰に巻き付けようとしてる...!

 

「ラウ、ぎゅってしていて?」

 

 人前で甘えてきたりしないから、めちゃくちゃ動揺したけど、言葉どおりの甘えた口調じゃない。

 切羽詰まった感がある。

 

「ちゃんと捕まえておいて欲しいの」

 上目遣いで懇願されて、一も二もなく頷いた。

「捕まえておいたつもりだったんだけど、ごめんね」

 ぎゅうっと抱きしめる腕に力を込めると、フェリの顔が少しだけほころんだ。

 

 わたしの胸元に頬を寄せると、フェリはマグとリーに指示を出した。

 

 

 オーウェルと組んでいる者の捜索と身柄の確保。

 フォーレとセリス、レイハスの安全。

 

 自身がテラニード王国の精霊人が探している人物だと公表しないこと。特にダル(みんな忘れてるかもしれないけど、ダルディッシャム王太后ね)にバレると面倒だからと言っていた。

 

 ダルに報告を行っているレイハスも無論のこと、セリスにも秘密にするらしい。

 また、公表しないため当初の目的であるガカーヤカム・ダンジョンの浄化は行うとのこと。

 

 ヴァンとヨルナには帰還命令をだしていたそうだけど、再度ガカーヤカム・ダンジョンに向かうにあたり、途中の町で合流することも決まった。

 

「リー、3人を迎えにいく前に食事だけ用意してくれる? 私は粥がいいけど、ラウは? お肉がいい?」

 

「肉がいい」

 昨日の昼から何も口にしてないし。フェリと再会したらお腹空いてきたわ。

 

 リーはこの場の対応が終われば、フォーレとセリス、レイハスを迎えに行ってくれることになってる。

 わたしはフェリにくっついてる係♡ ね。警護でもないのだって。悔しいけれどわたしではオーウェルに勝てないと、みんなが口を揃えて言うの。

 やってみないと分からないでしょ!?って思うのだけれど、そうならないようにフェリを応援する係なんだって。

 

「畏まりました。すぐにご用意いたします」

「では我もすぐに捕獲して参ります」

 マグはオーウェルの共犯者を調べてくるって。

 

 二人が出ていって、部屋が一気に静かになる。

 マグの結界が張りっぱなしで、音も遮断されてる。

 

 さて、リーもすぐ戻ってくるだろうけど、立ちっぱなしもなんだし水術で椅子でも出そうかなと思っていると、フェリが胸元にこすり付いてきた。

 ぐりぐりぐりぐり。

 

「フェリ?」

 

「ハグじゃ足りないの。キスして?」

 

 ここで? まだ明るいよ?

 

 困惑してる間に唇を奪われた。

 首に腕を回され、必死に舌を伸ばしてくる。

 

 驚いて引っ込んだままのわたしの舌に向かって、角度を変えて懸命に―――。

 夜だってこんなに必死だったことないのに。

 

 

 さっきからフェリが何かに抗ってるのは感じ取れてる。

 今のフェリと過去のフェリとでせめぎ合ってる?

 

 何にも全然分からないけど、わたしにキスしてってせがんでくるのは今のフェリだと思うから、思いっきりに丁寧に熱烈にやり返してあげる♡

 

 入ってきた舌を絡め取って吸い上げる。

 

「はぁっ♡」

 

 フェリの体温がぐっと上がった。

 何度も甘噛みしながら吸い上げて、今度は押し返してフェリの咥内を蹂躙する。

 ちいさい咥内をわたしたちの唾液で満たして、ぬぷ、じゅるっと水音が結界内に反響する。

 

「んっ!」

 

 ついお胸をつまみ上げると、可愛い反応。

 このまま最後まで気持ち良くしてあげたいけれど、途中でリー来ちゃいそうよねえ。

 どこまで責めようかしら?

 

 ちょっと気持ちが余所を向いている間に、唾液を飲み干したフェリがとろんとした瞳で告げてくる。

「ラウのだえき、もっとのみたい♡」

「いいわよ。いくらでも」

 

 わたしの唾液なんかでフェリの不安が消えるのかわからないけど。欲しいならいくらでもあげる。

 フェリの舌を誘い入れて、唾液腺を刺激させる。

 仰のかせた細い首が上下に動く。

 

 やばい。スイッチはいりそう。

 腰骨から股の方に手を進めてもフェリからストップがかからない。

 

 止めてあげなきゃと思うのに、手が馴染んだ肌をすべっていく。

 ショーツに手を掛けたところで、結界にリーが戻ってきた!

 

 一瞬動きを止めたものの、こちらを注視することなく食事の乗ったトレイと服を床に置いた。

 

「フェリ様。食事と衣服をお持ちしました。後ほどお召し替えを。私は3人をお迎えに行って参ります。マグがそろそろ戻ってくるかと思いますので、ほどほどになさいませ。それではラウラリーエ、頼みましたよ」

 

 リーはまったく動揺することもなく結界から出て行ってしまった。

 

「まったく驚いてなかったね…」

「リーは慣れているから」

 

 ん?! それはどういうことなの?

 

 

「ラウ、まだ足りないの」

 襟をギュッと握られて、わたしはマグがくるまで望むだけ飲ませた。

 

 もちろん自重したわよ?

 マグにフェリの柔肌見せるなんてもっての外だもの。

 

 

 なんの話も聞けてないし、食事食べ損ねてお腹は空いてるけど、別の欲は満たされたし、フェリが少し安定した気がする。それが1番だものね。

 

 

 

 

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