十分な睡眠を経て覚醒する意識。朝日の陽光がビジネスホテルの室内を自然に照らし出す空間の中、いつもの日常とは異なる“彼女の存在”に自分は夢物語が如き錯覚を覚えた。
昨日の出来事は夢ではなかった。自分の隣には確かに、ラミアという可憐な女性が存在している。ホテルの寝間着姿である彼女はお人形さんのような童顔で瞼を閉じており、こちらに密着する形で穏やかに寝息を立てていた。ラミアが実在してくれていた現実に心からの感謝を抱くと共にして、自分は彼女の寝顔をしばらく間近で眺めていたものだ。
見れば見るほどに、可愛らしい。そんな彼女が“奉仕”してくれた事実も記憶に新しい。デートのようなお出掛け、快楽を伴う魅惑のひと時。自分はここ数日の様々な出来事を振り返るよう脳裏に巡らせていると、ふと眺めていた愛らしい寝顔が瞼を開き、大きな瞳でこちらをまじまじと見つめていたことに気が付いた。
「うわ!?」
「どーも、おはよーございます」
「お、おはよう」
「ウチの寝顔を見てたんですか??」
「そうだね。可愛らしくって、つい」
「ウチはカワイイですよ?? だから、カンキさんが見惚れちゃうのも仕方のないコトですねー」
「改めてそう言われると、ちょっと恥ずかしいな……」
ラミアはしてやったりなドヤ顔を見せてきた。続けて彼女はあざとい上目遣いを向けながら猫なで声で訊ね掛けてくる。
「おはようのチューでもします??」
「……いいの?」
「イイですけど??」
「じゃあ、したいな」
「カンキさんからしてください」
「え? 俺から?」
こちらの是非を聞く前から、ラミアは目を瞑ってキスを待ち始めた。自分は恐る恐るといった具合に顔を近付けると、直にもその唇は彼女の可憐で小さな唇に触れ合い、密着する。
最小限の音が僅かに響く、早朝のソフトキス。慣れない接吻に苦戦するこちらの所作を、ラミアはどこか優越的な心持ちで眺めていたものだろう。こちらからのキスが落ち着くと、お手本とばかりにラミアの方からもキスをされ、気付けば10分近くは口付けをしていたかもしれない。次第にも互いの唇が離れ合うと、数秒と見つめ合った後にラミアは淡泊な調子で言葉を投げ掛けてきた。
「どーでした??」
「……ラミアの事がもっと好きになりそうだよ」
「もっとスキになってもイイですよ??」
「そういうところが可愛いなって思う」
「ありがとーございます。ハナシが変わりますけど、今日の予定はカンキさんを住居にご案内します」
「本当?」
「ホントです。で、カンキさんをご案内するにあたって、ウチともう一人の女性キャストさんと合流する段取りになってますので、お出掛けの支度が終わり次第にココを出発するつもりでお願いします」
「分かった。それじゃあ朝ご飯とか済ませようか」
「そーですねー。そーしましょーか」
ラミアと過ごすホテルの朝は、まるで二人暮らしをするカップルのような空気感だった。朝食を済ませ、ラミアの化粧を待ち、一連の身支度を済ませた自分らはホテルの部屋を後にして東京の街へ繰り出していく。既に昼前を迎えた午前の時刻、ラミアの案内で最寄りの駅前へ移動すると、彼女はそこで待ち合わせていた女性キャストへと手を振って自身らの到着を知らせたものだった。
こちらへと駆け寄ってくる女性は、一言で例えるならば『現代的で小悪魔なギャル』だった。身長163cmの彼女は腰辺りまでの長さがあるウェーブがかかった
お互いに源氏名を呼び合う二人。彼女らは仲睦まじい様子で抱き合うと、特有のスキンシップを交わした後に合流してきた女性は興味津々な眼差しをこちらに向け、悪戯に微笑する勝気な調子で意気揚々と喋り出してきた。
「柏島歓喜くん!」
「は、はい! 柏島歓喜です」
「あは、ノリに慣れてない感じがマジでウケる。ウェーイ、どうも~。ラミアのズッ友やらせてもらってまーす。メーでーす。よろ~」
「お名前はメーさん、ですね。こちらこそよろしくお願いします」
「うわ、ホントに真面目だ! えー、草食系でウケる~。てかさ、アタシにもラミアみたいなタメで喋っていいからさ。そこは遠慮なしで、もっと対等にいかね?」
「そ、そう? なら、よろしく。メー」
「良いじゃん! イケイケ度バリ増しでガチの爆アゲだわ! さっすがボスの息子! 普段はめっちゃ謙虚なのに、これで実は戦える技術を持ってますとか、なにそれマンガの主人公か? ギャップあり過ぎて風邪ひくわ~! 結論、めっちゃイイ!」
煌びやかな容貌に浮かび上がる、健気で悪戯な表情。自信に満ち溢れた女性メーは肉食獣の如き本能的な視線をこちらに向け、高揚する期待感をそのままに微笑しながら言葉を続けてくる。
「カンキ君の部屋が用意できたから、その鍵を持ってきたわけよ。はいこれ。アタシらの分の合鍵も作ってあるから、それはカンキ君が持っといて~」
「あぁ、ありがとう。……ん? 合鍵?」
「で、荷物とかも部屋ん中に運んでおいてセッティングとかも全部済ませておいたから、いつでも使える状態になってるってワケ。まーでもさー? せっかくこうやって外にいるんだからさー、親睦会ってことでちょっと遊んでから部屋に行ってもいいよね~とか、アタシはそう思うんだよね~」
「遊ぶということは、つまり……?」
メーは一歩踏み込んでくると、街中であるにも関わらず何の躊躇いもなくこちらの左腕に抱き付いてきた。初対面の男に対して、抵抗感どころかさも当然みたいなサマで見上げてきたメーは、小悪魔的な眼差しで悪戯に口角を吊り上げながらウキウキとそれを提案したものだ。
「こりゃもう、デートするしかないっしょ? アタシとラミアと、カンキくんの三人でさ~。夢のハーレムデート、一緒に楽しんでこうよ?」
メーの先導によって、ラミアを含めた三人デートが始まった。メーがこちらを引っ張り、ラミアが淡泊な様子でそれについていく最初のお出掛けルートは、付近に設けられた大型デパートの内部だった。ショッピングモールになっている大通りを、二人の美女に挟まれながら歩き進めていく状況。道中にもメーからは出で立ち、趣味、格闘術、女性経験など様々な質問を投げ掛けられ、自分がそれらに答えていくという他愛ない会話が展開されていた。
歩いている間、メーはずっとこちらの左腕にくっ付いていた。恋人よろしく平然とした振る舞いは男性経験の豊富さを伺わせ、会話の主導権や行動の決定権などを有する様子から積極的な性格であることが分かった。直にもゲームセンターのコーナーに到着すると、メーは三人でプリクラを撮ろうと提案して筐体の中へと連れ込まれた。
主に自分は彼女達に任せるだけで、基本はラミアとメーが物事を進めていった。二人は親密な様子でラフに掛け合い、手慣れた様子でプリクラの液晶を操作しながらポーズを決めていく。次々と進行する手順に不慣れな自分が思わず戸惑い、その様子を彼女達は笑いながら優しく教えていく。そうして撮影した写真を一緒にデコレーションして華やかに飾り付け、それをスマートフォンで読み取り画像をダウンロードすることで一生の宝物がアルバムに保存されるのだ。
三人で撮影した写真を、自分はしばらく眺めていた。するとメーが左腕にくっ付き、勝気な表情でこちらの顔を覗き込みながら言葉を掛けてくる。
「どったん~? 二人の美女と撮ったプリクラで悦に浸ってたのかな~?」
「それは……そうかもしれない。今の俺は、世界の誰よりも幸せ者だよ」
「うはー、お世辞も上手いね~。カンキくんのその言葉、ホンキにしちゃおっかな~?」
「俺はいつでも本気だよ」
「へぇ、やるじゃん。……こうやってくっ付いてみるとさぁ、カンキくんって筋肉質な体つきしてるよねぇ」
「格闘術の関係で、身体は鍛えているからね」
「ふーん。カンキくんって真面目で優しいし、戦えるくらいには強いみたいだし、こうして考えてみると実はかなりの隠れ優良物件だったりするのでは?」
「物件?」
「なんでもなーい。それよりさぁ、次のとこ見に行こー? こっちに良い物があるんだよねー」
メーに連れられて移動してきた場所は、広大なフロアに展開された女性の下着売り場だった。あまりの場違い感に自分は最初こそ抵抗を示したものだったが、ラミアもメーも一緒に来るよう催促して半ば強引に引き摺り込まれてしまう。男としての気まずさに押し潰されそうな思いを抱え込むこちらとは裏腹に、彼女達は平然としたサマで当たり前のように突き進みながらルームウェアについてあれこれと談議していたものだ。
程なくして、メーがマネキンの前で立ち止まる。そこには上下のランジェリーを身に着けた複数のマネキンがおり、メーはニヤニヤと悪戯に満ちた微笑を含みながらこちらに問い掛けてきた。
「ねぇねぇ、カンキくんはどんなのが好みなん?」
「え!? 俺に訊くの!?」
「驚き過ぎでウケる。ほら、黒色とか白色とか、シルクとかレースとか、Tバックとかモコモコとか色々あるじゃん?」
「そう言われてもなぁ……俺に訊いても参考にならないと思うけど」
「カンキくんだから訊いてるんだけどなぁ? 答え次第では、アタシがその格好をしてあげてもいいけど?」
「えっ」
無意識ながらも、自分は赤面していたかもしれない。そんな様子をメーは
だが、すぐにもメーは誤魔化すように笑いながら言葉を投げ掛けてくる。
「冗談だって! もー、カンキくんってば真に受けすぎ~。純粋すぎてチョー可愛い~」
「そ、そうだよね! 冗談だよね! は、ははっ」
「ちょっと意地悪な質問だったかな~? ま、いつかは分かるっしょ」
「え?」
「はい、次いこ次~。腹減ったから昼飯でも食べよー」
メーがこちらの左腕にくっ付いてきて、連れ出される形で下着売り場を後にした。ラミアはメーの気まぐれに慣れているのだろうか、彼女は特に何も言わず同行を続けながらメーと昼食について話し合い、その末に自分らはショッピングモール内のレストランでランチを済ませていく。それからも施設内を順繰りに見て回り、気付けば夕方の時刻に差し掛かる頃合いになると、彼女達は満足した様子でデパートを出ながらその会話を交わしていった。
「もーそろそろカンキさんのご自宅に向かいましょーか」
「あ、じゃあコンビニ寄っていい? ビール用意すんの忘れてたからさー、部屋に戻る前に買っておきたいんだよね~」
「あのメーさんがビールを用意してなかったんですか?? 大好物じゃないですか」
「ねー。アタシとしたことが、うっかりしてたわ~。部屋の準備とかで疲れてたんかな~」
何気無い会話の中で、自分は違和感を抱いた。これから向かう部屋って『俺の住居』だよなと、ふとした疑問に首を傾げていく。
「その、ここで言う部屋って、俺が住む部屋のことでいいのかな」
一応、確認のためにそれを訊ねてみる。すると、ラミアとメーは同時に振り返りながら、さも当たり前と言わんばかりに返答してみせた。
「そーですけど、なにか??」
「てか、アタシらもその部屋に住むから。そこんとこ、よろ~」
陽も沈み始め、上空に薄暗がりが立ち込める
入店するや否や、メーがカゴを持ってビールを数本と入れていく。余程の好物なのだろうか、躊躇いもなくさっさっと缶を入れ続けていく傍らで、ラミアがアイスを数個と掻き集めてカゴに入れていく。何とも迷いのない彼女らに自分は呆気に取られていると、メーは悪戯に口角を吊り上げながらこちらに擦り寄り、揶揄うような調子でニヤニヤと囁いてきたものだ。
「カンキくん、カンキくん。せっかくだからゴムも要る?」
「ゴム?」
「コンドームのこと。要る?」
自分は周囲に人がいないか確認してしまった。状況を伺ってからメーの耳元で返答する。
「その、そういう物は避妊や性感染症の予防で使うものだから、今ここにあったところで手持ち無沙汰になるだけというか」
「だって、このあと使うかもしれないじゃん?」
「使うって、どこで?」
「カンキくんの部屋で」
「お、俺の部屋で……!?」
「カンキくんが、アタシ達に使うかもじゃん。どう? “ヤる気”になってきたんじゃない?」
メーは煌びやかな勝気の表情でニヤニヤと見上げていく。その瞳の奥には捉えた獲物を吟味する余裕と駆け引きの挑発的な思惑が秘められており、メーはこちらを手玉にするかのように勿体ぶった調子で言葉を続けてきた。
「カンキくんも乗り気っしょ? ゴムを試してみる絶好のチャンスだと思うんだけどなぁ~?」
「ッ……! いや、ゴムは必要ないよ」
「ゴムが、要らない……!? もしかしてカンキくん、まさかのナマ派!?」
「違う違う違う!! そういうことじゃなくって!!」
「分かってるってば~。冗談、冗談! いちいち真に受けちゃって、可愛い~」
自分とメーが色々と言い合っている最中にも、ラミアは淡泊な調子でせっせとカゴの中にお菓子やスイーツを入れ続けていた。気付けばカゴいっぱいの重量でメーが「うわ、重っ!」と苦戦していたため、自分が代わろうかと提案して彼女からドカッとカゴを受け取っていく。
中々の重量だったが、普段のトレーニングで持ち上げている器具と比べたらマシな類でもあった。そんな平然とカゴを持って佇むこちらの様子に、ラミアとメーはどこか淡い眼差しを向けながら直視してくる。特にメーは意外そうに見開いて、「へぇ」と言葉を漏らしながら何やら思考を巡らせる。そのままレジに向かって会計を済ませると、荷物係の自分が袋を提げ、メーの案内の下で新たな住居へと向かい始めたものだった。
街灯に照らされた暗がりの帰り道。表通りから外れたもの寂しい小道に進路を変え、左右の建物に挟まれた一直線の道路を歩き進めていく。区画的には既に歓楽街『
四階建てであるそれは、一階にテナント物件と別室の内階段が設けられたメゾネットタイプのアパートだった。現在は使用されていない空き家であり、二階の部屋を住まいとして自由に使ってもらっていいとのこと。自分はメーに案内されるまま建物に入り、階段を上って小さな折り返し地点に移動する。それから三階に続く階段を背にして二階の玄関扉を開錠すると、扉を開いて照明を点け、新たな居住地となる空間と対面した。
複数の大人がルームシェアできる、広いリビングが印象的な部屋だった。既にダブルベッドや液晶モニター、ローテーブルや絨毯などが整備されており、生活感に溢れている。玄関から左手にはトイレや洗面所に続く小さな廊下が伸びていて、廊下の途中に台所や冷蔵庫などが用意されている。
カーテンが閉ざされた新天地を、自分はしばらく見渡したものだった。その間にもラミアは帽子とポンチョを脱ぎ散らかしながら風呂の準備を始め、メーは買ってきたビールを早速と開けて喉に流し込んでいく。部屋の整備をしたという当人は廊下の棚からおつまみを持ってくると、コンビニで買ってきた菓子類やチューハイなどをローテーブルの上に広げながら、絨毯の上に座り込んでは左隣に座るよう促してきたものだ。
「ほらほら、カンキくんも座って座って!」
「わ、分かった」
メーに言われるまま、自分は彼女の隣に座り込む。するとメーはこちらに寄り掛かり、缶ビールを片手に勝気な微笑を浮かべながら喋り掛けてくる。
「お酒飲めるよね? 好きなやつ選んでよ。そんで乾杯しよ?」
「じゃあ、カシスオレンジのチューハイにでもしようかな」
手にしたチューハイの蓋を開け、差し出されたメーの缶ビールと乾杯した。この際に彼女は上機嫌に「かんぱ~い」と言うと、メーはこちらの右肩に左腕を乗せてもたれかかり、ごくごくと喉を鳴らしながらビールを流し込んでいく。既にアルコールのニオイが充満し始めた新居の中、ラミアは収納から着替えを取り出しながらメーに言葉を投げ掛ける。
「メイク落とすためにお風呂入りますけど、メーさんも一緒に入りますよね??」
「んぁー、入る入る~。アタシはちょっと“用事”あるから、ラミア先に入ってて~」
「分かりました。そーいうワケですからカンキさん、お風呂は先に頂きますねー」
自分が頷いていくと、ラミアは着替えを抱えてトコトコと洗面所に移動した。彼女の背中を見送ったメーはしばらく沈黙すると、ふとこちらに振り向きながら悪戯な笑みでそれを問い掛けてくる。
「ねぇねぇカンキくん」
「どうしたの?」
「ラミアとはどこまで行ったん?」
「どこまで行った?」
「えっちとかした?」
「なっ」
そういうことか。動揺で慌てるこちらの様子を、メーはご満悦な面持ちで眺めてくる。
「いいから教えてよ。参考にするからさ~」
「参考って……別にえっちまではしてないけれど」
「えっちまではしてないけれど~?」
「その……キスはしてもらった。あと、口で抜いてもらったり……」
「ふむふむ、なるほどですな~」
缶ビールをローテーブルに置いていくメー。もたれかかる身体はそのままに、彼女はアルコール混じりの吐息を漏らしながら顔を一層と近付けてくる。
「じゃあ~、まずは復習からしよっか」
「復習?」
「そ、まずはキスのやり方から思い出してこ?」
こちらの頬に右手を添えてきたメーは、次の瞬間にも奇襲をかけるように唐突のキスを行ってきた。
ラミアのソフトキスとは異なる、肉食獣の捕食が如き一方的なプレッシャーキス。煌めきを帯びた彼女の唇は平たくも柔らかく、それを顔ごと押し付けるような力強い口付けは相手に呼吸の暇すら与えない。メーが主導権を握るキスは彼女の欲望を満たすためだけに存在しており、口恋しいメーの心理が投影されているようにも感じられた。
鼻先から香るアルコールのニオイが、背徳的な魅惑を増幅させてくる。直にも彼女の捕食が落ち着くと、メーは唇を離してこちらの瞳を見つめてきた。勝気で自信に満ち溢れていた彼女の表情は、内なる欲望に感化されて愉悦に浸っていた。
小悪魔的なギャルに迫られる刺激的な夜を、自分は心のどこかで期待していたのかもしれない。だからこそ、彼女が片手でこちらのベルトを外し始めた時、強い抵抗を示さなかったのだろう。自分が彼女の名を呼びながら静止を働きかけるものの、メーはこちらの首に左腕を引っ掛け、悪戯に吊り上げた口角と肉食獣のような眼差しを向けながらズボンと下着をひん剥いてくる。そうしていきり立ったペニスがボロンッと飛び出すと、彼女は感嘆の声を漏らしながら意気揚々と言葉を投げ掛けてきた。
「まだ口でシてもらっただけ?」
「そう、だね……」
「じゃあ、次は手でイってみよっか?」
ローテーブルの上に置いてあったボックスティッシュから、数枚のティッシュを抜き取るメー。それをペニスの上に被せていくと、彼女は勃起したペニスを躊躇いなく握りしめてしごき始めた。
慣れた手つきが、的確に男性器の弱点を刺激してくる。亀頭から根本まで満遍なく行き届くメーの摩擦は、ティッシュ越しから感じられる彼女の手の感触や温もりで一層もの快楽物質を分泌した。堪らずメーを抱き寄せた自分がいじらしい視線を向けていくと、メーは興奮でゾクゾクっと身体を震わせながら得意げな顔で見つめ合ってきたものだ。
メーはこちらの耳元に顔を近付けて、意地悪な声音で囁いてくる。
「アタシの手、気持ち良い?」
「すごく、気持ち良い……っ」
「我慢しなくていいんだよ? 出したくなったら、好きなだけ出しちゃいな?」
「あぁ、もう出そうだ……っ。メー、メー……っ」
自分はメーに身を寄せて、ペニスから溢れ出す快楽に悶え続けた。彼女も乗り気な様子でペニスに視線を向け、絶頂の瞬間を目撃せんと期待を寄せていく。しごく手は次第に加速すると、連動して発生するドーパミンがこちらの脳内を埋め尽くした。もう幸福と快楽以外を考えられない思考回路に固定されると、直にも自分は興奮で息を切らし、メーの頭部に自身の頭をくっ付けながら、
射精の濁った音が部屋に響き渡り、被せてあったティッシュに精液が滲み出す。大量に放出された白濁液はティッシュを貫通し、ドクドクと溢れてメーの手にも付着した。
彼女の「ヤバッ」という含み笑いを受けて、自分は脱力するようにメーへと寄り掛かった。彼女はそんなこちらに密着してくると、手にべったりと付いた精液を見せびらかすように持ち上げてくる。それを握ったり開いたりして粘着させていく間、メーは悦に浸った勝気な瞳をこちらに向けていたものだった。