Abbey Lover 転生ショタ淫魔のオーバーロード 作:ショタが成長するのはいやおじさん
1話 覚醒 ※※
神聖にして静謐たるべき神の家の至聖所は、淫靡なる性の色で塗り潰されていた。
「マザー。ボクは悲しいよ」
色欲の魔宴を主導した魔性の仔は、嗜虐に光る空色の眼で修道女を見下ろした。
自分の下で、息も絶え絶えに引き攣れた善がり声をあげているのは、育ての親たる神殿長で間違いなかった。
我が子を常に優しく見守っていた凛々しい眼差しは見る影もなく、退廃の神への隷属を誓った信奉者の熱を孕んだ眼光へと変わっていた。
厳しくも優しかった慈母が、目にハートを浮かべながら――比喩ではなく、淫魔の視力により、ウクルには実際にハートマークが見えている――媚びた笑みを向けてくる。
ウクルは大いなる悲しみと、一握の愉悦に打ちのめされた。
「本当に悲しいんだ。マザー・ヒジーリア。ボクたちの強くて立派なお母さん。まさかアナタがこんなにザコザコおまんこの持ち主だったなんて」
嘲りを添えて、妖童は腰を叩きこむ。応じて一層高い嬌声が上がった。
名高き聖女たる尼僧の長は、魔少年の性器が齎す快楽に躾けられ、屈服させられていた。
彼女だけではない。辺りには二十人を超える抱き潰された女たちが、魔悦に酔い、正体をなくした状態で横たわっている。
10代後半から20代半ばまでのうら若い修道女が数名。ウクルたち孤児からすると姉であり教師でもある貞淑な乙女たち。彼女たちも先刻まで繰り返し嬲られ、その度に獣じみた叫びを使って、喉を嗄らしていた。
次に孤児院の姉妹たち。下は4歳から上は14歳までの少女たちだ。これも皆、例外なくウクルに貫かれ、破瓜の血を流している。
最後に神殿で養われる孤児たちへの最大支援者である『奥様』こと子爵夫人とお付きのメイドたち。
その全てをたった一人の幼い男の子、5歳になったばかりのウクルが、その身の内に潜んでいた魔性を解き放ち、どこまでも貪欲に犯し尽くした。
ウクルことエウカリオン・マーンは転生者である。
前世については特に語る事もない。人並みに生きて、人並みに死んだ。
闇に飲み込まれた次の刹那、大いなる力によって引きずり出された。すると『神』がサイコロを振っていた。それが最後に見た光景となる。
覚醒の日。その日は、支援者の『奥様』を迎えて、子供たちが歌とお芝居を披露する発表会の日だった。同時にウクルの誕生日でもある。去年も一昨年もそうだった。
「まさか『奥様』がボクの母親だったとはね」
前世の記憶を取り戻すと同時に獲得した成熟した知性の影響で、ウクルはこの世界に産まれ落ちたその日からの出来事を、確たる記憶として自家薬籠中の物とした。
それによると、『奥様』こと子爵夫人が未だ10代前半の貴族令嬢であった頃に、盲目的に入れ込んでいた、とある吟遊詩人との火遊びの果てに儲けてしまった不義の子がウクルだった。
我が子を尼僧に託す場で、今となっては、どうしてあれほどに情熱的に愛してしまったのか分からないと、涙ながら吐露していたが、何のことはない、その見目麗しい吟遊詩人がインキュバスであり、魔性の惑わしにより、偽りの愛を植え付けられたのだ。
かくして転生者は悪魔の落とし子、半淫魔としてこの世に生を受けた。
「淫魔に望まぬ子を孕まされて、今またその血を分けた息子に犯されるだなんて、全員が被害者だけど『奥様』は一等に哀れだ」
不憫である。
ウクルが抱いた惻隠の情は真実、本物である。
「けれど。ごめんね『お母さん』。それにみんなも。ボクはボクのためにキミたちを搾取して利用する。どうか悪魔の餌食になっておくれよ」
淫魔の
頽れた果実の様な甘ったるい淫気が満ちる中を、悪魔の翼をはためかせながら、ウクルは身勝手な宣告を行った。
なにより、半淫魔として、こんな格好の狩り場を捨てることはできない。
「それとも牧場かな。どっちでもいいか。末永く飼ってあげるから、よろしくねマザー」
ウクルは駄目押しとして、もう一人の『母親』の子宮口を亀頭でぐりぐりえぐり、零距離から聖女の胎に淫魔の汚れた精液を注ぎ込んだ。対手はそれに壊れた笑顔で応えるのだった。
その日から、彼と彼女らの関係は、支配して喰らう者と、支配されて喰らわれる者とに決定的に変質してしまった。
◇◆◇◆◇◆
「やってしまった」
その後、熱狂から我に返ったウクルは自分が齎した惨状に頭を抱えた。
「飼ってあげる♡ じゃないんだよなあ。調子に乗り過ぎでしょ、ボク」
自分の暴走はすべて克明に記憶している。覚醒の全能感に酔いに酔った馬鹿がいた。間違いなく、ある種の黒歴史を作ってしまった。
「あと。掃除が大変そうだなあ」
精液と愛液と汗と尿と人魔の体液でドロドロになった聖堂に思わず遠い目をする。
一人、高レベル由来のタフネスで持ちこたえたマザーを除く女性陣は全滅していて、男の兄弟たちは催眠魔法で眠らされている。どちらも、あと半日は目を覚まさないだろう。
この後始末に彼らを動員するほど鬼畜ではないが、猫の手も借りたい窮状である。
「今度から気をつけよう」
「殊勝に反省したような口ぶりですが、女を犯すのを止める気はないのですね」
こちらも少し頭が冷えたマザーが尋ねる。
努めて普段通りの口調を取り繕っているが、照れくさそうに頬を染めている。
「淫魔にセックスするなは無理があるよ、マザー」
「そうでしょうね。ああ。困りました。神に仕える者として、わたくしは貴方を討たねばならない。頭ではそうと解っているのに、どうしても出来そうにありません。なんと邪悪な悪魔でしょうか」
「邪悪だから悪魔なんでしょ」
「まあ。ふふ。そうですね」
こましゃくれた小僧の言葉に、修道女はクスクスと笑った。本質的には元のウクルと変わっていないのだなと嬉しく思った。角と羽と尻尾を引っ込めた姿を見ていると、乱暴狼藉は夢か幻だったのではないかとすら思えてくる。
「わたくしのかわいい悪魔さん。どうかそのままの貴方でいて頂戴」
「……ボクはボクだよ」
少し自信なさげにウクルが言う。
しょんぼりと膝を抱えるウクルを、マザー・ヒジーリアは後ろからそっと抱きしめる。
そんなことはありえない。不可逆の悪性は発生してしまった。そんなことウクルは理解しているし、ヒジーリアも承知の上での問答だ。
そして聖女は自問する。
では、その悪を見過ごす自分は何なのだろうか。
淫魔の卑劣な魅了に頭をやられている自覚はあるのだが、それを振り払おうと言う意欲が、どうしても湧いてこない。
それどころか、自ら進んで更なる深みへと堕ちたいとすら彼女は思った。
神よ、お許しください。わたくしはこの幼い悪魔に魅入られてしまいました。高徳の女司教ヒジーリアは懺悔する。
この子がいつか討たれるその日まで、共に魔道を歩いて行こう。彼女はそう心に誓った。
悲壮な決意を固めるマザーの心を知る由もなく、呑気な淫魔は背中に触れる慈母の乳房の感触に再び陰茎を硬くしていた。
「まったく。淫魔の精とは底なしですね」
それを目聡く察すると、マザーはころころと笑った。
それから、堕ちた尼僧は淫らな笑みを浮かべながら、再びのしかかってくる淫魔の獣欲を悦んで受け入れるのだった。