※この作品はR-18です。

Abbey Lover 転生ショタ淫魔のオーバーロード   作:ショタが成長するのはいやおじさん

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10話 淫紋

「淫紋を刻む方法を研究していたら、職業レベルを外付けする魔法が完成していた件」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 ウクルには覚醒の日からずっと不満だったことがある。

 

「なんで淫紋がないんだ!」

 

 なんでもなにも、ユグドラシルが全年齢対象のゲームだからだが、そんな正論が聞きたいわけではない。

 淫魔と言えば淫紋、淫紋と言えば淫魔と言っても過言ではない。

 だと言うのに、サキュバスとインキュバスをプレイアブルな種族として用意しておきながら、肝心の淫紋がユグドラシルには実装されていなかった。

 仄聞するだけでもバランスが終わってるクソゲーを唯我独尊に貫いたユグドラシル運営もコンプラには勝てなかったのだ。

 ネタで淫紋呼ばわりされている刺青が入ったキャラクターや、プレイヤーが個人で自身のアバターや拠点NPCに淫紋を想起させる紋様をデザインとして刻んでいたケースは幾らでもあったのだろうが、ウクルが望むような真の意味での淫紋は、ユグドラシルの全ワールド中探しても公式にはなかったのである。

 もちろん。妖術師や呪術師の魔法の中にも存在しない。

 

「妖だの呪だの、もう字面からして巫女や姫騎士を淫紋を刻んで凌辱してそうなのに」

 

 あまりにも直球の偏見だった。

 ウクルは激怒した。

 

「必ず、かの叡智な淫紋を以下略!」

 

 淫紋とは書いて字の如く淫らな紋様のことだ。

 性的な創作で扱われる小道具で、主として女性キャラの下腹部、いわゆる臍下丹田のあたりにエロティックな紋様を描いた物である。

 胸元や顔に、あるいは男性やふたなりの睾丸に描かれる場合もあるが、やはり一番オーソドックなのは下腹部であり、刻まれる紋様も非性的な幾何学図形の場合もあるが、ハートマークや子宮および卵巣など周辺臓器を象った意匠がポピュラーとなる。

 作品によってその詳細は様々だが、洗脳のトリガーや、対象の発情をオンオフするスイッチ、悪堕ちした人物の淫靡な方向へのキャラ立てを目的として使われがちである。

 

「一番はやっぱり視覚的にエッチで好きなんだよね」

 

 身も蓋もないことを言えば、実用的には無意味ではある。

 誰かを洗脳するくらい淫魔の種族スキルで簡単にできるし、他人の発情を促し性欲を異常に昂進させるのだって専用の魔法がなくても、既存の強化弱体眩惑賦活、諸々の魔法を組み合わせたり、出力を調整することで容易に実現できる。

 

「それでも、やっぱり、子宮の辺りのお腹の上に淫紋が浮かんでくるのはドスケベだから、なんとしても実現したい。マザーたち清楚なシスターの服の下に、澄ました顔で淫紋が刻まれている情景を思い浮かべると、滾って来る……!」

 

 ウクルは身体への落書きも割と好きである。

 そんなこんなで、淫紋を再現するのに着手した訳だが、同じ刻印の繋がりでドワーフ王国から導入したルーン技術を研究してみたり、身体の機能を変成・拡大・操作する魔法を恒久的(パーマネント)に発動させ続ける方法を研究していたら、なぜか冒頭に書いた職業レベルを外付けする魔法が完成してしまった。

 

 順を追って話すと、まず淫紋それ自体は割と早い内に形になった。

 元々が至極単純明快な魔法である。性的欲求という元から人体に備わっている生理機能を過剰に強化する、それだけだ。

 言ってしまえば、怒りを掻き立てる魔法、楽しい気分にさせる魔法、憂鬱にさせる魔法、飢餓感に苛む魔法、耐えがたい眠気を起こさせ眠らせる魔法等々、それらと扱う欲求感情が異なるだけで本質的には同じ魔法である。

 そこに長時間の性交に耐えうる体力の強化や発動のオンオフ機能などを盛り込みはしたが、これらもさほど困難な取り組みではなかった。

 むしろ、見た人間の情欲を煽り立てる淫紋のデザインを決めるのが難航した。

 ちなみに淫紋のデザインについては、趣味で春画を描いている触手愛好家の修道女に協力してもらった。

 ただ、解剖学が未発達なこの世界の住人には、子宮や卵管、卵巣というのがピンとこなかったのか、最初のうちは絶妙にコレジャナイ感のあるデザインが量産された。

 そこで透視と視力強化を組み合わせた断面図コンボで本人に実際に見てもらう。

 

「ほへー。悪魔は医学とかの知識を授けてくれるって話だけど。本当だったんだあ」

 

 とはスケッチ中に件の修道女が漏らした言葉である。

 セックス中に、チンポが自分の中に挿入されている瞬間を見させたり、受精着床の瞬間を目視する変態プレイの為に考案した物が思いがけず役に立った。

 

 なお、彼女の感嘆の言葉を聞くまで、ウクルは前世での耳学問が立派な医学知識だとも、この魔法が医療に利用可能だともまったく認識していなかった。

 後日、医術と薬学を修めた別の修道女(アナル好き)に、こんな魔法があるんだけどと相談したら「もっと早く教えてほしかった」と真顔で苦言を呈されることになる。曰く、臓器の病変や内部の損傷個所を直接確認できる画期的な魔法の利用法であるとのことだった。

 

「あのねウクルくん。一見軽傷に見えてもすぐに治癒を唱えないといけない場合や、その逆で治癒の奇跡がかえって病状を悪化させる場合があるんです。あと、抜け道を探すみたいだけど、その魔法は治癒ではないので寄進の対象外とできそうです」

 

 ただし、その後、使われている魔法の位階を聞いて、自分ではとても手が出ないと落ち込ませてしまうことになる。

 ぬか喜びさせてしまって、申し訳なかったなとウクルは思うと共に、この後、もっと低い位階で再現するのを研究課題に加えた。

 

 話を戻すが、絵描きの修道女による満足の行く淫紋デザインが完成したのを受けて、早速、悪童淫魔は修道女たちに淫紋をつけて遊んでいたのだが、ある時、何の気なく職業鑑定の魔法を使ったら、試製淫紋を刻まれた修道女たちに《吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)》ならぬ《淫魔の愛人(インキュバス・ラバー)》なる職業が揃って生えていた。

 淫魔を淫魔と知りながら、淫らな交友を続けている彼女たちだから、自然に生えて来た特殊な職業かとも考えられたが、試しに淫紋を消去したら連動して職業も消えた。

 

「なにこれえ? まさか職業を外付けできてる……ってコト!?」

 

 転生以来最大の驚愕だった。

 ウクルとしても、遊ぶついでに、あわよくば恒常的なバフとして使えたりしないかなあくらいの下心はあったが、レベルというシステムその物に、ダイレクトに介入する手段が見つかるとは意想外にもほどがあった。

 

「重要なのは、本人の才能限界(レベルキャップ)内での才能の前借りないし方向付けに過ぎないのか、本当に別枠で外付けできるのかだね」

 

 レベルキャップが20の人物に10レベル戦士の下駄を履かせてスタートさせられるよという話なのか、カンストした20レベル戦士に追加で10レベルを足して30レベル戦士を作りだせるよという話なのかということだ。

 

 前者でも大概なのだが、後者だと本当にとんでもないことになる。

 

「おっと。他の職業も追加できるのか、最大で何レベル分足せるのか、元々高レベルな人間にも適応されるのか。調べることはまだまだあるなあ!」

 

 ウクルはワクワクしてきた。

 

「それにしても。どうしてこんな現象が起きたんだろうか。ルーンを応用したから? それとも永久化呪文(パーマネンシー)の影響? もしかしてユグドラシルより上位にある『リアル』の概念を持ち込んだからだったり?」

 

 興味は尽きない。

 

「デザインを変えて、働きかける対象をずらした淫紋……はまずいから、職紋? 語呂が良くないな。まあ。名前なんて後で構わないか。条件を変えた紋章を作ってみよう」

 

 それからウクルは試行錯誤を重ねて、戦士、斥候、詠唱者の基本三職を付与できるようになった。

 

 後の世の人間種の躍進を支える転職神殿に繋がる就職魔法の発明である。

 

「すごいよウクルくん。私、体内透視の魔法を使えてる……!」

 

 公的に残る最初の就職者は、とある薬師の修道女であったと記録されている。




全年齢でストーリーを進めて、エッチシーンだけこっちで投稿するか迷ってる部分もあるんですが、肝心の主人公の行動原理がエロありき過ぎてですね……。
白状すると第1章の7話分までのエロは「あ。これ全年齢は無理だな」となってから、後付けで潤色した物だったりします。
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