Abbey Lover 転生ショタ淫魔のオーバーロード 作:ショタが成長するのはいやおじさん
帝都郊外に一軒の豪奢な屋敷が建っている。
規模こそ違えど、帝城にも比肩するほどの壮麗な建築物である。あるいは城館と呼ぶべきかもしれない。
元は旧統一王国が割れる前からの古い貴族家の別宅であった物だが、魔王ベツヘレムの一党が魔神戦争の混乱の最中に家系ごと乗っ取った。
表向きには帝国皇帝に臣従する裕福な荘園領主として振舞っているが、内を見れば当主一族はすべて魔王配下の《
魔王の館に重臣たちが集められていた。
王の気まぐれな召集はままある話だが、遥か遠方の中原諸国に派遣されている者まで含めた全ての幹部が戻されるのは極めて稀な事態であり、勅に応じて参じた者たちは大なり小なりに困惑していた。
不可解なのはもう一つある。
王の宮廷の直臣たちが揃って何かに怯えている。特にベツヘレムの息子たち、日頃、王子気取りの者たちの怯えようは尋常でなく、何事か王の勘気を被ったのかとも思われたが、どうもそういう訳でもないらしい。
遠地より帰還したばかりの将軍が首を傾げながら謁見の間に入る。
そして目を見開いた。
本来なら玉座があるべき場所に、鎖付きの首輪を嵌められた、腹の膨れたサキュバスらしき女が四つん這いになっている。
それだけならば、王がインキュバスの悪癖を発っして、女を辱める卑猥な遊びに興じているだけとも受け取れたが、問題はその上である。
玉座に見立てられた女の背中に、見慣れぬ幼体の淫魔が座っている。その手には玉座女の首から延びた鎖が握られていて、自分こそがこの城の主であると言外に語っていた。
王を頂点とするヒエラルキー、延いては自分自身の権威権能を否定されたと感じて、将軍は激怒した。
「この不逞の
しかし、その一度は喉まで出掛かった言葉が、発されることは遂になかった。
目が合った瞬間、その威に全身を打たれて、知らぬ間に跪いていたからだ。
彼はブルブルと総身を震わせると、万感の想いを籠めた大音声を発することになる。
「偉大なる王よ! 身共は今この時、本物の王とは何かを知りました。臣下の末席にお加えください!」
◇◆◇◆◇◆
「《
焼き増しのように繰り返される、自分の目を見るなり悪魔が臣従を願い出てくる光景に、ウクルは内心で少し引いていた。飽きて来てもいる。
ほんの少しだが、アインズ様ことモモンガの気持ちが分かった気がした。
今回の一件を通して自動習得したスキルに《魔王の眼光》がある。
複合的な効果のスキルだが、その中に場にいる召喚悪魔に対するパッシブでのバフ効果や、悪魔に対するテイムの判定にプラス修正が入るというのがあったので、恐らく、その辺りが影響しているのではないかと思われた。
あと、誰からも気にもされていない、尻の下で四つん這いになっている元魔王様に同情する。
夢の中で、女体化させたベツヘレムを徹底的に凌辱して、被虐による雌の喜びを芯まで叩き込んでやった結果、ウクルのステータスは大幅に変化を遂げた。
親である淫魔騎士ベツヘレムを降したことに拠るものか、半人半魔の《
これにより《
種族の再振りと言い、ある種の再誕に近い。
また淫魔系最上位種に到達したことで、より強力な種族スキルを覚え、[レベル]×2個の追加魔法習得枠を獲得した。5レベル分なので10個だ。
淫魔の習得可能リストに含まれている魔法は、既に自力で習得済みだったので腐るかと思われたが、スライドする形で魔法の枠が空いた感覚があった。
これだけでも大幅な強化だったが、『臣下』を得たことで《
これを見た時、ウクルは最初、己の目を疑った。
本来、悪魔の種族レベルを合計で40以上積んだ上で、総合レベルが95以上という条件でアンロックされる、現段階では習得できないはずの職業だからだ。
帝国四騎士の呪われた女騎士や忍者姉妹と同様のことが起こっている。
悪魔系ビルドの極北に位置する職業なので、ステータスもスキルも抜群である。ワールド職という公式チートを除けば、最強候補として頻繁に名前が挙がる。
「家臣を従えて、悪魔として覇を唱えることが、この職業を獲得成長させる鍵ってことなんだろうなあ」
それはつまり、地上の魔王ルートである。
六大神の遺宝を有する法国、世界征服を本気で目論んでいるエルフ王、原作では語られていない大陸中央や東方、別の大陸に存在するかもしれない、プレイヤーの血を継いだ超越者たち、なにより世界の支配者を降りる気がない真なる竜王。
圧倒的に格上の、怪物たちと戦いを繰り広げる破滅が見えるルートである。
しばらく考えた後で、それもありかもしれないなとウクルは笑った。
「悪魔たちよ聞け! 我こそはエウカリオン・マーン。淫魔の王にして、オマエたちを導く者だ。悪魔たちよボクに従え! そうすれば、オマエたちに楽しい『夢』を見せてやることを約束しようじゃないか!」
歓声が爆発的に巻き起こった。
以上で1章が終了となります。
あと書きだめと気力もなくなりました。2章以降は気長にお待ちください。
以下オマケ
1章7話終了時点での主人公のステータスと、自称淫魔王さんの登場時でのステータスとなります
■第一章完結時点での主人公のステータス
名前 ウクル(エウカリオン・マーン)
種族 異形種(悪魔)
分類 現地出身(モンスター) / 転生者
異名 悪童 / 淫魔の王
役職 孤児 / フールーダの弟子(共同研究者) / 魔王
住居 帝都下町 マーン孤児院
属性 中立~悪 カルマ:-100
種族レベル
《男淫魔(インキュバス)》Lv.10 *1
《淫魔王(インキュバス・ロード)》Lv.5 *2
職業レベル
《大魔公(ダークロード)》Lv.1 *3
《魔術師(ウィザード)》Lv.15
《高位魔術師(ハイ・ウィザード)》Lv.10
《大魔術師(アーク・ウィザード)》Lv.5
《夢使い(オネイロマンサー)》Lv.10
など 残りLv.13
合計
種族 15.Lv 職業 54.Lv 合計 69.Lv
*1 血脈上の祖である淫魔騎士ベツヘレムに下剋上を果たした事で真なる淫魔に覚醒した
*2 騎士を含む臣民を得たことで王への道が開かれた
(ベツヘレムが騎士止まりの僭主に過ぎなかったのは、家臣がすべて通常以下の淫魔であったため。同格の騎士を臣従させられていれば、王に成れていた)
*3 魔王様レベル1 地上の一地方に覇を唱えた
■5話登場時点での『淫魔の王』のステータス(すでに失われた)
名前 ベツヘレム
種族 異形種(悪魔)
分類 現地出身(モンスター)
異名 諸魔の王
役職 魔王(僭称者)
住居 魔王城
属性 凶悪 カルマ値:-200
種族レベル
《小悪魔(インプ)》Lv.10
《男淫魔(インキュバス)》Lv.10
《淫魔騎士(インキュバス・キャバリアー)》Lv.5
合計:25Lv
職業レベル
《僭主(一般)(ティラノス)》Lv.1
《将軍(ジェネラル)》Lv.3
《貴剣士(ノーブルフェンサー)》Lv.1
《吟遊詩人(バード)》Lv.12
《吟遊騎士(トルバドゥール)》Lv.5
合計:22Lv
合計
種族 25.Lv 職業 22.Lv 合計 47.Lv
47レベルの魔法戦士(純戦士40レベル程度の白兵戦能力と支援を主軸とする第三位階までの魔法行使能力)。切り札として第五位階《真銀騎士槍(ミスリルランス)》を持つ。最大MPは低いので多用は出来ない。
最近、インキュバス・キャバリアーのLv.5(インキュバス系通算Lv.15)で獲得した《真銀騎士槍(ミスリルランス)》で調子に乗っており、迂闊にも単身でやって来たが、本来は種族スキルで召喚した下級悪魔(レッサーデーモン)を呪歌によって強化する淫魔の将軍。
元は魔神の一柱である『淫魔王』に仕えていた騎士の一人。NPCが魔神に堕した後に召喚された半現地産のモンスターなので、御方(プレイヤー)への忠誠心は植え付けられていない。
半世紀前の人間との戦争で王が討たれた後は戦場から逐電し、淫魔の王の後継者を自称し、力を蓄えながら密かに勢力を拡大していた。
一番新しい息子(バグ枠)が、高位の信仰系魔法詠唱者を篭絡したと聞いて、纏めて自分の勢力に組み込もうと目論んだことで、全てが水泡に帰した。