風がのんびりと吹き抜けるプクランド大陸の空に、丘の上をそびえ立つキラキラ大風車塔がその羽根を回している。
最上階にあるバルコニーで、アンルシアは彼と並んで景色を眺めていた。
「本当に素敵ね。この風車塔から見る景色、前にあなたと見た時からすっかりお気に入りの場所になっちゃった」
彼女はそう言いながら少しだけ寂しそうな顔でつぶやいた。
「本当なら……、あなたと一緒に気球に乗って、もっとたくさんの景色を見たかったんだけど」
かつて嘲弄の邪神ピュージュに成りすまされ、彼を誘ったこの場所で共に過ごすはずだった時間を奪われてしまった一件。
バルコニーの風に当てられ小さく黄金の髪をなびかせる彼女に彼が深く頷くと、アンルシアはふっと笑顔を向ける。
「ううん、でもいいの。気球に乗る機会をピュージュに取られてしまったのは残念だけど、これからはそれ以上に、あなたと二人だけの特別な思い出をたくさん作っていこうと思ってるから」
そう語る自分を少し照れくさく感じながら、彼女はまっすぐに彼の瞳を見つめた。
「えと、それでね。一つだけ気になってたことがあって」
アンルシアは少し言葉を選ぶようにして尋ねた。
「あの時、ピュージュが私の姿であなたに何を言ってたのか……、聞いてもいい?」
彼はピュージュの言葉をためらいがちに語り出す。その内容を聞くうち、彼女の表情はみるみるうちに赤く染まっていった。
『私、気づいたらあなたのことばかり考えているわ……』
『私たちの関係って勇者と盟友、だけなのかな?それとも特別な人同士、なのかな?あなたも、同じ気持ちでいてくれたら嬉しいな……なんて』
露骨にあざとく、露骨に扇情的な言葉。
勇者と盟友の気高い関係性には断じて見合わないような甘いセリフだった。
「な!?なっ何、それっ……!!おのれピュージュ、よくも勝手に……!」
アンルシアは思わず声を上げ両手で顔を覆った。怒りにも似た羞恥心で顔が熱い。憤慨しつつも、心の奥底では複雑な感情が渦巻いていた。
顔を覆った指の隙間からほんの小さな咳払いが漏れる。
「す、少なくとも。私はそんな言い方はしないって、あなたはあの時分かったでしょう?分かってた……、よね?」
心配そうに青い瞳を潤ませるアンルシアを前に、彼は真っ直ぐに視線を合わせて「はい」と言うはずだった。
しかし彼は少し赤く染った顔を逸らしたまま口ごもる。
「え…………ね、ねえ、どっち?どっちなの!?」
心の奥底で「そう言われたい」という願望をピュージュにまんまと見抜かれていたのだとは、口が裂けても言えなかった。
♢
バルコニーを離れ、キラキラ大風車塔の展望台でアンルシアは彼がプクリポの姿だった頃の話に耳を傾けていた。
経験値もまだ幼い頃の冒険やプクランドでの暮らしについて語るたびに、彼女の顔には楽しそうな笑みが浮かんでくる。
「そっかぁ……。プクリポの姿のあなたって、今の頼もしい盟友の姿からは想像できないくらい小さくて、とっても可愛らしいんだろうな」
彼女はそう言いながらキラキラと瞳を輝かせる。
「私がもし、その頃のあなたに会っていたらきっと……、その頭をなでなでしたり、抱きしめたりしたくなっちゃうかも。ふふっ」
アンルシアは両手で頬をそっと包み少し恥ずかしそうに続けた。
「ごめんなさい、盛り上がっちゃって。でも、あなたが小さなプクリポの姿で一生懸命冒険しているところを想像するとなんだか、胸がキュンとしてしまうの」
やがて彼女の表情は少しだけ真剣なものに変わる。
「あなたの話を聞いていたら私も……、ミシュアだった頃のことを思い出しちゃった」
勇者としての記憶を封じ、メルサンディ村でミシュアとして過ごした過去。
彼がその時のことを尋ねる。
「あの頃の記憶は、今でも私にとって……とても美しくて、大切な思い出。村の人たちとの温かい時間は私を勇者としてじゃなくて、一人の人間として育ててくれたから」
彼女はそう言って微笑むが、すぐに表情を引き締めた。
「でも……、それでも。私が何者であったとしても、いつだって私自身を真っ直ぐに見てくれるあなたの気持ちが、何よりも嬉しいんだ」
アンルシアは幾多の冒険を共に乗り越えた彼の手に、そっと自分の手を重ねた。
「だから私は、これからも戦い続ける。あなたがいる限り私はきっと、どんな困難にも負けない。全ての人を守る勇者…………それから、あなただけの勇者であるために」
♢
メギストリスの都はプクランド大陸の中心地として、いつも多くの人で賑わっている。
「ここが『おしゃれストリート』……!ラグアス王子から聞かせてもらってはいたけど、本当にかわいいものも、綺麗な服もいっぱい」
気球に乗れなかった分、アンルシアは二人でゆっくり過ごせる場所を選んでくれた彼に満面の笑みを向けた。
「───あのね、今日は普段と違う私をあなたに見てもらいたいなっ。せっかく二人でここに来たんだもの」
二人はまず美容院へと向かう。
「ねぇ、少しだけ待っていてくれる?」
そう言うとアンルシアはプクリポの美容師に要望を伝え、普段はストレートで統一していた髪を丁寧なウェーブに整える。
彼が見たことの無い新しい彼女の髪型だった。
「あなたが選んでくれた赤のドレスを着たいんだけどね。貴婦人のドレスには、ストレートのままじゃ少しだけ幼すぎるかなと思って……。初めて挑戦する髪型だけど、気に入ってくれるかな?」
楽しそうに輝くアンルシアの青い瞳に普段とは違った美しさを覚えつつ、彼は微笑みながら頷いた。
次に訪れたのは二つ隣のドレスアップ屋だった。彼がこれまでアンルシアに贈った様々な衣装がずらりと並ぶ。
「私の部屋以外で着替えを見られるのは……、少し恥ずかしいけれど。ね、どの衣装が一番私に似合うかな?」
彼は恐らくどんな衣装でも完璧に着こなしてしまうであろう彼女を前に、真剣な表情で悩んでいた。その姿を見て、彼女はくすりと笑いながら目を細める。
「そんなに悩んで貰えると、なんだか照れちゃうな。……それとも」
「───やっぱり、いつもの私が好き?」
彼がハッとして頷くと、アンルシアは顔を赤らめながらも真っ直ぐに微笑んだ。
「お母様に教えてもらっていたおめかしも、あなたと過ごすようになってからは自分で練習するようになったの。あなたにとっての私が一番素敵な姿でいたい。だって」
そう語る自分の心のうちを確かめるように間を置き、アンルシアはついに自分の口からその言葉を伝える決意をした。
「あなたは私にとって……、やっぱり、大切な人だから」
彼女の一途な想い。
それを「はい」や「いいえ」といった単純な言葉ではなく、彼女という一人の女性を深く想う自分自身の言葉で返したいと彼は思った。勇者と盟友として、だけではなく。
これからもアンルシアがする髪型や着る衣装、そして彼女のおめかしにずっと寄り添いたい。
「…………!それ、って」
自分の想いが真っ直ぐに伝わったのだと確信し、何かを言いかけた。
しかし彼女は言葉をぐっと飲み込む。代わりに口元を緩めて微笑み、彼をじっと見つめる。
「私ね、あなたがいない間───ううん、あなたと過ごせなかった時間にも、確かに心の中で信じてた。あなたは必ず帰ってきてくれるって」
「勇者の盟友としてあなたと出会った繋がりは、……グランゼニス様が仰っていたのと同じように『きっかけ』に過ぎないんだって、今は思える。今日だってこうして、あなたのそばにずっと居られるんだもの」
彼女の声に、二人の間で堰き止められていた時が再び動き出したように感じる。
「だからね。今日が終わってしまっても、これからも。あなたがくれたこの平和な時間を……あなたの一番、そばで過ごしたい」
言葉を言い切った後もアンルシアは彼を見つめようと努めたが、込み上げてくる感情に耐えきれず顔を真っ赤に染めた。特別な関係を口に出して伝えてしまった実感と、勇者としてではない年頃の初心な恥じらいが押し寄せてくる。
彼女は両手でそっと口元を覆い、伏し目がちに呟いた。
「えへへっ、…………言っちゃった、私の口で」
♢ ♢
楽しい時間はあっという間に過ぎ、おしゃれストリートを出た頃にはもう日が暮れ始めていた。メギストリスの都の灯りが一つまた一つと点り始め、並んで歩く私たちの影を優しく照らす。
(……もう、こんな時間なのね)
本当ならそろそろ解散すべきなのだろう。でも、もっと一緒にいたい。もっとこの特別な、彼との時間が続いてほしい。
私の心の中ではそんな我儘な気持ちがぐるぐると渦巻いていた。
どうすればこの気持ちを伝えることができるだろうかとあれこれ考えているうちに、都の広場の角にある宿屋がふと目に飛び込んできた。
「───……っ!!」
一瞬、相部屋で一夜を過ごす彼との情景が脳裏をよぎり、私の顔が一気に熱くなる。
いけない。勇者として『理性』を保たなければ。
私は彼に顔を見られないよう、宿屋へ向けた視線のまま心の中で自分を諭した。
(落ち着いてアンルシア。ここは勇者姫としてっ……いや、彼の隣を歩く者として然るべき行動をとるのよ)
そう自分に言い聞かせているうちに、ふと一つの考えがひらめいた。
「あっ、あのね。もしよければその、……ここではなくて、あなたの家で過ごすというのはどうかしら?ほら、ここから近くの住宅村だったでしょう?」
そう言って私は私を保ちつつ、少しだけ彼を見る目に期待を込めてしまっている。
彼が頷くと、私たちはゆっくりと住宅村へと向かった。
メギストリスの都の隅にある住宅村の入り口にたどり着いたその時、私の頭の中でふと別の考えがよぎった。
(あ、あれ……もしかしてこれって宿屋に泊まるより、もっとまずいのでは)
男女でひとつ屋根の下。しかも、彼の家で。
私は勇者らしくもない弱気な恥じらいをぐっと鎮め、真っ赤に染まった顔がなんだと言わんばかりに入口へ彼と共に足を踏み出した。
♢
薄暗くなった住宅村の道を進む。
隣に並んだプクリポたちの可愛らしい家々を見るたび、グランゼドーラ城での暮らしとはまったく違う、彼の身の回りの生活感に新鮮さを感じていた。
(意外。もっと大きな、お城に住んでるものだとばかり)
そうこうしているうちに私たちは、彼の家の前に着いてしまった。
(いけない、……また緊張してきちゃった)
〈お帰りなさいませ!ご主人様と───アンルシア様、ですね?
すると庭にいたコンシェルジュ姿の女性が、微笑ましく私たちを出迎えてくれた。
「はいっ。改めて、アンルシアと申します。いつも彼にお世話になっております」
私は丁寧に挨拶を返しながら、ふと彼の顔を見た。
コンシェルジュさんの微笑ましい視線の先で、彼の耳が少し赤くなっているのがわかった。
(…………そっ、か)
よかった。緊張しているのは私だけじゃないみたい。
私は思わず頬を緩めつつ彼の、───あなたの手に、そっと自分の手を重ねる。
「えへへ、……入ろっか。お邪魔します」
♢
中は薄暗い中にわずかに電気が灯り、インテリアの照明や窓から差し込む月明かりが室内に幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「お菓子を持ってきたの。手作りで少し、緊張するけれど」
私たちは小さなソファに隣り合って座る。
私が持ってきた小さめのお菓子は、何度も硬さを調整し失敗を重ねてようやく人が口にできるレベルに落ち着いたクッキーだ。
「どう、かな?前よりはきっと上手くできてるはずだけど、味までは」
ぱっと見開きキラキラと私を見つめるあなたの目で、言葉を得ずとも答えが分かった。
「!よかった。……その、安心してね。毒味させたわけじゃないから」
あなたと二人で過ごすソファで、私はリラックスしながら昔の思い出を振り返る。
「そういえば昔、トーマお兄様がね。寝る前にいつも本を読んでくれたの」
隣り合って座りながら、お兄様との穏やかな思い出をあなたの存在に重ねていた。
「あなたと一緒にこうしていると、ね。辛かった記憶も、今だけは忘れられるみたいに感じる。ふふ、なんだか……すごく落ち着くの」
そうして語り合っているうちに互いに眠気が訪れる。
「……、あっ」
そうだ、寝る場所を決めていない。どうしようか、と二人で間仕切りの奥にあるベッドへと向かった、その先に。
あなたが一瞬青ざめて私を止めようとしたが、遅かった。
「!」
───その枕元には私のぬいぐるみと、プクリポの可愛らしいぬいぐるみが並んで置かれていた。
見られてしまった、というようなあなたの照れた様子。あなたには申し訳ないけれど、私はたまらずまた微笑んでしまった。
「ふふっ、……やっぱり、一緒に寝よっか?」
♢
パジャマに着替え、小さなプクリポベッドに並んで横たわる。
私は枕元に置かれた二つの可愛らしいぬいぐるみを見つめた。
「ねぇ、これ───私たち二人のぬいぐるみ、なの?」
私がそう尋ねると、あなたは顔を真っ赤にしながら頷いた。話を聞くと、どうやらコンシェルジュに頼み込んで編んでもらったもののようだった。
丁寧に編まれた愛らしさはもちろん、私の知らなかったあなたの想いに私の心は温かいもので満たされる。
(そっか。私たち……、まだ言えてないことが沢山あったんだ)
私はたまらず布団の中であなたの顔を胸にそっと抱き寄せ、ぬいぐるみを撫でるかのようにあなたの頭を愛おしく撫でた。
が、はっと気づいてしまった私は少し声が萎んでしまう。
「えと、ごめんね……その、ぺったんこで」
しかしそう言うと、あなたは私の胸の中で世の中の意見に抗議するかのように断固として首を横に振った。
私がまだ勇者姫としてあなたと出会って間もない頃、温泉郷での戦いにて暴かれてしまった私の軽いトラウマ。そのコンプレックスをあなたは全力で否定するように、より一層強く私に抱きついてくれた。
その仕草が私は心底嬉しくて。
「ふふ。あなたって、…………本当に、私が大好きなんだね」
優しく頭を撫でてあげると、あなたはゆっくりと顔を上げた。
「私もだよ。……ん」
私は愛しいその前髪を少し上げて、額にそっと小さくキスをした。
戸惑いと嬉しさで赤く染まったような顔であなたは目を大きく見開いた。
しかし私は、その口元を人差し指でそっと止める。
「今はこれが限界。だって、……その。口にまでしちゃうと、寝られなくなっちゃうもの」
あなたから少しだけ目を逸らしてしまうが、少し残念そうに布団に顔を埋めるあなたにも気づいてしまった。
「───あなたが朝目覚めて、私がまだ眠っていたら。その、ほっぺにまでなら……ちゅーしていいよ」
慰めではなく私自身も気持ちを伝えたくて、そっと耳元で囁く。
「私もあなたが…………大好き。おやすみなさい」
あなたに顔を見せないように胸に抱き寄せ、そしてやがて穏やかな眠りに落ちる。
いつだって私のそばにいてくれる、あなたの温もりを感じながら。
♢ ♢
柔らかな朝の光が窓から差し込み、彼は隣に感じた温もりにそっと目を覚ました。
隣には布団に髪を綺麗に寝かせて安らかな顔のアンルシアが横になっている。
昨夜の約束を思い出す。
『その、ほっぺにまでなら……ちゅーしていいよ』
彼女がまだ眠っているのなら、と彼女の頬に近づく。
しかし。注意深く見つめると、金色の髪の隙間から覗く彼女の耳がほんのりと赤くなっていることに気づいた。
そしてその閉じられた目が、不自然にぎゅっと固く瞑られている。
「…………、アンルシア?」
彼女の耳元で小さく名前を呼んだ。
「っ───」
狸寝入りを見破られてしまった彼女は横になったまま、過去に類を見ないほど顔を真っ赤に染め、柔らかな金髪の隙間から心底恥ずかしそうに青い目を半分だけ開けた。
眉と口元を歪め、視線を合わせようとしない。
しばらくの沈黙が流れた後、彼が何かを言おうとした途端。
「…………〜〜!!」
それ以上何も言葉を紡がせまいと、アンルシアは勇気を振り絞って上体を起こす。
そして彼の唇を、柔らかな彼女自身の唇で塞いだ。
しばらくして大切そうに唇を離すと、彼女は真っ赤な顔で弱々しく呟いた。
「起きてたから、っだ、だからそれ以上、何も聞かないで。……お願い」
そう言って顔を布団に埋めようとした彼女の身体を、彼がそっと抱き上げた。
「……!!」
彼女の瞳は恥じらいながらも、嬉しそうに彼を見つめている。
二人の間に言葉はなく。
「ん、…………」
もう一度互いの感触を確かめるように、ゆっくりと唇を重ねた。
♢
はじめてのキスの余韻を胸に、二人は朝の支度を始めた。
夜着から普段の装いに着替えたアンルシアを連れ、彼が家を出ようとする。すると、庭で寝ずの番を務めていたコンシェルジュが満面の笑みで出迎えた。
〈おはようございます。シャワーはお済みになりましたか?
その言葉に、アンルシアの顔は一気に赤く染まった。
「おはようございま……───っ?!あっあの、だ、大丈夫ですっ」
慌ててそう制する彼女に、彼は忘れ物がないか尋ねる。彼女はもじもじしながら、少し寂しそうに答えた。
「ううん。その、……あなたの温もりが恋しくなったら、また近いうちに来てもいいかな」
するとコンシェルジュはまた微笑ましそうな顔で二人を見守っている。
「そ、そういう意味じゃないですから!」
そして訪れる別れの時間。
振り返って彼を見ようとするが、彼女は視線を背けなおも名残惜しそうに立ち尽くす。
すると彼はアンルシアにそっと手を差し出した。
「!これは、……あなたの」
───そこには合鍵代わりとも言えるこの家のルーラストーンと、昨夜の枕元に置いてあったプクリポの可愛らしいぬいぐるみが乗っている。
「っ、ありがとう。やっぱり、寂しいのは……どうしても気づかれちゃうよね。でも」
次の瞬間彼の目に映ったのは、互いを大切な相手だと信じる決意と喜びに満ちた陽だまりのような笑顔。
しばしの別れの前に、アンルシアは最後の勇気を出して彼に抱きついた。
「もっと寂しくなったら。ぬいぐるみじゃなくて、あなたを抱き締めに来るから」
互いに力強く交わした抱擁が解けた後も、二人は見つめ合いながら手を振り合った。
「今度はまた、私の部屋にも来て欲しいな。きっと……綺麗にして、待ってる」
アンルシアは彼の石とぬいぐるみを大切に抱きながら、ルーラの光とともにグランゼドーラ城へと戻ってゆく。その光が消えるまで、彼はいつまでも空を見上げていた。