ガチャッ――。
「…………⁉︎」
唐突にドアが開き、俺と彩恵の肩をビクンと跳ねさせた。
猫騙しでも食らったかのようにフリーズする俺と彩恵に、ニヤニヤと笑いながら灯がスマホのレンズを向けてきた。
「なーに面白そうなことしてんすか」
「あ、灯……その……」
灯の顔とは反対に、血の気の引いた顔で言葉に詰まる俺。
それもそのはず。なんせ今の俺は下半身を露出して彩恵を膝に乗せ、彩恵の身体を人形のように後ろから抱きしめているのだから。彩恵も下はショーツだけで、ジーンズは楽屋の隅に投げ捨てられている。
言い訳の余地もない事後姿の俺と彩恵に、容赦なくシャッターを切る灯。冷や汗が全身から吹き出る中、彩恵の顔を覗くと彼女は静かに灯を見つめていた。そしておもむろに立ち上がる。
「見ての通りよ。私とマネージャーは前からそういう関係。お楽しみの最中だから邪魔者は引っ込んでてくれる?」
彩恵は素の口調で強く言い放った。「おまえっ、何言って」驚いて彼女の口を止めようとしたものの、その前に灯が言い返す。
「うわ。開き直った。私が気圧されて引き返すと思ったから強気に出たんだ。クールな顔して内心焦ってるでしょ。年下相手にみっともないっすよ」
「煽ればダメージ受けるとでも思ってるのかしら。言っとくけど別にあなたがその写真をどこかに振りまいたところで私はどうとも思わないわ。元々この仕事やりたくもなかったし、スキャンダルで大花火打ち上げて消えれるなら万々歳。お好きな週刊誌にどうぞ」
「俺が困るからやめてください」
「彩恵さんが炎上して落ちぶれてファンに刺されて家燃やされたところで私もどうでもいいっす。でも、うちのお隣さん巻き込んでんのはキモイっすね。裏で男食ってるゆる股アイドルなのは、思ったとおりって感じっすけど」
「あんなにチョロチョロ付いてきたくせに今更、思ったとおり、なんて言うの? 負け惜しみじゃない? それ。私に対するイメージ崩れてショック受けてるのを誤魔化してる。小学生みたいな身の守り方で可愛いわ。ていうか、『うちのお隣さん』って何? 見てわかる通りこの人は私の飼い犬なの。あなたみたいなチンチクリンには目もくれてない」
「先に唾つけただけでいい気ならないでください」
「唾もつけられなかったくせに」
「そんな生娘にムキになってるくせに」
バチバチと火花を散らし合う二人。女同士の言い合いが怖くて俺は「ふ、二人とも落ち着いて……」と小声で宥めるので精一杯だった。
ヒートアップするやり取りの中、灯が俺を指差して言った。
「ともかく、このフニャちんは私のです。ガバ穴アイドルの汚れた手で触らないでください」
「誰がフニャちんにしたか見てなかったの? 私じゃなきゃ骨抜きにならなかったわ。再起のさせ方も知らないのに勝手に所有権主張しないで」
サラッと流れ弾が飛んでくる。二人とも容赦がない。
腰に手を当て、上から見下ろす彩恵の眼光に灯は一瞬怯むも、負けじと対抗した。
「お隣さんのフニャちんぐらい私ひとりでガチちんにできるし」
ムキになった灯が突然、俺の足の間に割って入って息子を掴んだ。
ギュっと小さな手で握りこまれたことも驚きだが、灯が躊躇なく俺の性器に顔を近づけ、見つめる姿に動揺させられた。
「勝手に触るなっての!」
無断で宝物に触られたかのように、彩恵が声を荒らげ灯に肩をぶつけながらしゃがみ、彼女の手を払い除けようとする。
灯もそう簡単には手を離さず二人の手が俺の息子を奪い合いあった。握っていた灯の手に力が入り、鋭い痛みが走る。
「いった……!」
「あ……」
思わず顔をしかめた俺を見て、灯が慌てて手を離した。
「ほら。扱いに慣れてないからこうなる」
心配そうに見つめる灯を彩恵が煽って、「痛かったでしょ。大丈夫? ちゅ……♡」と優しく先端にキスして労わった。
灯が間近にいるというのに、彩恵は普段俺にしか見せない顔つきになっていて再び搾り取る気満々だった。
「あ、彩恵。今日はもう……」
「だめ。この小娘に教えてあげなきゃ。誰があなたのおちんぽ管理してるのか」
灯の視線も気にせず、彩恵は優しく竿を撫でながら舌をそわせ、本気で勃たせにかかる。
その妖艶な動作に灯は目を泳がせ、覚悟を決めたように俺を見上げた。
「……お隣さんは、私のお隣さんだもん」
「灯……」
「ちゃんとお射精させるんで、私のこと見てください。……んむぅ、ちゅる……」
恐る恐る灯は竿の半ばに口付けて、そのままチロチロと舐め始めた。
先端を舐めていた彩恵がコンっと軽く灯に頭突きする。
「邪魔なんだけど」
「彩恵さんの方が邪魔です。先っぽ舐めれないじゃないですか」
喧嘩しながら二人はそれぞれのペースでくすぐってくる。
彩恵が長い舌でくびれをなぞる。タンフルのように彼女の唾液が上から下へと流れ落ちて、息子がコーティングされていく。
灯がその下で彩恵の唾液に「うげえ……」と嫌な顔をしつつも、竿を根元から舐め上げた。試すように角度やリズムを変えて、裏筋で俺が反応したのを目ざとく見抜き、執拗に責めだした。
「んれろお…………んあ……んちゅっ。ここ、弱いんすね。くすぐったい顔してる」
「じゅぶっ、ん、んぢゅっ……ぢゅるっ……。私の亀頭責めに反応してるだけでしょ」
「いい加減どいてくださいよ。私も咥えたいのに」
「やだ」
「器が小っちゃい」
「その分ここは育った」
彩恵が上目遣いで俺を見つめながらTシャツを捲り上げ、ブラに包まれた自分の武器を見せた。くっきりと浮かぶ谷間と、白く実った膨らみにオスとして心を掴まれる。
ビクッと一回り大きく膨らんだのを見て、灯が眉間にしわを寄せた。
「お隣さんの単細胞。おっぱいしか頭にない発情期野郎」
「お、俺がどうっていうより、立派に育った彩恵を褒めるべきだと思う」
「どうしたら私でもおっきくしてくれますか」
「なんでそんなに……」
「……負けたままじゃ嫌なんで」
灯は彩恵をチラッと見た。
俺はそこでようやく灯がここまでムキになっている理由を理解した。前から言っていたように、彩恵に負けたくないのだろう。今の彼女はようやく真正面から彩恵に勝負を挑んでいる。
そんな真っすぐな闘志を向けられると俺も少しだけアドバイスしたくなる。
「……色んなとこから、大胆に舐められると弱いかも」
「大胆に……」
「あ、ああ」
灯は竿を見つめじっと考えると、舌を更に伸ばして竿の根元よりも下、玉の方から舐め上げた。
「んれお……れろれろお……♡ で、できてますか?」
「え、えろいかもそれ……」
「もっとタマタマ舐めてほしいっすか?」
必死に頷くと、灯はくすっと笑い、玉に唇で吸い付いて転がすように可愛がった。
「んっぷ……ちゅう、ん、んう……ぢゅうう……♡ バッキバキ……。タマタマもこんなにおっきくなるんだ……」
男の身体を興味深そうに観察する灯。妹のような距離感だった彼女が、俺の腰にしがみついて夢中で喰らっている様子に背徳感が止まらなかった。
徐々に溢れ出した先走りに、彩恵が目を細める。
「ぢゅむっ、じゅるるっ、ぢゅ、んぷっ……。ちょっと。何目移りしてるのよ、浮気者」
「ちゃんとお前のことも見てるって」
「"も"って何? 私だけ見てくれないなら噛みちぎるけど」
「む、無理だってこの状況じゃ」
「許して欲しいなら私にだけちょうだい。…………んじゅるるるっ! ぢゅぶっ、んぶっ、んぢゅるるるるるっ!」
「えぐ……っ!」
本気の目になった彩恵が頭から息子を咥えこんで、大きな音と共に吸い上げた。
強力なバキュームに腰が浮く。口の中でも舌が細かく動いて俺の発射を促した。
少しでも気を抜けば魂ごと吸い取られそうで、身体に力が入る。そんな俺の竿を灯が甘噛みした。
「まだイっちゃだめっす。お隣さんのは私が貰うっす。彩恵の口に出したらさっき撮った写真、全部ネットに晒すんで」
「勘弁してくれっ」
「耐えてください。私の口に出すまでお射精我慢です。……ぢゅるっ、ぢゅううう……れろれろれろれろ♡」
我慢しろと言いつつ、灯は再び裏筋を舐めて刺激してきた。おまけに手は玉の方に添え、軽く揉みしだく。
どれだけ我慢しても着実にボルテージは上がる。楽になりたくて仕方がないのに、まだ我慢したい自分もいる。
もどかしさが限界まで上り詰めたその時、彩恵が灯を押しのけて自分の喉奥に突き刺す勢いで、根元まで頭を振り下ろした。
「あっ」
「んぐおっ、っぶ♡ ……んじゅるるるるるるるっ!」
隙を突かれた灯の隣で彩恵は頬を凹まし、口から喉まで全部を使って俺の竿を包み込み……。
「いく……っ!」
「んんんっ……! ……んぢゅるるるるっ、んぷっ♡」
俺の全てを受け止めた。
彼女は蕩けた目で俺の発射が止まるのを待ち、ゆっくりと引き抜き、悔しそうな灯に口の中を見せびらかした。
ピンクの舌の上に白い濁りが水溜りを作っている。
はっきりと音が聞こえるように、喉を鳴らして飲み込むと彩恵はアイドルスマイルで言い放った。
「ごちそうさま♡」
「くっ……! お隣さん! もう出ないんすか!」
「そんなすぐには出ないって」
「むう……」
「啜ったら少しは出るだろうけど」
「残尿みたいなことっすか?」
「言い方」
理解するのは早いが他に言い回しはなかったのか。
灯はすかさず萎えた息子を咥えると、タピオカでも吸い取るかのように吸い上げる。
「ちゅううぅ……んっ……んぷっ!」
唇を離すと、手で口を覆いながら躊躇いがちにゴクッ、と飲み込んだ。不慣れなその仕草が新鮮で良い。
灯は俺の残滓を飲み込むと、うへえ、と舌を出した。
「へ、変な味。でもこれがお隣さんのなんすね」
灯はスマホを取り出すと、自分と俺の息子が画角に入るように自撮りを撮り、彩恵に写真を突きつけた。
「宣戦布告っす。これからは私のおちんちんなんで、触りたいなら私を通してください。許可を出すことはないっすけど」
「一回舐めただけで調子に乗らないで。私はマネージャーの部屋でベッドびしょびしょになるまでヤッたんだから、このちんぽは私用に調教済み。あなたの方こそ私に許可を求めるべきよ」
彩恵が俺のスマホを奪って勝手にパスワードを解除し、いつぞやのハメ撮りを灯に見せつける。
売り言葉に買い言葉で互いを牽制しながら、二人はまた俺の息子を手に取った。
……これからどうなるんだろう。ただで廃れていた生活が加速しそうで、スキャンダルも身体のコンディションも心配だ。
一度手放した平和で何事もないマネージャー生活は、もう二度と戻ってきそうになかった。
「ところでなんで俺のパスワード知ってんの?」
「当てずっぽうで当てた。私の誕生日に設定してるなんて可愛いことするじゃない。若干キモイけど」
「……友達の誕生日と同じだったんだよ」
「それはそれでキモいっす」