シンクにザーッと水道の水が流れて、汚れたお皿が濡れていく。
スポンジに石鹸を含ませて、茶碗を洗おうとすると冷たい手のひらの感触を最も敏感な部分で感じ取った。
「…………っ!」
思わず茶碗を落としかけて、ゆっくりシンクに置いた。
自分の下半身に目を落とすと、背後から学生服に通された細い腕が腰に巻き付いていて、俺の短パンと下着から露出した竿を優しく握っている。
小さな手がくすぐるように竿を撫でていて、その手は泡のついた唾液に纏われていた。
逃がさないという固い意志を感じる背後の気配に向けて、俺は言った。
「灯……茶碗洗ってるところだから……」
「そろそろバス停向かわなきゃ行けない時間なんで、ちょっと急ぎでさせてください」
「今じゃなくていいだろっ」
「今じゃなきゃダメっす。朝イチの、彩恵さんの手垢が付いてないおちんちんがいい」
灯は俺の後ろから抱きつきながら、わざと耳元で吐息のかかるように口を開く。耳の掻痒感に意識を取られると、息子が彼女の手で転がされて電気が走るような感覚に襲われる。
「痛いっすか?」
「い、痛気持ちいいぐらい」
「これぐらいなら大丈夫なんすね。もっとグリグリしてあげます」
「マジでなんで今なんだよ」
「ご飯作ってくれたお礼っすよ……っていうのは建前で、ただお隣さんを困らせたいだけっす」
隠しもせず本音を明かして、熱を帯びはじめる息子を灯は本格的に甘やかしにきた。
先日の一件から、灯は登校前に俺の部屋を訪れては、こうして絡みついてくる。俺も出勤の準備があるというのにマイペースに進めては、毎回満足げな顔で登校していく生活が二週間続いていた。
「今日も元気な息子さんっすね」
根本から生クリームでも搾り出すみたいにゆっくりと圧をかけ、くびれた部分を指の腹で引っ掻く。
腰が抜け落ちそうで、水を止めながらシンクの縁に手をつき、身体を支えた。
「へへっ。腰プルプルじゃないっすか。朝は敏感なんですか? 亀頭もパンパンに膨らんでるっすよ」
「いちいち実況しなくていいってのっ」
「こういうのがいいんじゃないですか。女の子に恥ずかしいこと言わせるのとか好きっすよね?」
俺の背中にピタリと密着し、心の中にまで手を伸ばそうとしてくる。俺はぐっと歯を噛み締めながら、迫り上がってくる大波を耐えるので精一杯だった。
「ネバネバしてきた。やっぱ女の子に責められる方が感じちゃうタイプかあ。お隣さん、軽いMっぽいっすもんね」
「あ、灯……」
「もう出ちゃう? いっすよ。私の手、汚してください」
灯は最後まで俺を抱きしめながら、ビクビクと跳ねる竿を擦り上げた。
勢いよく発射された精液を、彼女は床が汚れないように丁寧に受け止め、ふふっと小さく笑みをこぼす。俺の痙攣が落ち着くとようやく彼女は俺から腕を離して、白く汚れた自分の手を見つめた。
「口に出してもらおうと思ってたんですけど、後ろからギュッてするの、なんかやめられなかったや。 ……んぢゅっ、ちゅるっ♡ お隣さんの匂い、いっぱい♡」
猫のように舌で自分の手を舐めながら綺麗にすると、俺の下半身もティッシュと舌で掃除して、灯は皺寄った制服を軽く叩いて正した。
「いつまでコレやるんだよ。ほぼルーティン化してきてるぞ」
「嫌なんすか?」
「……嫌とは言い難いけど」
「じゃあいいじゃないっすか。それか、お隣さんが私の部屋に来てくれます? 夜這いでもいいっすよ」
サラッと言って、スクールバッグを肩にかけると灯は手を振り、「そんじゃ、またあとでー」部屋から出ていった。
◆
「んむっ、むぅ……ちゅるっ…………んぢゅあ……ぢゅっぷ……」
「事務所着くまで待ってくれませんかね……」
「こういう時だから楽しいんじゃない」
お昼のラジオ放送を終え、局の駐車場で車に乗ると彩恵が待ってましたと言わんばかりの早さで助手席から身を乗り出し、俺の息子を咥え始めた。
周囲が建物に囲まれた屋外駐車場には車が何台も止まっている。日も高く、明るい景色が広がる中、彩恵は誰かに見られるなんて想像もしていないのか、夢中で俺を味わっていた。
太いストローを咥えたような横顔。可愛げを捨てた表情のはずなのに、その顔を見ているだけで身体が熱ってくる。彩恵は垂れた横髪を耳にかけて口を動かしていたが、何度も垂れてくるのが煩わしくなったのか、一度身を起こして長い銀髪をポニーテールに括った。
髪型ひとつでガラリと印象が変わる。
そんな彼女につい魅入ってしまったのを、彩恵は見逃さなかった。
「ポニテ好きなの?」
「いや、別に……」
「隠す必要ないのに。それともあれかしら、口でするためだけにひと手間加える女の子が好きなだけ?」
答える代わりに目を逸らすと、クスクスと笑われた。
彩恵は改めて竿を口で包んで、ぢゅぷぢゅぷと音を立て始めた。
口の中で細かく震える舌先に、腰が浮く。着実に絶頂までのカウントダウンが進んでいく。
と、そこで二つ右隣のスペースに車が止まった。嫌な予感がして、「彩恵、ストップっ」と彼女の頭をポンポン叩くが、その横顔はニヤリと笑うだけだった。
車の中からサラリーマン風の男が降り、右から歩いてくる。
「人いるって!」
「スモークガラスでしょ? バレないバレない」
「スモークつったって、外から全く見えないわけじゃねえ!」
声量を抑えながら必死に伝えたが、彩恵は一切聞き入れてくれなかった。
男がスタスタと足を進めて、俺達の車の前を通っていく。
背中を走る緊張感に、全身の感覚も敏感になる。
「れろれろれろれろ……♡」
「…………っ!」
弱点をくすぐられ、急速に迫り上がった快感のゲージがそのまま天井をぶち破るように、溢れ出した。
「んぅう⁉︎ ……んふっ♡ んぅ……ぢゅるるるるるぅ♡」
前触れなく発射されて、彩恵は目を白黒させたが、慣れた様子で口で受け止めた。
残滓も丁寧に吸い上げ、ゆっくり顔を上げると、汚れた口内を俺に見せてきた。
「あー……♡ ごくんっ! ふう。急に出すからびっくりした」
そしてパッと男が歩いていった方向を見やる。すでに男は建物の中に入っていったようでその姿は見えなかった。俺と目が合うこともなかったため、行為は気づかれていないはずだ。
ほっと胸を撫で下ろす俺の隣で、彩恵は新たな発見でも見つけたかのように呟いた。
「これぐらいスリルがあった方が面白いわ」
◆
いつもの会議室を、ぐちゅぐちゅとスライムをこねるような音が満たす。
開いたパソコンはいつの間にかスリープモード。キーボードを叩きたいのに、手が震えてそれどころじゃない。柔らかい二つの手に大事な部分が包まれて、仕事は一切進まない。
「お、お二人さん。締め切り今週で急いでるんですが……」
「だからやる気が出るように一肌脱いでるんじゃない」
「そうっすよ。それに朝から働き詰めでクタクタじゃないっすか。リフレッシュしてお仕事終わらせましょ」
「クタクタなのは仕事のせいじゃねえ!」
両サイドに張り付く二人に叫んだが、彩恵と灯は聞き流し、手を動かし続けた。
夕方になり、いつものようにバイトに訪れた灯に仕事を教えつつ、自分も作業をしようと思っていたのに、俺にそんな暇はなかった。
灯は事務所に来て早々、俺に身を寄せ、それを見た彩恵が張り合うように肩を寄せてきた。そこからは当然のように俺の奪い合いだ。
灯の細い指先がツッ……と裏筋を撫で、彩恵の柔らかな手のひらが先端を包み込む。
二人とも自分の技で俺を果てさせたいようで、それぞれのペースで揉みほぐしてくる。
「もう出るものもないって……。朝からずっとだ」
「まだ勃つじゃないですか。お隣さんはまだまだ元気っすよ」
「我慢はよくないわ。そのまま垂れ流していいから全部出しきって」
優しく語りかけてくるが、どっちも俺のことなんか考えていない。自分が相手より手技が上手いと証明したいのだ。その証拠に俺越しに二人は睨み合っている。
火花を散らす二人の間で、疲れ切っているはずの俺の分身は着実にボルテージを上げていた。
「ほら。おちんちん真っ赤っかですよ。やっぱりまだまだ出したいものあるじゃないですか。ちゃんと見ててあげるんで、びゅっびゅってしてください」
灯は竿を握り込みながら俺の胸に頭を預け、上目遣いで目尻を下げる。
幼さの中に大人の気を感じさせるその表情。思わずドギマギしていると、彩恵も俺に身を預け、余裕ある声音で誘った。
「一方的にされてるだけじゃ、物足りなくない?」
俺の心に火をつけるようなセリフ。俺は手のひらで転がされてる屈辱を味わいながら、彩恵を抱き寄せるように腕を回し、彼女の胸を衣服の上から乱雑に揉みしだいた。
んうっ、と身を捩らせ微笑む彩恵に、灯もさらにムキになる。
俺の空いている左手を取り、自分も俺の腕に抱かれるように収まると、耳元で囁く。
「……ちょっとくらいセクハラしても見逃してあげるっす」
今更セクハラなんて言われても、それどころじゃない状況だが、本人直々にお触りの許可が下りたとなると、ジッとしていられなかった。
俺は灯の胸にも手を伸ばして、制服のブラウス越しにグッと持ち上げた。
「……っふ、くすぐったいかも……」
あまり意識したことはないが、灯も彩恵ほどではないがまあまあなサイズがありそうだった。
両手にそれぞれ違う果実が収まっている。美女を侍らせる王にでもなった気分で、征服欲が満ち満ちていた。
「ふふっ、そっちの小娘より私の方がフワフワでしょ。……ん、ふ……もっと力入れていいから…………あっ♡」
「大きさじゃなくてブランドっしょ。制服の女の子のおっぱいなんてそうそう触れないんですから、ちゃんと脳裏に刻みつけてくれなきゃ……あうっ♡ 乱暴……♡」
ドクドクと息子が脈打ち始めた。朝から二人に絡まれ続けて、疲れてきっているはずなのに、まだ解放されたがっている。
二人は限界が近いことを悟って竿をしっかりと握り、早いテンポで上下に擦る。
「最後まで見ててあげるから全部出して」
「カッコよく出せたら明日の朝、いつもよりエグいのしてあげるっすよー」
「…………っ!」
全身に力が入り、二人の胸に両手が深く沈み込む。
「ん゙っ♡」
「あ、ぐっ♡」
痛みに喘いだ声と共に、白濁の液体が打ち上がった。
◆
「なんやかんや言ってもオスってのは生命力強いっすね」
絶賛賢者タイムの俺の隣で、汚れた手や床をティッシュで拭きながら灯が呟いた。
彩恵も乱れた自分の服を整えて、「そうね」と頷く。
「全然その気がないのにちょっと胸見せたりするだけで大きくなるし、可愛がり甲斐があっていいわ」
「ノーマルでこれなら精力剤とか盛ったらどうなるんだろ」
「面白そう。ネットで買えるのかしら」
さっきまでバチバチだったのに、ひと仕事終えて気分が晴れたのか、楽しげに会話している。
ガールズトークの内容にゾッとしながら、俺は静かに考えて「よしっ」と、おもむろに立ち上がった。
「ルールを決めよう」
唐突に切り出した俺に、二人はなんの話? と首を傾げる。
「ここニ週間、朝から晩までお前らに魂吸われてる。もう無理。死ぬ。このままだと健康診断で何かしらの項目が異常値を叩き出す」
「今、生命力強いって褒めたところなのに、めちゃめちゃ情けないこと言うじゃないっすか。私だって気遣って朝しか部屋に押しかけてないんすよ。もちょっと頑張ってください」
「気遣ってそれなん? 朝飯まで作らせやがって。……ともかく、俺の身体のためにルールを設ける。今後暫くは二人の方からのアプローチは禁止」
端的に伝えると、二人とも「「は?」」と声を揃えた。
「俺もお前らも仕事があるんだから、自重してくれ」
「そんなこと言ったって、法律でもないあなたの勝手なルールに、なんでこっちが従わなきゃいけないのよ」
「どっちかがルールを破った場合は、ルール遵守してる方に一ヶ月間、俺を好きにしていい権利を贈与」
「……守る側のメリットを大きくするあたり、あなた優秀なマネージャーだわ」
「誰かさんのおかげでな。そういうわけだから今後は節度ある生活を送るように。……以上。灯は仕事に戻る。彩恵はレッスン頑張ってこい」
手を叩いてそう言うと、二人は文句ありげな顔をしながら従った。おそらく本人たちも、俺の取り合いにヒートアップしすぎたのを自覚したのだろう。
世の中程よいバランスというのがある。
ピンク一色な生活は多分、俺には向いていない。