TS冒険者イオト 転生異世界物語――……だけどそれは即エロ堕ち!?♡ 作:えぴっくにごつ
ちょっと冒険本筋を外れてお江戸な地域(離島)で修行編に突入です。
国境を隔てる街、その裏街での一連の出来事から一週間ほどが過ぎた。
此度の話の舞台となる場所は、また離れて別の地へと移る。
「おぉ……っ」
『その地』へと足を着いたばかりのイオトとフィユの姿がある。
その内のイオトは、周りに続き広がる景色に少なからずの感嘆の色を見せていた。
イオトたちの目の前に広がっていたのは――和風、『お江戸』な雰囲気に満ち満ちた街並みであったのだ。
その地は、イオトたちが最初に拠点としていた『王国』の領土の近く。
南寄りの海岸線からの近海に存在する、小さな島。
『商(あきない)島』と呼ばれるこの島は。
この世界の遥か東にまた存在する一つの国が、国交、貿易のために『王国』より許可を受け。
商業交易の中継拠点や観光地として発展させた交易島なのであった。
一日を船に揺られて到着し。
イオトたちが此度にこの商島を訪れたのは、ケグンの提案によるところであった。
国境の街での出来事から、このまま『教団』の本拠地のある『帝国』に踏み入るのは、あまりに経験に準備が不足していると思い知らされたイオトとフィユ。
そんな悩む二人にケグンが提案したのが、特性から多くのものが集まるこの商島を一度訪れての。
準備と『修行』を行うことであったのだ。
「本当に江戸時代みたいな街……」
事前にケグンよりおおまかな所を聞かされてはいたイオトだが。
しかし実際に、まさに時代劇や創作で再現されるような『江戸時代』といった光景を目にし。
驚きや興味深さ、そしてなによりどこか懐かしい感覚を覚えたことから。その色を露わにしながら周囲を見回している。
「確か東洋の文化は、イオト様の世界のご出身の地に似通っているのでしたね?」
「うん。正しくは俺の国の昔の形に、なんだけど……何か少し、『帰ってきた』ような感じがするなっ」
フィユの尋ねた言葉に、イオトは補足を合わせて返しながらも。
広がる『故郷』の香りを漂わせる風景を前に。懐かしみつつも、同時に弾むものを覚える心持ちを、言葉に表現して見せた。
「――おーいっ、イオトくん、フィユちゃん」
そんなイオトたちへ、背後から聞き知った声が聞こえ掛かった。
そして二人が振り返り見えたのは、やはり見知った可愛らしい姿。
今はまた狐幼女の姿となり、そして魅惑のロリボディを薄桃色のレオタード衣装で包むケグンだ。
今回の来訪の提案人であるケグンと、二人はここで待ち合わせをしていたのだ。
「あっ、ケグンさん――あれ?」
向こうにケグンのその姿を見止めたイオトとフィユは。しかしケグンのその小さな体の背後両隣に、また別の見た覚えのある顔があることに同時に気づく。
小柄な幼女姿のケグンを飾るように、その両隣に立っていたのは二人の長身目の美女。
黒髪ウルフカットが美麗な狼獣人の美女と、流れるような金髪ロングが美麗な虎獣人の美女。
それは、どちらも先日裏街でイオトたちを『買い』愉しみ、しかしそれが故にケグンに『オシオキ』されてしまった。
正体はアウトロー組織の男たち、その性転換にて変貌した姿であった。
また今にあっては二人とも。
狼美人は黒色のインナーレオタードの上に、やたらと肩周りが開けて、丈は短い女物の着物を纏う。
虎美人は薄黄色の肩出しボディスーツの上に、やはり同形の際どい着物を纏う。
それぞれのイメージカラーで彩った艶やかな改造着物姿であった。
「……」
「へへっ、どーもー」
そんな二人はイオトたちに気づかれると。
狼美人はバツが悪そうにそっぽを向き。虎美人はやや軽薄そうに取り繕った、挨拶の言葉を寄越す。
「ありゃ」
「あら、先日のお二人」
それに対してイオトとフィユは、思わぬ顔ぶれの登場に隠さぬ驚きの色をそれぞれ示す。
「ちゃんとした紹介がまだだったね、この二人はウォロウくんとシュレンくん。私も二人の所とは少なくない付き合いがあってね。都合が付いたんで、今回は用心棒や修行の手伝いのために、二人にも滞在に付き合ってもらうことにしたんだ」
そんな驚きを示すイオトとフィユに、ケグンは説明の言葉を紡ぐ。
その通り、二人の獣人美女は此度の準備と修行の助けのために声を掛けられたようだ。
「ふん、『お嬢』の顔を立ててのことだ」
「お嬢には色々と義理ありだかんねー、とりまヨロシクっ」
そんなケグンの紹介に続けて、狼美女改めウォロウはぶっきらぼうに紡ぎ、虎美女改めシュレンはまた表面上を取り繕うような挨拶を寄越す。
ちなみに『お嬢』とは、狐幼女姿の時のケグンが己を呼ばせている呼称だそうであった。
また聞いたところによると。
聞けばウォロウはある裏組織の精鋭のヒットマン。
シュレンはまた別の裏組織の若頭であるらしく。
そして二人とも大分『腕が立つ』のだそうであった。
「あ、どうも……っ」
「大丈夫なのですか?」
そんなウォロウとシュレンに。イオトは戸惑いつつも取り繕うような挨拶をまた返し。
フィユにあっては訝しむ色を隠すことなく向ける。
同時に、『そんな人たちを呼び寄せられるケグンさんって一体……』と。
虎の威を借る狐の構図を絵にしたかのように、長身で鋭利な見た目の二人の間に、愛らしく立つ狐幼女姿のケグンを見てイオトは思ったが。
「先日は色々あっちゃったけど、この再開も一つの縁だよ。きっと互いに得られるものがあると思う」
そんな双方の経緯を知るケグンは、そんな言い聞かせるようなフォローの言葉を双方へ紡ぎ。
一旦場をまとめて見せた。
そんな思わぬ再会を伴った待ち合わせを得て。
一行はまずは早速、修行修練のための場を訪れていた。
ケグンはイオトたちが到着したばかりであることから、ひとまずは宿に入っての一休憩を提案したが。
イオトとフィユが先に修練の場を見ておきたいと希望したのだ。
その修練のための場は、街を離れて少し山に入ったところに設けられていた。
普段はこの商島の護りを担当する防士団の訓練場であるが。しかし冒険者や荒事を仕事とする人間などにも開放されている場であるとのことだ。
そこで、当初は下見がてら少し馴らし運動をする程度を考えていた一行であったが。
今、そこでは中々に熱を帯びた修練の光景が繰り広げられていた。
「――はっ!そこっ!」
「ふっ!そう簡単には抜かせんっ!」
剣技の対戦舞台の上では。模擬剣を交え、手合わせを行っているイオトとウォロウの姿がある。
二人ともその様はまさに真剣そのもの。
「おっ?このまま逃げ切れそうかっ」
「油断大敵ですよ、巻き返してあげますっ」
一方、弓の射場ではフィユとシュレンが。
それぞれの巧みな腕で矢を放ち、拮抗しながらその得点を競いあっている。
当初こそ、先日の出会いに経緯の関係からぎこちない空気の双方コンビであったが。
馴らし探り合うために軽くのつもりで始めた手合わせ、競い合いが。しかしどんどんハマり、熱を帯び。
気づけば皆夢中で、密に切磋琢磨し合う修練の時を過ごしていた。
四人は熱を帯びた修練の時間に夢中になり、体を存分に動かして汗を流し。
気づいた頃には日が傾き沈もうとしており、辺りは薄暗くなり始める頃合いとなっており。
それにてようやく本日の修練の時間を、お開きとすることとした。
「ふん、ただの初心者冒険者かと思っていたが……思いの他筋がいいな」
「ウォロウさんも、怖くて悪いお兄さんかと思ってたけど……鋭くてかっこいい動きだったよっ」
心地の良い疲労感を覚えた体を休めつつ、修練場より引き上げる準備身支度をしながらも。
イオトとウォロウは互いを好意的に評価する言葉を交わしている。
「フィユちゃん、凄腕じゃん。さすがエルフってトコ?」
「あなたも軽薄そうな雰囲気の癖に、弓を引いている最中は中々鋭利な姿でしたよ」
フィユとシュレンも、同じくそれぞれの準備身支度をしながらも。
それぞれ少し揶揄う色を混ぜながらも、互いを好意的に評価する言葉を交わしている。
互いに剣を交え合い、弓の腕を競い合い、それを通して双方は互いの『芯』を感じ取り。
ぎこちない空気は解れ、それぞれは一つの形で互いを認め合うまでになっていた。
「まさかあんな破廉恥な姿で売りをしていた淫乱女が、ここまでとはな」
「!……ウォロウさんだって、あんなゴニョゴニュ……だったくせに……っ」
「っ……!」
そして同時に、ウォロウがニヒルな色で飛ばした揶揄いに。イオトが顔を赤くしながらも『お返し』を返し。
それにウォロウも顔を赤くする羽目になったり。
「こんなクールでカッコイイエルフちゃんが、あんなカワイク鳴いて乱れちゃうなんて驚きだわーっ」
「っ!……あなただってっ……あんなにあられもない姿でへたばっていたではないですか……!」
「う……っ」
シュレンもフィユを揶揄い、しかしそれにフィユからお返しを食らい。また互いに顔を赤らめる羽目になったり。
先日の出来事から互いの『夜の淫らの姿を』知ってしまっている四人は。
それぞれそれを売り言葉に買い言葉で言い合ってしまい、互いの羞恥心を煽ってしまい。
「っ……///」
「あー……もう……っ///」
「あっはは、まいったね……///」
「まったく……///」
四人は揃ってバツが悪くなり、いたたまれなくなり。赤らめた顔で視線を泳がせたり、ごまかしの言葉を漏らしたりと。
傍から見れば、微笑ましくも嬉し恥ずかしい掛け合いを見せていたのであった。