TS冒険者イオト 転生異世界物語――……だけどそれは即エロ堕ち!?♡ 作:えぴっくにごつ
さて、異世界に降り立ってから早々。
不手際から投獄され、その体を好き放題されてしまったり。
そこから救出されたは良いものの、その恩人エルフが変態美少女だったりと。
諸々あったが。
それをなんとか乗り越え……?、イオトの冒険はようやく動き始めた。
『褒美』としての絡み合いが終わった後に、まず二人は互いの知る所のすり合わせを行った。
実際には、イオトがフィユからほとんどの所を教えてもらう形となったが。
イオトは件の女神の少女より、『世界を救ってほしい』との一言しか聞かされていなかったが。
フィユたちエシュオン族には、もう少し詳しいお告げがあったそうだ。
曰く、『凶星は北の大国より来たる』。
『その裏に、世界を脅かす元凶が潜み、魔の手を伸ばそうとしている』――と。
フィユから説明されたところによると。
現在イオトたちが居るこの大陸の北には、実際に大きな領土を持つ大帝国があり。
そしてその大帝国を拠点に、最近勢力を拡大している『教団』と呼ばれる組織の噂を。エシュオン族も掴んでいるらしい。
そしてその『教団』は少し潜り調べれば、後ろ暗い噂に気配が漏れて垣間見え。
まだ定かではないが、お告げにあった世界を脅かす存在とは。その教団を示すのではないかとのことであった。
『すごいね……そこまでを掴んでいるんだ』
『私も所属する、エシュオン族の中の『翼葉団』は、『巫女』でありそして『諜報』の役目を兼ねます。俗世の動きに疎いエルフ部族に、いち早く外界の危機を伝えることが役目。その存在立場ゆえに得られたものです』
説明の中で、そこまでの情報に感心したイオトに。
フィユはそこまでに辿り着いた理由を、自身の身分と合わせて明かして見せた。
そんな背景を持つ頼もしい美少女が自分の仲間となったことを、イオトは大変に心強く感じた。
一方同時に、そんな凄腕美少女が大分変態な面を持つ事には、微妙な気分となったが。
『おそらく、その『教団』が本当に元凶ならば……その何らかと対峙するのに、異世界からの者であるイオト様のお力、もしくは存在が必要となるのでしょう』
『俺が……?』
そこにあってはフィユたちもあくまで推測でしかなく、確かなことは言えないとのことであったが。
どうあれ。
お告げと、現在の世界の時勢から合わせて見るに、その『教団』が世界の脅威である可能性は高く。
その可能性が浮上した以上。何らかのアクションを取る必要に迫られているのが現状であった。
途方も無い話に、イオトは重圧などを感じる以前に、実感も湧かない状態であったが。
しかし自分に求められている事、出来る事があるならば、それを成し遂げたいと思った。
まだ不確定なことも多く、手探りな部分もあるが。しかしひとまず、目指すべく大きな目標は定まった。
そしていよいよ、イオトとフィユは。そのための冒険の一歩を踏み出した。
「――ふっ!」
「そこですっ!」
街から近く森の中。
そこで、『魔獣狩り』にいそしむ二人の姿があった。
現在二人は、先日から拠点としている街、そのギルドから受けた討伐クエストに挑んでいる真っ最中で合った。
旅の大きな指針は決まった二人であったが。
しかし肝心な所として、イオトは身体の戦闘練度、及び魔法習得はともに基礎レベル。
まずは荒事の待つ冒険に備えて、自分を最低限必要なまで鍛え整える必要があり。その一環としてひとまず、ギルドの
今にこなすクエスト、相手取る「敵」は狼型のモンスター。少し危険度の高く設定されたモンスターであるが。
しかし二人は巧みに連携し、うまくそれらを相手取り立ち回っていた。
フィユが、射線を阻む物の多い森の中で、しかしそれをまるで苦にしない弓に扱いを見せ。
その弓矢の攻撃にてモンスターを追いやった所を、回り込み待ち構えていたイオトが、その剣撃にて仕留め倒す。
そんな連携による立ち回りを繰り返した末。モンスターの群れの討伐は、容易くではないが優れたレベルで完了された。
「ふぅ……これで最後かな?」
「ギルドから知らされている推測個体数に至っています、完了と判断していいでしょう。お見事です、イオト様」
周囲に確認できる限りの最後の狼型モンスターを倒し。
二人はそれぞれの担う配置を解いて合流し、そんな確認の言葉を交わす。
「いや、フィユのおかげだよ。俺は我武者羅に追っかけて剣を振るってただけ」
「ご謙遜を。夢中になっている状態でその立ち回りができることが、すでにすごいのですよ」
フィユからの褒める言葉に、イオトは遠慮の言葉で返すが。
フィユはさらにそんな様に、イオトを分析から高く評価する言葉を返す。
実際。イオトの戦いにおける筋は悪くなく、どころか一種の才すら感じさせるもの。
併せて、ここまでいくつかのクエストを二人はすでに完了していたのだが。その中でイオトは、速いペースでの成長を見せていた。
「そうなの……かな?俺としては、実感はないんだけど……?」
「えぇ、元より気質があったのでしょう。その上で、成長についても目を見張るほどです」
正直な所を返すイオトに。フィユは持ち上げの類では無く、真剣な色でそう評する言葉をまた伝える。
「ありがとう……でも、それで驕り昂ってはいられないもんね」
「ふふ。真面目なお方です」
そんなフィユからの評価に、くすぐったいものを覚えつつも。しかしイオトは自分を律する言葉を零し。
それにフィユも真剣な色を少し崩し、微笑でやや揶揄うようにそんな言葉を返した。
クエストを完了した二人は町に、ギルドに戻り。
報告からクエスト完了の認定を受け、そしてギルドランクの昇格と、成功報酬を受け取った。
「イオト様の鍛錬は、とても順調ですね。私も正直驚いています」
「なんだかそんなに評価されると、落ち着かないな……」
「ふふ」
成果、報酬を確認しながら、そんな言葉をまた交わす二人。
「しかし。少し懸念なのは路銀ですね……」
「だね……」
しかし次には、二人は揃って言葉を少し濁らせた。
イオトの鍛錬成長は極めて順調なものであったが。
どちらかというと目下の問題は、路銀……お金であった。
今も手持ちがカツカツという訳では無く、クエスト報酬も悪いものではないのだが。
いかんせんゲーム世界とは違い、この異世界は一つの現実。
滞在生活、クエストに挑む毎の準備にも少なからずの費用が掛かり。
これより臨まなければならない、長くが予想される旅路に際して。そのために用意しておきたい目標旅費を溜められるまでには、このままだとまだ時間が掛かった。
「部族に支援を申請してみましょうか?少し時間が掛かりますが、認められる可能性は高いです」
「うむむ……いや、なんか悪いよ。確定で何か大きく事が動くならまだしも、ひとまず必要なのは僕たちの旅費だけだし……」
フィユはその背景から、部族に資金支援を求める旨を提案するが。
それにイオトは渋い顔を作った。
それには今に並べた理由もあるが。正直な所、初っ端から投獄される不手際で迷惑を掛けてしまい、それをツテを回して助けてもらった手前。
さらに支援に甘えることは気が引けるところがあったのだ。
もちろんフィユに対しても同じ気持ちはあったが。
フィユに対してに限っては、明かされた諸々に先日の『まぐわい』から。『そこまで遠慮はいらないかな……』とも思い始めているところがあった。
「早々に迷惑かけたばかりだし……今回だけでも」
フィユに対してのそれは呑み込み、しかし後ろめたい思いがある事は正直に伝えるイオト。
「わかりました。それでは、そうですね……ギルドのクエスト以外に、仕事を受けてみましょうか。うまく見つかれば、もっと収入を期待できるかもしれません」
それにしかしフィユは嫌な顔する事無く了承し。次にはそんな提案を紡いで見せた。
「ごめんね……」
「いえ、良い心がけと思いますよ」
申し訳ない気持ちを口にしたイオトに。フィユは柔らかい笑みでそんな言葉を返す。
そんなフィユの優しさに、イオトは申し訳なくそしてありがたく思ったが。
フィユが実は思い描いていた『企み』から。イオトがそんな気持ちを撤回したくなるのに、そう時間は掛からなかった。