西暦2029年1月中旬─。
信じろと言われても信じられないかもしれない。
しかし、信じてほしい。
私は
友人達とスノーボードをしに来た
のだ。
大事なことなので、もう一度言う。
私は
友人達とスノーボードをしに来た
のだ。
スノーボードとは、サーフィンやスケートボードのように横向きになって板に乗り、バインディング(またはビンディング)と呼ばれる留め具で足を固定し、雪の斜面を滑るウィンタースポーツ(またはエクストリームスポーツ)である。
まちがっても
ガンプラを使って戦う競技ではない。
だが、現実は…
◇
◇
◇
『悠久の地』─
そこは
宇宙であり
地上であり
水中でもある
ガンプラが性能を全開できる異世界
である。
そんな『悠久の地』で
私は友人達とともにガンプラバトルをしている
のだ…。
スノボをしに来たはずなのに、なぜ『悠久の地』でガンプラバトルをしているのか?
順を追って話そう─。
◇
私の名はミモザ。
22歳。
G国領ビビッ島東部の都市アスマンに住んでいる。
職業は風俗嬢。
アスマンにあるレズ風俗店【LillyParadise】で働いている。
なぜ、レズ風俗店で働いているのかというと、私自身がレズビアンだからである。
そして、私にはユイという妻がいる。
そう。
レズビアンである私は、ユイと同性結婚しているのだ。
なお、G国は同性結婚を認めている。
さて、私は先ほどからスノボの話をしているが、そもそも、スノボに行こうと言い出したのは、私の同僚のサキである。
控室で休憩していたら、サキから
「スノボに行かないか?」
と誘われたのだ。
もちろん私はOKし、妻のユイも誘った。
そして、スノボ当日…
私とユイ…
同僚のサキ…
サキの彼氏のヴァジーナ…
ヴァジーナの友人のロベルト…
ロベルトの妻のポリィ…
…の6人で、ビビッ島中央区の都市ズヴォシにあるズヴォシスキーガーデンに来た。
えっ?
何で、レズ風俗店で働いているサキに彼氏がいるのかって?
サキはレズビアンではない。
サキは、風俗店で働きたいが、彼氏以外の男に抱かれたくないから、レズ風俗店で働いているのだ。
じつは、レズ風俗店だからといって、嬢がレズビアンというわけではない。
むしろ、私のように、本当のレズビアンという方が珍しい。
たいてい、サキのように、風俗店で働きたいが、夫や彼氏以外の男には抱かれたくないからレズ風俗店で働いているという人の方が多い。
ちなみに、サキの彼氏のヴァジーナ氏は、サキがレズ風俗店で働いていることを許しているとのこと。
さて、話を戻そう。
ズヴォシスキーガーデンには
ガンプラバトルアリーナが併設されていた。
そう…
スキー場なのに、スキーやスノボとはまったく関係の無いガンプラバトルアリーナを併設していたことが、私達が『悠久の地』に行ってしまうことになった原因なのである…。
最初に
「ガンプラバトルしようぜ☆」
と言い出したのは、あろうことか、サキの彼氏のヴァジーナ氏だった。
私はてっきり、サキが止めると思ったのだが…
なんと、サキもヴァジーナ氏に同意したのだ。
そりゃ、ヴァジーナ氏はサキの彼氏なんだから、サキがヴァジーナ氏の言うことに従うのはわかるが…
そもそも
私達をスノボに誘ったのはサキ
である。
その、誘った本人が、本来の目的から逸脱してどうする…。
こうして
スノボに誘った本人がスノボをしないと言い出した
のだから、なし崩し的に、私達はガンプラバトルアリーナに入っていき、ガンプラバトルをすることになったのだ…。
◇
数十年前に発見された、反粒子同士の結合によって生成され、プラスチックに反応して流体化する特性を有した、謎の粒子物質
プラフスキー粒子─。
その、プラフスキー粒子の特性を利用し、TVアニメ【機動戦士ガンダム】シリーズのプラモデル
ガンプラ
を使用した対戦型ゲーム
ガンプラバトル
が全世界に流行した―。
しかし、このガンプラバトルには
唯一にして最大の欠点
があった。
それは
対戦に敗北したガンプラは損壊してしまう
ことだった。
そのため、気軽にガンプラを購入する事のできない低年齢層から敬遠され始めるようになり、やがて、ガンプラバトルそのものの人気も失われ始めてきた…。
しかし
ガンプラが損壊しない方法が確立
され、ガンプラバトルかつての人気を取り戻したのだった─。
◇
コクピットルームに入ると…
「ゑっ!?」
そこはコクピットルームではなく
ホテルのロビーのような場所
だった…。
「こ…ここって『悠久の地』!?」
と驚くミモザ。
「どうやら、そうみたい…。」
と困惑するユイ。
「今、8時すぎだから…
これから15時間は戦えるな。」
と言うサキ。
『悠久の地』に来てしまい、困惑しているミモザ達に、中年男性が
「お前ら、補充要員か!?
出撃準備が出来次第、第135発電所の防衛にあたれ!!」
と命令してきた。
「すみません。
ここは、誰の陣営ですか?」
と訊くミモザに
「ヴェリィ様の陣営だ。」
と答えて走り去る中年男性。
「ヴェリィ様か…。
だったら、あんまり無茶なことを言ってくる人じゃないね。」
と言うミモザ。
「とりあえず、用意されているはずの部屋に行こう。」
と言うサキ。
用意されていた部屋に入ると、リビングルームの奥に寝室の扉が2つあった。
「なんてことだ…。」
と嘆くサキ。
6人いるとはいえ、6人の関係は
ミモザ・ユイ…婦婦
サキ・ヴァジーナ…恋人
ロベルト・ポリィ…夫婦
なので、できれば二人部屋を3つ用意してほしかったところだ。
しかし、これはヴェリィに申請すれば、出撃中に変更してくれる。
サキは内線電話で、寝室の変更をヴェリィに申請した。
「私達が出撃中に変更してくれるみたい。
とりあえず、適当に分かれて出撃しよう。」
と言うサキ。
とりあえず、荷物をリビングルームに置き
右側の部屋にミモザ、ユイ、サキ
が入り
左側の部屋にヴァジーナ、ロベルト、ポリィ
が入っていった─。
・
寝室に入ると、奥に3つの扉─
コクピットルームの入口がある。
左にミモザ
中央にサキ
右にユイ
が入る─。
『GUN-PLA Battel, Stand up.』
システムが起動し始めた。
『Please set your GP base.』
GPベースを、スロットにセットする。
『Please set your GUN-PLA.』
ガンプラを、カタパルトデッキにセットする。
コクピットルーム内に、ホログラフィーで再現された球体操縦桿と正面と左右のカメラモニターや、残弾数や各部のダメージ表示を示すメモリなどが映るモニターが現れる。
球体操縦桿を握り、そして―
『Battel start!!』
バトルスタートの合図が鳴り響く―!!
「ミモザ。
ダブルオーダイバーフォルテ、行きます!!」
「サキ。
バインドリー・ハリケーン、出る!!」
「ユイ!!
ディランザソル、出ます!!」
「ヴァジーナ!!
ゴールドスモー、出るぞ!!」
「ロベルト!!
シュツルムディアス・ブラック、行くぜ!!」
「ポリィ!!
リックディアス・ピンク、発進!!」
こうして、ミモザ達はスノボではなく、『悠久の地』でガンプラバトルをすることになったのだった…。