No.2魔法少女グレイスの破滅 作:AIになんか負けないんだから!※敗北済み
七年前、突如として異界のゲートが開き、そこを通じて魔物が現れる様になった。
奴らは時に人を襲い、時に女を孕ませ、時に異界へと連れ去る。
──一度異界へと連れ去られた者が生還した事例は存在しない。
人類が技術の粋を持って開発した兵器は魔物には通用しなかった。
銃弾も刃も爆発も、たとえ致命的な傷を負わせても、その肉体は瞬く間に再生し、傷跡一つすら残らない。
世界最強の米軍の全力の攻撃でさえ、ただ魔物の足を一時的に止めるだけの意味しか持たなかった。
しかし、唯一、魔物の身に確かなダメージを与え、討ち倒せる存在がいた。
それは、魔物の出現と同時期に現れるようになった──“魔法少女”の力。
より正確には、彼女たちが放つ魔力を宿した攻撃だけが、魔物の体を貫き、再生すら許さず消し去ることができる唯一の手段だった。
この時代、世界を救う鍵は、純粋な魔法を体現する少女たちの手に握られているのだった。
しかし──
人類を守るべき魔法少女の数は、出現する魔物の数に対して圧倒的に不足していた。
魔物が齎すの被害の全てを防ぎきる事は叶わず、ニュースで失踪や被害が日々当たり前のように報じられ、職場や学校の話題に魔物の恐怖が混じる。
非日常であるはずの脅威──
やがて魔物によって人が襲われ、時には異界へ連れ去られる出来事は、天災や事故のように“日常の一部”として世界の風景に溶け込んでいく。
それでも人々の希望となり、魔物が齎す悲劇を一つでも多く減らそうと奮闘する者達は居た。
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朝日に照らされた街は、先を急ぐ人々でごった返していた。
スーツ姿の会社員、スマホ片手の学生──それぞれの日常が交錯する雑踏。
──ピキッ
そんな日常を斬り裂くかの如く、駅前の広場の空間に歪みが生じ、静かに空気が裂ける音が響く。
「え、何あれ?」
「おいおい、まさか……」
七年の月日を経て、人々がその歪みの正体に気付くのに、そう時間は掛からなかった。
──ピキピキ、バキバキバキッ!!
「ゲートだ。ゲートが開くぞぉぉぉ!!?」
「皆逃げろ、今直ぐにだ!!」
「も、もしもし警察ですか?今駅前広場にゲートが!!」
人々はこれから現れる厄災を予兆して、逃げ惑う。
しかし手遅れである。
──バキンという音と共に異界のゲートは開き、異形の魔物──屈強な体と灰色の肌を持つオークの群れが蠢くように現れた。
『ウォォォォォ!!!』
駅前に響くのは、地鳴りのような咆哮。
「ひっ!」
「お、オークの群れだと!?」
その声だけで、その場の空気が張り詰め、逃げようとした人々が足をすくませた。
『男は殺して食え、女は犯して孕ませろーーッ!』
『ウォォォォォォォォォォ!!!』
雄叫びが辺り一帯に響き渡り、その声に呼応するように他のオークたちも口々に吠える。
『捕マエロ!食エ!犯セ、孕マセッ!』
叫びと同時に群れは四方に散り、逃げ惑う人々に襲いかかった。
巨大な手が男を弾き飛ばし、女性には乱暴に腕を伸ばす。
泣き声、絶叫――生きた心地を失った人々の群れに、オークの爪と牙が容赦なく振り下ろされそうになったその瞬間──
「──そこまでよ」
凛とした声が降り注ぐ。広場の中央に立つのは、白と青を基調にした衣装に身を包んだ少女。長く伸びた青髪が風もないのに舞い上がり、両目は氷河のように冷たく澄んでいる。
「か、彼女は──ッ!」
「ま、魔法少女……No.2魔法少女のグレイスだ!」
「た、助かるぞ俺達」
恐怖に染まっていた人々の顔が明るく輝き始める。絶望が希望へと塗り替えられる瞬間だった。
──その期待に応えるかの様に、彼女は魔法少女グレイスはその体から冷気を発する。
「アブソリュートゼロ」
直後、その冷気は街一体へと広がり、オークのみを物言わぬ氷像へと変えた。
「──ブレイク」
続く詠唱で、氷像は粉砕された。
元の形も分からぬ程に粉砕された氷粒が街に降り注ぎ、朝日が彼女の偉業を称えるかの如く照らした。
「ウォォォォォ!!!」
「やったぞ、グレイス最高!グレイス最高!!」
「ありがとう魔法少女!!」
少し遅れて街に広がる拍手喝采。
「あ、あはは……応援ありがとうございます」
それを受けて、グレイスは照れくさそうな笑みを浮かべて人目の付かない場所へと移動すると、首元の青いペンダントが微かな光を放つと同時に、その全身を包む眩い閃光が走った。
光が収まった時──そこに立っていたのは学生服に身を包んだ一人の少女だった。
長い黒髪はサラサラと風になびき、制服のプリーツスカートが軽やかに揺れている。大きな瞳は夜空のような深い蒼色を湛えていた。整った鼻筋と柔らかそうな唇がバランス良く配置され、まさに美少女という言葉が似合う姿。
氷室冬美。
魔法少女グレイスではなく、最近高校生になったばかりの少女の姿へと戻っていた。
「ふぅ……」
大きく息を吐き出すと、彼女は制服の袖口で額の汗を拭い腕に巻き付けた時計の針を見て、目を見開く。
「まずい!もう学校始まる時間!」
慌てて路地裏から飛び出すと、彼女は全力で駆け出した。その姿は今朝まで街を救った魔法少女とは別人のように見える。
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昼休みのチャイムが校舎中に響き渡る。
「あぁ〜……」
教室の隅にある冬美の席から、深い溜息が漏れた。黒板側を向いて項垂れる彼女は珍しく覇気がない。
「どうしたんですか?氷室さん」
その様子を見て、隣の席の女子生徒──柏木が心配そうに尋ねた。
「うん……実は……」
冬美は顔を上げると、少しだけ恥ずかしそうに苦笑した。
「お弁当忘れちゃった。しかも財布まで持って出るの忘れて……」
「そ、それは大変ですね。良かったら、私の唐揚げ食べます?」
「良いの?ありがとう」
柏木が差し出した唐揚げをパクリと口の中に入れ、有難みを感じながら咀嚼する。
「え、氷室さん弁当忘れたの?」
その様子を見聞きしていた近くの男子が反応した。
「なんだって?氷室さんが飯ナシか?」
「それってヤバくない?」
「氷室さんが困ってるのに何もしないとか……」
教室の至る所から声が上がり始めた。噂が広まるのは早い。
「おーい氷室!コレやるよ!購買の余りだけどな」
「わたしも!」
「僕のも食べていいよ!」
次々と手が挙がる。柏木が追加でタッパーに入った卵焼きを差し出し、男子生徒が焼きそばパンの半分を千切る。近くにいた女子生徒は自分のおにぎりを丸ごと差し出した。
「ちょっと待ってみんな……そんなに受け取れないよ……」
食べきれない程の食べ物に冬美は少し困った様に、それでいて嬉しそうに笑う。
机に山積みにされる食料が彼女に対する人望を物語っていた。
「昨日さー、彼氏から3連続でおかわり求められてさ、まじで体力奪われたんだけど〜」
「マジ~~?彼氏絶倫じゃん」
「ううん、調子こいて“朝もしてほしい”とか言ってきたし。マジ男ってどんだけ性欲あるんだよって感じ!」
そんな中、ギャル達の猥談と高笑いが教室内に響き渡る。
教室の雰囲気が凍り付く。
「でさぁ~次の土曜、あたしんち彼氏お泊まりー。マジで朝まで攻め倒すつもりなんだけど!」
「えー、いいなー。うちも昨日、途中で親帰ってきてさ、一回で終了よ?」
「うわ、それは萎える……一回じゃ全然足りないでしょ?」
気付けば、冬美の元に出来ていた輪は自然と解散していた。
男子生徒たちは教科書をめくるふりをしながらも、誰もが半ば顔を赤らめ、気まずそうに、それでいて興味津々に耳をそばだてている。
一方、女子生徒たちの反応はさまざまだった。誰かはわざとらしくため息をついたり眉をひそめたりするが、ちらちらと会話の輪を伺いながら、興味深そうに身を乗り出す子も少なくない。
「そう言うもんなの?」
「アンタまだ処女だっけ?」
「まーね。さっさと捨てたいけど、良い相手いなくてさぁ~」
「んなもん、そこら辺の男子引っ張ってホテルに連れ込めば良いだけよ」
その言葉に聞き耳を立てていた男子が反応した。
露骨に反応をする男子に女子は冷たい視線を向けた。
「えーでも、このクラスの男子って殆ど童貞でしょ」
「それが良いんじゃない。服とか脱がせ慣れてないと意外と可愛いし……」
「わかるー」
「ぶっちゃけ最初の時って痛かった?」
「んー、でもあとから気持ちよくなってさー♡」
徐々にヒートアップしていくギャル達の猥談。
流石に耐えかねた冬美は「こほん」と、わざとらしい咳払いをひとつすると、落ち着いた足取りで猥談に花を咲かせている女子グループへ近づいた。
ギャルたちは一瞬目を合わせ、小さく舌打ちをして、不満そうに冬美を見上げる。
リーダー格の女子、吉原が露骨に眉をひそめ、「なに?」とぶっきらぼうに問いかけた。
「ごめん。でも、教室でそういう話はやめてくれる?風紀が乱れるし、周りも気にしてるから」
「チッ、真面目ちゃんが──はいはい。分かりましたよー」
リーダー格の吉原が面倒くさそうに返事をし、ギャル仲間を引き連れて教室を出ていった。
冬美は、その背中が見えなくなった瞬間に、こっそりと小さく息を吐いた。
教室に静けさが戻り、ざわめきも幾分和らいでいく。
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午後の授業──バスケの授業が始まると、冬美はチームメイトたちの輪に自然と溶け込んでいた。
コートの中央でボールを受け取った瞬間、流れるようなドリブルで相手を軽やかに抜き去り、背の高い女子をフェイントで翻弄してから華麗にシュートを決める。
「ナイス、冬美!」
「うっわ、今のヤバ!」
チームメイトも対戦相手も思わず歓声を上げた。
冬美の動きを見て、バスケ部の少女が汗を拭きながら駆け寄ってくる。
「氷室さん、うちのバスケ部に入らない? キミがいれば、今年こそ全国大会優勝も夢じゃないよ!」
バスケ部少女の勧誘に冬美は少し笑って肩をすくめる。
「ごめんね。放課後は予定あるから……」
「そっか、残念」
気が変わったら、いつでも言ってねと少し名残惜しそうに微笑むバスケ部少女。
そこに、コート脇で腕組みして見ていた吉原が、ニヤニヤしながら大きな声で冷やかす。
「はいはい~?放課後いつも予定ってさ、何してんの?うちの学校でバイト禁止だよね?まっさか、人に言えない様な疾しい仕事でもしてんじゃないの~~?」
その言葉に、冬美の動きが一瞬止まり、どきりと心臓が跳ねた。
「やめてください!氷室さんが、そんなことするわけないじゃないですか!」
直ぐに、柏木が急いで割って入る。
「ひ、氷室さんは全校模試でトップを独走し続けて、皆と分け隔てなく優しい人です!そんな彼女が疚しい事なんてするわけ無いじゃないですか!」
柏木の真っ直ぐな声に、周囲がしんと静まり返る。
周りが一発触発な雰囲気に怯える中、冬美は一度目を伏せ、小さく微笑みながら、再び吉原に向き直った。
「ちょっと家庭の事情で忙しいだけ。別に変なことしてないから、心配しないでよ」
「はっ、どうだか──」
納得いかない様子で吉原が睨む。
冬美も負けじと吉原を睨み返す。
「それとも何?私が疚しい事をしている証拠でもあるの?」
「そ、それは……」
その言葉に吉原は言葉に詰まる。
その隙を逃さず、冬美が追撃する。
「証拠もなく、私が疚しい事をしていると主張する。それって私に対する誹謗中傷じゃないかしら?名誉毀損で訴えられてもおかしくないわよ」
その言葉に吉原はたじろぐ。
「ね、ねぇ、もう行こうよ」
取り巻きのギャルが吉原の腕を引くと、吉原は「……そうね」とその場を去って行った。
その様子に冬美は胸の奥で小さく安堵しながら、コートの中央に足を向けた。
「……うっざ」
体育館を出る前、吉原は恨めしそうな視線を向けながら、そう呟いた。
次からエロ入ります