※この作品はR-18です。

No.2魔法少女グレイスの破滅   作:AIになんか負けないんだから!※敗北済み

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最終話 破滅

 冬美の出演したAVは売れに売れた。

 成人向けの販売サイトの感想欄では「リアル高校生の本番撮影」「乳首ピアスがヤバい」「クラスメイトにバレたら即退学」といった口コミが拡散され、売り上げは急上昇。AV業界でも異例の記録を達成した。

 

『1年A組氷室冬美。至急校長室に来るように』

 

 そんなある日の事、スピーカーから流れる呼び出しに冬美の肩が震え、教室が静まり返る。

 

「え、氷室が呼び出し?珍し」

「なんか、悪い事でもした?」

「まっさか~優等生の冬美に限ってそんな事ないでしょ。多分、なにかしらの表彰でもされるんじゃない」

 

 クラスメイトたちの好意的な声が耳に痛い。冬美は席を立つ足が震えるのを感じた。

 

(やっぱり……バレちゃったか)

 

 クラスメイトは冬美が呼び出された理由を知る由もないだろうが、冬美には心当たりしかなかった。顔にモザイクも掛けず、本名での活動。バレない訳が無い。

 いつかバレる。そう確信しながらも、冬美はそのスリルによって得られる快感を得ながらAV撮影に挑み、自分が出演した作品を自分で買って自慰行為にすら使った事すらある。

 そして、それがとうとうバレる日が来た。

 覚悟はできていた。しかし、いざバレたとなると、冬美は首を絞めつけられる様な緊張を味わった。

 さながら、首に縄を懸けられ、執行間近の死刑囚の様な心境だった。

 

 ──コツコツコツ

 

 校長室までの廊下がやけに長く感じられる。窓ガラスに映る制服姿の自分が別人のように見える。清楚なセーラー服の下に潜む秘密。乳首のピアスも性奴隷の証も誰も知らない。

 

「すぅ……はぁ……」

 

 校長室の前で冬美は深呼吸をすると、ドアをノックした。

 

「入りなさい」

 

 校長の低い声が響く。ドアを開けると机を挟んで校長と担任の女教師が座っていた。普段は穏やかな表情を浮かべている二人だが今日はその表情が険しい。

 

「そこに座りなさい」

 

 冬美がソファに腰掛けると担任がスマホを差し出した。画面には冬美自身が映っている。制服姿で微笑む彼女の姿は明らかに学校とは異なる媚びた表情をしている。

 そして冬美が映るサムネイルには『1年A組 氷室冬美──純潔を奪われた優等生』というタイトルが表示されている。

 

『──学園の一年生、氷室冬美です』

『私……エッチな子なんです。学校の人にバレるドキドキ感で……興奮しちゃう変態さんなんです』

 

 再生ボタンを押すと制服姿の冬美がインタビューに答えているシーンが流れる。

 画面内の冬美が服を脱ごうとした所で担任は動画を止めた。

 

「氷室さん……これは貴方なの?」

 

 担任の問いに冬美は固まった。スマホ画面には確かに自分の姿が映っている。顔にモザイクなどない。氷室冬美とハッキリ記載されたパッケージのサンプル動画だった。

 

 言い逃れは不可能だ。

 頭の中で警鐘が鳴り響く。

 

(ああ……ついに来た)

 

 絞首台の踏み板の上に立った様な気分。首に巻かれた縄の感触すら感じる。いつかバレるとわかっていながら見ない振りをしてきたツケが今訪れたのだ。

 担任の視線が痛いほど突き刺さる。普段は優しかった女の目が今は不信に曇っている。

 

「どうなんだい?」

 

 校長が答えを促す。

 冬美は観念して白状する

 

「はい。私です。画面の中で淫らな行為に溺れているのは私、氷室冬美で間違いありません」

 

 その言葉を聞いて担任はショックを受けた様子でソファーにもたれかかった。

 

「なんで……こんな事を?」

 

 震える声で尋ねる担任に冬美はゆっくりとブレザーのボタンに手をかけた。ひとつずつ丁寧に外していく。ネクタイを緩めブラウスのボタンを順番に解いていく仕草はどこか儀式めいていた。

 

「先生」

 

 白いブラウスが肩から滑り落ちる。黒いストラップレスブラに包まれた膨らみが現れる。

 

「本当の私を見てほしいんです」

 

 下着のホックを外す音が密室に響く。担任が息を飲む気配。校長が椅子から立ち上がる音。

 

「……わたし」

 

 露出した乳房の頂点で光る銀色の輪が揺れる。

 

「えっちな事が大好きな変態なんです」

 

 校長は眉間に深い皺を刻んだ。

 

「まさか……成績優秀で学園の模範生だったキミがこんな事をするとはな」

 

 言葉の一つ一つが鋭い刃のように冬美の胸を刺す。

 

「キミはこの学園の生徒に相応しくない」

 

 校長の声が低く沈む。

 

「本日を以て氷室冬美君」

 

 重い判決が下される。

 

「キミを退学処分とする」

 

 ガコン!

 

 実際に音はしていない。だが冬美の脳裏にはっきりと聞こえた。絞首台の踏み板が外れる乾いた音。自由落下する恐怖が背骨を駆け抜ける。

 

「荷物をまとめて帰りなさい」

 

 校長の声が遠くに聞こえる。目の前が急速に暗くなっていく。

 

(ああ……本当に終わった)

 

 ーーーーーーーーー

 ーーーーーー

 ーーー

 

 校長室を出た冬美の足取りは鉛のように重かった。退学処分の書類を手に階段を上がり、教室の前で足が止まった。

 

『あっ……ダメっ……そこは……』

 

 聞き覚えのある甘い声。紛れもなく自分だ。心臓が肋骨を叩く。

 

(バレたんだ……)

 

 ドアノブに触れる指先が震える。開けるべきか迷う一秒が永遠に感じる。ゆっくりと押し開ける──

 

「……っ!」

 

 一斉に向けられる視線。教卓の中央で大音量で再生される自分の裸体。男子たちの興奮したどよめき。女子たちの困惑と嫌悪の囁き。

 

『……あぁっ!ダメぇ!イクッ……!!』

 

 そんな中、吉原のスマホから自分の卑猥な叫び声が教室中に響き渡る。クラスメイトたちの視線が針のように刺さる。吉原はニヤリとした表情を浮かべながら冬美の元へ近付く。

 

『もっと、もっと私を犯して……』

「ヤッてんじゃん。疚しいこと!」

 

 吉原が嘲るようにスマホ画面を突きつける。そこには冬美自身の歪んだ笑顔と『氷室冬美16歳 危険日中出し』という煽情的な文字が踊っている。

 

「そ、それは……」

 

 言葉が喉に絡まる。足が震え、手に汗が滲む。無意識に助けを求めるようにクラスを見渡し、親しいクラスメイト──柏木と目線が合う。しかし──

 

「氷室さん」

 

 冷たい声。かつて優しさに満ちていた瞳には今、氷のような軽蔑が浮かんでいる。

 

「軽蔑しました」

 

 その言葉が心臓を貫いた。長い睫毛の奥の瞳が鋭利な刃となり冬美を切り裂く。

 指先から力が抜けて手から何かが滑り落ちる感覚があった――校長室で受け取った、あの退学通知だ。

 

「これ……氷室のやつ?」

 

 誰かがそう呟き、ためらいもなく封を開ける。紙の端に記された「退学処分」の文字――

 直ぐに騒めきが広がり、教室はまた別の熱量で包まれていく。

 

「マジかよ、退学?」

「あの優等生だった氷室が?」

「まあ、AV出てたんだし、当然ちゃ当然だよな!」

「本当に人生終わってるじゃん」

「AVバレて退学とかエグすぎ……」

 

 好奇、嘲笑、哀れみ、軽蔑。あらゆる言葉が冬美の周囲を高速で回り始めた。そのすべてが鋭い針のように身体を貫いた。

 もう、そこにはかつて弁当のおかずを分け合ってくれた様な温もりは無かった。

 

 ーーーーーーーーー

 ーーーーーー

 ーーー

 

 気づけば見知らぬ公園のベンチに座っていた。

 自分以外に人影はなく、夕暮れの風が冷たい。

 

「私、なんでこんなことしたんだろ……」

 

 快楽という酔いから目覚めた気分だった。

 

「ふふ……知りたい?」

 

 公園のベンチに蹲る冬美の耳にスニーカーの軽い足音が響く。振り返るとそこには毎晩男を連れ込んでは情事にふけるお隣さんの林が立っていた。

 

「林……さん?」

 

 冬美が立ち上がろうとする寸前、林が一歩前に踏み出した。

 

「貴女が『何故こんなことをしたのか』悩む必要なんてないわ。だって──」

 

 彼女の指がエナジードリンクの空き缶を弾く。

 

「──私がそう仕向けたのだから」

 

 どういうことですか?そう尋ねる前に林の後ろ髪が蛇のように蠢き、頭皮から細い角が二本突き出た。スカートの裾から漆黒の尻尾が這い出る。

 

「私はサキュバスよ。人間の精気を喰らう魔物」

 

 その言葉を聞き冬美は反射的に立ち上がり、魔法少女に変身しようとした──が、なにも起こらなかった。

 

「……ッ!!」

 

 当然である。冬美の魔法少女としての力は純潔を失ったあの日に、永遠に失われたのだから。

 七年間魔法少女として戦い続け、反射的に刻まれた変身動作は、今や何の意味も持たない儀式に成り下がっている。

 

「プッ──アハハハッ!」

 

 その光景を見て林は腹を抱えて笑った。

 

「ばっかじゃないの?貴女が魔法少女としての力を残しているんだったら、私は馬鹿正直にサキュバスだって正体を明かさなかったわよ。仮にもNo.2の魔法少女だったんだから」

 

 No.2魔法少女の恐ろしさは、魔族である林が誰よりも分かっている。

 かつて自分よりも格上の魔物の大群を魔法一つで氷像へと変えた光景は林の心に深く刻まれたトラウマだった。

 故に目立った行動をして魔法少女に討伐されない為に人間社会に溶け込み、夜な夜な殺さない程度に男の性を搾り取り、平和に過ごしていた。隣の部屋に冬美が引っ越してきた時には林は恐怖に震えた。

 魔法少女に変身した後と前で容姿は違うが、冬美がNo.2魔法少女であることは魔力を見れば一目瞭然だった。

 

「いつ、私の正体がバレるか、気が気じゃなかったわよ。でも賭けに勝ったのは私、私は生き残り、貴女は魔法少女としての力を失った!!」

 

 林は地面に転がった空き缶を指差した。

 それはよく見れば、冬美が自慰行為に没頭した日、林に渡されたエナジードリンクの空き缶だった。

 

「……まさかッ!?」

「そのまさかよ。そのエナジードリンクの中身は私の体液が入ってたのよ。正確にはサキュバスの体液と言えば、貴女がどれだけの劇薬を口にしたのか、分かるでしょ?」

「……ッ!!」

 

 魔物の体液は人間には催淫効果を齎す。

 それは魔物が現れるようになった七年間で判明した事実。

 そしてその中でも、サキュバスの体液は通常の魔物の数十倍の催淫効果を発揮する。

 

「どんな鋼の自制心を持った人間でも、一瞬で性獣に変える劇薬よ……だから、貴女が『何故こんなことをしたのか』悩む必要なんてないわ」

 

 ──だって、私がそう仕向けたのだから。

 耳元で囁く林の声に背筋が震える。

 林から漂う香りに下腹部が疼いた。

 

「──まさか、体臭にも?」

「ええ、良い香りでしょ?サキュバス特有の催淫効果のある体臭よ」

 

 ふーと林が冬美に息を吹きかけると、冬美の全身が雷に打たれたように震えた。

 

「ひゃああぁッ!?」

 

 脊椎が沸騰するような快楽が脳天まで突き抜ける。両膝がガクガクと震え、制服のスカートの奥で熱い蜜が噴き出した。

 

「あらあら♡」

 

 林が蛇のように這い寄り、冬美の濡れた股間を指でなぞる。

 

「私の息だけでイッちゃうなんて」

 

 サキュバスの尻尾が冬美の手首に巻きつき、逃げられないように固定する。

 

「んふふ……♡」

 

 林の唇がゆっくりと近づく。その呼気だけで脳が蕩けそうなほど濃密な甘い香りが漂う。

 

「や……やめ……っ」

 

 最後の抵抗も虚しく、唇が重なった瞬間──

 

「んむぅっ!?」

 

 焼けるような快感が口腔内を駆け巡る。林の舌が触れるたびに粘膜が溶けるような熱さが広がる。唾液が絡み合い、喉を潤す度に子宮が痙攣した。

 

「んぐっ!……んああっ♡」

 

(何これ……人がするキスじゃない……)

 

 舌先で上顎を撫でられただけで絶頂に達する。制服の股間部分に新たな染みが広がっていく。呼吸すら許されないほど深く吸い込まれる口腔愛撫。唾液に含まれるサキュバスの体液が血管を通じて全身に広がる。

 

「んはぁっ……もっと……」

 

 無意識に求めてしまう己の浅ましさに涙が出る。しかし羞恥心すら快楽に変わる。林の尻尾が冬美の腰を引き寄せ、より深く唇を貪る。

 

「んんっ……んくぅぅっ♡」

 

 再び舌が絡み合った瞬間、これまでの絶頂とは比較にならない波が襲った。意識が遠のくほどの激しい痙攣。思わず林の舌を噛みそうになる。

 

「おっと♡」

 

 林が一瞬離れる。二人の口元に銀糸が引き、月明かりに反射する。

 

「あら?もう限界かしら?」林が小馬鹿にするように笑う。

「ち……違…」

 

 否定の言葉を紡ごうとした瞬間、再び唇を奪われる。今度は唇全体を覆うような押しつぶすようなキス。鼻腔からは極上の香水を百倍濃縮したような芳香が直接脳天を突き刺す。

 

「んんんんーっ!!」

 

 度重なる絶頂で骨抜きにされた冬美を襲う。林の舌が離れると同時に冬美は膝から崩れ落ち、公園の地面に水溜りを作る。

 

「ふふふ……人間とのセックスでは味わえないでしょう?」

 

 林が艶然と笑う。その舌が月明かりに濡れて輝いている。

 

「こ……こんなの……反則……」

 

 荒い息で訴える冬美の顔は涙と涎でぐしゃぐしゃだ。

 

「まだ序の口よ?」

 

 林が指先で冬美の顎を持ち上げる。

 

「これからもっと深い所へ連れて行ってあげる」

 

 催淫効果で麻痺した四肢はピクリとも動かない。その無力感すら甘美な陶酔に変わっていく。人間としての尊厳も魔法少女としての誇りも消え失せた今、冬美の中に残るのはただ一つ──この淫魔に従順になる悦びだけだった。

 

「お願い……もっと……」

 

 蕩けた視線で懇願する冬美の前に、林が恭しく跪いた。サキュバスの尻尾が新しい玩具を見つけたように嬉しそうに揺れている。

 

「よくできました♡」

 

 林の指がブレザーのボタンにかかる。一つ一つ外す度に冬美の鼓動が加速する。前開きになったブレザーを肩から滑り落とすと、林の黒い尻尾がそれを巻き取り脇に置いた。

 

「ふふ……次はコレね」

 

 ブラウスのボタンが上から順番に外されていく。林の指先が鎖骨を掠める度に冬美の身体が痙攣する。全てのボタンが外れると、白い肌と黒いブラジャーが露わになった。

 

「でもまだ足りないわ」

 

 前ホックタイプのブラジャーに林の手が伸びる。ホックを挟む指が僅かに肌に触れただけで冬美の息が詰まった。

 

「あ……待って……!」

 

 制止の声は甘く掠れている。林が小さく笑いながらホックを外すと、支えを失った乳房が零れ落ちた。

 露わになった乳房の先端──桜色の突起の中心に銀色のリングが鈍く光る。

 

「ふふっ、こんなのをつけて変態さんね」

 

 林の目が妖しく輝き、舌が唾液を纏って乳首に迫る。

 

「んああっ♡」

 

 舌先がリングに触れた瞬間、稲妻が走った。乳輪を円を描くように舐め回され、リングごと吸い上げられる。

 

「あああっ!それダメぇっ♡」

 

 背筋が弓なりに反り返り、ショーツに新たな染みが広がる。林が乳首を甘噛みすると同時に脳天まで突き抜ける快感が炸裂した。

 

「ひぃぃっ!イクっ♡イっちゃうぅぅっ♡」

 

 スカートが捲られ、ショーツ越しに熱い蜜が滲む股間が露わになる。林が尻尾で器用にスカートを絡め取りながら下着に手をかける。

 

「こんなになってるのに……まだ隠そうとするの?」

 

 下着が太腿を滑り落ちる。充血した陰部が月明かりに晒され、蜜が糸を引く。

 

「やっ……見ないで……」

 

 消え入りそうな抵抗は林の笑みを深めるだけだった。サキュバスの尻尾が冬美の脚を大きく開かせる。林の唇が割れ目に触れた瞬間──

 

「んひぃっ!?」

 

 生暖かい舌が肉襞を舐め上げる。サキュバス特有の粘質な唾液が神経を直接撫でる感覚に全身が震えた。

 

「やっ♡あっ♡そこぉっ♡」

 

 クンニの動きが加速する。膣口をなぞり、クリトリスを包み込むように吸い上げられると理性が粉々に砕け散った。

 

「あああああああっ♡」

 

 透明な飛沫が林の顔を濡らす。潮吹きの衝撃で冬美の背中がベンチから浮き上がった。

 

「すごいわ……♡」

 

 林が恍惚と呟きながら顔を拭う。

 

「人間の体液とは思えないくらい美味しい……」

 

 サキュバスの瞳が獲物を捉えた猛禽のように細められる。

 

「次は何をしてほしいの?」

 

 その問いに、冬美は股を開き、両手の指で蜜の垂れる秘所を広げた。

 なにを求めているか、一目瞭然だった。

 

「ふふっ、残念だけど、私にちんちんは付いてないの」

 

 林の嘲笑が公園に響く。だが次の瞬間、その表情が妖しく歪んだ。

 

「でも──」

 

 林が虚空に向かって掌を滑らせると、空間が油膜のように歪み始めた。

 

「貴女が求めるものは用意できるわよ」

 

 直径1メートルほどの歪んだ楕円が空中に浮かび上がる。その内部は渦巻く紫煙のような靄に包まれ、微かな異臭が鼻をつく。まるで現実が破れた穴から漏れる瘴気のようだ。

 

「これ……」

 

 冬美の瞳孔が収縮する。それは異界へのゲートだった。

 林がゲートの縁に指をかける。

 

「こちらへいらっしゃい?」

 

 その声は蜜のように甘い。

 

「もっと素晴らしい快楽が待っているわ」

 

 だが生存本能が警鐘を鳴らす。

 ──一度異界へと連れ去られた者が生還した事例は存在しない。誰もが知る死の扉。

 

「だ、だめ……!」

 

 冬美の声が震える。

 

「そこに入ったら……戻れなくなる!」

 

 林が不敵に笑う。

 

「戻れない? いいじゃない」

 

 尻尾が蛇のように冬美の足首に絡みつく。

 

「人間の世界なんて退屈なもの」

 

 ゲートの向こうから微かな呻き声が聞こえる。無数の何かが蠢く気配。

 

「想像してみて?」

 

 林が耳元で囁く。

 

「異界には人間には考えられない快楽があるのよ」

 

 爪先が首筋を撫でる。

 

「毎晩毎晩、飽きることなく……ね」

 

 冬美の意識が揺らぐ。身体の芯が疼き、下腹部に熱が集中する。乳首のリングが擦れる感覚さえ甘美な刺激に変わる。

 

「この世界に何の未練があるの?」

 

 林の言葉が冬美の鼓膜を撫でる。

 

「魔法少女としての力は失い」

 

 爪先が頸動脈をそっと圧迫する。

 

「学校は退学になり」

 

 銀のリングが嵌まった乳首を指先が弄ぶ。

 

「社会的地位は地に落ちた」

 

 その瞬間、フラッシュバックが脳裏を走った。

 教室での嘲笑。校長室での退学宣告。

 

「それなのに」

 

 林の声が蜂蜜のように絡みつく。

 

「いつまでもしがみつく理由なんてないでしょ?」

 

 林の尻尾が冬美の腰に巻きつく。

 

「さあ」

 

 林が尻尾を引いて、ゲートの中へと引き寄せた。

 

「とことん堕ちちゃいましょう?」

 

 冷たい空気が肌を刺す。空間が歪む感覚。林の引力に導かれ、冬美は完全に異界へと足を踏み入れた。

 

(まだ戻れる)

 

 ゲートはまだ開いている。慌てて踵を返せば──車一台が余裕で通過できるほど巨大な裂け目が広がっていた。現世の公園が丸ごと見える。街灯の橙色の光。風にそよぐ銀杏の枝。遠くから聞こえる夜の喧騒。その光景が徐々に遠ざかり、ゲートが小さくなる。

 

(戻ろうと思えば……)

 

 だが足は動かない。

 

(戻ってどうするの?)

 

 魔法少女としての力を失い。学校も退学になって。男達が与える快楽よりも遥かに——林が与える快楽の方が何百倍も気持ち良かった。

 

「ここにはね……」

 

 林が囁く。その瞳が妖しく輝く。

 

「ゴブリンやオーク、スライム、触手……人間の社会では決して味わう事のできない快楽を与えてくれる魔物が山ほどいるのよ」

 

 ゾクッ。

 

 背筋を駆け上る快感。想像するだけで下腹部が疼く。

 

(そんな存在に犯され続けたら……)

 

 喉がカラカラになる。

 

「これから貴女はそんな魔物達に犯され続けるの」

 

 林の声が毒のように甘い。

 

「泣き叫んでもやめてもらえない。彼らの気の向くままに犯されて、沢山の子供を産まされる」

 

 想像するだけで子宮が収縮する。

 

「貴女はきっと長くは生きられない」

 

 冷酷な真実が耳を打つ。

 

「本来この先数十年生きる筈だった人生をきっと数年も経たずに終える事になる。でもね──」

 

 林の囁きが全てを覆す。

 

「人が一生を掛けても味合うことのできない天国を味わうことができる」

 

 その言葉だけで軽く絶頂した。

 膝がガクガク震える。

 視界が白く霞む。

 

 更にゲートが狭まる。今や大人がギリギリ通り抜けられる程度。全力で走っても出られるかどうかの瀬戸際。

 

「もうすぐ閉じるわ」

 

 林が尻尾を離した。冬美は自由だ。

 

「さあ、どうするの?」

 

 一歩も動かなかった。

 その表情は期待に満ちていた。

 瞳孔が開き、呼吸が浅くなる。

 乳首のリングが擦れる感覚さえ官能に変わる。

 

「ふふっ……」

 

 林が満足げに笑う。

 

「素晴らしい決断ね」

 

 ゲートは完全に閉じた。

 No.2魔法少女グレイスこと、氷室冬美はこうしてこの世から姿を消した。

 異界から生還することはなく、その短い生涯を異界で過ごす事となる。

 

 ーーーーーーーーー

 ーーーーーー

 ーーー

 

 異界に囚われて数ヶ月後──

 

 石造りの祭壇上で冬美の裸体が跳ねる。

 

「ああっ!もっと!奥までぇっ♡」

 

 彼女の背後で屈強なオークが腰を打ち据えていた。豚のような巨漢の陰茎が冬美の膣を蹂躙し続ける。

 

「んんっ!子宮に届いてるっ♡」

 

 冬美の腹は不自然に膨らんでいる。胎児が蠢く気配が表皮を通してわかる。オークが咆哮と共に射精すると同時に、冬美は白目を剥いて絶頂した。

 この数ヶ月で彼女が経験したのは想像を絶する悦楽だった。

 

 異界に囚われて、まず彼女を待っていたのは異形の触手達だった。

 無数のイソギンチャクのような生き物が彼女の全身にまとわりつき、分泌する媚薬で感覚を麻痺させていった。特に印象に残るのは「舌触手」だ。口腔内に侵入してきたそれは食道まで到達し、胃袋すら犯した。その日から冬美は固形物を食べることができなくなった。

 

 次に待っていたのはゴブリンの大群による集団輪姦。

 かつては低級の魔物として数え切れない程のゴブリンを氷像に変えてきた冬美は、その積年の恨みを晴らすかの如く、全身の穴という穴を使い果たされた。

 冬美は彼らの個体ごとに形状が異なるペニスに、新たな性感帯を開拓され続けた。

 今や冬美は自分が減らした数のゴブリンを自分の腹で増やす生産機に成り果てている。

 

 その後のスライムによる凌辱も冬美の脳裏に深く刻まれていた。

 体表から浸透してきた液体状の生物は血液循環系に侵入し、内臓そのものを愛撫した。三日間続くその交わりで、冬美の生理周期は完全に崩壊した。

 

 最も記憶に残るのは「闇の賢者」と呼ばれる巨大なヒキガエル状の怪物との行為だろう。粘液でコーティングされたその体は温水プールのように柔らかく、冬美は丸一日かけてその体内を巡った。最終的には消化される事なく吐き出されたが、あのまま消化されて人生を終えるのもまた一興と冬美は再び闇の賢者に丸呑みされる日を心の奥で期待していた。

 

 今では毎晩複数の魔物を同時に受け入れるのが当たり前となった。先週産んだ双子のオーク嬰児は既に母親より大きな体躯で成長を遂げている。その赤子たちも昨晩から母親の乳首に執拗に吸い付きながら自慰行為を覚えたらしい。

 

「あんっ♡もっと奥までぇ……♡」

 

 オークが射精を終え引き抜くと大量の白濁液が溢れ出した。

 

「次は俺だ!」

 

 別のオークが列を作り始める。今日だけで既に十匹以上の獣に犯されている計算だ。

 ふと目をやると祭壇の陰で同じく犯されている少女の姿が見える。

 制服姿の日本人少女──紺色のブレザーにチェック柄のスカート。肩までの黒髪は乱れ、青ざめた顔には恐怖が張り付いている。

 

「いやあああ!!助けて!お母さん!」

 

 甲高い日本語の叫びが洞窟に反響する。少女の四肢は太い触手に絡め取られ、空中でM字開脚の格好に固定されていた。両足首から伸びる黒い鎖が、祭壇の岩壁に繋がれている。

 

「痛い!やめて!離してよお!!」

 

 涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔。細い腰回りに巨大なタコのような魔物が貼り付き、八本の触腕で少女の全身を撫で回している。中央から伸びる生殖腕が少女の膣口を無理やりこじ開けようと押し付けられている。

 

「なんで私がこんな目に……!こんなところ来たくなかった!」

 

 少女の懇願も虚しく、触手の先端が秘裂に侵入した瞬間──

 

「ぎゃあああああ!!!裂けるぅうう!!」

 

 壮絶な絶叫が響く。細い触手とはいえ、未成熟な膣にはあまりに太すぎた。血が滲み始めるが、痛みは一瞬で終わりを告げる。

 

「あ……熱い……なにこれぇ……」

 

 魔物が分泌した催淫液が効き始めたのだ。少女の瞳が次第に蕩けていく。拒絶の声が途切れ、代わりに甘い吐息が漏れ始める。

 

「そんな……嘘……わたし……嫌なのにぃ……」

 

 肉体と精神の乖離。快楽と恐怖の狭間で揺れ動く表情。冬美はその光景を見て微かに笑みを浮かべる。

 

(あぁ……かつての私もあんな風だったのかなぁ)

 

 しかしすぐに興味を失う。感情などとうに希釈されている。

 

「ふふ……」

 

 乾いた笑いが漏れる。

 魔物との交配が日常となった今、時間の感覚が曖昧だ。

 正確な経過日数すら把握できないほど濃密な日々を送ってきた。

 

「あとどれくらい生きられるかなぁ……」

 

 魔物達が与える快楽は人の身では耐えられるものではない。

 絶頂時のショックで心臓が止まったのは一度や二度ではない。

 その度に魔物達の回復魔法で蘇生されたが、次も戻ってこれるか定かではない。

 

 もしかしたら、次の絶頂で死を迎えるかもしれない。

 けれど、それでも構わなかった。だってこんなに気持ちい事をされて死んじゃうなら、それってとっても幸せな死に方じゃない。

 

 次のオークが腰を掴む。背骨が軋む音が脳に響く。内臓が押し潰される快感。嗚呼、

 

「来てっ♡」

 

 もう何も怖くない。

 この世界こそが私の楽園なのだから。

 

「もっと激しくして、死んじゃうくらい気持ち良くして♡」




以上で本編は完結です。

ご愛読ありがとう御座いました。
良ければ高評価や感想を頂ければ幸いです。
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