イギリス、ウェールズ地方。
古き良き石造りの校舎が並ぶメルディアナ魔法学校。
その歴史ある学び舎の正門を、一人の青年が後にしようとしていた。
ネギ・スプリングフィールド。
小柄ながらも均整の取れた体躯を持ち、丸眼鏡の奥には知性を宿した瞳が輝いている。彼はわずか九歳……ではなく、飛び級を重ねた末に正規の課程を修了し、この学校を首席で卒業した天才青年である。
だが、その内面は、周囲が抱く「神童」や「ジェントルマン」という評価とは大きく乖離していた。
(やっと卒業か……長かったようで短かったな)
革のトランクを手に、ネギは口元だけで笑みを浮かべる。
表向きは、偉大なる父ナギ・スプリングフィールドの背中を追う立派な魔法使い。しかしその本性は、異世界からこの身体に憑依転生した、ただの好色な男だった。
メルディアナ魔法学校からの指令は単純だ。
『修行の一環として、日本の麻帆良学園で英語教師を務めること』
その指令書を見た瞬間、ネギの中で確信めいたものが走った。
(原作通りだ。この流れ、間違いなくあの物語のオープニングだ)
ネギは心の中で舌打ちと歓喜を同時に味わう。
原作通りであるならば、これから向かう先には数多の美少女たちが待ち受けている。それは喜ばしい。
だが、同時に破滅へのカウントダウンも始まるということだ。
(ま、俺は俺のやり方で楽しませてもらうがね)
彼は空を見上げ、ニヤリと笑う。
風に舞うプラチナブロンドの髪をかき上げ、ネギは日本行きの機上の人となった。
日本、埼玉県麻帆良市。
近代的なビルと豊かな自然、そして古風な建造物が混在する巨大な学園都市。
その中心に位置する麻帆良学園の本部棟、学園長室。
「フォッフォッフォッ。よう来たのぅ、ネギくん」
重厚な執務机の向こうで、好々爺が笑っていた。
近衛近右衛門。麻帆良学園の学園長であり、関東魔法協会の重鎮でもある。
禿げ上がった頭に長い白髭。その容姿は、日本の妖怪画に描かれる『ぬらりひょん』そのものだった。
ネギは慇懃な態度で一礼する。
「お初にお目にかかります、学園長。ネギ・スプリングフィールドです」
「うむ。成績優秀、品行方正。メルディアナからの報告は聞いておるよ」
学園長は目を細め、値踏みするようにネギを見つめる。
その眼光には、単なる教育者ではない、老獪な策士の色が宿っていた。
「君には我が麻帆良中等部の女子学部、2年A組の担任を受け持ってもらう」
「中等部の、ですか?」
「左様。皆、君と同じく、まだ若い女の子たちじゃ。若い君には少々荷が重いかもしれんが……期待しておるぞ」
(来た。これも想定内だ)
「それとな、住む場所についてじゃが……」
「はい」
「わしの孫娘、近衛木乃香が寮に入っておるんじゃが、その部屋に空きがあってな。君にはそこに住み込んでもらおうと思う」
学園長の言葉に、ネギは内心でガッツポーズをした。
(ほら来た! 役得イベント発生!)
だが、表面上は少し戸惑ったような演技を見せる。
「女子寮に、私がですか? それは少々、外聞が悪いのでは……」
「フォッフォッフォッ、構わんよ。君のような信頼できる人間にこそ、孫の側についていて欲しいのじゃ。それに、同室にはもう一人、神楽坂明日菜という学生もおる。二人とも君の生徒じゃ。教師として、指導もしやすいじゃろう?」
白々しい。
この古狸は、俺を孫娘の護衛として利用する気満々だ。
ネギの父、ナギ・スプリングフィールドとの縁を利用し、強力な魔力を持つ自分を番犬にするつもりなのだろう。
(結局、この学園長も俺や生徒を利用しようとしてるだけだ)
ネギは恭しく頭を下げながら、腹の底で黒い欲望を煮えたぎらせる。
利用されるだけの善人など、前世で卒業した。
お前たちが俺を利用するというなら、俺はその分、職権と魔法を乱用して、生徒たちにエロいことをして楽しませてもらう。
対価は身体で払ってもらう。それが俺の流儀だ。
「承知いたしました。微力ながら、近衛さんと神楽坂さんの力になりましょう」
「うむ、頼んだぞ」
退室するネギの背中に、学園長の高笑いが追いかけてきた。
廊下を歩きながら、ネギはふと、この世界に来る直前のことを思い出していた。
――回想――
白い、何もない空間。
気がつくと目の前に、直視できないほど光り輝く『何か』が浮いていた。
「パンパカパーン! おめでとうございます! 転生する事が決まりました!」
ファンファーレのような効果音と共に、やたらとテンションの高い声が響く。
状況が飲み込めない俺を無視して、自称・神は勝手に話を進めていく。
「転生先は、こちらの人物でーす!」
空中にホログラムのような映像が浮かぶ。
そこに映っていたのは、小柄な少年の姿。
俺は眉をひそめた。見覚えがある。
昔、少しだけ読んだことのあるハーレム漫画の主人公だ。
「……おい、ちょっと待て」
「はいはい、何でしょう? 感謝の言葉なら後でいいですよー」
「ふざけんな! これ、バッドエンド確定のキャラじゃねーか!」
俺は映像を指差して怒鳴った。
詳細までは覚えていないが、この主人公ネギは、物語の続編か何かで、強大な『始まりの魔法使い』だか何だかいうラスボスに身体を乗っ取られる運命にあったはずだ。
世界を滅ぼす器として利用され、自我を失う。
そんな救いのない未来が待っているキャラになんて、なりたいわけがない。
「他の世界とか、他のキャラにしろ! もっと安泰なモブとかでいいんだよ!」
「えー、でももう書類作っちゃったしー。変更きかないんですよねー」
「お前の事務処理の都合なんか知るか! 断固拒否する! 魂のストライキだ!」
俺が喚き散らすと、神は面倒くさそうに光の明滅を激しくさせた。
「あー、もう、うるさいなぁ。ワガママな魂ですねぇ。……じゃあ、チートあげますよ。それで手を打ってください」
「チートだ?」
「はい。特別サービスで、魔力量を底上げしておきます。えーっと……作中最強クラスの吸血鬼、エヴァンジェリンの10倍でどうです? これなら魔力切れの心配なし! 最強ですよ!」
エヴァンジェリンの10倍。
それは確かに破格だ。原作知識が曖昧な俺でも、あの幼女吸血鬼が桁外れの化け物だということは知っている。その10倍となれば、もはや歩く魔力炉だ。
「……それでも、身体を乗っ取られたら意味がないだろ。精神防御系とかないのかよ」
「あー、そういう細かいのは自分で努力してください。あ、もう一つオマケしときますね。眼。眼が欲しいって顔してたんで」
「は?」
「『写輪眼』付けときます。ただしコピー能力のみで。幻術とか天照とかは無しですからね。著作権的にアレなんで」
神は投げやりにそう言うと、俺の背後に空間の裂け目を作り出した。
「ちょっと待て! 納得してないぞ! ラスボス対策はどうなんだよ!」
「じゃーねー、好きなことやってきなー! エンジョイ!」
「おい! 聞けよコラァァァッ!」
ドン、と背中を押され、俺は無限の闇へと落下していった。
俺の抗議の声は、虚しく白い空間に響くだけだった。
――回想終了――
(……あのクソ神、絶対に許さん)
ネギは眼鏡の位置を直しながら、苦々しく吐き捨てた。
だが、手に入れた力は本物だ。
体内に渦巻く魔力は、意識しなければ周囲の空間を歪めてしまいそうなほど膨大で、そして濃密だ。
この力があれば、原作のシナリオなど容易くねじ伏せられるかもしれない。
いや、ねじ伏せる。
健全なラブコメなどという生ぬるい展開は、俺がぶち壊す。
この世界は俺の欲望のためにあるのだ。
渡り廊下を歩いていると、前方の階段から悲鳴が聞こえた。
「きゃぁっ!?」
見上げると、大量の本を抱えた女子学生が、バランスを崩して階段から転落するところだった。
長い髪、そして本に押し潰されそうになっている豊かな胸。
宮崎のどかだ。
彼女もまた、俺のクラスの生徒になるはずの女性。
(おっと、初対面で怪我をさせるわけにはいかないな)
ネギは指先をわずかに動かす。
詠唱は不要。これだけの魔力があれば、意思だけで現象を具現化できる。
『風花(フランス)・衝撃吸収』
目に見えない風のクッションが、階段の踊り場に展開される。
のどかの身体が地面に叩きつけられる寸前、空気の層が優しく彼女を受け止めた。
音もなく、まるで羽毛布団の上に着地したかのように、のどかは無傷でその場にへたり込む。
散らばった本も、見えない糸に引かれるようにふわりと着地した。
「だ、大丈夫ですか?」
ネギは駆け寄り、あくまで「偶然居合わせた親切な青年」の顔で手を差し伸べる。
「あ、は、はい……。あの、私……落ちて……?」
「危なかったですね。上手く受け身が取れたようで良かった」
混乱するのどかの手を取り、立たせる。
その手は柔らかく、少し震えていた。
抱き起こす際、腕に当たった彼女の胸の感触は、本越しでも分かるほど弾力があった。
(Fカップ……なるほど、噂通りの逸材だ)
ネギは内心で舌なめずりしながらも、爽やかな笑顔を崩さない。
「怪我がないなら何よりです。本、拾いますね」
「あ、ありがとうございます……すいません、私、ドジで……」
顔を赤らめて縮こまるのどか。
その様子を、少し離れた柱の影から見ている少女がいた。
オレンジ色の長い髪をツインテールにした快活そうな女性、神楽坂明日菜だ。
彼女は魔法の存在を知らない。今の現象も、単にのどかが運良く助かっただけにしか見えていないだろう。
(……見られてるな)
ネギは視線の端で明日菜を捉える。
彼女の瞳には、警戒心ではなく、純粋な感心の色が浮かんでいた。
「あいつ、意外と優しいとこあるじゃん」とでも思っているのだろう。
チョロいものだ。
まずは「優しくて頼りになる先生」というポジションを確立する。
堕とすのは、その後だ。
その夜。
女子寮の一室でささやかな歓迎会が開かれた後、深夜の静寂が訪れていた。
ネギに割り当てられたのは、部屋の隅にあるロフトスペースだ。
下では、神楽坂明日菜と近衛木乃香がそれぞれのベッドで寝息を立てている。
(さて……ここからが本番だ)
ネギは音もなくロフトを降りる。
暗視の魔法を使わずとも、窓から差し込む月明かりだけで十分だ。
まずは、神楽坂明日菜のベッドを見る。
彼女は布団を蹴飛ばし、健康的な太ももを露わにして爆睡していた。
Tシャツから覗くお腹が無防備でそそられるが、彼女には『魔法無効化能力』がある。
直接的な魔法干渉は弾かれる可能性があるし、勘も鋭い。
今の段階で手を出すのはリスクが高い。
楽しみは後にとっておく。
ネギの視線は、もう一つのベッドに向けられた。
近衛木乃香。
学園長の孫娘であり、京都弁のおっとりとしたお嬢様。
彼女は行儀よく布団を被り、規則正しい寝息を立てている。
ネギは指先を木乃香の額にかざした。
『眠りの雲(ソムヌス・ネブラ)』
極小の魔力を練り上げ、彼女の意識をより深いレム睡眠の底へと沈める。
これで、多少の刺激では目覚めない。
ネギは音もなく布団をめくった。
パジャマ姿の木乃香が現れる。
彼は躊躇なく、パジャマのボタンを一つずつ外していった。
指先が白い肌に触れるたび、ピクリと木乃香の身体が反応するが、目は覚めない。
前を開くと、清楚な白いコットンのキャミソールが現れた。
その下にある膨らみは、決して大きくはない。
データによればB75。
隣で寝ている明日菜や、今日会ったのどかに比べれば控えめなサイズだ。
だが、ネギにとっては、それこそがご馳走だった。
(小ぶりだが、形はいい。手の中にすっぽりと収まる、極上の果実だ)
ネギはキャミソールを捲り上げた。
月光に晒されたのは、未発達さを残しながらも、女性特有の柔らかさを帯びた白い乳房。
先端には、桜色の可愛らしい突起がちょこんと鎮座している。
ネギはそっと手を伸ばし、その膨らみを掌で包み込んだ。
「……んっ……」
木乃香の口から、小さな吐息が漏れる。
温かい。
そして、吸い付くように柔らかい。
ネギは掌全体を使って、ゆっくりと、ネットリと、その膨らみを揉みしだいた。
脂肪の層を指で確かめるように、外側から内側へ、そして下から持ち上げるように。
指の腹が肌に沈み込む感触がたまらない。
(ふふ、無防備だな、お嬢様。担任の教師に、寝込みを襲われてるとも知らずに)
ネギは神経を集中させる。
部屋の外、ベランダの向こうにある木の上に、鋭い気配があるのを感じていた。
桜咲刹那だ。
木乃香の護衛である彼女は、今も外で警護を続けている。
本来なら、不審な気配があれば即座に飛び込んでくるはずだ。
だが、ネギは既に部屋全体に『認識阻害』と『音響遮断』の結界を張っていた。
今のこの部屋の中の出来事は、外部からは一切感知できない。
世界最強クラスの魔力で作られた結界を、一介の剣士が見破れるはずもなかった。
(外で寒空の下、真面目に警備ご苦労さん。お前が守ってる大切なお嬢様は今、俺のおもちゃになってるぞ)
刹那への当てつけのような優越感が、ネギの興奮をさらに煽る。
ネギは指先を、桜色の乳首へと這わせた。
まだ刺激に慣れていないのか、先端は柔らかいままだ。
それを人差し指と親指で挟み、クリクリと転がすように弄る。
「……ふぅ……んっ……」
木乃香の眉がわずかに寄る。
夢の中で、何かしらの刺激を感じているのだろう。
ネギは執拗に攻め立てた。
爪を立てず、しかし指の指紋の溝で敏感な粘膜を擦り上げるように。
つまんで、引っ張り、押し込む。
ネットリと、いやらしく。
次第に、木乃香の呼吸が荒くなっていく。
柔らかな乳首が、ネギの指先に応えるように、プクリと硬く、尖り始めていた。
(いい反応だ。充血して、俺の指を求めてるみたいだ)
ネギはもう片方の手で、反対側の胸も攻める。
両方の乳首を同時に責め立てられ、木乃香の身体がシーツの上でくねりと身じろぎした。
無意識のうちに快感を貪っている。
清楚なお嬢様の、淫らな一面。
「……ん、ぁ……せっ、ちゃん……」
不意に、木乃香の唇から言葉が漏れた。
「せっ……ちゃん……くすぐったい、ぇ……」
ネギの手が止まる。
そして、口元が三日月形に歪んだ。
(ハハッ、刹那か。夢の中で、刹那にイタズラされてると思ってるのか?)
なんと皮肉で、面白い展開だろう。
外で生真面目に剣を構えている刹那が、夢の中では木乃香の胸を揉んでいることになっているのだ。
これは使える。
いつか、刹那の目の前で、彼女が見ている前で、木乃香を抱いてやるのも一興だ。
絶望と興奮に染まる刹那の顔と、快楽に溺れる木乃香の顔。
それを想像するだけで、ネギの下腹部が熱く疼いた。
ネギは再び指を動かす。今度はより強く、より激しく。
尖りきった乳首をこねくり回し、掌で胸全体を押し潰す。
「あぅ……んっ、んんっ……!」
木乃香の声が高くなる。
太ももが擦り合わされ、シーツが乱れる。
ネギは布団の下に手を滑り込ませ、彼女の下着の上から股間に触れた。
じわり、と湿った感触があった。
愛液が滲んでいる。
胸への刺激だけで、これだけ濡れるとは。素質は十分だ。
(今日はこれくらいにしておくか)
これ以上続ければ、明日菜が起きる可能性もあるし、何より初日からクライマックスを迎えてはもったいない。
楽しみは長く、じっくりと味わうべきだ。
ネギは名残惜しそうに木乃香の胸から手を離した。
赤く腫れ上がり、ツンと上を向いた乳首は、所有の証のように主張している。
乱れたパジャマを丁寧に直し、布団を掛け直す。
ネギは眠る木乃香の耳元に口を寄せ、囁いた。
「おやすみ、木乃香ちゃん。……これからは毎日、可愛がってあげるからね」
『忘却の霧』を薄くかけ、夢の内容を曖昧にさせる。
翌朝、彼女は奇妙な高揚感と、股間の湿り気に戸惑いながら目覚めることだろう。
ネギはロフトへと戻り、ニヤケ面を抑えきれないまま、天井を見上げた。
この学園生活は、予想以上に楽しいものになりそうだ。