※この作品はR-18です。

欲望のネギ   作:おっさん

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第22話:京都の土産は『力』と『女』

ホテルでの『濃厚な治療行為』を終え、ネギたちが関西呪術協会の総本山に戻った頃には、事態は概ね収束していた。

 

「お父さん!」

「おお、木乃香……無事やったか」

 

石化を解かれた近衛詠春が、愛娘を抱きしめる。

フェイトは撃退され、木乃香も無事。

明日菜や刹那、そしてネギも五体満足で帰還したことに、協会の者たちは安堵の声を上げた。

もっとも、その「無事」な娘たちが、ほんの数時間前までネギのあられもない姿で啼かされていたことなど、詠春は知る由もない。

ちなみにリョウメンスクナは木乃香を取り返したので、出現するチャンスも無かった。

哀れ天ヶ崎。

 

だが、安堵も束の間。

現場を目撃してしまったクラスメイトたちが、ネギを取り囲んで大騒ぎを始めた。

 

「ちょっと先生! さっきのアレ、何なんですか!?」

「空飛んでたし! ビーム撃ってたし!」

「鬼が出たと思ったら、明日菜さんがなんか……すごい格好で!」

 

朝倉和美、那波千鶴、村上夏美、雪広あやか、早乙女ハルナ、綾瀬夕映、宮崎のどか、そして長谷川千雨。

興奮冷めやらぬ彼女たちの質問攻めに、ネギは困ったように、しかし余裕を持って微笑んだ。

 

「皆さん、落ち着いて。驚くのも無理はありませんが……その辺りの詳しい話は、学園に帰ってからにしましょう」

「ええー! ここで教えてくださいよー!」

「機密事項なんですよ。ね、詠春さん?」

 

ネギが話を振ると、詠春も苦笑いしながら頷いた。

 

「そうですね。一般には知られてはいけないことですし、今は疲れてるでしょう。ゆっくり休んで、説明は後日ということが良いでしょう」

 

関西呪術協会の長にそう言われては、生徒たちも引き下がるしかない。

とりあえずは豪華な食事と、ふかふかの布団が提供され、生徒たちの不満は一旦解消された。

しかし、ネギにはまだやるべきことが残っている。

その夜、ネギは詠春に一つの交渉を持ちかけた。

 

「東洋呪術の『お札』を作る工程……それを見せていただけませんか?」

「お札作りを? ……ふむ」

 

本来なら部外秘の技術だ。しかし、ネギは今回、命がけで木乃香を守り抜いた(と詠春は思っている)。さらに、彼は『サウザンド・マスター』の息子でもある。

 

「君には借りがある。それに、西洋の魔法使いが東洋の術に興味を持つのは良いことだ。構わんよ」

「ありがとうございます」

 

ネギは深々と頭を下げた。

その口元が、わずかに歪んでいることに詠春は気づかない。

翌日。

今回の騒動に巻き込まれた生徒たち──いわゆる「魔法を知ってしまった組」と共に、ネギは本山の奥にある『製札所』を訪れた。

静謐な空気が張り詰めている。

お香の匂いが漂う薄暗い部屋の中で、白衣を着た術者たちが机に向かい、一心不乱に筆を走らせていた。

 

「すごい……なんか、空気が違うわね」

「映画のセットみたいですわ」

 

あやかや夏美が小声で囁き合う。

生徒たちはその厳かな雰囲気に圧倒され、固唾を飲んで見守っている。

詠春が静かに説明を始めた。

 

「彼らはただ文字を書いているわけではない。一筆一筆に魔力を練り込み、術式を編み上げています。」

 

詠春は書き上がったばかりの一枚の札を手に取り、生徒たちに見せた。

 

「より強い魔力を込め、精密に書かれた御札ほど、より少ない枚数で、より強い術を行使できる。達人が書けば、たった一枚で鬼神を縛ることも可能です」

「へぇー……! 奥が深いんですね」

「やっぱりオカルトってロマンがあるわねぇ」

 

生徒たちが感心して声を上げる中、ネギは無言で術者たちの手元を見つめていた。

その瞳の奥で、赤い光が静かに回転する。

『写輪眼』。

筆の運び、魔力の流し方、墨に含まれる霊薬の配分、呼吸のタイミング。

そのすべてを、ネギは恐ろしいほどの精度でコピーしていく。

 

(なるほど、魔力の波長を墨に同調させるのがコツか。西洋魔術のルーンとは勝手が違うが、理屈が分かれば応用は効く)

視界に映るすべての情報を脳内に焼き付ける。

これで、師匠であるエヴァンジェリンからの課題はクリアだ。

 

『せっかくの写輪眼だ。東洋呪術を丸っとコピーして来い』

あの吸血鬼の言葉を思い出し、ネギは内心で舌を出した。

 

(丸っとコピーどころか、本山の秘伝ごといただきましたよ、マスター)

製札所の見学を終えた後、一行は詠春の案内で、ある場所へと向かった。

本山の敷地内にある、古びた日本家屋。

かつて、ネギの父──ナギ・スプリングフィールドが滞在していた離れだ。

 

「ここが、お父さんの……」

 

ネギは部屋に入り、飾られているナギの写真や、使い古された家具に触れる。

生徒たちは、生き別れの父の足跡に触れる少年の姿に、涙ぐんだり、感動したりしている。

 

「先生、お父さんの匂い、しますか?」

「……ええ。懐かしい感じがします」

 

ネギは悲しげな表情を作り、しんみりと答えた。

だが、その心中は冷めきっていた。

 

(ぶっちゃけ、どうでもいいな)

ネギにとってナギは「憑依した肉体の父親」であって、自分とは何の関係もない。

「英雄」だの「サウザンド・マスター」だのと崇められているが、ネギの興味はそこにはない。

興味があるのは、あくまで自身の快楽と、それを実現するための『力』だけだ。

 

(まあ、ここで感動したフリをしておけば、木乃香さんや明日菜さんの好感度も上がるし、詠春さんの覚えも良くなる。安い芝居だ)

涙を拭う仕草を見せると、案の定、木乃香が「ネギ君……」と背中をさすってくれ、明日菜も湿っぽい顔をしている。

ちょろいものだ。

こうして、波乱万丈の修学旅行は幕を閉じた。

帰りの新幹線。

疲れ果てて眠る生徒たちの寝顔を見ながら、ネギは窓外の景色を眺め、今回の収穫を反芻する。

グチャグチャのトラブル続きだったが、結果を見れば大戦果だ。

1.最強の剣士・桜咲刹那の陥落。

  木乃香との3P、そしてホテルでの追加調教を経て、彼女はもうネギなしではいられない身体になりつつある。

2.近衛木乃香の完全支配。

  彼女はもう、身も心もネギのモノだ。

3.クラスメイトへの魔法バレ。

  これを機に、彼女たちも順次『協力者』あるいは『愛玩具』として取り込んでいける。

4.東洋呪術の習得。

  エヴァの課題をクリアし、自身の戦闘手札も大幅に増えた。

 

(完璧だ。これ以上ないくらい、上手くいった)

ネギは満足げに目を細める。

窓ガラスに映る少年の顔は、紳士的な微笑みを浮かべていたが、その瞳は次なる獲物を定める獣のようにギラついていた。

 

「さて、学園に戻ったら……次は誰を可愛がろうかな」

 

ネギの原作破壊は、まだ始まったばかりである。

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