※この作品はR-18です。

欲望のネギ   作:おっさん

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第6話:魔法無効化の矛盾と、下着泥棒の相棒

エヴァンジェリンが夜の闇へと消えた後、興奮冷めやらぬ様子で神楽坂明日菜が詰め寄ってきた。

 

「ちょっとネギ! さっきの何よ! 凄いじゃない!」

「落ち着いてください、明日菜さん」

「落ち着いてらんないわよ! 空飛んでたし、手からビームみたいなの出してたし! アンタ、何者なの!?」

 

明日菜の瞳はキラキラと輝いている。恐怖よりも好奇心と興奮が勝っているようだ。

ネギは眼鏡の位置を直し、あらかじめ用意していた「善良な魔法使い」のシナリオを語り始めた。

 

「……実は、僕は魔法使いなんです。まだ修行中の身ですが」

「魔法使い……ホントにいるんだ」

「ええ。そして先ほど襲ってきたエヴァンジェリンさんは、悪い魔法使いです。彼女はまき絵さんの血を吸い、さっきはのどかさんを狙っていたんです。茶々丸さんも彼女のパートナーです。」

 

ネギは、あくまで被害者としての立場を強調する。

嘘は言っていない。情報の切り取り方を変えているだけだ。

 

「へぇー、あの子、悪いヤツだったんだ!」

 

明日菜はポンと手を叩き、あっさりと納得した。

ネギは内心で首をかしげる。

(……おかしいな)

彼女には『魔法無効化(マジック・キャンセル)』の能力があるはずだ。

 

それは単に魔法を弾くだけでなく、魔法的な隠蔽や認識阻害を見破る力も含まれているはず。

以前、千雨への認識阻害が彼女には通じにくいのではと警戒したが、今の「魔法使い設定」の話は、彼女の常識の外にある話だ。

にも関わらず、彼女は「嘘つき」と否定することなく、ネギの言葉を事実として受け入れている。

 

「明日菜さん。この事は他の生徒には秘密にしてくださいね。危険に巻き込みたくありませんから」

「わかってるって。……でもさ、ネギ」

 

明日菜は真剣な表情でネギを見つめた。

 

「エヴァちゃんって、また襲ってくるんでしょ?」

「ええ、おそらく」

「だったら、アタシも協力するわよ。同じ部屋で暮らしてるんだし、ネギ一人で戦わせるなんて出来ないわ」

「……え?」

 

ネギは驚いたフリをした。

(完全にこちらの話を受け入れている……どころか、協力まで申し出てくるとは)

 

「お気持ちは嬉しいですが、危険すぎます」

「大丈夫よ! さっきだってアタシの蹴り、入ったでしょ? 意外と戦力になるんだから!」

 

明日菜はニカっと笑い、力こぶを作るポーズをとる。

その笑顔には一点の曇りもない。

 

「……ありがとうございます。ですが、今日はもう遅いです。詳しい話はまた後日ということで、一度寮に戻りましょう」

 

ネギは明日菜をなだめ、その日は解散することにした。

自室のロフトベッドで横になりながら、ネギは明日菜の能力について考察を深めていた。

(明日菜の魔法無効化……あれは絶対的なものではないのか?)

作中の知識を掘り起こす。

彼女の能力は無意識下でも発動し、魔法による攻撃や拘束を無効化する。

 

だが、もし「常時・完全」に発動しているのなら、魔法使いと従者が結ぶ契約『仮契約(パクティオー)』など出来るはずがない。

契約は、互いの魔力と魂を繋ぐ儀式だ。無効化能力が壁になれば成立しない。

 

(つまり……彼女の能力には「穴」がある)

それは物理的な条件ではなく、精神的な条件ではないか。

本人が「受け入れる気がある」相手、あるいは「信頼している」相手の魔法は、無効化の対象から外れる、もしくは効果が弱まるのではないか。

 

さっきの会話で彼女が疑わなかったのは、ネギに対して一定以上の信頼、あるいは好意を持っており、無意識に「ネギの言葉(魔法)」を受け入れたからだとしたら?

 

(……これは使えるな)

暗闇の中で、ネギの口元が三日月形に歪む。

もしこの仮説が正しければ、彼女を精神的に籠絡し、俺に依存させればさせるほど、彼女の鉄壁の防御は脆くなる。

信頼という名の鍵を使えば、あの健康的な肢体にも、魔法による快楽を流し込むことができるということだ。

 

(クックック……攻略の糸口が見えた気がするよ、明日菜ちゃん)

翌日の放課後。

ネギは学園の裏手にある森の中にいた。

麻帆良学園を覆う強力な結界に、小さな反応があったからだ。

誰かが結界をすり抜けて侵入してきた。

 

「へっへっへ。久しぶりじゃんか兄貴!」

 

草むらからガサゴソと現れたのは、白い毛並みの小動物。

オコジョだ。

だが、そのオコジョは葉巻をくわえ、二足歩行で器用に立っていた。

アルベール・カモミール。通称「カモ」。

 

「カモミールか。よくここがわかったな」

「兄貴の魔力の匂いは忘れないっすよ!」

 

カモは尻尾を振ってネギの足元に擦り寄ってくる。

この出会いは偶然ではない。ネギが仕組んだものだ。

数年前、ウェールズの山奥で罠にかかっていたカモを助けたのは、彼が原作において非常に有用な「従者(ミニステル・マギ)斡旋役」であることを知っていたからだ。

恩を売っておけば、必ず役に立つ。そう計算しての行動だった。

 

「どうした? イギリスでの商売はあがったりか?」

「いやぁ、それがヘマしちまって追われる身でしてねぇ。兄貴が日本にいるって聞いて、頼ってきたわけですよ」

 

カモは頭をかきながら、悪びれもせずに言う。

こいつは基本的に小悪党だ。

金に汚く、女好きで、特に女性の下着収集に関しては異常な執着を見せる。

まさにスケベオヤジがオコジョの皮を被ったような存在だ。

だが、こいつには利用価値がある。

魔法使いとパートナーの契約を結ぶ『パクティオー』の知識と仲介能力に関しては、右に出る者はいない。

それに、ネギの「本性」を知っても引かないどころか、面白がって協力するような倫理観の欠如も好都合だ。

 

「……ちょうどいいところに来たな、カモ」

「へ? 何です兄貴、その悪い顔は」

 

ネギはカモを拾い上げ、ニヤリと笑った。

 

「俺はこの学園で、最強のハーレムを作るつもりだ。お前の協力が必要だ」

「ハーレム!? ひょーっ! さすが兄貴、考えることがデカイ!」

 

カモは目を輝かせた。

ハーレムと聞けば、当然そこには大量の女性と、大量の下着がある。

利害は完全に一致していた。

 

「協力するぜ兄貴! 俺っちに任せてくだせぇ! 兄貴のためなら、パンツの一枚や二枚、いや百枚でも集めてみせやすよ!」

「パンツだけじゃない。契約(パクティオー)だ。俺の手足となる従者を増やす」

 

ネギはカモを肩に乗せ、学園へと歩き出した。

これで舞台装置は整いつつある。

最強の魔力、コピー能力、そして悪知恵の働く相棒。

原作ブレイクの準備は万端だ。

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