僕たち一行は、ついに目的の地である空中王都オスティアへと到着した。
雲海の下に広がる広大な廃墟を見下ろすこの場所は、歴史と伝統のウェスペルタティア王国の首都であり、この世界の文明の発祥の地とも言われている美しい古都だったそうだ。
「昔は大小百の島々が天然の魔法の力で浮かぶ、そりゃあキレイな古都だったんだよ。メシはうまいし美人も多い」と、出迎えたジャック・ラカンは語った。
拳闘大会の決勝で戦おうと勝手に誓って終わりかと思いきや、ラカンは何やら僕を人気のない場所へと連れ出し、二人きりで深刻そうに語り始めた。
ラカンの話によれば、かつての王族の血筋には代々、不思議な力を持つ特別な子供が生まれてきたという。この世界が始まったのと同じ力で、世界に息づく魔法の力を終わらせていくという神代の力――『完全魔法無効化能力者』であり、通称「黄昏の姫御子」と呼ばれる存在だ。
そして20年前の大戦の時、直径50キロに及ぶ巨大魔法災害「広域魔力消失現象」によって壮麗だった島々は全て雲海の下へ落ち、百万人の難民を残して王国は滅んだのだという。
どうやらラカンは、その「黄昏の姫御子」である明日菜の過去を知っているらしく、僕に対して「みんなを救って欲しい」などと下らないお節介を焼いてきた。
(……やれやれ、面倒くさいですね)
僕は表面上は真剣な顔で頷き、取り敢えずその場は了承しておくことにした。
世界を救う? 難民を救う? 知ったことではない。僕の目的は、この世界の可愛い女の子たちを一人残らず快楽の沼に引きずり込み、僕だけの最高に淫らな肉奴隷ハーレムを築き上げることだ。少なくとも、手塩にかけて開発している可愛い従者たちを手放すつもりなど、毛頭ない。
それに、とっととこのチート野郎とは別行動をとる必要があった。
ラカンは通常の戦車が200とされる戦闘力指標において、『12000』という完全にイカれた数値を持つ規格外のバケモノだ。僕が展開している『移動式認識阻害装置』が、このデタラメな男に対して何処まで効果があるのか、正直分かったものではないからだ。
ラカンを適当にあしらって別れた後、オスティアの街中を歩いていた僕たちの前に、唐突にそいつは姿を現した。
白髪に無感情な瞳、そしてブレザー姿の少年。
『完全なる世界(コズモエンテレケイア)』の幹部、フェイト・アーウェルンクスだ。
もっとも、彼がここで接触してくることは、夕映の『全知の眼鏡』による未来視で、完全に予想済みだった。
僕の背後には、明日菜と刹那、超鈴音、那波千鶴、そして犬上小太郎が控えている。
「僕たちの目的を、理解しているのか」
感情の読めない声で、フェイトが問いかけてきた。
「ええ。滅びゆく魔法世界の救済でしょう?」
僕が余裕の笑みを浮かべて即答すると、フェイトはわずかに目を細めた。
「……やはり内通者が居るようだね」
その言葉に僕は黙って微笑を返すだけにとどめた。フェイトは僕の沈黙を肯定と受け取ったのか、淡々と語り続ける。
「その通り。そして、魔法世界の住人全てを救うためには、僕たち『完全なる世界』の方法しか無い。それも理解しているな」
「どうしてですか? 地球に移住させれば良いのでは?」
わざと白々しく問い返す僕に、フェイトは冷酷な事実を突きつけた。
「そんな事をすれば大混乱になる。しかも、それで救われるのは魔法世界総人口12億のうち、10分の1以下だ。……君もわかっているはずだ」
――まさに、その言葉を待っていた。
僕は内心で暗くほくそ笑んだ。ここでフェイト自身の口から「残酷な現実」を語らせることに、大きな意味があるのだ。
「なるほど。つまり、救われるのはメガロメセンブリアの住人だけですね」
僕の言葉に、背後にいた千鶴が顔を青ざめさせ、激しい怒りを露わにした。
「なっ……! 何故そんな事になるのですか!?」
普段は穏やかな千鶴が声を荒げる。無理もない、彼女の持つ深い母性が、多くの命が見捨てられるという現実を許せるはずがなかった。
「ちょっと黙ってるネ、千鶴」
超鈴音が冷静に千鶴を制した。
「魔法世界を、魔法世界のまま救うには……この世界を維持するだけの、自然発生する魔力が必要ですね」
僕が静かに核心を突くと、フェイトは頷いた。
「だが、この火星の荒野に、そんな魔力を生み出す自然な生命は存在しない」
フェイトは自らの口で「火星」と呼称した。魔法世界という幻想の皮を被った、この荒涼たる現実の惑星の名前を。だが、彼は自分が「魔法世界=火星」という前提で語っていることに、違和感を覚えていないようだった。
「なら、惑星のテラフォーミングが必要ですね」
「だが、そんな時間は無い」
一刀両断。
そしてフェイトは、その無機質な瞳を僕の隣に立つ明日菜へと向けた。
「魔法世界を救うため、その神楽坂明日菜を寄越せ」
「お断りします」
僕が即座に拒否すると、フェイトは哀れむような目で明日菜を見つめた。
「……元々、彼女の麻帆良学園での8年間は――」
フェイトの言葉に、明日菜を護衛するように立っていた刹那がビクリと肩を震わせる。
「『人形』の上に貼りつけられた、薄っぺらな偽りの人生に過ぎない。偽りの記憶、偽りの人格だ」
衝撃的な真実の暴露。
しかし、当の本人である明日菜は、フェイトが自分のことを言っているのだと全く理解していないのか、頭の上に「はてなマーク」を浮かべてぽかんとしている。
僕はフェイトの言葉を完全に無視し、体内の魔力を爆発的に練り上げた。
問答は終わりだ。
魔力を練ると同時、僕は瞬動でフェイトの眼前へと一瞬で距離を詰め、その顔面に向かって容赦のない攻撃を叩き込んだ。
激突する強大な魔力。
オスティアの街中で、ついに『完全なる世界』との戦闘が幕を開けた。
********
オスティアの石畳を蹴り砕き、僕は一瞬にしてフェイトの眼前へと肉薄した。
殺意を込めた拳を叩き込むが、フェイトはわずかに表情を動かしただけで、瞬時に展開した強固な風の魔法障壁と自らの腕でその一撃を完璧にガードしてみせた。
激しい魔力の衝突音が周囲の空気を震わせ、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。
「隙ありですっ!」
そこへ、僕を援護するように背後から跳躍した桜咲刹那が、愛刀『夕凪』を抜き放ちながらフェイトへと鋭い追撃の斬撃を見舞おうとした。
「させまへんよ、センパイ♥」
しかし、刹那の凶刃がフェイトに届く直前、横合いから滑り込んできた黒い影が甲高い金属音を響かせてそれを弾き返した。
ロリータファッションに身を包み、丸眼鏡の奥で戦闘狂の暗い瞳を輝かせている少女。京都神鳴流の剣士であり、フェイトに雇われた傭兵・月詠だ。
「ちっ……!」
「アデアット!」
刹那と月詠が火花を散らして刃を交え始めたのと同時、僕たちの背後で超鈴音が呪文を唱え、自らのアーティファクト『白濁の因果律と淫悦の観測者(カウサリタス・アルブム・エト・オブセルウァートル・ヴォルプタス)』を召喚した。
一瞬の閃光と共に、彼女が着ていた学生服が、股間の際まで深いスリットが入った、下着を一切身に着けない極限露出のサイバーチャイナドレスへと変化する。
「明日菜を返してもらうぞ!」
超鈴音が武装を展開した直後、フェイトの背後から小柄な影が飛び出してきた。
年齢も性別も不詳、まるで子供のような体格でありながら、その口調はひどく老成している。明日菜の先祖を自称する『完全なる世界』の幹部、「墓所の主」が、標的である明日菜に向かって一直線に突進してきたのだ。
「どけ! 小娘!」
「やらせないネ!」
墓所の主の行く手を阻むように、超鈴音が立ちはだかった。
天才的な頭脳を持つ彼女だが、純粋な戦闘力において歴戦の魔導士である墓所の主には及ばない。墓所の主が放った無詠唱の強力な衝撃魔法が、容赦なく超鈴音の細い身体を捉えた。
ドゴォォォンッ!
「ああっ!」
すさまじい爆発に巻き込まれ、超鈴音の身体が後方へと吹き飛ばされる。
致命傷になりかねない直撃。――しかし、彼女の口から漏れたのは、苦痛の悲鳴ではなかった。
「イ、イックゥゥゥーーッ!!」
超鈴音の下腹部、子宮の位置に浮かび上がった「デジタル時計型の淫紋」が妖しく明滅し、残機(ストック)の数字が一つ減る。
それは、彼女の胎内に蓄積された僕の精液を代償にして『因果律を書き換える』絶対的な現実改変能力の発動を意味していた。
魔法の直撃という「被弾の結果」が捻じ曲げられ、ダメージは完全に無効化される。しかしその強烈な代償として、彼女の脳内には僕に中出しされた瞬間の極限の快感が直接フラッシュバックし、彼女を強制的な絶頂へと叩き落としたのだ。
「はひぃっ……!」
空中でよだれを垂らし、下腹部を痙攣させながらも、超鈴音は中国拳法のしなやかな型で墓所の主へと反撃の拳を突き出した。
絶頂の余韻で姿勢は完全に崩れ、拳の軌道は素人目にも分かるほどブレている。子供サイズとはいえ歴戦の猛者である墓所の主からすれば、あくびをしながらでも容易く回避できる、児戯にも等しい攻撃だった。
(フン、他愛もない……なっ!?)
墓所の主は最小限の動きでその拳を避けた。完璧に躱したはずだった。
ところが――『避けたはずの拳』が、次の瞬間には空間の因果を捻じ曲げ、まるで吸い込まれるように墓所の主の顔面のど真ん中へと深々と突き刺さっていたのだ。
「グガッ!?」
予想外の衝撃に、小柄な墓所の主が大きく仰け反る。
「アハァッ! ネギ坊主っ! 種付けのおかげで、気持ぢイイあるぅっ!!」
股間から大量の愛液を撒き散らしながら、大観衆の目前で堂々と自らの淫乱さを叫ぶ超鈴音。
因果律改変という絶対の反則技と、それを使うたびに強制絶頂して悶え狂う少女という、あまりにも狂った光景に、墓所の主は驚愕に目を見開いた。
「い、一体どういう事だ……!?」
物理法則を無視した理解不能の現象に思考が停止した墓所の主。
その一瞬の隙を見逃すほど、僕の調教を受けた『従者』たちは甘くはなかった。
「てりゃあっ!」
ズバァンッ!!
「ぐおっ!? またか!」
墓所の主の小さな胴体を、幾重にも分裂した黒い悪魔の尻尾が打ち据え、そのままギリギリと締め上げるように拘束した。
神楽坂明日菜のアーティファクト『破魔の尾と露出(カウダ・エクソルシザンス・エト・ヌーディタス)』だ。
墓所の主は思わず拘束を解こうと自らの強大な魔力を放つ。しかし、その魔法の力が明日菜の尻尾に触れた瞬間、彼女のアナルに深々と挿入された『本体』であるプラグが、吸収した魔力を凶悪な振動へと変換して暴れ狂った。
「ア゛ア゛ア゛ッ!? 良いっ! もっと、もっと暴れてぇっ! お尻っ、お尻気持ぢイイよぉぉっ!!」
自分を「子孫」だと呼んで救い出そうとしてくれている相手の身体を尻尾で縛り上げながら、明日菜は白目を剥いてアナル絶頂を繰り返し、淫らな涎を垂らしてさらなる抵抗を懇願した。
「なっ……! お、お主……正気か……?」
子孫のあまりにも淫乱で狂気じみた姿に、墓所の主は完全にドン引きして動きを止めてしまった。
「そこだっ!!」
その決定的な隙に、僕の横から飛び出した犬上小太郎の拳が、獣のような踏み込みと共に小柄な墓所の主の顎を正確に撃ち抜いた。
「ゴハッ……!」
脳を揺らされた墓所の主は、そのまま白目を剥いて石畳の上へと崩れ落ち、意識を失った。
「ウチも大概変態ですけど……あちらのお姫様も、相当なド変態ですなぁ、センパイ?」
剣を交えながら、月詠がニヤニヤと笑いながら明日菜の痴態を嘲笑う。
「黙れっ! お前のように、周りを傷つける狂った変態と一緒にするな!」
刹那は顔を真っ赤にして激昂し、大上段からの強烈な唐竹割りを月詠へと叩き込んだ。
ガギィィィンッ! という甲高い金属音が響く。
エヴァンジェリンの苛烈な修行を耐え抜き、僕からの濃厚な魔力供給を受けている刹那の力は、もはやアーティファクトを使わない通常状態であっても、達人クラスである月詠と完全に互角以上の戦いを繰り広げていた。
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その頃、僕たちのいる場所から少し離れたオスティアの路地裏では、待機していた別働隊のクラスメイトたちもまた、『完全なる世界』の配下たちによる強襲を受けていた。
「ネギ先生の邪魔はさせないよっ!」
ペンネーム「パル」こと早乙女ハルナたちの前に立ち塞がったのは、フェイトの直属の部下である暦と環と名乗る二人の少女だった。
そう、相手は純粋な戦闘訓練を積んだ『女の子』たちだ。
「さあ! 読者の皆様! 新刊の締め切りは待ってくれないよっ! ネギ先生に、激しく寝取られちゃいなっ!!」
ハルナは『淫夢の魔筆と白濁の原稿』を展開し、パンツも穿かない「裸エプロン」という極限の痴女スタイルで、僕の精液をインク代わりにしたGペンを狂ったような速度で走らせた。
「な、なんなのよこの女っ! いや、ああっ!?」
「……っ!?」
ハルナの魔筆が描いた「エロ同人誌の原稿」の力によって、暦と環の脳内に『僕(ネギ)によってメスとしての歓びを徹底的に教え込まれ、絶頂させられる』という生々しい淫夢の幻覚が強制的に流し込まれる。
「ああっ! 違うのっ、フェイト様っ! 助けてっ! わたし、こんな変態の、おちんぽなんか……っ!」
猫耳の少女である暦は、幻覚の中で僕に犯される感覚に完全に支配され、路地裏の地面を転げ回りながら自らの股間を激しく擦り始めた。
「ああっ! こんなの初めて……っ、お、オマンコの奥が、熱くて……すごい、のぉっ!」
無口でクールなはずの竜族の少女・環もまた、幻覚の凄絶な快楽に抗うことができず、角を生やした頭を振り乱して四つん這いになり、だらしなく涎を垂らしながら絶頂を迎えていた。
「フェイト様以外なんて嫌ですっ! 嫌なのに……ネギさんっ! 許して下さいっ! イッちゃうぅっ!」
「ネギのっ……チンポっ! 凄いっ、ああっ!!」
本来であれば敵であるはずの僕の肉棒を褒め称え、フェイトへの忠誠心と肉体の快楽の間で引き裂かれながら果てしなくイキ続ける二人の少女。
「……なんとも凄まじいアーティファクトですね」
そのあまりにも理不尽で一方的な精神的凌辱の光景を横で見ていた絡繰茶々丸は、ドン引きしたように呟きながら一歩後ずさった。
「……これ、ワタシたちの出る幕無いアルな」
拳法を構えていた古菲も、完全に戦意を喪失した二人の少女を見て、呆れたように溜息を吐いた。
さらに別の路地裏では、長瀬楓と宮崎のどかの前に、ブリジット(調)と名乗る美しい角を持った少女が現れていた。
ここでもまた、敵はうら若き女の子である。
「ニンニン! 主殿の敵は、拙者が排除するでござる!」
楓が巨大な手裏剣を構えてブリジットの前に立ち塞がる。しかし、その背後で、図書委員ののどかが顔を真っ赤にしながら、自身のアーティファクト『淫悦の絵日記・共感地獄』のページを開いていた。
「い、いきますっ……! 『のどかは、自分の秘所を指でこすりました。とっても、気持ちいいです……っ!』」
のどかは自らの言葉で行動を宣言すると、スカートをめくり上げて自らの股間に指を這わせ、激しいオナニーを開始した。
「なっ……戦闘中に何を……!? ――あ゛あ゛ッ!?」
楽器を構えようとしたブリジットの悲鳴が路地裏に響く。
のどかのアーティファクトの力は、自らが感じているオナニーの快感を、敵対する女性の神経に強制的に同期・共有させるという呪いのような能力だ。
「あああっ! 嘘ですっ! 誰も、触ってもいないのにっ!」
ガシャンッ、とブリジットの手から楽器が滑り落ちる。
彼女は何もない空間で下腹部を激しく痙攣させ、のどかが指を動かすたびに、見えない指に秘所を愛撫されているかのような極限の快感に襲われて立っていられなくなった。
誇り高き『完全なる世界』の戦士たちが、次々とネギの奴隷、改め従者たちの「変態的な兵器」によって為す術もなく凌辱され、その場に崩れ落ちていく。
「ハァッ!!」
その頃、大通りの中心では、墓所の主が気絶したのを確認し、超鈴音に明日菜の護衛を任せた僕が、小太郎との二人がかりでフェイトへの猛攻を続けていた。
「……クッ」
無表情だったフェイトの顔に、初めて焦りの色が浮かぶ。
だが、僕はあえて『闇の魔法』は一切使わず、純粋な体術と通常の魔法だけで戦っていた。
ここで派手にやり過ぎて、あのチート野郎であるジャック・ラカンが騒ぎを聞きつけて駆け付けてくるような事態になれば、非常に面倒なことになるからだ。
何よりも、地球に戻るための確実な目処が立つまでは、原作通りとはもう言えない状況だとしても、フェイトにはせいぜい生きておいてもらった方が色々と好都合だろうと僕は考えていた。
(これ以上は、ジリ貧だな)
フェイトは瞬時に状況を悟ると、僕の攻撃を障壁で弾き返し、大きく後方へと跳躍した。彼は、逃げることにしたのだ。
「ふむ……」
僕は追撃するそぶりを見せず、彼を見逃す姿勢をとった。
だがその時、僕の背後から歩み出てきた那波千鶴が、怒りを滲ませた声でフェイトに向かって鋭い質問を投げかけた。
「なぜ……一部の人間しか救われないのですか!」
普段は温厚な彼女の、悲痛な叫び。
フェイトは逃亡の足を一瞬だけ止め、冷酷な事実を淡々と告げた。
「全員を救えるのは、僕たち『完全なる世界』だ」
「全員、等しく殺すの間違いでしょう?」
僕がすかさず言葉を挟むと、フェイトはわずかに目を細めた。
「殺すのでは無い。………そうだな、転生と言うべきだろう」
「幻の箱庭に閉じ込めて、籠のなかの鳥にすることを、『完全なる世界』では、そう言うのですね」
僕の皮肉に満ちた言葉に、千鶴は混乱したように頭を抱えた。
「判るように説明して下さい! 殺す? 転生? 箱庭って……一体どういうことなの!?」
千鶴の悲鳴のような問いかけに対し、フェイトは冷たく言い放った。
「ネギに聞くといい」
そう言い残し、フェイトは懐から転移のアーティファクトを取り出した。
――完璧だ。
僕は内心で、このフェイトとのやり取りに暗くほくそ笑んだ。
千鶴の持つ深い母性と正義感。それを打ち砕く『絶望的な真実』を、僕の口からではなく、敵であるフェイトの口から裏付けさせたのだ。彼女を絶望の淵に突き落とし、僕に依存させるための最高の布石が、今ここに完成した。
フェイトは転移の魔法を発動させ、路地裏に散っていた部下たちを一瞬で自分の周囲へと回収した。
光に包まれる直前、フェイトは自分の足元に回収された部下たちの惨状を見た。
暦と環、そしてブリジット。誇り高き彼の配下の少女たちは、皆一様に股間を愛液でドロドロに濡らし、焦点の合わない瞳でなおもビクンビクンと絶頂の余韻に身を震わせていたのだ。
だがフェイトは、忠実な部下たちが受けたあまりにも淫らで屈辱的な仕打ちに対して、何も言わなかった。否、あえて一切触れなかったのだ。
ちなみに、明日菜を攫うために別行動をとっていた残りの二人の部下(焔と栞)は、僕の狂ったアーティファクトの餌食になる隙もなく撤退できたため、無傷で済んでいたのが唯一の救いだった。
(……これ以上、コイツラには関わりたくない)
転移の光がオスティアの街から完全に消え去る瞬間、冷徹なフェイトの心の中に、そんな切実で人間くさい本音がよぎるのを、彼は抑えることができなかった。
フェイトたちの気配が完全に消失し、静寂が戻ったオスティアの路地。
僕は、真実を知らされずに立ち尽くし、不安と怒りで肩を震わせている那波千鶴へと静かに視線を向けた。
彼女のその巨大な乳房は、世界を救うための「魔法生命体の培養器」としてすでに僕によって改造されている。
あとは、彼女の心をへし折るだけだ。
(さて……いよいよ、千鶴さんを堕とす時が来ましたね)
僕は隠しきれない邪悪な笑みを口元に浮かべ、静かに彼女の元へと歩み寄った。