※この作品はR-18です。

ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件   作:kokoko146666

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第16話:白鯨レヴィアタン

 蒼海公国ヴェネーラの港を出て数時間。

 ネレイドが手配してくれた最新鋭の魔導船は、荒れ狂う波をものともせず、沖へと突き進んでいた。

 

 空は鉛色に曇り、叩きつけるような雨が甲板を濡らしている。

 船員たちは皆、青ざめた顔で持ち場を守っていた。無理もない。彼らが向かっているのは、船乗りたちが最も恐れる「死の海域」なのだから。

 

「……来ますよ、ご主人様」

 

 舳先に立っていたシルヴィアが、銀色の髪を海風になびかせながら呟いた。

 彼女の狼の耳が、ピクリと海面の方角を向く。

 

「下から。……すごく、大きいのが」

 

 直後。

 ズゴゴゴゴゴゴ……!!

 腹の底に響くような重低音が、海そのものを震わせた。

 

 海面が盛り上がる。

 まるで、海底から巨大な山脈が浮上してくるかのような錯覚。

 大量の海水が滝のように流れ落ち、その姿が露わになった。

 

「ブオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」

 

 大気を震わせる咆哮。

 白かった。

 どこまでも白く、そして神々しいまでの巨体。

 硬質な外殻と、揺らめく魔力のオーラを纏った海の覇者。

 

 ――白鯨レヴィアタン。

 

 その全長は、優に30メートルはあるだろうか。

 我々の乗る魔導船よりも遥かに巨大な怪物が、波間からその巨躯を見せつけたのだ。

 

「ひ、ヒィッ!? で、出たぁぁぁッ!!」

「あんなの勝てるわけねぇ! 船ごと飲まれるぞ!!」

 

 船員たちがパニックに陥る。

 だが、俺の隣にいる最強種(嫁)たちの反応は、少し違っていた。

 

「……あら?」

 

 ヴァミがキョトンとして首を傾げた。

 

「小さいですね。あんなの、メダカですよ?」

 

「……ん。子供。幼体」

 

 シルヴィアもつまらなそうに鼻を鳴らす。

 

「えっ? あれで幼体なのか?」

 

 俺は目を疑った。30メートルだぞ?

 ビル10階分くらいの高さがある怪物が、子供?

 

「ええ。成体のレヴィアタンなら、小さな島一つくらいの大きさはありますから。あれはまだ乳離れしたばかりの赤ちゃんでしょう」

 

「……群れからはぐれたか、家出でもした? 迷子」

 

 なるほど。

 勇者パーティが「逃げ場がない」と言って断ったのも頷ける。成体が出てきたら、海そのものが戦場として機能しなくなるレベルなのだろう。

 だが、相手は幼体だ。

 最強種とはいえ、まだ未成熟な個体。

 

(……これなら、いけるんじゃないか?)

 

 ふと、俺の中にそんな考えが浮かんだ。

 今の俺のレベルは145。

 人間としては英雄の領域を遥かに超えている。

 それに、ここ最近の戦いでは、いつもヴァミやシルヴィアに頼りっぱなしだった。

 カジノでも、結局はネレイドの掌の上で転がされ、最後は嫁たちの嫉妬を買うという情けない結果に終わった。

 

 そろそろ、夫としての威厳を見せるべきじゃないか?

 最強種を従える「主」として、俺自身の強さを証明するチャンスなんじゃないか?

 

「二人とも、手出し無用だ」

 

 俺は剣(ヴァミの巣からくすねた国宝級の魔剣)を抜き放ち、二人に告げた。

 

「こいつは、俺一人でやる!」

 

「えぇー? 旦那様、水遊びなら私も混ぜてくださいよぉ」

「……ご主人様、一人じゃ危ない。海の上、不利」

 

「大丈夫だ! 見てろ、今夜のオカズ(食材)は俺が獲ってやる!」

 

 俺は二人の制止を振り切り、甲板を蹴った。

 

 ◇

 

「スキル発動――『神狼の脚』ッ!」

 

 ドンッ!!

 

 俺の身体がふわりと宙に浮いた。

 シルヴィアとの契約で得たこのスキルは、単に足が速くなるだけではない。魔力で空気を固め、足場にすることができる「空中歩行」の権能も含まれている。

 

 タタタッ!!

 

 俺は空中に見えない階段があるかのように駆け上がり、レヴィアタンの頭上へと躍り出た。

 

「ブオオオッ!?」

 

 白鯨が驚いたように頭を上げる。

 人間が空を飛んでいることが予想外だったらしい。

 

「遅いッ!」

 

 俺は落下速度を乗せ、眉間に向かって剣を振り下ろした。

 

 ガギィィィンッ!!

 

 硬い音が響き、白い外殻に火花が散る。

 浅い。

 だが、確実に刃は通った。白い肌に赤い線が走り、血が滲む。

 

「グオッ!?」

 

「いける! 攻撃は通るぞ!」

 

 俺は手応えを感じた。

 硬いが、斬れないことはない。

 俺は空中をジグザグに跳び回り、白鯨を翻弄した。

 背ビレを斬りつけ、横腹を薙ぎ払い、尾ビレの一撃を紙一重で回避する。

 

「ははッ! どうだ、このスピードにはついてこれないだろう!」

 

 レベル145の身体能力は伊達じゃない。

 俺は完全に優位に立っていた。

 船の上では、船員たちが「すげぇ!」「空を飛んでるぞ!」と歓声を上げているのが聞こえる。

 気分がいい。これぞ英雄だ。

 

 だが――俺は忘れていた。

 相手が「腐っても最強種」であるということを。

 そして、身体の大きさの違い(サイズ差)が、そのまま「生命力の差」になるということを。

 

「くそっ、タフすぎる……!」

 

 数分後。俺の額には脂汗が滲んでいた。

 もう数十回は斬りつけたはずだ。白鯨の体は傷だらけになり、海面を赤く染めている。

 普通の魔物ならとっくに死んでいるダメージ量だ。

 しかし、白鯨は弱るどころか、痛みで凶暴性を増しているようにさえ見えた。

 

「ブモオオオオオオオッッ!!」

 

 30メートルの巨体にとって、俺の剣撃は「痛い切り傷」の集積でしかない。

 致命傷(決定打)が足りないのだ。

 アリが象に噛みついているようなものだ。

 

(マズいな。このままだとジリ貧だ。どこか急所を狙って、一撃で仕留めないと……)

 

 俺は空中で体勢を整え、大きく息を吸い込んだ。

 狙うは目玉か、あるいは逆鱗か。

 大技を放つために、魔力を剣に集中させる。

 

 その一瞬。

 ほんのわずかな「溜め」の隙を、海の王者は見逃さなかった。

 

 ゴオオォォォォォ……。

 

 周囲の大気中のマナが、急速に白鯨の口元へ収束していく。

 ただの咆哮ではない。

 圧倒的な質量の魔力。

 

「――ッ!?」

 

 俺の『野生の勘』が、最大級の警報を鳴らした。

 ヤバイ。死ぬ。避けろ。

 

 白鯨が、その巨大な口をカッと開いた。

 

 ズドンッ!!!!!

 

 発射音と着弾音が同時だった。

 口から放たれたのは、超高圧の水流ブレス――『ハイドロポンプ』。

 鉄板すらバターのように切り裂く水のレーザーが、俺のいた空間を貫いた。

 

「しまっ――!?」

 

 直撃は、ギリギリで回避した。

 だが、回避しきれなかった。

 水流が巻き起こした衝撃波と暴風が、空中にいた俺の身体を木の葉のように吹き飛ばしたのだ。

 

「ぐあぁぁッ!?」

 

 身体が回転する。

 平衡感覚が失われる。

 手から剣がすっぽ抜け、海へと落下していくのが見えた。

 

 そして――俺の落下地点には、いつの間にか移動していた白鯨が、巨大な口を開けて待ち構えていた。

 

 暗黒の口腔。

 無数に並ぶ鋭利な牙。

 まるで地獄への入り口だ。

 

「旦那様ーッ!?」

「ご主人様ッ!」

 

 遠くでヴァミとシルヴィアの悲鳴が聞こえた。

 だが、間に合わない。

 俺は自由落下で、その口の中へと吸い込まれていく。

 

(食われる……ッ!?)

 

 死の恐怖が脳裏をよぎる。

 いやだ。こんなところで、魚の餌になってたまるか。

 俺にはまだ、やるべきことがある。

 愛すべき嫁たちと、幸せなスローライフを送るんだ。

 

 武器はない。体勢も立て直せない。

 俺に残された武器は――この「手」と、忌々しい「ハズレスキル」だけ。

 

(やってやるッ!!)

 

 俺は空中で身を捻り、迫りくる口腔の奥、ピンク色の粘膜に向けて右手を突き出した。

 魔力を練り上げる。

 手加減なしだ。ありったけの魔力を、この一撃に込める。

 

「俺を食おうなんて、百年早いんだよォッ!!」

 

 俺の手が、ヌルリとした口腔内の肉に触れた。

 

「『強制発情(ラスト・トリガー)』ッッ!!」

 

 ドクンッ!!!!

 

 俺の手のひらから、物理的な衝撃すら伴うほどのピンク色の波動が炸裂した。

 白鯨の巨体がビクリと震える。

 スキルは、生物としての本能中枢を直撃した。

 

 カッッッ!!!!

 

 視界が真っ白に染まった。

 まばゆい光が海面を包み込み、白鯨の白い巨体が、急速に収縮していく。

 変身だ。

 最強種が理性を失い、魔力が暴走した時に起きる現象。

 

(やったか……!?)

 

 光が収まるのと同時に、俺の身体は海面へと叩きつけられた――はずだった。

 

 ドボンッ!

 

 水しぶきが上がる。

 俺は海中で目を開けた。

 腕の中に、誰かを抱きしめていた。

 

 慌てて海面に顔を出す。

 プハァッ!

 

「はぁ、はぁ……! し、死ぬかと思った……」

 

 俺は海水を吐き出しながら、腕の中の存在を確認した。

 そこには、一人の全裸の「人間」がいた。

 

 透き通るような白い肌。

 濡れて張り付いた、淡い水色のショートヘア。

 長い睫毛に縁取られた瞳は、海の底のような深い青色をしている。

 あどけなさが残る、守ってあげたくなるような美貌。

 

(……美少女?)

 

 ヴァミやシルヴィア、ネレイドのような「大人の女」ではない。

 10代前半くらいの、可憐な少女に見えた。

 なんだ、幼体っていうから子供だとは思っていたが、こんな可愛い子が……。

 

「はぁ……はぁ……ッ! んぐッ……!」

 

 その子は苦しげな吐息を漏らし、俺の胸板を小さな手で押した。

 瞳が潤み、顔が真っ赤に染まっている。

 

「……お兄ちゃん……なに……? なにしたの……?」

 

 声が、少し低い。

 変声期前の少年のような、ハスキーな声。

 

「熱い……。お腹の下が……熱いよぉ……ッ!」

 

 彼は泣きそうな顔で、自身の股間を押さえていた。

 俺は違和感を覚えた。

 水中にある俺の太ももに、何かが当たっていたからだ。

 

 硬くて。

 熱くて。

 そして――異様なほど太い「何か」が。

 

(……ん?)

 

 俺は視線を下げた。

 海の中だが、透き通ったヴェネーラの海水のおかげで、それははっきりと見えた。

 

 その「美少女」の股間には。

 可愛らしい顔立ちとは裏腹な、凶悪極まりないサイズの「一本槍(マグナム)」が鎮座していたのだ。

 

 それはまさに、クジラ級。

 しかも、俺のスキル『強制発情』をゼロ距離で喰らったせいで、限界まで充血し、ビクンビクンと脈打っている。

 俺のモノよりもデカい戦慄の巨根。

 

「――――ッ!?」

 

 俺は絶句した。

 男だ。

 こいつ、男の子(ショタ)だ!

 

「ふあぁッ……! ダメぇ……! おちんちん、熱い……ッ! 痛いよぉ……ッ!」

 

 少年はパニックに陥っていた。

 初めて経験する強烈な発情。自分の意思とは無関係に暴れだす、巨大すぎるモノ。

 彼はどうしていいか分からず、ただ俺にしがみついて涙を流している。

 

「これ……どうなってるのぉ……? なんか……出そう……! 熱いのが、出そうだよぉ……ッ!」

 

 彼はビクビクと腰を震わせている。

 そのたびに、俺の太ももに凶器が押し当てられ、生々しい感触が伝わってくる。

 

「お、おい! 落ち着け! 暴れるな!」

 

 俺もパニックだ。

 美少女ゲットだと思ったら、まさかの巨根ショタ。しかも発情中。

 ここで暴発されたら、俺の精神的ダメージが計り知れない。

 

「うわぁぁぁん! お兄ちゃん、助けてぇ! おちんちんが、壊れちゃうよぉぉッ!」

 

 彼は俺の首に腕を回し、全体重を預けてきた。

 無防備な密着。

 肌と肌が触れ合い、股間の剛直が俺の腹にゴリゴリと当たる。

 

「おーい! 助けてくれぇぇッ! こいつ男だァァァッ!!」

 

 俺は船に向かって必死に叫んだ。

 甲板の上から、ヴァミとシルヴィアがこちらを見下ろしているのが見えた。

 

 ヴァミは「あら?」と口元を押さえた。

 

「男の子ですか。ふふっ、ライバル(メス)が増えるかと思いましたが、安心しました」

 

 彼女はホッとしたように胸を撫で下ろしている。

 いや、安心してる場合じゃないだろ! 別の危機があるんだよ!

 

「……ご主人様」

 

 シルヴィアが、真顔で、しかしどこか憐れむような目で俺を見た。

 

「……貞操の危機。後ろ、気をつけて」

 

「分かってるなら助けに来いよォォォッ!!」

 

 俺は海中で、発情したショタ最強種と取っ組み合いの死闘(別の意味で)を繰り広げる羽目になった。

 

 レヴィアタン討伐(確保)は成功した。

 だが、俺のハーレムに、まさかの「男の子(巨根持ち)」が加わるという、予想外のエラーが発生してしまったのだった。

 

 ……勇者が逃げた理由って、もしかしてこれ(掘られる危機)だったんじゃなかろうな?

 そんな馬鹿なことを考えながら、俺は必死に距離を取ろうと藻掻き続けた。

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