ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件 作:kokoko146666
蒼海公国ヴェネーラの港を出て数時間。
ネレイドが手配してくれた最新鋭の魔導船は、荒れ狂う波をものともせず、沖へと突き進んでいた。
空は鉛色に曇り、叩きつけるような雨が甲板を濡らしている。
船員たちは皆、青ざめた顔で持ち場を守っていた。無理もない。彼らが向かっているのは、船乗りたちが最も恐れる「死の海域」なのだから。
「……来ますよ、ご主人様」
舳先に立っていたシルヴィアが、銀色の髪を海風になびかせながら呟いた。
彼女の狼の耳が、ピクリと海面の方角を向く。
「下から。……すごく、大きいのが」
直後。
ズゴゴゴゴゴゴ……!!
腹の底に響くような重低音が、海そのものを震わせた。
海面が盛り上がる。
まるで、海底から巨大な山脈が浮上してくるかのような錯覚。
大量の海水が滝のように流れ落ち、その姿が露わになった。
「ブオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」
大気を震わせる咆哮。
白かった。
どこまでも白く、そして神々しいまでの巨体。
硬質な外殻と、揺らめく魔力のオーラを纏った海の覇者。
――白鯨レヴィアタン。
その全長は、優に30メートルはあるだろうか。
我々の乗る魔導船よりも遥かに巨大な怪物が、波間からその巨躯を見せつけたのだ。
「ひ、ヒィッ!? で、出たぁぁぁッ!!」
「あんなの勝てるわけねぇ! 船ごと飲まれるぞ!!」
船員たちがパニックに陥る。
だが、俺の隣にいる最強種(嫁)たちの反応は、少し違っていた。
「……あら?」
ヴァミがキョトンとして首を傾げた。
「小さいですね。あんなの、メダカですよ?」
「……ん。子供。幼体」
シルヴィアもつまらなそうに鼻を鳴らす。
「えっ? あれで幼体なのか?」
俺は目を疑った。30メートルだぞ?
ビル10階分くらいの高さがある怪物が、子供?
「ええ。成体のレヴィアタンなら、小さな島一つくらいの大きさはありますから。あれはまだ乳離れしたばかりの赤ちゃんでしょう」
「……群れからはぐれたか、家出でもした? 迷子」
なるほど。
勇者パーティが「逃げ場がない」と言って断ったのも頷ける。成体が出てきたら、海そのものが戦場として機能しなくなるレベルなのだろう。
だが、相手は幼体だ。
最強種とはいえ、まだ未成熟な個体。
(……これなら、いけるんじゃないか?)
ふと、俺の中にそんな考えが浮かんだ。
今の俺のレベルは145。
人間としては英雄の領域を遥かに超えている。
それに、ここ最近の戦いでは、いつもヴァミやシルヴィアに頼りっぱなしだった。
カジノでも、結局はネレイドの掌の上で転がされ、最後は嫁たちの嫉妬を買うという情けない結果に終わった。
そろそろ、夫としての威厳を見せるべきじゃないか?
最強種を従える「主」として、俺自身の強さを証明するチャンスなんじゃないか?
「二人とも、手出し無用だ」
俺は剣(ヴァミの巣からくすねた国宝級の魔剣)を抜き放ち、二人に告げた。
「こいつは、俺一人でやる!」
「えぇー? 旦那様、水遊びなら私も混ぜてくださいよぉ」
「……ご主人様、一人じゃ危ない。海の上、不利」
「大丈夫だ! 見てろ、今夜のオカズ(食材)は俺が獲ってやる!」
俺は二人の制止を振り切り、甲板を蹴った。
◇
「スキル発動――『神狼の脚』ッ!」
ドンッ!!
俺の身体がふわりと宙に浮いた。
シルヴィアとの契約で得たこのスキルは、単に足が速くなるだけではない。魔力で空気を固め、足場にすることができる「空中歩行」の権能も含まれている。
タタタッ!!
俺は空中に見えない階段があるかのように駆け上がり、レヴィアタンの頭上へと躍り出た。
「ブオオオッ!?」
白鯨が驚いたように頭を上げる。
人間が空を飛んでいることが予想外だったらしい。
「遅いッ!」
俺は落下速度を乗せ、眉間に向かって剣を振り下ろした。
ガギィィィンッ!!
硬い音が響き、白い外殻に火花が散る。
浅い。
だが、確実に刃は通った。白い肌に赤い線が走り、血が滲む。
「グオッ!?」
「いける! 攻撃は通るぞ!」
俺は手応えを感じた。
硬いが、斬れないことはない。
俺は空中をジグザグに跳び回り、白鯨を翻弄した。
背ビレを斬りつけ、横腹を薙ぎ払い、尾ビレの一撃を紙一重で回避する。
「ははッ! どうだ、このスピードにはついてこれないだろう!」
レベル145の身体能力は伊達じゃない。
俺は完全に優位に立っていた。
船の上では、船員たちが「すげぇ!」「空を飛んでるぞ!」と歓声を上げているのが聞こえる。
気分がいい。これぞ英雄だ。
だが――俺は忘れていた。
相手が「腐っても最強種」であるということを。
そして、身体の大きさの違い(サイズ差)が、そのまま「生命力の差」になるということを。
「くそっ、タフすぎる……!」
数分後。俺の額には脂汗が滲んでいた。
もう数十回は斬りつけたはずだ。白鯨の体は傷だらけになり、海面を赤く染めている。
普通の魔物ならとっくに死んでいるダメージ量だ。
しかし、白鯨は弱るどころか、痛みで凶暴性を増しているようにさえ見えた。
「ブモオオオオオオオッッ!!」
30メートルの巨体にとって、俺の剣撃は「痛い切り傷」の集積でしかない。
致命傷(決定打)が足りないのだ。
アリが象に噛みついているようなものだ。
(マズいな。このままだとジリ貧だ。どこか急所を狙って、一撃で仕留めないと……)
俺は空中で体勢を整え、大きく息を吸い込んだ。
狙うは目玉か、あるいは逆鱗か。
大技を放つために、魔力を剣に集中させる。
その一瞬。
ほんのわずかな「溜め」の隙を、海の王者は見逃さなかった。
ゴオオォォォォォ……。
周囲の大気中のマナが、急速に白鯨の口元へ収束していく。
ただの咆哮ではない。
圧倒的な質量の魔力。
「――ッ!?」
俺の『野生の勘』が、最大級の警報を鳴らした。
ヤバイ。死ぬ。避けろ。
白鯨が、その巨大な口をカッと開いた。
ズドンッ!!!!!
発射音と着弾音が同時だった。
口から放たれたのは、超高圧の水流ブレス――『ハイドロポンプ』。
鉄板すらバターのように切り裂く水のレーザーが、俺のいた空間を貫いた。
「しまっ――!?」
直撃は、ギリギリで回避した。
だが、回避しきれなかった。
水流が巻き起こした衝撃波と暴風が、空中にいた俺の身体を木の葉のように吹き飛ばしたのだ。
「ぐあぁぁッ!?」
身体が回転する。
平衡感覚が失われる。
手から剣がすっぽ抜け、海へと落下していくのが見えた。
そして――俺の落下地点には、いつの間にか移動していた白鯨が、巨大な口を開けて待ち構えていた。
暗黒の口腔。
無数に並ぶ鋭利な牙。
まるで地獄への入り口だ。
「旦那様ーッ!?」
「ご主人様ッ!」
遠くでヴァミとシルヴィアの悲鳴が聞こえた。
だが、間に合わない。
俺は自由落下で、その口の中へと吸い込まれていく。
(食われる……ッ!?)
死の恐怖が脳裏をよぎる。
いやだ。こんなところで、魚の餌になってたまるか。
俺にはまだ、やるべきことがある。
愛すべき嫁たちと、幸せなスローライフを送るんだ。
武器はない。体勢も立て直せない。
俺に残された武器は――この「手」と、忌々しい「ハズレスキル」だけ。
(やってやるッ!!)
俺は空中で身を捻り、迫りくる口腔の奥、ピンク色の粘膜に向けて右手を突き出した。
魔力を練り上げる。
手加減なしだ。ありったけの魔力を、この一撃に込める。
「俺を食おうなんて、百年早いんだよォッ!!」
俺の手が、ヌルリとした口腔内の肉に触れた。
「『強制発情(ラスト・トリガー)』ッッ!!」
ドクンッ!!!!
俺の手のひらから、物理的な衝撃すら伴うほどのピンク色の波動が炸裂した。
白鯨の巨体がビクリと震える。
スキルは、生物としての本能中枢を直撃した。
カッッッ!!!!
視界が真っ白に染まった。
まばゆい光が海面を包み込み、白鯨の白い巨体が、急速に収縮していく。
変身だ。
最強種が理性を失い、魔力が暴走した時に起きる現象。
(やったか……!?)
光が収まるのと同時に、俺の身体は海面へと叩きつけられた――はずだった。
ドボンッ!
水しぶきが上がる。
俺は海中で目を開けた。
腕の中に、誰かを抱きしめていた。
慌てて海面に顔を出す。
プハァッ!
「はぁ、はぁ……! し、死ぬかと思った……」
俺は海水を吐き出しながら、腕の中の存在を確認した。
そこには、一人の全裸の「人間」がいた。
透き通るような白い肌。
濡れて張り付いた、淡い水色のショートヘア。
長い睫毛に縁取られた瞳は、海の底のような深い青色をしている。
あどけなさが残る、守ってあげたくなるような美貌。
(……美少女?)
ヴァミやシルヴィア、ネレイドのような「大人の女」ではない。
10代前半くらいの、可憐な少女に見えた。
なんだ、幼体っていうから子供だとは思っていたが、こんな可愛い子が……。
「はぁ……はぁ……ッ! んぐッ……!」
その子は苦しげな吐息を漏らし、俺の胸板を小さな手で押した。
瞳が潤み、顔が真っ赤に染まっている。
「……お兄ちゃん……なに……? なにしたの……?」
声が、少し低い。
変声期前の少年のような、ハスキーな声。
「熱い……。お腹の下が……熱いよぉ……ッ!」
彼は泣きそうな顔で、自身の股間を押さえていた。
俺は違和感を覚えた。
水中にある俺の太ももに、何かが当たっていたからだ。
硬くて。
熱くて。
そして――異様なほど太い「何か」が。
(……ん?)
俺は視線を下げた。
海の中だが、透き通ったヴェネーラの海水のおかげで、それははっきりと見えた。
その「美少女」の股間には。
可愛らしい顔立ちとは裏腹な、凶悪極まりないサイズの「一本槍(マグナム)」が鎮座していたのだ。
それはまさに、クジラ級。
しかも、俺のスキル『強制発情』をゼロ距離で喰らったせいで、限界まで充血し、ビクンビクンと脈打っている。
俺のモノよりもデカい戦慄の巨根。
「――――ッ!?」
俺は絶句した。
男だ。
こいつ、男の子(ショタ)だ!
「ふあぁッ……! ダメぇ……! おちんちん、熱い……ッ! 痛いよぉ……ッ!」
少年はパニックに陥っていた。
初めて経験する強烈な発情。自分の意思とは無関係に暴れだす、巨大すぎるモノ。
彼はどうしていいか分からず、ただ俺にしがみついて涙を流している。
「これ……どうなってるのぉ……? なんか……出そう……! 熱いのが、出そうだよぉ……ッ!」
彼はビクビクと腰を震わせている。
そのたびに、俺の太ももに凶器が押し当てられ、生々しい感触が伝わってくる。
「お、おい! 落ち着け! 暴れるな!」
俺もパニックだ。
美少女ゲットだと思ったら、まさかの巨根ショタ。しかも発情中。
ここで暴発されたら、俺の精神的ダメージが計り知れない。
「うわぁぁぁん! お兄ちゃん、助けてぇ! おちんちんが、壊れちゃうよぉぉッ!」
彼は俺の首に腕を回し、全体重を預けてきた。
無防備な密着。
肌と肌が触れ合い、股間の剛直が俺の腹にゴリゴリと当たる。
「おーい! 助けてくれぇぇッ! こいつ男だァァァッ!!」
俺は船に向かって必死に叫んだ。
甲板の上から、ヴァミとシルヴィアがこちらを見下ろしているのが見えた。
ヴァミは「あら?」と口元を押さえた。
「男の子ですか。ふふっ、ライバル(メス)が増えるかと思いましたが、安心しました」
彼女はホッとしたように胸を撫で下ろしている。
いや、安心してる場合じゃないだろ! 別の危機があるんだよ!
「……ご主人様」
シルヴィアが、真顔で、しかしどこか憐れむような目で俺を見た。
「……貞操の危機。後ろ、気をつけて」
「分かってるなら助けに来いよォォォッ!!」
俺は海中で、発情したショタ最強種と取っ組み合いの死闘(別の意味で)を繰り広げる羽目になった。
レヴィアタン討伐(確保)は成功した。
だが、俺のハーレムに、まさかの「男の子(巨根持ち)」が加わるという、予想外のエラーが発生してしまったのだった。
……勇者が逃げた理由って、もしかしてこれ(掘られる危機)だったんじゃなかろうな?
そんな馬鹿なことを考えながら、俺は必死に距離を取ろうと藻掻き続けた。