ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件 作:kokoko146666
自由都市クオーレ。 人間、亜人、冒険者、商人が入り乱れるこの街は、熱気と――何より、暴力的なまでの「食欲をそそる匂い」に満ちていた。
「……ご、ご主人様。これは、なんという魔法ですか……?」
隣を歩くローブ姿の美女――ヴァーミリオン (ヴァミ)が、わなわなと震えながら鼻をひくつかせている。 彼女の視線の先には、道端に並ぶ無数の屋台。 鉄板で肉が焼ける音、焦げた醤油と香辛料の香り、そして煮込み料理から立ち上る湯気。それらが渾然一体となって、俺たちの鼻腔を蹂躙していた。
「魔法じゃない。ただの料理の匂いだ」
「嘘です……。私が知っている肉の匂いは、もっとこう、生臭いか、あるいは消し炭の匂いでした。こんな……脳髄を直接揺さぶるような甘美な芳香は、未知の領域です……ッ!」
ヴァミはゴクリと喉を鳴らした。 無理もない。彼女は数千年の時を生きる最強種だが、食生活に関しては「生肉」か「自分のブレスで黒焦げにした炭」の二択だったのだ。 タレとスパイスで味付けされた「調理された肉」など、彼女にとっては異次元のテクノロジーだろう。
「よし、まずは腹ごしらえだ。あの串焼き屋に行こう」
「はいっ! ついていきます、地の果てまでも!」
俺たちは「オーク肉の串焼き」を売る屋台の前に立った。 強面の店主が、甘辛いタレに漬け込んだ肉を炭火で炙っている。脂が滴り落ち、ジュワッと煙が上がるたびに、ヴァミの喉が鳴る。
「へいらっしゃい! 一本どうだい、兄ちゃん、姉ちゃん!」
「二本くれ」
「あいよ!」
渡された串焼きは、熱々でテラテラと輝いていた。俺はそれをヴァミに渡す。
「ほら。熱いから気をつけろよ」
「……いただきます」
ヴァミは恐る恐る、その小さな唇を肉に寄せた。 そして、パクリと一口。
「んむ……」
彼女の動きが止まった。 時が止まったかのように静止し――次の瞬間、カッ! と深紅の瞳が見開かれた。
「――ん、んんんんん~~~~ッッ!?♡♡」
ヴァミが身悶えし、天を仰いだ。
「な、なんですかこれはァッ!? 噛んだ瞬間、口の中で肉汁が……旨味の爆弾が炸裂しましたッ! それにこの黒い液体! 甘いのにしょっぱい……複雑怪奇な味が、舌の上でダンスを踊っていますぅッ!♡」
「大袈裟だな……気に入ったか?」
「気に入るどころではありません! これは革命です! あああ、飲み込むのがもったいない……でも喉が勝手に肉を欲して……んぐっ♡」
彼女はあっという間に串を綺麗に平らげ、串に残ったタレまで名残惜しそうに舐め取った。
「ご主人様! これ、もっとないんですか!? この店の在庫、あと何本ありますか!?」
「え? いや、まだ仕込み分があるから、百本くらいは……」
店主が引きつった顔で答える。 ヴァミは俺の腰袋から無造作に銀貨を一枚取り出し、カウンターに叩きつけた。
「全部だ。今すぐ全部焼け。釣りはいらん」
「ぎ、銀貨一枚!? お、お客さん、これなら店の在庫以上に買えちまうよ!?」
「いいから焼けと言っている。私の胃袋は、今まさにこの肉を求めて咆哮しているのだ!」
最強種の威圧感が漏れ出し、店主が「ヒィッ! イエス・マム!」と敬礼して高速で焼き始めた。
それからの時間は、まさに暴食の宴だった。 ヴァミは両手に十本ずつの串を持ち、次々と口の中に放り込んでいく。
「はふっ、んふっ♡ おいひぃ……♡ 人間って……こんな美味しいものを毎日食べてるんですか……? ズルイ……我らドラゴンよりいい生活してるなんて、許せません……むぐむぐ♡」
ローブの裾が、バタンバタンと激しく揺れている。隠蔽魔法で見えなくしているが、中では太い尻尾がメトロノームのように左右に振られているに違いない。 口の端にタレをつけ、リスのように頬を膨らませて食べる姿は、数時間前に「人間は餌」と言い放った最強種と同一人物とはとても思えない。
「おいおい、食いすぎだろ。まだ一軒目だぞ?」
「関係ありません! 私の胃袋は宇宙です! 食べた端から魔力に変換してますから、太りませんし!」
そう言いながら、彼女は次々と屋台をハシゴした。 クレープ屋で甘いクリームに衝撃を受けて店を買い占め、果物屋で完熟マンゴーの甘さに涙し、揚げ物屋でコロッケのサクサク感に感動して叫んだ。
俺の腰袋から金貨が湯水のように消えていく。 龍の巣から持ってきた財宝があるから痛くも痒くもないが、普通の冒険者なら破産しているペースだ。
「ぷはぁ……♡ 満足……いえ、五分咲きくらいですけど、とりあえず落ち着きました♡」
一通り食い荒らした後、ヴァミは幸せそうな溜息をついて俺の腕に抱き着いてきた。
「ご主人様、人間界って素晴らしいですね。ご飯が美味しいというだけで、滅ぼすのを猶予する価値があります」
「そりゃよかった。……さて、腹も満たしたことだし、次は仕事だ」
俺たちはメインストリートを抜け、街の中心部にある大きな石造りの建物――『冒険者ギルド』へと向かった。
◇
ギルドの扉を開けると、ムワッとした熱気と喧騒が押し寄せてきた。 昼時ということもあり、依頼を探す冒険者や、昼間から酒をあおる荒くれ者たちでごった返している。
「うっ……臭いですね。汗と酒と、欲望の匂い……」
ヴァミが不快そうに顔をしかめ、俺の背中に隠れるように身を寄せた。 だが、俺たちが中に入った瞬間、騒がしかったギルド内の空気が一変した。
シン……と、波が引くように静まり返る。 原因は、間違いなく俺の隣にいるヴァミだ。 フードを目深に被っていても、隠しきれないプロポーション。ローブの上からでも分かる爆乳の膨らみと、くびれた腰のライン。そして何より、彼女から漂う「高貴で異質なオーラ」が、荒くれ者たちの本能を刺激したのだ。
(……目立つなとは言ったが、こればっかりはどうしようもないか)
俺はため息をつきながら、視線の中を突っ切って受付カウンターへと向かった。
「すまない、冒険者登録をしたいんだが」
「は、はいっ! 新規登録ですね!」
受付嬢が顔を赤らめて対応する。 書類に必要事項を記入していく。俺ヴァミはただの「ヴァミ」。職業は俺が「剣士」、ヴァミは「魔法使い」とした。
「それでは、最後に魔力測定を行います。この水晶に手を乗せてください」
カウンターの上に、バスケットボール大の透明な水晶球が置かれた。
「光の強さと色で、魔力量と適正属性を簡易的に測定します。まずはユウ様からどうぞ」
俺は水晶に手を乗せた。 今朝のステータス確認で、俺の魔力は『S』ランクになっていた。本気を出せば水晶ごと吹き飛びかねない。 俺は体内の魔力回路を極限まで絞り、チョロチョロと蛇口から水を垂らすような感覚で魔力を流した。
ボゥッ……。
水晶が淡い青色に光った。
「はい、ありがとうございます。魔力量は『駆け出しの魔導師レベル』ですね。属性は水……でしょうか。Fランクからのスタートとしては十分な素質です」
受付嬢がにっこりと笑う。よし、上手く誤魔化せた。 問題は次だ。
「では、次はヴァミ様、お願いします」
「ん。触ればいいのか?」
ヴァミが面倒くさそうに前に出る。 その時だった。
「おいおい、待ちなよ」
背後から、下卑た声が掛かった。 振り返ると、いかにも柄の悪い男たちが三人、ニヤニヤしながら立っていた。装備の質からしてCランクといったところか。
「新規登録か? 見たところ、いい身体してるじゃねぇか、姉ちゃん」
リーダー格の男が、無遠慮にヴァミの胸元に視線を這わせる。
「こんなヒョロガリのガキとパーティ組むより、俺たち『鉄の牙』と組まねぇか? 手取り足取り、冒険者のイロハを教えてやるよ。夜の冒険も含めてな、ギャハハ!」
典型的な絡みだ。あまりにテンプレすぎて欠伸が出そうになる。 だが、ヴァミにとっては違う。 彼女にとって、俺以外のオスは「石ころ」か「餌」以下の存在だ。そんなゴミに情欲の視線を向けられること自体が、龍王としてのプライドを逆撫でする最大の侮辱。
「……消えろ、下等生物」
ヴァミの声は、氷点下のように冷たかった。
「あぁん? 威勢がいいねぇ。顔も見せねぇで生意気だぞ?」
男の一人が、ヴァミのフードに手を伸ばした。
その瞬間。
ドクンッ。
ギルド内の空気が凍りついた。 ヴァミの全身から、どす黒い殺気が噴き出したのだ。
「――私の身体に触れていいのは、ご主人様だけだ。その汚い手を……根元から引き千切られたいのか?」
フードの奥で、深紅の瞳が爬虫類のように縦に裂け、怪しく発光する。 男の動きが止まる。本能的な恐怖で、顔色が青ざめていく。 まずい。このままだとヴァミがブレスを吐くか、爪で首を刎ねる。
「ヴァミ、待て」
俺は素早くヴァミの腰に手を回し、ポンポンと軽く叩いた。 そして耳元で囁く。
「……いい子にしてたら、宿でたっぷり『可愛がって』やるから」
「ッ!?」
その一言の効果は劇的だった。 噴出していた殺気が霧散し、ヴァミの体から力が抜ける。彼女は頬を染め、とろんとした目で俺を見上げた。
「ほ、本当ですか……? たっぷり……中に出してくれますか……?♡」
「ああ、約束する。だから今は爪を収めろ」
「は、はいっ! 私、いい子にします! ご主人様の言うこと、ちゃんと聞くメスですからぁっ!♡」
彼女は男たちのことなど存在しなかったかのように無視し、嬉々として水晶に向き直った。 男たちは梯子を外された形になり、呆然としている。周囲の冒険者たちも、この急激なキャラ変貌についていけず、ポカンと口を開けていた。
「さ、さあ、測定を……」
受付嬢が震える声で促す。 ヴァミは上機嫌で、水晶に手を乗せた。
「ふふーん♪ ご主人様のご褒美ぃ……♡」
彼女は浮かれたまま、無造作に魔力を流した。 最強種である彼女にとっての「無造作」が、人間の道具にとってどれほどの負荷になるかなど、知る由もなく。
カッッッ!!!!
一瞬、水晶が太陽のような強烈な白色光を放った。 ギルド内の全員が目を焼かれ、悲鳴を上げる。
パキィィィィィィィンッッ!!!!!
直後、甲高い破砕音が響き渡った。 光が収まると、そこには――粉々に砕け散り、砂のようになった水晶の残骸があった。
「…………え?」
受付嬢が硬直する。 ヴァミは「あれ?」と首を傾げた。
「脆いな。ちょっと力を入れただけなのだが……人間の道具は、砂糖菓子でできているのか?」
悪気のない一言が、静まり返ったギルドに響く。 ざわ……ざわ……と、周囲が騒がしくなり始めた。
「おい見たか?」「水晶が爆発したぞ」「あいつ何者だ?」「Sランク級の魔力じゃねぇか?」
完全に注目を集めてしまった。 しかも、さっきのチンピラたちが、恐怖から立ち直り、逆切れ気味に騒ぎ出そうとしている。
「て、テメェら! ギルドの備品を壊してタダで済むと思ってんのか!?」
面倒だ。これ以上ここにいると、ギルドマスターが出てきて正体を探られる。 俺は決断した。
「ᚢᛋᛖᚱᛟ」
俺は小さく、しかし明確な意思を込めて呟いた。 新たに入手したスキル『竜言語魔法』。言葉に「言霊」を乗せ、強制力を発揮する力。俺はそこに、ヴァミから借りた「龍の威圧」をほんの少しだけ混ぜ込んだ。
ズドンッ!!
目に見えない圧力が、チンピラたちを襲った。 彼らは「ヒィッ!?」と短い悲鳴を上げ、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。口から泡を吹き、完全に気絶している。
「……ッ!?」
周囲の冒険者たちが息を飲む。何が起きたのか理解できていないが、俺たちが「関わってはいけない存在」であることだけは察したようだ。
俺は懐から金貨を五枚掴み出し、カウンターに叩きつけた。
「水晶代と、迷惑料だ! 登録証、もうできてるな!?」
「は、はいっ! こちらですっ!」
震える手で差し出されたプレートをひったくり、俺はヴァミの手を引いた。
「行くぞヴァミ! 逃げるぞ!」
「えっ? あ、はい! ご主人様との逃避行ですねっ♡」
俺たちは騒然とするギルドを背に、脱兎のごとく駆け出した。
◇
路地裏を抜け、大通りを駆け抜け、高級宿街の一角にある宿屋の前まで来て、ようやく足を止めた。 息を切らしているのは俺だけで、ヴァミは涼しい顔をしている。
「はぁ、はぁ……。まったく、初日からド派手にやってくれたな」
「ごめんなさい……。でも、あの水晶が弱すぎたんですよ」
ヴァミは悪びれもせず、くすくすと笑った。
「でも、楽しかったです。ご主人様が私のために怒ってくれたのも、手を引いて走ってくれたのも」
彼女はフードを少しだけ上げ、上目遣いで俺を見つめてくる。 夕日が差し込み、彼女の赤い瞳が濡れたように輝いていた。
「……さて、ご主人様?」
彼女は俺の胸に指を這わせ、妖艶な声で囁いた。
「約束……覚えてますよね? 『たっぷり可愛がってやる』って」
「……忘れるわけないだろ」
俺は宿の看板を見上げた。『銀の月亭』。地域で一番高い、防音設備も完備された高級宿だ。 俺たちの夜は、まだ始まったばかりだ。 昼間のドタバタなんて忘れさせるくらい、この最強の愛妻を啼かせてやらなければならない。
「行くぞ。今日は朝まで寝かさない」
「望むところです……♡ 私のスタミナが尽きるか、ご主人様の腰が砕けるか……勝負ですね♡」
俺たちは熱い視線を交わし、宿の扉を開けた。 伝説級のオーラを隠す必要など、この部屋の中にはない。 今夜、この街で最も熱い夜が、ここで繰り広げられることになるだろう。