ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件 作:kokoko146666
聖教国エリュシオンの最奥。
雲を突き抜け、天空にその頂を隠す霊峰『神の座』。
その急勾配を、俺たちは一直線に駆け上がっていた。
「キシャアアアアアッ!!」
上空から降り注ぐのは、白銀の翼と無機質な仮面をつけた、無数の天使の軍勢だ。
教皇が召喚した「神の尖兵」。その数は千を超えているだろう。一体一体が、地上なら災害級の魔物と変わらない力を持っている。
だが。
今の俺たちにとって、それはただの「有象無象」でしかなかった。
「鬱陶しいですわね! 少しは遠慮というものを覚えなさい! 『
ヴァミが空に向かって紅蓮の息吹を吐き出す。
扇状に広がった業火が、空を埋め尽くす天使の群れを一瞬で蒸発させ、青空に巨大な風穴を開けた。
「……ん。邪魔。凍れ」
シルヴィアが音速で駆け抜ける。
彼女が通り過ぎた後には、氷漬けになった天使たちの彫像が無数に生まれ、次の瞬間には粉々に砕け散ってキラキラとしたダイヤモンドダストに変わる。
「魔王の御前だ。地を這え」
ルシフェラが指先を軽く下に向ける。
それだけで、上空にいた天使が、見えない巨人の手に叩き潰されたように墜落し、地面にクレーターを作った。
最強種たちの蹂躙劇。
そして、俺自身もまた、その規格外の暴力を振るっていた。
「ハッ!」
目の前に迫った天使が、聖なる魔力を帯びた大剣を振り下ろす。
俺はそれを、左手で掴んだ。素手で。
バキンッ!
握り潰すだけで、聖剣が飴細工のように砕け散る。
レベル380。
魔界での乱交……いや、修行の成果は伊達じゃない。今の俺の肉体強度は、オリハルコンすら凌駕している。
「遅いし、軽い。……準備運動にもならねぇな」
俺は呆然としている天使の仮面に、軽くデコピンを放った。
ドォォォォォォォォォンッッ!!!!!
指先から放たれた衝撃波が、天使を砲弾のように吹き飛ばす。
その天使は後続の数十体を巻き込みながら、遥か彼方の岩山を貫通して消えていった。
「……ご主人様、強すぎ。私たち、いらないかも」
「いやいや、頼りにしてるよシルヴィ。さあ、頂上はもうすぐだ! 一気に決めるぞ!」
俺たちは止まることなく加速した。
神の軍勢を紙切れのように散らしながら、世界の頂点へと登り詰める。
そこに待つ元凶に、引導を渡すために。
◇
霊峰の山頂。
そこは、空気が凍りつくような静寂に支配されていた。
岩肌を削って作られた巨大な円形の祭壇。
その中心に、複雑怪奇な魔法陣が描かれ、一人の老人が佇んでいた。
教皇グレゴリウス。
豪華な法衣を纏っているが、その体躯は枯れ木のように痩せ細り、死相が漂っている。
だが、異様だったのは彼の「右手」だ。
その右腕だけが、不釣り合いなほど肥大化し、どす黒い混沌のオーラを放ちながら脈打っている。血管の一本一本が蛇のように蠢き、見ているだけで吐き気を催すような不快感。
あれが、邪神の力か。
「……ほっほっほ。ようこそ、神の座へ」
教皇が、しわがれた声で笑った。
俺たちは祭壇を取り囲むように着地し、武器を構える。
「年貢の納め時だ、ジジイ。大人しく投降すれば、命までは取らないでおいてやる」
俺が告げると、教皇は濁った瞳で俺をじっと見つめ、口元を歪めた。
「投降? 何を言っているのかね? 私は待っていたのだよ。……ユウ。お前という器が満ちるのをな」
「……何?」
「アレクシオスが失敗した時はどうなるかと思ったが……まさか、お前自らが最強種の力を束ね、ここまで育て上げて持ってくるとは! 感謝するよ、本当に!」
教皇の声に、狂気が混じる。
嫌な予感がした。
こいつは、追い詰められているんじゃない。
俺たちがここに来ることを、最初から計算していた?
「ユウ、離れろッ! ここはただの祭壇じゃない!」
背後で、ルシフェラが叫んだ。
彼女の金色の瞳が、祭壇の構造を見抜いたのだ。
「地面に刻まれた魔法陣……これは召喚陣ではない! 巨大な捕食機関だ!」
「気づくのが遅いな、魔王よ」
教皇が、肥大化した右手を高々と掲げた。
「さあ、頂こうか! その身体に溜め込んだ『最強種たちの膨大な魔力』! そして、世界を狂わせる『ふざけたスキル』をなぁッ!!」
教皇の右手が、ドクンと大きく脈打った。
――スキル発動。『強欲な吸収(ドレイン)』。
カッッッ!!!!!!
祭壇全体が、 目もくらむような光に包まれた。
地面から伸びた無数の光の鎖が、俺の手足を拘束する。
「な、なんだこれ!? 動けねぇ!?」
レベル380の筋力を持ってしても、引きちぎれない。
いや、物理的な拘束じゃない。これは、魂に直接食らいついている。
「ぐ、がぁぁぁぁぁぁぁッッ!!??」
激痛が走った。
身体の中身を、ストローで無理やり吸い出されるような感覚。
俺の身体から、黄金色の光が溢れ出し、教皇へと流れていく。
それは、ヴァミたちとの愛の営みで蓄積した、莫大な経験値と魔力だ。
さらに、それだけではない。
俺の深淵にある、スキル『強制発情』までもが、引き剥がされていく。
「やめろッ! それは……俺とあいつらを繋ぐスキルだッ!!」
「いいや、貰うぞ! これこそが、私が最も欲していた鍵なのだからなぁ!」
教皇が狂喜の声を上げる。
俺の視界が霞む。力が抜ける。
指先の感覚がなくなり、膝から崩れ落ちる。
レベル300……200……100……10……。
数字が溶けるように消えていく。
最強種たちを従え、勇者をワンパンで粉砕した圧倒的な力が、空っぽになっていく。
「ご主人様ッ!?」
「旦那様ッ!!」
ヴァミとシルヴィアが、拘束を破ろうと飛び込んでくる。
だが、遅かった。
ドォォンッ……!
光が収束した時、俺はただの無力な人間として、冷たい石畳の上に倒れ伏していた。
逆に。
祭壇の中心に立つ教皇の姿は、劇的に変貌していた。
枯れ木のような肌に張り詰め、筋肉が隆起し、白髪が黒く染まっていく。
老人は、俺から奪った生命力と魔力で若返り、全盛期以上の力を手に入れていたのだ。
「素晴らしい……! 素晴らしいぞ! これが最強種たちの力か! なんて甘美で、強大な魔力だ!」
若返った教皇は、自身の両手を見つめて陶酔している。
その身体からは、以前の俺と同じ、いやそれ以上の黄金のオーラが立ち上っていた。
「貴様ぁぁぁッ! 旦那様に何をしましたのッ!?」
激昂したヴァミが、灼熱のブレスを吐き出す。
山頂ごと消し飛ばすような全力の炎。
だが、教皇は片手を振るっただけで、その炎を霧散させた。
「無駄だよ。今、私の身体を満たしているのは、彼から奪った『お前たちの魔力』だ。同質の力は相殺される。……つまり、お前たちの攻撃は私には届かん!」
「……ッ、そんな!?」
「邪魔だ、獣ども」
教皇が掌を突き出すと、衝撃波が発生し、ヴァミとシルヴィア、ルシフェラまでもが吹き飛ばされた。
奪ったレベル380分の魔力。今の彼は、最強種三人を相手にしても引けを取らない怪物と化していた。
「くっ……う、うぅ……」
俺は震える手で地面を掴み、顔を上げた。
力が入らない。
ステータスウィンドウを開こうとしても、文字が霞んで見えない。
固有スキル『強制発情』の欄が、灰色に塗りつぶされている。
奪われた。
俺の武器も、積み上げてきた力も、すべて。
「さて……。メインディッシュといこうか」
教皇は俺を一瞥して嘲笑うと、肥大化した右手を天に掲げた。
「満ちた! 器は満ちたぞ! 最強の魔力と、絶対服従のスキル! これさえあれば、あの気高き破壊神も、私の意のままだ!」
教皇が詠唱を始める。
それは、世界を呪う言葉。封印をこじ開け、混沌を招き入れる鍵。
「深淵より来れ! 万物を無に帰す破壊の化身よ! 我が右手に宿りしその真体を、今ここに晒すがいい!!」
ズズズズズズズズッッッ!!!!!
霊峰が激しく揺れた。
空が、ガラスのようにひび割れる。
裂け目から溢れ出したのは、光でも闇でもない、原初の「混沌(カオス)」だった。
どろりとした泥のようなエネルギーが祭壇に降り注ぎ、教皇の右手から噴き出した黒い霧と混ざり合う。
「来る……。間違いなく、あれは……『終わり』そのものだ」
ルシフェラが青ざめた顔で呟く。
魔王ですら戦慄するプレッシャー。
混沌が渦を巻き、人の形を成していく。
――そして、顕現した。
そこに立っていたのは、この世のものとは思えない美貌を持つ、一人の女性だった。
夜の闇と星の輝きを織り込んだような、長く美しい髪。
肌は、吸い込まれそうなほど滑らかな肌。
豊満すぎる肢体。
ヴァミをも凌ぐかもしれない巨大な乳房が、重力に逆らって誇らしげに存在を主張している。
引き締まったウエストから広がる骨盤のライン、そして太ももの肉感は、見る者の理性を破壊する「エロス」の塊だ。
だが、その瞳。
金と紫のオッドアイには、感情というものが存在しなかった。
あるのは、純粋な「破壊」への渇望のみ。
邪神カオス。
世界を滅ぼすために生まれた、最強最悪の神。
「……ふぅー」
カオスが、小さく息を吐いた。
それだけで、霊峰の雲が吹き飛び、大気が震えた。
「素晴らしい……! 美しい……! これぞ、私が求めた究極の力!」
教皇が、狂喜乱舞してカオスの足元に近づく。
「見よ、愚かな人間ども! これぞ最強の邪神! そして今から、私がこの神の飼い主となるのだ!」
教皇は、奪ったばかりの『強制発情』の光を右手に宿し、無防備な全裸の邪神へと向けた。
「さあ、跪け! 私の奴隷となり、その強大な力と豊満な肉体で、私に永遠に尽くすのだぁッ!!」