ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件 作:kokoko146666
自由都市クオーレから徒歩で数時間。 鬱蒼とした木々が生い茂る「嘆きの森」の奥深くに、俺とヴァミは潜んでいた。
ガサリ、と茂みを掻き分ける。 視線の先には、粗末な木の柵で囲まれた集落があった。 豚の顔と肥満した巨体を持つ亜人――オークだ。
「ブヒッ! ブヒブヒッ!」 「グガァ! ブモォ!」
焚き火を囲み、下卑た声を上げながら武器の手入れをしている。その数、およそ三十匹。 中央には一際巨大な個体、オークジェネラルが鎮座していた。 Fランク冒険者が遭遇すれば即死、Bランクパーティでも全滅しかねない規模の群れだ。
だが、俺の隣にいる最強種(嫁)の目には、全く別の景色が見えているらしい。
「じゅるり……♡」
汚い音がした。 横を見ると、ヴァミがフードの下から涎を垂らし、目を血走らせていた。
「素晴らしい……。なんて素晴らしい光景でしょう、ご主人様」
「ああ、オークの群れだな」
「違います。あれは『歩くバラ肉』と『呼吸するロース』の群れです。特にあの真ん中の大きいヤツ……太ももの張りが最高ですね。脂が乗っていて、焼いたらきっと甘い脂が滴り落ちてくるに違いありません……♡」
彼女は完全に、スーパーの精肉コーナーを見る目で魔物を見ていた。 捕食者の視線。それに気づかないオークたちが哀れに思えてくる。
「よし、作戦の確認だヴァミ」
俺は逸る彼女の肩を掴んだ。
「今回の目的は二つ。一つ目は、ギルドへの報告に必要な『オークの牙』の回収。二つ目は、俺たちの食料となる『オーク肉』の確保だ」
「はいっ! 肉! 肉!」
「だから、絶対にブレスは使うなよ? 魔法も禁止だ。消し炭になったら牙も肉も回収できないからな」
「わかってますよぉ。ご主人様の言いつけ、ちゃんと守ります」
ヴァミは自信満々に胸を張った。
「物理攻撃のみ! しかも、お肉を傷めないように、極限まで手加減します。そうですね……『デコピン』くらいで十分でしょう」
「デコピン? まあ、それなら安心か」
最強種とはいえ、指先で弾く程度なら、まあ気絶させるくらいで済むだろう。 俺はそう判断し、彼女の背中を押した。
「よし、行ってこい!」
「いただきまぁぁぁすッ!!」
ヴァミが茂みから飛び出した。
◇
突然の侵入者に、オークたちが色めき立つ。 だが、現れたのが武器も持たない女だと分かると、彼らの表情は嗜虐的なものへと変わった。
「ブヒャヒャッ! 女だ! 上物だぞ!」 「ブヒッ! 犯せ! 食わせろ!」
オークジェネラルが立ち上がり、巨大な棍棒を振り上げて威嚇した。 普通なら恐怖で足がすくむ場面だ。 しかし、ヴァミは満面の笑みで、スキップするように近づいていく。
「ごきげんよう、食材ども♡ さあ、私の胃袋へカモンです!」
「ブモォォッ!?」
ジェネラルが激昂し、棍棒を振り下ろそうとした。 ヴァミはその巨体の懐にするりと入り込むと、右手の中指を親指に引っかけ、構えた。
「えいっ♡」
可愛らしい掛け声と共に、その指がジェネラルの額に向けて弾かれた。
パチンッ。
乾いた音が響く――はずだった。
ドォォォォォォォォォォンッッッ!!!!!
耳をつんざく爆音が、森の空気を震わせた。 俺の視界が歪む。 指が触れた一点から、目に見えるほどの衝撃波が発生し、大砲の弾着のようなエネルギーが一直線に突き抜けたのだ。
「ブ、ブベェッ……!?」
オークジェネラルの巨体が、紙切れのようにくの字に折れ曲がったかと思うと、音速を超えて後方へ射出された。 それだけではない。 ジェネラルの背後にいた十数匹のオークたちが、余波だけで木の葉のように舞い上がり、粉々に粉砕されながら吹き飛んでいく。
ズガガガガガガッ!! バキバキバキッ!!
衝撃波は集落を突き抜け、背後の森の木々を数百メートルにわたって薙ぎ倒し、地面をえぐり取ってようやく消滅した。 土煙が晴れた後には、更地となった直線道路が出来上がっていた。
「…………」
俺は口を開けたまま硬直した。 ヴァミが「あれ?」と首をかしげている。
「ご、ご主人様……? おかしいですね。お豆腐をつつくくらいの力加減だったのですが……」
「それがデコピンかよ!? 空気砲だろ!!」
俺は更地に向けて叫んだ。 慌てて駆け寄り、被害状況を確認する。 ジェネラルは……いない。遥か彼方の空の星になったか、あるいは分子レベルで分解されたか。 巻き込まれたオークたちも、肉片すら残っていない。
「あーっ!! 牙! 牙がない!」
俺は地面を這いつくばって探したが、ギルドへの提出物である『オークの牙』は、衝撃で粉々になったか、消滅していた。 当然、肉も回収不可能だ。
「うぅ……ごめんなさい。お肉が……霧になっちゃいました……」
ヴァミがしょんぼりと肩を落とす。 だが、まだ終わっていない。 集落の端にいて運良く直撃を免れたオークたちが、十匹ほど残っていたのだ。
「ブ、ブヒィィィッ!?(ば、化け物だァッ!?)」
「ブギーッ!(逃げろォォォッ!)」
仲間が一瞬で消滅した光景を見て、オークたちは完全に戦意を喪失していた。 武器を捨て、蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
それを見た瞬間、ヴァミの表情が一変した。
「あっ! こらっ! 逃げるなぁっ!」
彼女の瞳孔がカッ、と開く。
「待てぇ~♡ 待ってぇ~♡ 私のすてーきぃ~♡」
ヴァミが猛ダッシュで追いかけ始めた。 その光景は、端から見れば「美少女が追いかけっこをしている」ようにも見えるかもしれない。 だが実際は、「絶対的捕食者が、新鮮な食材を追い詰めている」地獄絵図だった。
「ブヒィィィッ!!(来るなァァァッ!!)」
「逃げちゃダメだよぉ~♡ 逃げると肉が硬くなっちゃうでしょ~?♡ 美味しく食べてあげるからぁ~♡」
ヴァミの足は速い。というか、縮地のような速度だ。 あっという間に殿(しんがり)のオークに追いつく。
「もうっ! 叩くと吹き飛んじゃうなら……切ればいいんですねっ!」
彼女の手が、鋭い爪のような形を作る。
スパッ。
風を切る音すらしなかった。 走りながらすれ違いざまに、ヴァミの手刀がオークの首を撫でた。 次の瞬間、オークの頭部がごとりと地面に落ち、胴体が慣性で数歩走ってから倒れた。
「よしっ! 一丁あがりっ♡」
断面は鏡のように滑らかだ。これなら肉も傷まないし、牙も無事だ!
「次ぃっ! そこのロース肉! 止まりなさいっ!」
「ブ、ブモォォォッ!!」
森の中に断末魔が響き渡る。 俺はただ、呆然とその光景を見守るしかなかった。 最強種、怖い。食欲の権化、もっと怖い。
◇
数分後。 集落は静寂に包まれていた。 俺の目の前には、綺麗に処理されたオークの死体が山積みになっている。 そしてヴァミが、血一滴ついていない手で、回収した牙をジャラジャラと俺に渡してきた。
「はい、ご主人様! 提出用の牙です! ジェネラルのは消えちゃいましたけど、他のは全部回収しました!」
「お、おう……。よくやった」
俺は袋に牙を詰め込む。これで依頼達成の証明は十分すぎるほどだ。 問題は、この大量の肉だ。
「ご主人様……」
ヴァミが上目遣いで、肉の山を見つめている。 お腹の虫が、グゥゥゥ~と可愛らしく(しかし音圧は凄まじく)鳴いた。
「新鮮なうちに……食べませんか? もう我慢できません。口の中がヨダレで洪水警報です」
「……そうだな。持って帰るには多すぎるし、ここで消費するか」
俺たちはその場で「青空BBQ」を開始することにした。 俺が生活魔法で焚き火をおこし、ナイフでオークのバラ肉を切り出す。
ジュワァァァァァ……!!
脂の焼ける素晴らしい音が、静かな森に響いた。 滴り落ちた脂が炭に触れて煙を上げ、香ばしい匂いが立ち上る。 俺は昨日買った「秘伝のタレ」をたっぷりとかけた。
「あぁっ……! 匂いだけで……匂いだけでイきそうです……ッ!」
ヴァミが恍惚とした表情で鼻をひくつかせている。
「よし、焼けたぞ」
「いただきまぁぁぁすッ!!」
ヴァミは焼けたばかりの熱々の肉を手掴みで取り、大きな口を開けて頬張った。
「はふっ、あつっ、んぐっ……ん~~~~っッ!!♡♡」
彼女は身悶えし、両手で頬を押さえた。
「おいひぃ……ッ! 美味しいですご主人様ぁッ! 屋台の肉も美味しかったですが、これは……格別ですッ! 噛めば噛むほど、オークの野性的な魔力が溢れ出して……甘い脂とタレが絡み合って……脳みそが溶けそうですぅッ!♡」
「そりゃよかった。ほら、次も焼けてるぞ」
「んぐむぐっ! はふはふっ! おかわりっ!」
彼女は凄まじい勢いで肉を吸い込んでいく。 俺も一切れ食べてみたが、確かに美味い。運動直後の筋肉だからか歯ごたえはあるが、臭みはなく、濃厚な旨味がある。
俺は肉を焼きながら、ふと計算した。 この肉はタダだ。調味料代と手間だけで、金貨数枚分の食事が賄えている。
(これだ……!)
俺は確信した。
(街で高い飯を食わせるより、こうやって『現地調達』した方が圧倒的に安上がりだ! それにヴァミも楽しそうだし、俺の料理スキルも上がる。一石三鳥じゃないか!)
これからは、積極的に「狩りデート」をすることにしよう。 俺がそんな節約術に想いを馳せている間に、ヴァミは十人前以上の肉を平らげていた。
「ぷはぁ……♡ ごちそうさまでしたぁ……♡」
彼女は満足げに腹をさすり、口の周りについたタレをペロリと舐め取った。 そして、トロンとした熱っぽい瞳で俺を見つめてきた。
「……ご主人様?」
「ん? 足りなかったか?」
「いえ、お腹はいっぱいです。……でも、魔物の肉を食べたせいでしょうか。なんだか……身体の奥が、ポカポカして……疼くんです……♡」
ヴァミが這うようにして俺に近づいてくる。 その顔は紅潮し、吐息は熱を帯びていた。
「オークって……繁殖力が強い魔物ですよね? そのお肉を食べたから……私の中の『メス』が、騒ぎ出しちゃって……♡」
彼女は俺を押し倒し、その豊満な身体で俺の上に跨った。 ローブがはだけ、豊かな胸の谷間と、白い太ももが露わになる。 青空の下、森の真ん中。 背徳的なシチュエーションが、彼女の興奮をさらに煽っているようだ。
「おい、ヴァミ。ここは外だぞ。誰が見てるか……」
「いいじゃないですかぁ……♡ ここには私と貴方と……あとは肉の骨しかありませんよ? 小鳥さんに見せつけてやりましょうよ……最強夫婦の愛の営みを……♡」
彼女は俺の手を取り、自身の胸へと導いた。 ドクン、ドクンと早鐘のような心音が伝わってくる。
「お腹はいっぱいになりましたけど……『下のお口』は、まだ空腹なんです……♡ ご主人様の極太のデザート……早く食べさせてください……ッ♡」
ヴァミが俺のズボンに手をかける。 俺のモノも、彼女のフェロモンに当てられて、すでに臨戦態勢に入っていた。 まあ、結界を張ればバレないか。 そう思って、俺が彼女の腰に手を回そうとした――その時だった。
「た、助けてくれぇぇぇッ!!」
森の奥から、男の悲鳴が聞こえた。 それも、ただの悲鳴ではない。死の淵にある者の、切羽詰まった絶叫だ。
「ウォォォォォォォォンッッッ!!!」
直後。 大気をビリビリと震わせる、重厚で威圧的な咆哮が轟いた。 鳥たちが一斉に飛び立ち、風がざわりと騒ぐ。 ただの狼ではない。このプレッシャー……明らかに上位の魔物だ。
「……ッ」
ヴァミの動きがピタリと止まった。 とろんとしていた瞳が一瞬で冷め、不機嫌そうに細められる。
「……チッ。いい所だったのに。誰ですか、私の食後の楽しみを邪魔する駄犬は」
彼女は舌打ちし、殺気を漏らした。 俺は身を起こし、悲鳴のした方角を見た。
「今の声……人間か? それに、この咆哮……オークなんかよりずっとヤバいぞ」
ここより更に奥は、立ち入り禁止の危険区域だ。 冒険者が迷い込んだのか、それとも……。 俺の脳裏に、かつて自分が「囮」にされた記憶が微かによぎる。
「……行ってみよう、ヴァミ」
「えぇー? 放っておきましょうよぉ。デザートの続きがしたいですぅ」
「駄々をこねるな。……あの咆哮、お前の『新しい食材』になるかもしれないぞ?」
俺がそう言うと、ヴァミの耳がピクリと動いた。
「……む。確かに。あっちから、強くて美味しそうな魔力の匂いがしますね。オークより上等な、霜降り肉の予感がします」
「だろ? デザートの代わりに、もう一品追加といこう」
「はいっ♡ ご主人様がそう言うなら!」
ヴァミはパッと立ち上がり、ローブを整えた。 現金なやつだ。だが、その強欲さが今は頼もしい。
俺たちは片付けもそこそこに、悲鳴と咆哮のする森の深部へと駆け出した。 そこで俺たちを待っているのが、オーク如きとは比べ物にならない、もう一体の「最強種」だとは知らずに。