※この作品はR-18です。

ハズレスキル『発情』が最強種にだけクリティカルヒット!? 人間には効かないゴミスキルを使ったら、赤龍がドMな爆乳美女になって「種付け」を懇願してきた件   作:kokoko146666

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第8話:赤龍王vs神狼フェンリル

 森の空気が、一変した。

 さきほどまでオークのBBQで盛り上がっていた熱気など、嘘のようだった。

 肌を刺すような冷気。吐く息が白く染まり、周囲の木々がパキパキと音を立てて凍りついていく。

 

「……ッ、これは」

 

 俺とヴァミは、悲鳴の聞こえた地点に到達した。

 そこは、森の植生が完全に無視された氷の世界だった。

 そして、その中心に――一人の男が倒れていた。

 

「あ、あぁ……助け……て……」

 

 冒険者風の装備だが、ボロボロだ。背中には不釣り合いなほど巨大なリュックサックを背負っている。

 顔面は蒼白で、唇は紫色。凍傷で指先が変色している。

 その姿を見た瞬間、俺の脳裏に既視感が走った。

 

(……荷物持ち(ポーター)か)

 

 装備の質が低い。武器も護身用のダガーのみ。

 あの巨大な荷物は、パーティ全員分の物資だろう。

 そして、こんな危険地帯で一人倒れている状況。

 

 ――囮だ。

 

 俺と同じだ。

 強い魔物に遭遇し、逃げるための時間稼ぎとして、一番弱い荷物持ちが置き去りにされたのだ。

 俺の胸の奥で、ドス黒い怒りの炎が燃え上がった。

 どこの誰かは知らない。だが、人の命を使い捨てにする「勇者」のような連中が、この世界には蔓延っているらしい。

 

「ご主人様。……来ますよ」

 

 ヴァミが低い声で警告した。

 彼女の視線は、倒れている男のさらに奥、吹雪が渦巻く闇に向けられている。

 

 ザッ、ザッ、ザッ……。

 

 雪を踏みしめる音が近づいてくる。

 現れたのは、絶望的なまでに巨大な「銀」だった。

 

 体高は5メートルを超えているだろうか。

 月光を織り込んだような美しい白銀の毛並み。氷河のような冷たい蒼色の瞳。

 その一挙手一投足が、周囲の大気を凍てつかせていく。

 

 神狼フェンリル。

 赤龍王と並び称される、この大陸の頂点捕食者。

 

『……去れ』

 

 頭の中に直接響く、鈴を転がしたような涼やかな声。念話だ。

 フェンリルは俺たちを一瞥すらせず、ただ冷徹に告げた。

 

『龍の匂いがすると思えば……随分と堕ちたものだな、赤龍。人間如きとつるみ、あまつさえその姿……。誇りを捨てたか』

 

「あぁん?」

 

 ヴァミのこめかみに青筋が浮かんだ。

 彼女の身体から、ボォッ! と熱波が噴き出す。周囲の氷が一瞬で溶け、水蒸気が上がった。

 

「誰に向かって口を利いているのですか、駄犬。……私の食後のデザート(情事)を邪魔した挙句、私の旦那様を侮辱するとは……死にたいようですね?」

 

『旦那様、だと? ……滑稽な。まあいい。ここはお前たちの縄張りではない。その獲物(荷物持ち)を置いて、即刻立ち去れ』

 

 フェンリルが倒れている男を見下ろす。

 彼女(声からしてメスだろう)にとって、この男はただの侵入者であり、エサに過ぎない。

 

「断る」

 

 答えたのは、俺だった。

 俺は一歩前へ出て、フェンリルを睨みつけた。

 

「その男は連れて帰る。俺の目の前で、かつての俺と同じような死に方はさせない」

 

『……人間風情が、我に意見するか』

 

 ゴウッ!!

 フェンリルの殺気が膨れ上がった。それだけで物理的な暴風となり、俺の頬を切り裂きそうになる――が。

 

 ガキンッ!!

 

 俺の前に、真紅の腕が差し込まれた。

 ヴァミだ。彼女の腕は部分的に龍の鱗と爪に覆われ、フェンリルの殺気を弾き返していた。

 

「……私の前で、私の夫に牙を剥くとは。いい度胸ですね」

 

 ヴァミの瞳が、爬虫類の縦長のそれへと変貌する。

 

「いいでしょう。ちょうど小腹が空いたところです。オーク肉の次は、神狼の霜降り肉(しゃぶしゃぶ)にしてあげますよ!」

 

『下品なトカゲめ。……凍りついて砕け散れ』

 

 開戦の合図は、もはや不要だった。

 

 ドォォォォォォォォォォンッッッ!!

 

 炎と氷。

 二つの最強の魔力が激突し、嘆きの森の深部が消し飛んだ。

 

 ◇

 

「ご主人様! その虫(人間)を連れて下がっていてください!」

 

 ヴァミが叫びながら、紅蓮の火球を連射する。

 フェンリルはそれを目にも止まらぬ速さで回避し、通り過ぎざまに氷の礫(つぶて)を放つ。

 

「ああ、頼んだぞ!」

 

 俺はその隙に、倒れている荷物持ちの男へと駆け寄った。

 今の俺のステータスはレベル89。敏捷値もAランクを超えている。最強種同士の余波が飛び交う戦場でも、ギリギリ動くことができた。

 

「おい! しっかりしろ!」

 

 俺は男を抱え上げ、ポーション(ヴァミの巣からくすねた高級品だ)を口に流し込んだ。

 さらに生活魔法『ホット・エア』で体温を上げる。

 

「う……あ……?」

 

「説明は後だ。死にたくなければ走れ! 森の出口まで一直線だ!」

 

「は、はいぃっ!?」

 

 男は状況が飲み込めていないようだが、目の前で怪獣大決戦が行われているのを見て、生存本能に火がついたらしい。

 彼は「あ、ありがとうございますぅぅ!」と叫び、脱兎のごとく森の出口へと逃走していった。

 

(……よし。これで心置きなく戦える)

 

 俺は振り返った。

 そこには、天地創造の神話のような光景が広がっていた。

 

 ズガガガガガッ!!

 

 ヴァミが両腕から火炎放射のようなブレスを放ち、森を焼き払う。

 対するフェンリルは、吐息一つで絶対零度の防壁を作り出し、炎を防ぐ。

 熱膨張と急激な冷却により、大気が悲鳴を上げ、水蒸気爆発が絶え間なく起きている。

 

「逃げ回ってばかりですね! 氷の彫像にして床の間に飾ってあげますから、大人しくしなさい!」

 

 ヴァミが苛立ちを露わにしながら、爪を振るう。

 真空の刃が飛ぶが、フェンリルはその巨体に見合わぬ神速で回避する。

 

『力任せの雑な攻撃だ。……遅い』

 

 フェンリルの姿がブレた。

 残像だ。

 実体はすでに、ヴァミの背後上空に位置取っている。

 

(マズい……!)

 

 俺は直感した。

 単純な火力(パワー)ならヴァミが上だ。だが、技量と速度(スピード)においては、野生で研ぎ澄まされたフェンリルに分がある。

 ヴァミは数千年の間、巣に引きこもって寝ていただけの箱入り娘だ。対人(対龍)戦闘の経験値に差がありすぎる。

 

『終わりだ。氷牢(アイス・プリズン)』

 

 フェンリルが冷徹に呟いた。

 瞬間、ヴァミの周囲の空間そのものが凍結した。

 

「なっ……!?」

 

 ヴァミの手足が、見えない氷の鎖に縛られたように空中で固定される。

 彼女の周囲に六角形の氷柱が出現し、完全に動きを封じたのだ。

 

「くっ、動きが……! 小賢しい真似を……ッ!」

 

 ヴァミが全身から魔力を放出し、氷を溶かそうとする。

 だが、フェンリルの方が速い。

 銀色の巨体が、流星のように急降下してくる。その口には、あらゆる物質を噛み砕く最強の牙が光っていた。

 

『その喉笛、食いちぎってくれる』

 

「しまっ……!?」

 

 ヴァミの顔に焦りが浮かぶ。

 防御が間に合わない。

 俺の嫁が、傷つけられる――。

 

 その事実を認識した瞬間、俺の身体は思考より先に動いていた。

 

 ドンッ!!

 

 地面を蹴る。

 レベル89の脚力と、スキル『怪力乱神』によるブースト。

 俺は音速の領域に踏み込み、ヴァミとフェンリルの間に割って入った。

 

「――ご主人様ッ!?」

 

 ヴァミの驚愕の声。

 フェンリルの巨大な牙が、俺の目の前に迫る。

 その距離、わずか数メートル。

 普通なら、人間など紙切れのように噛み砕かれて終わりだ。

 

 だが、俺には切り札がある。

 最強種を狩るための、最強の「愛の鞭」。

 

「俺の嫁に……触るなァッ!!」

 

 俺は右手を突き出し、迫りくる神狼の鼻先へと向けた。

 狙いは眉間。

 意識を集中する。このスキルの本質は、生命力の強制変換。

 相手が強ければ強いほど、その膨大な魔力を逆流させ、内側から理性を焼き尽くす。

 

 喰らえ。

 神の誇りも、氷の冷静さも、全部ドロドロに溶かしてやる。

 

「スキル『強制発情(ラスト・トリガー)』――起動ッ!!」

 

 ドクンッ!!

 

 俺の手のひらから、不可視の波動が放たれた。

 それはレーザーのような物理的な光ではない。空間を伝播する「概念」の衝撃波。

 回避不能の因果律干渉が、フェンリルの脳髄を直撃した。

 

『ガァッ……!?』

 

 空中で、フェンリルの動きがピタリと止まった。

 驚愕に見開かれた蒼い瞳。

 その奥で、絶対零度の理性が、揺らぎ、溶け、沸騰していく。

 

『な、なんだ……この熱は……!? 魔力が……制御できん……ッ!?』

 

 フェンリルの口から、苦悶の声が漏れる。

 彼女の全身を覆っていた冷気が、暴走し、ピンク色の蒸気へと変わっていく。

 

『あ、あつい……ッ! 身体が……芯から……燃えるようだ……ッ! 子宮が……疼く……!? なんだこれは……我は、神狼だぞ……!?』

 

 空中で姿勢を保てなくなり、フェンリルの巨体が地面に落下した。

 ズシンッ! と重い音が響く。

 

「グルゥッ……クゥーン……ッ!♡」

 

 威厳ある唸り声が、甘えたような鳴き声へと変質する。

 そして――変化が起きた。

 ヴァミの時と同じだ。制御を失った膨大な魔力が、一点に収束し、肉体を再構成していく。

 

 カァァァッ……!

 

 まばゆい白銀の光が、森を包み込んだ。

 巨大な狼のシルエットが、急速に縮んでいく。

 

 光が収まった時。

 そこにいたのは、一人の全裸の美女だった。

 

「はぁ……はぁ……ッ♡」

 

 雪のような白い肌。

 腰まで届く、流れるような白銀のロングヘア。

 頭にはピンと立った狼の耳があり、お尻からはフサフサの尻尾が生えている。

 

 ヴァミが「暴力的な爆乳」だとすれば、彼女は「芸術的な美乳」だった。

 モデルのように引き締まったスレンダーな肢体。長い手足。腹筋にはうっすらと縦線が入り、健康的な美しさを放っている。

 顔立ちは、氷の精霊のようにクールで整っている……はずだった。

 

 今は、そのクールな相貌が、快楽と熱でだらしなく崩壊していた。

 

「あぁ……っ♡ 熱い……お腹の下が……きゅんきゅんする……っ♡ だめ……理性、溶けちゃう……っ♡」

 

 彼女は四つん這いになり、自身の身体を抱きしめて震えていた。

 切れ長の瞳はとろんと濁り、潤んだ視線で俺を見上げている。

 

「貴方……♡ 貴方が……私の中に『熱いの』を入れたの……?♡」

 

 フェンリル――いや、銀髪の美女は、ふらふらと立ち上がり、俺に近づいてきた。

 

「すごい……魔力……♡ 龍よりも……熱くて……強引……♡」

 

 彼女は俺の胸に顔を埋め、くんくんと匂いを嗅いだ。

 

「いい匂い……♡ オスの匂い……♡ 私、初めて……こんなに胸が高鳴ってる……♡ ねぇ、責任とって……? こんな身体にしたんだから……最後まで、面倒みてよぉ……♡」

 

 彼女は俺の腰に腕を回し、スレンダーな体を摺り寄せてきた。

 冷たい肌の感触が心地よい――なんて言ってる場合じゃない。

 尻尾が、パタパタと激しく振られている。

 完全に「発情期の犬」だ。それも、飼い主に懐きまくっている大型犬だ。

 

「……おい、離れろ」

 

 俺が困惑していると、背後から凄まじい熱気が迫ってきた。

 

「――ちょっと待ちなさいよ、この泥棒犬ッ!!」

 

 氷牢を自力(というより嫉妬の炎)で溶かしたヴァミが、鬼の形相で歩いてきた。

 人間形態に戻り、その手には炎の剣(魔力)が握られている。

 

「私の旦那様に、気安く抱き着いてるんじゃないわよ! その薄っぺらい胸を押し付けるな!」

 

「……あぁん?」

 

 ヴァミの罵声に、銀髪の美女が反応した。

 彼女は俺から離れず、むしろ背中に隠れるようにして、ヴァミを睨み返した。

 

「うるさいメス猫……。旦那様ってことは……この人の『番(つがい)』なの……? じゃあ、私の『ご主人様(ボス)』でもあるってこと……?♡」

 

「はぁ!? 何言ってんのコイツ!」

 

「だって……私を負かしたんだもの……。狼の掟では、強いオスに従うのが絶対……♡ それに……」

 

 彼女は俺を見上げ、うっとりとした顔で頬を染めた。

 

「この人の匂い……嗅いでるだけで、子宮が疼くの……♡ もう、この人なしじゃ生きられない身体にされちゃったみたい……♡ わぉん♡」

 

 彼女は俺の手を取り、自身の頬に擦り付けた。

 忠誠と情欲が混ざり合った、絶対服従のポーズ。

 

「キ、キーッ!! なによその媚びた顔は! 最強種のプライドはないんですかッ!?」

 

「プライドなんて……この熱の前じゃ、アイスみたいに溶けちゃった……♡ ねぇご主人様、名前……名前つけて? 私、貴方の犬になりたい……♡」

 

 俺は頭を抱えた。

 右には、嫉妬で爆発寸前のヤンデレ赤龍。

 左には、即堕ちして発情しまくっているクーデレ(崩壊)神狼。

 どちらも全裸。どちらも世界最強。

 

「……とりあえず、服を着ろ。話はそれからだ」

 

「はぁい♡」

「むぅ……ご主人様がそう言うなら!」

 

 こうして、俺のパーティ(ハーレム)に、二人目の最強種が加わることになった。

 森の冷気はいつの間にか消え失せ、代わりにむせ返るような桃色の熱気が、この場を支配し始めていた。

 

 ……荷物持ちの彼、無事に逃げ切れていればいいんだけどな。

 俺は心の中で彼にエールを送りつつ、目の前の「猛獣使い」としての難題に向き合うことにした。

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