スキル《人畜 無害》で無双する!誰も敵意を向けないので、乳も尻も触り放題のハーレムを堪能します 作:kokoko146666
──水曜日の午後だった。
大学の三限が終わり、教室の席を立ったのは最後だった。いや、誰かが話しかけてくるわけでもないし、急ぐ理由もなかった。
「……今日も、喋ってないな」
ポツリと漏れた独り言が、イヤホンの中のBGMにかき消された。キャンパスの廊下をすり抜けて、学生たちが談笑しながら帰っていく。
その輪の中に、俺の姿はない。
人と話すのが嫌いなわけじゃない。ただ、話しかけられないだけ。目が合っても、すぐに逸らされる。会話に割って入っても、気づけば空気になる。
──きっと、俺みたいなのは“いなくても困らない”んだろう。
鞄を片手に、駅前のコンビニへ向かう。
甘すぎないカフェオレでも買って、帰りにアニメの録画を観よう。昨日投稿されたMAD動画もチェックして──そうだ、フォロワー数がやっと300人超えたんだっけ。
「……ま、現実で友達ゼロだけどな」
苦笑しながら、自動ドアに手を伸ばした。
その時──
「……ん?」
空気が、歪んだ気がした。
自動ドアの奥にあるはずの棚が、にじむように揺らぐ。
耳鳴りのような、機械のノイズのような音が、後頭部の奥から響く。温度感覚が狂い始め、足元から感覚が遠のいていく。
(なにこれ、立ち眩み……?)
ぐらりと視界が傾き、ドアに手をついた。
けれど──触れたはずの扉が、そこに“なかった”。
俺の手は、空を掴んでいた。
そのまま、光が、溢れた。
目を焼くような、純白の光。
前も、後ろも、上も、下も、分からなくなっていく。
耳の奥で、誰かの声が響いた。
──「選ばれし魂よ」──
思考が、切り離されていく。
世界が、崩れる。
そして、俺は──
どこか“違う場所”へ、落ちた。
■
──風が、吹いていた。
頬を撫でる、やけに生々しい風。
肌寒さと草の匂いが、意識の底から現実を引きずり戻してくる。
悠(ゆう)「……ここ、どこだ……?」
体を起こす。見渡せば、視界いっぱいの草原だった。背の低い花が、風に揺れている。
空は異様なほど青く、雲が一つもない。聞いたことのない鳥のさえずりが、遠くの空を飛び交っていた。
悠「……夢、じゃないよな」
痛みを確かめるように、腕を抓る。
──ちゃんと痛かった。
服は、さっきまで着ていた大学のパーカーとジーンズのまま。カバンもある。スマホは……圏外。再起動しても、変わらない。
悠「何がどうなって……」
そのとき、視界の端に、ふわりと光が差した。
直径15センチほどの、淡く光る“球体”が、空中を漂っていた。
悠「なっ……なに、これ……!?」
その光球が、くるりと一回転したかと思うと──しゃべった。
???「やっほー。ようこそ、選ばれし魂くん」
悠「えっ……え?」
???「あ、自己紹介しとくねー。私はフィノ。転移者サポート精霊。今後のチュートリアル、全部私が担当するから、よろしく~」
悠「精霊……? え、本当に、異世界ってこと……?」
フィノ「YES! ここは“アステレア”っていう世界。剣と魔法と、モンスターと、ギルドと、イチャイチャと、バトルと──」
悠「最後の“イチャイチャ”は関係ないだろ……」
フィノ「いやいや、重要。異世界転移者の人生において“異性との出会い”は基本です!」
悠「テンプレかよ……」
悠は立ち上がる。体はちゃんと動くし、怪我もない。けれど、地面は柔らかい草で覆われ、空は知らない色で広がっている。どこをどう見ても、そこは“日常”ではなかった。
フィノ「じゃあ、まずは君のステータス見てみようか。ほら、画面出してー。心の中で“ステータス”って唱えると、出るよ」
悠「……ステータス」
次の瞬間、視界に青白いウィンドウが現れた。
【ステータス:日辻 悠】
職業:なし
称号:《転移者》
年齢:21
スキル:《無害》──他者から敵意・拒絶・警戒を向けられない
悠「……無害?」
フィノ「そう。The・スルー力。どれだけ怪しい行動しても、怒られない! 攻撃されない! 叱られない!」
悠「いや、いやいやいや、なんだよこれ……バトルスキルとか、ないの?」
フィノ「ノンノン。戦闘力ゼロ。魔法適性もゼロ。でも、君は“誰からも敵視されない”んだよ。これ、普通に最強じゃない?」
悠「いや、どこがだよ。使い道わからん……」
フィノ「ふっふっふ。まぁ、じきにわかるよ。“無害”ってのがどれだけヤバいか。ふふ……」
悠「……なんで含み笑いすんだよ」
フィノ「いや、なんか久々に“面白そうな奴”来たなって」
悠「うわ、絶対ろくな目に遭わないパターンのやつだ、これ」