スキル《人畜 無害》で無双する!誰も敵意を向けないので、乳も尻も触り放題のハーレムを堪能します 作:kokoko146666
エルナと別れたあと、街の通りをひとりで歩く。
朝の市場は活気に満ちていて、露店の店主たちが威勢よく声を張り上げていた。
焼きたてのパンの香り、乾いた木箱が擦れる音、人々の足音と笑い声──どれも、どこか懐かしい。
(ああ、やっぱり異世界なんだな……って思う)
エルナと過ごしたあの夜は、夢のようだった。
けれど、こうして日常に戻ると、妙に現実感が増してくる。
肩に乗るように浮かんでいる、光の粒──フィノが、くるりと回転して俺の顔を覗き込んだ。
フィノ「うっし、悠。いい朝だね〜? 昨夜はよく寝れたって顔してるぅ〜」
悠「うるさい。声がでかい」
フィノ「ふふん、照れてる照れてる」
通りを歩く人々には、フィノの姿は見えていない。
もちろん、俺が独り言を言っていても、誰も怪しむことはない。《無害》があるから。
ギルドに入ると、朝から混雑していた。
冒険者たちの怒号や笑い声、武器のきしむ音。
俺はその中をすっと通って、掲示板の前へ。
目立たない。というか、見えてはいるけど、印象に残らない。
やっぱり、俺はどこまでも“無害”な存在らしい。
フィノ「お、あれ見てみ。あーゆーのから始めんのがいいんじゃない?」
掲示板の中段、地味な文字で書かれていた。
【王国騎士団への雑用派遣:1日任務(※初心者可)】
悠「……地味だけど、まあ良さそうかも」
掃除、整理整頓、搬入の手伝い──明らかに戦闘とは無縁の内容。
他に目立った候補もなく、その紙を剥がして受付に向かう。
受付には、柔らかい茶髪の女性がいた。
目が合った……気がしたけれど、すぐに書類に目を落とされた。
受付嬢「えっと、はい、雑用ですね。えー……王国直属の“銀翼騎士団”様からの依頼になります」
フィノ「おっ、名前カッコよくない? 銀翼騎士団……キラキラしてそう〜」
悠「静かにしろ、もう」
受付嬢は淡々と説明を続ける。
受付嬢「今日は副団長殿もいらっしゃるとのことなので、問題を起こさないように、指示に従って、黙々と働いてくださいね」
悠「はい」
契約書にサインをして、小さなバッジを受け取る。
“本日限りの臨時補助員”という印が刻まれたそれを胸元に留めると、どこか責任感が生まれた気がした。
ギルドを出て、王城方面へ。
通行許可証の提示を求められることなく、門をくぐる。
──やっぱり、騎士団の敷地内でも《無害》は通用するらしい。
石造りの建物、整備された訓練場、擦れた靴音。
場違いな気配に包まれながらも、誰からも疑問の視線を向けられることはなかった。
悠(……これ、ほんとにすごいな)
剣を構える騎士、走り込む訓練兵たちの間を、俺はまるで風のように通り過ぎていく。
それでも、仕事の指示はちゃんと通る。
案内役の兵士が無言で手を振り、資料室や物資庫の整頓を任される。
黙々と、書類を並べる。ほこりを払う。
椅子を運び、食糧箱を並べ、剣の収納棚を直す。
不思議と苦ではなかった。
働くという感覚が、初めてこの世界で自分の手に馴染んだ気がした。
そして、午後。
兵士に案内されて向かったのは、やや装飾の多い石造りの一室だった。
──副団長室。
案内役「本来、あなたに割り当てられていた業務ではありませんが……副団長殿から“ついでに”と直接依頼がありました。ご在室中ですが、遠慮なく作業を続けてくださいとのことです」
悠「……了解しました」
ノックして、静かに扉を開ける。
中には──ひとりの女性がいた。
凛とした立ち姿。長く束ねた銀髪。細身の体にフィットする騎士服。
その姿は、まるで空気を切り裂く刃のように鋭く、それでいてどこか静けさを纏っていた。
──副騎士団長、リシア=ヴァルディ。
リシア「……好きに掃除して。私は構わないから」
顔をこちらに向けただけで、すぐに書類に視線を戻す。
悠(え、在室なのに……ほんとに俺が、掃除するのか?)
フィノ「“ついで”に部屋まで任せるって、普通じゃ考えられないよ〜? けど、警戒が全くされてない空気になってる……これが無害のすごさだね」
室内には、鎧や剣だけでなく──
貴族らしい化粧瓶や、机の隅に畳まれた衣類。
ソファの肘掛けには、たぶん昨日着ていたらしいシャツ。
その脇には──明らかに、下着。
悠「……」
リシアは何も言わない。
こちらを見ようとすらせず、黙々とペンを走らせている。
そんな中、俺はこの散らかった部屋を掃除し始めるのだった。